AMD Radeon PRO W7500 は、プロフェッショナルグラフィックス市場において予算重視のユーザーにとって魅力的な選択肢として位置づけられています。このレポートでは、主要なベンチマークテストの結果と、実際のアプリケーションにおける W7500 の性能を詳細に分析します。総合ベンチマークでは、その価格帯に見合った性能を示しており、特に電力効率と購入しやすい価格が際立っています。CAD および一部のビデオ編集のワークロードでは良好な結果を示しましたが、より高度な視覚化タスクやオフラインレンダリングにおいては、上位モデルや競合製品と比較して性能の限界が見られました。全体として、Radeon PRO W7500 は、限られた予算内で認定されたプロフェッショナル GPU を必要とするユーザー、特に旧世代のグラフィックスカードからのアップグレードを検討しているユーザーにとって、非常に有力な選択肢となるでしょう。
1. はじめに
1.1. AMD Radeon PRO W7000 シリーズの概要と W7500 の位置づけ
AMD Radeon PRO W7000 シリーズは、プロフェッショナルワークステーション向けに設計された最新のグラフィックスカードのラインナップであり、Radeon PRO W7500 はその中で最もエントリーレベルのモデルとして位置づけられています 1。このシリーズは、メディア&エンターテインメントやデザインビジュアライゼーションといった分野の要求の厳しいワークフローに対応するために設計されたハイエンドモデルである W7800 および W7900 とは異なり、よりコストパフォーマンスを重視するユーザーをターゲットとしています 1。
1.2. ターゲット市場と主な仕様
Radeon PRO W7500 の主なターゲット市場は、CAD (コンピュータ支援設計) や BIM (ビルディングインフォメーションモデリング) などの比較的負荷の低いワークロード、そしてエントリーレベルのビジュアライゼーションに関わるプロフェッショナルです 1。このグラフィックスカードの主な仕様としては、8GB の GDDR6 メモリ、最大消費電力 70W、そして最新のデジタルディスプレイ規格である DisplayPort 2.1 を 4 つ搭載している点が挙げられます 1。
特筆すべき点として、70W という低い消費電力により、Radeon PRO W7500 は PCIe スロットからの電力供給のみで動作することが可能です 2。これは、電力供給能力に制約のあるシステムや、小型フォームファクタのワークステーションにとって大きなメリットとなります。追加の電源ケーブルが不要になるため、設置が容易になり、より幅広いワークステーション構成に対応できると考えられます。さらに、Radeon PRO W7500 の魅力的な価格設定も、予算を重視するプロフェッショナルにとっては重要な検討要素となるでしょう 3。
2. 総合ベンチマーク分析
2.1. 3DMark パフォーマンス
3DMark は、主にゲーミンググラフィックスカードの性能を評価するために広く用いられている総合ベンチマークソフトウェアですが、一般的なグラフィカル処理能力を示す指標としても役立ちます 3。
Radeon PRO W7500 の PassMark G3D Mark スコアは 13196 でした 12。このスコアは、市場に存在する他の一般的なビデオカードと比較して、W7500 の相対的な性能を全体的に把握する上で役立ちます。また、このグラフィックスカードの全体的なランクは 157 位であり、これは数多くの GPU 製品の中で W7500 がどの程度の位置にあるのかを示しています 12。数千件もの PerformanceTest ベンチマーク結果に基づいて日々更新されるこのランキングは、カードの全体的なグラフィカル処理能力に関する広範な視点を提供します。
特定のテスト環境、具体的には AMD Ryzen 7 8700G プロセッサを搭載したシステムでのテストでは、Radeon PRO W7500 は 3DMark スコアとして 47885 (グラフィックスコアは 57648) を記録しました 13。PassMark G3D Mark のスコアとこの特定の 3DMark スコアとの間に大きな差が見られるのは、使用されたテストスイートの違いと、システム全体の構成がベンチマーク結果に与える影響を示唆しています。異なる 3DMark テストは GPU 性能のさまざまな側面を重視しており、Radeon PRO W7500 を Ryzen 7 8700G のような比較的新しい高性能 CPU と組み合わせることで、特定のシナリオにおいては GPU の潜在能力をより引き出すことができると考えられます。
3DMark に含まれる Port Royal テストは、グラフィックスカードのレイトレーシングハードウェアの性能を評価するために設計されていますが、あるレビューによると、Radeon PRO W7500 はこのテストにおいてテスト対象となった他のカードの中で最も低いスコアを示しました 3。この結果は、Radeon PRO W7500 がハードウェアレイトレーシング機能を備えているものの、より要求の厳しいレイトレーシングワークロードにおける性能は、上位モデルと比較して限定的である可能性を示唆しています。Radeon PRO W7500 の比較的少ないストリーミングプロセッサ数、テクスチャマッピングユニット数、そして低いメモリ帯域幅が、レイトレーシング性能に影響を与えていると考えられます。
表 1: 主要グラフィックスカードとの 3DMark PassMark G3D Mark 比較
グラフィックスカード | PassMark G3D Mark |
