Amazon Fire HD 8 (2024) ベンチマークまとめ

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ベンチマーク結果の概要

主要ベンチマークスコア

AnTuTu Benchmark

Amazon Fire HD 8 (2024) 4GB RAMモデルのおおよその総合的なシステム性能を示す指標として、あるYouTubeレビュー1ではAnTuTuベンチマークスコアがおよそ17万であったと報告されています。この数値は、このタブレットが基本的なウェブブラウジング、メディア消費、軽いアプリケーションの使用には適しているものの、より負荷の高いゲームやアプリケーションでは性能に限界がある可能性を示唆しています。

Impress Watchのレビュー2では、Fire HD 8 (第12世代) の様々なモデル(2024年モデルを含む)でAnTuTuベンチマークが実施されました。その結果、4GB RAM搭載モデルが最も高いスコアを記録したことが確認されています。しかし、2GB RAMモデルや3GB RAMモデルを含む他のモデルのスコアはより変動が大きく、RAM容量とスコアが必ずしも比例しない傾向も観察されました。このことから、AnTuTuベンチマークのスコアはRAM容量だけでなく、ソフトウェアの最適化やバックグラウンドで動作するプロセス、あるいはシステムオンチップ(SoC)自体の性能のばらつきといった他の要因によっても影響を受ける可能性があると考えられます。

Geekbench

CPUのシングルコアおよびマルチコアの処理能力を評価するGeekbench 5ベンチマークにおいて、Gigazineの分析3ではAmazon Fire HD 8 (2024) モデル(おそらく4GB RAMモデル)がシングルコアで195、マルチコアで952のスコアを獲得したと報告されています。これらのスコアは、このタブレットのCPUが一般的な処理タスクをどの程度実行できるかを示すものであり、他のデバイスと比較することで相対的なCPU性能を把握することができます。

PCMagのレビュー4では、Fire HD 8 (2024) の3GB RAMモデルでGeekbench 5ベンチマークが実施され、シングルコアで192、マルチコアで901のスコアが得られました。PCMagはこの結果について、2022年モデルがテストを完了できずにクラッシュしたことと比較して、大幅な性能向上であると強調しています。GigazineとPCMagで報告されたスコアのわずかな差異は、テストに使用されたRAM容量の違い(4GB対3GB)や、テスト環境の差異によるものと考えられます。2022年モデルがテストを完遂できなかったという事実は、2024年モデルのCPUの安定性と処理能力が向上したことを示唆しています。

一方、PC Watchのレビュー5では、2GB RAM (2022年モデル)、3GB RAM (2024年モデル)、4GB RAM (2024年モデル) の間でGeekbench 5のスコアに誤差程度の違いしか見られなかったと報告されています。この結果は、Geekbench 5が主にCPUの性能を評価するベンチマークであるため、RAM容量の増加による性能差を十分に捉えきれていない可能性を示唆しています。

その他ベンチマーク

GPUの演算能力やグラフィックス処理能力を評価するOpenCLとVulkanのベンチマークにおいて、Gigazineのレポート3ではFire HD 8 (2024) 4GB RAMモデルがOpenCLで628、Vulkanで662のスコアを獲得したと報告されています。これらのスコアは、GPUがグラフィックレンダリングだけでなく、計算処理や最新ゲームのグラフィック処理においてどの程度の性能を発揮できるかの目安となります。

ウェブブラウザやウェブアプリケーションの性能を測定するGoogle Octaneベンチマークに関して、PC Watchのレビュー5では、テストされたデバイス(2GB、3GB、4GB RAMモデル)のメモリ容量に応じてスコアが比例して増加する傾向が見られたと報告されています。この結果は、Fire HD 8 (2024) において、より多くのRAMを搭載したモデルほどウェブブラウジングやウェブベースのアプリケーションの動作がより快適になることを示唆しています。

前モデルとの比較

PC Watch5とImpress Watch2の両方のレビューにおいて、Amazon Fire HD 8 (2024) は主にRAMの増強に重点を置いた2022年モデルのアップグレード版であると指摘されています。PC Watchはまた、2022年モデルではCPUが4コアから6コアへと大幅に進化していたことにも言及しています。この背景から、2024年モデルは主にマルチタスク性能と応答性の向上を目指していると考えられます。

PC Watchのベンチマーク結果5では、Google Octaneを除いて、2GB RAM (2022年モデル)、3GB RAM (2024年モデル)、4GB RAM (2024年モデル) の間でベンチマークスコアに大きな違いは見られませんでした。このことは、RAMの増加が実際の使用感、特にマルチタスクやアプリの切り替えにおいては顕著な改善をもたらす可能性がある一方で、CPU性能に大きく依存する一部の合成ベンチマークテストではその効果が十分に現れない場合があることを示唆しています。ただし、Google OctaneのスコアはRAM容量に応じて比例して向上しており、2024年モデルではウェブブラウジングの性能が向上していることが示唆されています。

