2024年5月に登場した13インチiPad Pro M4チップ搭載モデルは、Appleの最新テクノロジーを結集した、まさに次世代のタブレットと言えるでしょう。Apple独自開発のAppleシリコンであるM4チップの搭載により、CPUとGPUのパフォーマンスは前世代のM2チップ搭載モデルと比較して飛躍的に向上しました。1
本稿では、13インチiPad Pro M4チップ搭載モデルの実力をベンチマーク結果に基づき詳細に分析します。専門的なテクノロジーレビューサイトやAppleの公式ウェブサイトなどを参考に、CPU性能、GPU性能、メモリ性能といった様々な観点から評価を行い、前世代モデルや他のタブレット端末との比較を通して、M4チップ搭載モデルの真価に迫ります。
ベンチマーク結果の詳細分析
13インチiPad Pro M4チップ搭載モデルのベンチマーク結果を分析するにあたり、まずはCPU性能から見ていきましょう。Geekbench 6を用いたCPUベンチマークでは、シングルコアで3761ポイント、マルチコアで13282ポイントを記録しました。1 これは、前世代のM2チップ搭載モデルと比較して、シングルコアで約46.8%、マルチコアで約50.0%もの性能向上を達成しています。2 この大幅な性能向上は、M4チップの10コアCPU(高性能コア4つ+高効率コア6コア)と16GBの大容量RAMによるところが大きいと考えられます。1 Geekbenchは、プロセッサの処理能力を測定するベンチマークテストであり、このスコアが高いほど、アプリの起動や動作、マルチタスク処理などがスムーズに行えます。
次にGPU性能を見ていきましょう。Geekbench 6のGPUベンチマークでは、54087ポイントを記録し、M2チップ搭載モデルと比較して約17.2%の性能向上を果たしました。2 また、グラフィックAPIであるMetalのベンチマークでも同様の傾向が見られ、M4チップ搭載モデルはM2チップ搭載モデルを凌駕するスコアを叩き出しています。2 Metalは、Appleのグラフィックフレームワークであり、ゲームや3Dグラフィックなどの描画性能に影響します。このスコアが高いほど、より滑らかで美しいグラフィック表示が可能になります。
メモリ性能に関しては、Geekbench MLのNeural Engineベンチマークで9570ポイントを記録しました。1 Neural Engineは、機械学習やAI処理に特化したプロセッサであり、顔認識、音声認識、画像処理など、様々なAIタスクを高速に実行します。このスコアが高いほど、AI関連の機能がより快適に動作します。 M4チップに搭載されたNeural Engineは、Apple史上最もパワフルであり、A11 Bionicチップに搭載された初代Neural Engineと比較して、なんと60倍も高速になっています。3 これは、AI技術の進化を如実に示すものであり、今後のiPad ProにおけるAI活用への期待を高めます。
総合的なパフォーマンスを評価するAntutu Benchmarkでは、266万758ポイントという驚異的なスコアを記録しました。1 これは、前世代のM2搭載iPad Pro 12.9インチモデルの213万3398ポイント、11インチモデルの194万378ポイントと比較して、20%以上のスコア向上となります。1 Antutu Benchmarkは、デバイスの総合的なパフォーマンスを測定するベンチマークテストであり、CPU、GPU、メモリ、ユーザーインターフェースなど、様々な要素を評価します。このスコアが高いほど、デバイス全体が快適に動作すると言えるでしょう。
M4チップは、パフォーマンス向上だけでなく、電力効率にも優れています。3 薄型軽量のWindowsノートパソコンに搭載されている最新のPCチップと比較して、M4チップはわずか4分の1の電力消費で同等の性能を発揮することが可能です。3 これは、バッテリー駆動時間の延長に大きく貢献し、外出先での長時間使用を可能にします。
さらに、M4チップは、新しいメディアエンジンを搭載し、AV1デコードに対応しています。4 AV1は、次世代の動画圧縮規格であり、従来の規格よりも高い圧縮効率を実現します。これにより、ストリーミングサービスなどで高解像度動画を再生する際にも、より少ない電力消費で、より高画質な映像を楽しむことができます。
前世代モデルおよび他タブレット端末との比較
13インチiPad Pro M4チップ搭載モデルは、前世代のM2チップ搭載モデルと比較して、CPU性能、GPU性能、メモリ性能のいずれにおいても、大幅な向上を見せています。1 特に、CPU性能の向上は目覚ましく、シングルコア、マルチコアともに約50%の性能向上を達成しています。2 これは、M4チップの新しいアーキテクチャと、第2世代3nmプロセスによる製造プロセスにおける進化によるものと考えられます。2
