AMD EPYC™ 9965は、AMDの第5世代EPYCプロセッサである9005シリーズの最上位モデルです。Zen 5cアーキテクチャを採用し、192コア384スレッドという驚異的なコア数を誇ります。本稿では、AMD EPYC™ 9965のレビューをまとめ、その性能、長所・短所、競合製品との比較、そして潜在的な問題点について解説していきます。
概要
TechRadarによると、AMDは、8コアモデルから192コアモデルまで、9005シリーズの名称で呼ばれる、EPYC第5世代Turinと呼ばれる新しいサーバープロセッサを発表しました 1。AMD EPYC™ 9965は、Zen 5cコアアーキテクチャを採用し、192コア384スレッドを備えています。ベースCPU速度は2.25GHz、TDPは500W、L3キャッシュは384MBです 1。AMDは、Intelの同等製品と比較して2.7倍の性能を提供すると主張しています 1。前世代のGenoaプラットフォームと比較して、Turinは17%のIPC向上を実現し、12 DDR5-6400と128 PCIe 5.0チャネルをサポートしています 1。また、CXL 2.0も正式にサポートしています 1。
長所
AMD EPYC™ 9965は、多くの長所を持つサーバーCPUです。
- 圧倒的なコア数: 192コア384スレッドというコア数は、サーバーCPUの中でもトップクラスです 1。仮想化やクラウドワークロードに最適です 2。
- 高い処理性能: Intel Xeon Platinum 8592+と比較して、汎用処理で2.7倍、データベース処理で3.9倍、ビデオトランスコーディング処理で4倍の高速化を実現しています 3。HPC分野では最大3.9倍、AI推論処理では最大3.8倍の性能向上を達成しています 3。TechRadarの報告によると、EPYC™ 9965は、リアルタイムAI推論、計算流体力学、大規模データ分析、高解像度3Dレンダリングなど、幅広いアプリケーションで優れた性能を発揮します 2。
- 優れた電力効率: AmpereOne A192-32Xと比較して、高い性能を維持しながらも、電力効率に優れています 4。
- 高度な機能: 12チャネルDDR5メモリサポート、PCIe 5.0レーン、AMDのセキュアで機密性の高いコンピューティングなど、高度な機能を備えています 2。
- 小型・低消費電力: EPYC™ 9005シリーズは、競合製品と同等の性能を達成しながら、小型化と低消費電力化を実現しています 3。これにより、サーバーユニット数を最大87%削減し、消費電力を最大68%削減することが可能です 3。
短所
AMD EPYC™ 9965は、いくつかの短所も存在します。
- 128コア構成では、以前のような圧倒的な優位性はない: 128コア構成では、競合製品との性能差が縮まっている可能性があります 2。TechRadarは、AMDがハイエンド市場で以前のような絶対的なリーダーではなくなったと指摘しています 2。
- 価格: 最上位モデルということもあり、価格が高い可能性があります 1。
競合製品との比較
AMD EPYC™ 9965は、IntelやAmpereなどの競合製品と比較して、以下のような特徴があります。
Processor | Cores | Performance | Power Consumption | その他 |
---|---|---|---|---|
AMD EPYC™ 9965 | 192 | 汎用処理でIntel Xeon Platinum 8592+の2.7倍高速 3 <br> デュアル128コア構成でXeon 6980P Granite Rapidsサーバー (MRDIMM搭載) よりも40%高速 2 | Xeon 6980Pと同等の平均消費電力だが、ピーク時のCPU消費電力は低い 5 <br> AmpereOne A192-32Xよりも電力効率が高い 4 | 1ソケットあたり384スレッドのSMTを活用可能 4 <br> 小型・低消費電力 3 |
Intel Xeon 6980P | 64 | – | EPYC 9005シリーズと同等の平均消費電力だが、ピーク時のCPU消費電力は高い 5 | – |
AmpereOne A192-32X | 192 | EPYC 9965よりもNode.jsのコンパイル速度が遅い 4 | EPYC 9965よりも電力効率が低い 4 | – |
Phoronixのベンチマークによると、EPYC 9005シリーズは、Xeon 6980Pと比較して、平均消費電力は同等ですが、ピーク時のCPU消費電力は低くなっています 5。特にEPYC 9965は、Xeon 6980Pよりも電力効率が優れています 5。また、EPYC 9005プロセッサは、Xeon 6980Pよりも価格が安く、性能も優れています 5。
問題点と注意点
現時点では、AMD EPYC™ 9965に関する情報が限られているため、具体的な問題点や注意点は明らかになっていません。
まとめ
AMD EPYC™ 9965は、高いコア数と処理性能、優れた電力効率を備えた、サーバー向けCPUのフラッグシップモデルです。仮想化、クラウドワークロード、HPC、AI推論など、幅広い用途で高い性能を発揮することが期待されます。特に、大量のデータを処理する必要がある企業やクラウドプロバイダーにとって、魅力的な選択肢となるでしょう。
EPYC 9005シリーズは、競合製品と同等の性能を達成しながら、小型化と低消費電力化を実現している点が大きな強みです。これにより、サーバーの設置スペースや運用コストを削減することができます。
しかし、128コア構成では競合製品との性能差が縮まっている可能性があり 2、価格も高いため 1、導入を検討する際には注意が必要です。TechRadarの指摘 2 のように、AMDはハイエンド市場で以前のような絶対的なリーダーではなくなっており、競争が激化していることを認識しておく必要があります。
総合的に見ると、AMD EPYC™ 9965は、高い性能と電力効率、そして高度な機能を備えた、魅力的なサーバーCPUです。ただし、導入前に競合製品との比較やコストなどを慎重に検討することが重要です。
引用文献
1. Meet AMD’s new 192-core CPU monster; the EPYC 9965 is its most expensive processor … – TechRadar, 2月 8, 2025にアクセス、 https://www.techradar.com/pro/meet-amds-new-192-core-cpu-monster-the-epyc-9965-is-its-most-expensive-processor-ever-at-nearly-usd15-000
2. First AMD EPYC 9965 benchmarks are in; Turin server CPU sets flurry of new world records across wide range of software, but will that be enough to stop Xeon and Arm’s forthcoming onslaught? | TechRadar, 2月 8, 2025にアクセス、 https://www.techradar.com/pro/first-amd-epyc-9965-benchmarks-are-in-turin-server-cpu-sets-flurry-of-new-world-records-across-wide-range-of-software-but-will-that-be-enough-to-stop-xeon-and-arms-forthcoming-onslaught
3. AMDが第5世代EPYCを発表、最上位モデルは192コアでIntel製CPU …, 2月 8, 2025にアクセス、 https://gigazine.net/news/20241011-amd-5th-epyc-9005/
4. AMD EPYC 9965 “Turin Dense” Delivers Better Performance/Power …, 2月 8, 2025にアクセス、 https://www.phoronix.com/review/amd-epyc-9965-ampereone/2
5. AMD EPYC 9755 / 9575F / 9965 Benchmarks Show Dominating …, 2月 8, 2025にアクセス、 https://www.phoronix.com/review/amd-epyc-9965-9755-benchmarks/2