これに対し、PCMagのレビュー4では、2024年モデル(3GB RAM)のGeekbench 5のスコアが2022年モデル(テストを完了できず)と比較して大幅に向上していると明確に述べられています。これはPC WatchのGeekbenchスコアに関する報告とは異なり、2024年モデルが前モデルに対してCPU関連のタスクにおいても性能的な優位性を持っていることを示しています。2022年モデルがテストを完了できなかったという事実は、2024年モデルの処理能力がより堅牢で信頼性が高いものになったことを示唆しています。

あるYouTubeレビュー1では、4GB RAMと6コアCPUを搭載したFire HD 8 (2024) が、4コアCPUと3GB RAMを搭載していた2020年のFire HD 8 Plusと比較されており、スペックが順当に向上していることが指摘されています。この比較は、より長期的な視点での性能の進化を示しており、2024年モデルが数年前のモデルと比較して処理能力とメモリの両方において進歩していることを示しています。

Impress Watchのレビュー2では、ベンチマークスコアに大きな差が見られなかったとしても、2GB RAM (2022年モデル) と4GB RAM (2024年モデル) の間で体感的な応答性に明確な違いがあると具体的に述べられています。このことは、合成ベンチマークだけでなく、実際の使用感を考慮することの重要性を示しています。2024年モデルのRAM増強は、日常的な使用においてよりスムーズで快適な操作感をもたらしていると考えられます。

実使用におけるパフォーマンス

アプリの起動と動作

PC Watchのレビュー5では、2024年モデルにおけるRAM増強による応答性の顕著な向上が繰り返し強調されています。特に、アプリの起動と終了の速度、アプリケーション間の切り替えの速さ、画面回転のスムーズさが向上していると述べられています。これは、RAM増強の主な利点が、日常的なタスクにおけるより流動的で効率的なユーザーエクスペリエンスにあることを示唆しています。タブレットはより機敏に動作し、アプリケーションの操作における遅延が減少していると考えられます。

Impress Watchのレビュー2でも、2GB RAM (2022年モデル) と4GB RAM (2024年モデル) の間でアプリの起動時間に明確な違いがあり、後者の方が著しく速いことが指摘されています。このことは、4GB RAMの構成がアプリケーションの読み込み性能において明確な優位性を提供し、より快適な操作感に繋がっていることを裏付けています。

マルチタスク性能

あるYouTubeレビュー1では、2024年モデルで選択可能になった3GBまたは4GBのRAMの増強により、アプリの切り替えがよりスムーズになり、複数のアプリを同時に起動した場合でも動作が重くなりにくくなると示唆されています。これは、2022年モデルの主なRAM容量が2GBであったことと比較して、2024年モデルがより多くのアプリをバックグラウンドで同時に快適に処理できるようになったことを意味します。

Roomieのレビュー6では、レビュー担当者がAmazon Musicで音楽を聴きながらKindleアプリで読書するという同時作業をスムーズに行えたことが好意的に報告されています。アプリを切り替えても音楽の再生が中断されることはなかったとのことです。これは、Fire HD 8 (2024) が比較的軽量な2つのアプリケーションを同時に実行するような日常的なシナリオにおいて、基本的なマルチタスク処理を円滑にこなせることを示す実例です。

PC Watchのレビュー5では、Fire HD 8 (2024) が画面分割によるマルチタスク機能に対応していることが言及されています。この機能により、2つのアプリを画面上に並べて同時に使用することができます。しかし、レビューでは、タブレットの8インチという画面サイズとHD解像度では、この機能が快適または生産的に使用するには限界がある可能性が指摘されています。機能としては提供されているものの、ディスプレイの物理的な制約により、実用的な分割画面の使用は限定的であると考えられます。

ゲーム性能

TikGadgetのレビュー7(おそらく2022年モデルに言及している可能性が高いですが、2024年モデルと同じヘキサコアCPUを搭載しています)では、Minecraftがスムーズに動作し、他のいくつかのゲーム(例えばKnives Out)もプレイ可能であったと報告されています。Amazon Appstoreで提供されているゲームはFireタブレット向けに最適化されていることが多いとも示唆されています。このことから、Fire HD 8 (2024) は、グラフィックや処理能力の要求が高すぎないゲームや、Fire OS環境向けに最適化されたゲームであれば、ある程度のレベルでプレイ可能であると考えられます。

しかし、PCMagのレビュー4では、Amazon Fire HD 8 (2024) は要求の厳しいゲームをプレイするために設計されたものではないと明確に述べられています。したがって、高性能なゲーミング体験を求めるユーザーは、より強力なプロセッサと専用グラフィック機能を備えた他のデバイスを検討するべきでしょう。Fire HD 8 (2024) は、よりカジュアルなゲームや、Amazon Appstoreで提供されている最適化されたゲームに適していると考えられます。