他のタブレット端末との比較では、M4チップ搭載モデルは、現時点で最高峰の性能を誇ると言えるでしょう。5 特に、Androidタブレットに搭載されているSnapdragon X Eliteなどのチップと比較しても、M4チップはより高いパフォーマンスと電力効率を実現しています。5
動画編集とゲームプレイ性能
M4チップ搭載モデルは、その高い処理能力により、動画編集やゲームプレイといった、負荷の高いタスクにも余裕を持って対応できます。3
動画編集においては、4Kビデオ編集や、複雑なエフェクト処理もスムーズに行うことができます。6 Final Cut Proなどのプロ向けの動画編集アプリを利用することで、iPad Proを本格的な動画編集スタジオとして活用することも可能です。4 M4チップは、M2と比較してプロ向けのレンダリングにおいて最大4倍高速になっています。4 例えば、Octane Xでのレンダリングテストでは、M4搭載iPad Proがサンプルシーンをレンダリングするのに1分3秒かかったのに対し、第6世代のiPad Proでは1分53秒かかりました。7
ゲームプレイにおいても、高画質・高フレームレートのゲームを快適にプレイできます。3 M4チップのGPUは、ハードウェアアクセラレーテッドレイトレーシングに対応しており、Diablo Immortalなどのゲームで、よりリアルなグラフィック表現を楽しむことができます。3 実際に、M4搭載iPad Proで原神をプレイしたユーザーによると、最高画質設定でも60fpsで快適に動作し、120fpsでプレイすることも可能とのことです。8
デザインとその他のアップデート
今回のiPad Pro M4モデルでは、デザイン面でもいくつかの変更点があります。
まず、本体のサイズが11インチ、13インチの両モデルとも、これまでの11インチ、12.9インチモデルとは異なっています。9 11インチモデルは長辺がわずかに長くなり、短辺はわずかに短くなりました。13インチモデルは長辺、短辺とも、これまでの12.9インチモデルよりもわずかに長くなっています。9 厚みは、いずれのモデルも旧モデルより薄くなっており、11インチモデルは5.3mm、13インチモデルは5.1mmと、極薄です。9
また、使用可能なSIMはeSIMのみとなりました。9 これは、同時に発売されたiPad Airと同様の変更です。
カラーバリエーションは、従来のシルバー/スペースグレイから、シルバー/スペースブラックの2色に変更されました。9 スペースブラックは、スペースグレイよりも精悍な印象を与えるカラーリングとなっています。
ユーザーレビューと総合評価
M4チップ搭載モデルは、ユーザーからも高い評価を得ています。10 特に、その薄さと軽さ、そして圧倒的なパフォーマンスは、多くのユーザーから賞賛されています。10 あるユーザーは、「小銭5~6枚分くらいの薄さ」と表現し、その軽さと相まって、13インチの大画面タブレットを持っている感覚がないと述べています。11 また、新しいUltra Retina XDRディスプレイの美しさも高く評価されています。5 The Vergeは、このディスプレイについて「ばかげた名前ですが、とにかく美しく動作します」と評価し、OLEDの特徴である黒の深みや、映像のダイナミックさを賞賛しています。5
一方で、Magic KeyboardとApple Pencilを合わせた価格の高さに対する意見も出ています。5 あるユーザーは、「驚異の20万越え。Macbook Airよりも高いってなんじゃそりゃ」と、その価格に驚きを隠せない様子です。11 また、iPadOSの機能制限に対する意見も一部のユーザーから出ています。5
結論
13インチiPad Pro M4チップ搭載モデルは、ベンチマーク結果からもわかるように、圧倒的なパフォーマンスを誇る、まさに次世代のタブレットです。CPU性能、GPU性能、メモリ性能のいずれにおいても、前世代モデルを凌駕し、他のタブレット端末と比較しても、最高峰の性能を有しています。
動画編集やゲームプレイといった、負荷の高いタスクにも余裕を持って対応できるため、プロのクリエイターから、ゲーム愛好家まで、幅広いユーザーに満足していただけるデバイスと言えるでしょう。M4チップは、処理性能の向上だけでなく、電力効率の向上やAV1デコードへの対応など、様々な進化を遂げています。
デザイン面でも、より薄く、軽く、スタイリッシュになり、ユーザーエクスペリエンスをさらに向上させています。一部ユーザーからは価格の高さを指摘する声もありますが、全体的には非常に完成度の高いタブレットとして、高い満足度を得ていると言えるでしょう。
The M4 chip in the 13-inch iPad Pro sets a new standard for tablet performance, making it a compelling choice for demanding users and a glimpse into the future of Apple’s mobile devices.
項目 | 13インチ iPad Pro M4 | 13インチ iPad Pro M2 |
ストレージ | 256GB, 512GB, 1TB, 2TB | 128GB, 256GB, 512GB, 1TB, 2TB |
開始価格 | 218,800円 | 172,800円 |
CPU | 10コア (高性能コア4つ + 高効率コア6コア) | 8コア (高性能コア4つ + 高効率コア4コア) |
GPU | 10コア | 8コア |
Neural Engine | 16コア | 16コア |
RAM | 16GB | 8GB |
Geekbench 6 (シングルコア) | 3761 | 2534 |
Geekbench 6 (マルチコア) | 13282 | 9622 |
Geekbench ML | 9570 | – |
Antutu Benchmark | 266万758 | 213万3398 |
注釈:
- 表中のベンチマークスコアは、1 1 を参考にしています。
- M2モデルのGeekbench MLスコアは、この情報源には記載がありませんでした。
引用文献
1. M4チップを搭載して前世代から大きく性能が進化したiPad Pro …, 2月 23, 2025にアクセス、 https://gigazine.net/news/20240515-apple-ipad-pro-2024-benchmark/
2. ASCII.jp:【レビュー】M4搭載のiPad Proはスペックも価格も圧倒 …, 2月 23, 2025にアクセス、 https://ascii.jp/elem/000/004/198/4198384/
3. Apple、M4チップを発表, 2月 23, 2025にアクセス、 https://www.apple.com/jp/newsroom/2024/05/apple-introduces-m4-chip/
4. Apple、M4チップを搭載した美しく新しいiPad ProとApple Pencil Proを発表, 2月 23, 2025にアクセス、 https://www.apple.com/jp/newsroom/2024/05/apple-unveils-stunning-new-ipad-pro-with-m4-chip-and-apple-pencil-pro/
5. M4搭載・Apple史上最薄・OLEDディスプレイ搭載・Apple Pencil Pro対応のiPad Pro(2024)海外レビューまとめ – GIGAZINE, 2月 23, 2025にアクセス、 https://gigazine.net/news/20240514-apple-ipad-pro-m4-review/
6. 「iPad Pro M4 13インチ」をChat GPTと相談しながら買ってみた – note, 2月 23, 2025にアクセス、 https://note.com/tikuboon_1023/n/n966a7a87a20f
7. 新型iPad Proは史上最高峰だけど「何でもできる」わけではない | ギズモード・ジャパン, 2月 23, 2025にアクセス、 https://www.gizmodo.jp/2024/05/ipad-pro-m4-review-peformance-battery-life.html
8. M4 iPad Pro & Apple Pencil Pro レビュー! M4チップの性能が最強すぎた! – YouTube, 2月 23, 2025にアクセス、 https://www.youtube.com/watch?v=oy0Vi-tc9Kc
9. 【レビュー】Macよりも先にM4搭載「iPad Pro 13インチ」はアップル最高密度のモデルだ!, 2月 23, 2025にアクセス、 https://ascii.jp/elem/000/004/208/4208771/
10. M4 iPad Pro 13インチは次世代クリエイターの必需品!差を生み出すプロの仕事道具 – YouTube, 2月 23, 2025にアクセス、 https://www.youtube.com/watch?v=ywlaKh1Gl8E
11. iPad Pro2024 M4レビュー。M3 MacやiPhoneとベンチ比較|クラシキログ【ガジェット – note, 2月 23, 2025にアクセス、 https://note.com/kurashikilog/n/n09ed224736f7