動画再生

あるYouTubeレビュー1では、Fire HD 8 (2024) のディスプレイ品質は一般的な使用には十分であり、特にNetflixでの高画質再生に対応していることが言及されています。ステレオスピーカーの搭載も、全体的な動画視聴体験を向上させる要因として挙げられています。このことは、このタブレットが日常的な動画視聴に適しており、ほとんどのユーザーにとって十分な画質と、モノラルスピーカーよりも優れた臨場感のあるオーディオ体験を提供することを示唆しています。

TikGadgetのレビュー7(こちらも同様のディスプレイ仕様を持つ2022年モデルに言及している可能性が高いです)でも、YouTubeやPrime Videoなどのプラットフォームでの動画再生がスムーズであり、良好な色再現性も報告されています。このことは、一般的なオンライン動画サービスからのストリーミング再生において、Fire HD 8 (2024) が安定した性能を発揮することを示しています。

Webブラウジング

TikGadgetのレビュー7(2022年モデル)では、画像が多数掲載されたウェブサイトを閲覧する際でも、デバイスでのウェブブラウジングは概してスムーズであると報告されています。このことは、Fire HD 8 (2024) が、同様または向上したスペック(特にRAMの増強)により、豊富なメディアコンテンツを含むウェブサイトの閲覧を含む一般的なウェブブラウジングタスクにおいて、満足のいく体験を提供できるはずであることを示唆しています。

一方、PC Watchのレビュー5では、ウェブブラウジングは機能するものの、画面解像度が1280×800ピクセル(189ppi)であるため、最新のスマートフォンのより高いピクセル密度に慣れているユーザーにとっては比較的低く感じられる可能性があり、ウェブページのテキストや細部の鮮明さに影響を与える可能性があると指摘されています。一般的なウェブ閲覧には十分ですが、細部まで鮮明な表示を重視するユーザーや、テキスト中心のウェブサイトを頻繁に閲覧するユーザーは、わずかな粗さを感じるかもしれません。

まとめ

Amazon Fire HD 8 (2024) は、RAMの増強によって応答性とマルチタスク性能が向上しており、日常的なタスクやメディア消費に適したタブレットです。ベンチマークテストの結果は、モデルやテストの種類によってばらつきが見られるものの、全体として前モデルからの着実な進化を示しています。特に、アプリの起動や切り替え、ウェブブラウジングにおける快適性が向上している点が評価できます。動画再生に関しても、高画質に対応しステレオスピーカーを搭載しているため、十分に楽しむことができるでしょう。ただし、要求の厳しいゲームのプレイには向いておらず、Amazon Appstoreのアプリのエコシステムには限りがある点には注意が必要です。総合的に見ると、Amazon Fire HD 8 (2024) は、手頃な価格で基本的なタブレット機能を求めるユーザーにとって、魅力的な選択肢となるでしょう。

主要ベンチマークスコア

ベンチマークソーススコア (3GB RAM)スコア (4GB RAM)備考
Geekbench 5 (シングルコア)Gigazine 3N/A195
Geekbench 5 (シングルコア)PCMag 4192N/A
Geekbench 5 (マルチコア)Gigazine 3N/A952
Geekbench 5 (マルチコア)PCMag 4901N/A
AnTuTu BenchmarkYouTube (S16)N/A~170,000YouTubeレビューでの概算スコア
AnTuTu BenchmarkImpress Watch 2(最高)(最高)4GB RAMモデルが最高スコア、他モデルは変動あり
Google OctanePC Watch 5(比例)(比例)メモリ容量(2GB, 3GB, 4GBモデル)に比例してスコアが向上
OpenCLGigazine 3N/A628
VulkanGigazine 3N/A662

引用文献

  1. Fire HD 8 (2024) を実機レビュー!旧型から買い替えるべき?進化点 …, 3月 29, 2025にアクセス、 https://www.youtube.com/watch?v=z2r056K-SZU
  2. Amazonの「Fire HD 8(第12世代)」はどのモデルを選ぶべき …, 3月 29, 2025にアクセス、 https://forest.watch.impress.co.jp/docs/bookwatch/tabletrecom/1631928.html
  3. 「Fire HD 8」2024年モデル&キッズプロ&キッズモデルで …, 3月 29, 2025にアクセス、 https://gigazine.net/news/20241021-amazon-fire-hd-8-benchmark/
  4. Amazon Fire HD 8 (2024) Review | PCMag, 3月 29, 2025にアクセス、 https://www.pcmag.com/reviews/amazon-fire-hd-8-2024
  5. 【山口真弘の電子書籍タッチアンドトライ】メモリ増量で …, 3月 29, 2025にアクセス、 https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/ebook/1632167.html
  6. 超アナログ派の私が「Fire HD 8」を触ったらタブレット派になった …, 3月 29, 2025にアクセス、 https://www.roomie.jp/2025/03/1434616/
  7. 12世代『NEW Fire HD 8』レビュー | Alexa搭載の実用的なAmazon …, 3月 29, 2025にアクセス、 https://www.tikgadget.jp/new-fire-hd-8-12th-review/
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