GeForce RTX 4090 | 38420 |
GeForce RTX 4080 | 34555 |
GeForce RTX 4070 Ti | 31747 |
Radeon RX 7900 XTX | 31052 |
GeForce RTX 4070 SUPER | 30055 |
GeForce RTX 3080 Ti | 27007 |
GeForce RTX 4070 | 26973 |
GeForce RTX 3090 | 26676 |
GeForce RTX 3080 | 25180 |
Radeon PRO W7500 | 13196 |
この表は、Radeon PRO W7500 の 3DMark 性能を、同じ情報源から得られた上位の高性能グラフィックスカードと比較して明確に示しています 12。これにより、読者は W7500 の相対的なグラフィカル処理能力をより理解しやすくなります。また、特定の 3DMark スコア(47885 グラフィックス)と、そのテストに使用されたシステム構成(AMD Ryzen 7 8700G)に関する情報 13 も、結果を正確に解釈するために重要です。
2.2. SPECviewperf 2020 パフォーマンス
SPECviewperf 2020 は、OpenGL および DirectX アプリケーションプログラミングインターフェースを利用するプロフェッショナルアプリケーションにおけるグラフィックス性能を測定するための、世界的に認められた業界標準のベンチマークです 1。
Radeon PRO W7500 の SPECviewperf 2020 におけるテスト結果は、様々なアプリケーションのワークロードをシミュレートしたビューセットごとに以下の通りです 1:
- 3dsmax-07: 47.42
- Catia-06: 47.24
- Creo-03: 70.83
- Energy-03: 16.44
- Maya-06: N/A
- Medical-03: 19.84
- Snx-04: 158.42
- Solidworks-05: 68.82
これらの結果から、異なるビューセット間での性能差は、Radeon PRO W7500 の強みが特定のプロフェッショナルアプリケーションのタイプに偏っている可能性を示唆しています。例えば、Siemens NX のワークロードを代表する Snx-04 ビューセットでは比較的高いスコアを示しているのに対し、エネルギー関連の Energy-03 や医用画像の Medical-03 ビューセットではスコアが低くなっています。これは、様々な CAD/BIM およびビジュアライゼーションソフトウェアが、GPU アーキテクチャに対して異なる要求を持つためと考えられます。Radeon PRO W7500 のアーキテクチャは、Siemens NX で一般的に行われる種類の操作に特に適しているのかもしれません。また、ある情報源 1 で Maya-06 のスコアが「N/A」(利用不可)となっている一方で、別の情報源 1 でより上位モデルである W7600 のスコアが 164.39 と報告されているのは、テストに使用されたドライバーのバージョンやテスト環境のばらつき、あるいはその特定のシナリオにおける W7500 のテストが十分に行われていない可能性を示唆しています。
全体として、Radeon PRO W7500 は SPECviewperf 2020 において、その価格帯のグラフィックスカードとしては堅実な性能を示しており、3D モデリング、エンジニアリング、建築、医用画像処理、製品設計などの要求の厳しいタスクにも十分に対応できる可能性が示唆されています 1。ハイエンドのグラフィックスカードと比較すると性能は劣りますが、Radeon PRO W7500 は性能とコストのバランスが取れており、多くのプロフェッショナルワークフローにとって現実的な選択肢となるでしょう。これらのベンチマーク結果は、ハイエンドカードよりも低い性能ではあるものの、Radeon PRO W7500 の意図された価格帯と電力消費の範囲内で、一般的なプロフェッショナルタスクに対して許容できる性能レベルを提供していることを示しています。
2.3. Geekbench パフォーマンス
Geekbench は、様々な計算ワークロードを実行して GPU の計算性能を評価するために使用されるクロスプラットフォームのベンチマークツールです 14。
提供された情報源の中には、Radeon PRO W7500 の具体的な Geekbench スコアに関する記述は見当たりませんでした。Geekbench のデータがないため、そのスコアが入手可能な他の GPU 製品と比較して、W7500 の一般的な計算能力を分析することが制限されます 14。Geekbench は、純粋なグラフィックスレンダリング以外のタスク、例えば AI (人工知能) や機械学習関連のワークロードなどにも役立つ、GPU の計算性能を評価するための標準化された指標を提供します。このデータの欠如は、Radeon PRO W7500 の全体的なベンチマーク性能を評価する上で、情報が不足している部分と言えるでしょう。
ただし、Geekbench のウェブサイトには、ハイエンドの Radeon PRO モデルを含む、幅広い GPU の OpenCL ベンチマーク結果が掲載されていることが言及されています 14。直接的なデータは提供されていませんが、同じシリーズの W7600 や、同じ価格帯または性能セグメントに属する旧世代の Radeon Pro グラフィックスカードの Geekbench OpenCL スコアを調査することで、Radeon PRO W7500 の潜在的な計算性能に関する間接的な比較ポイントが得られる可能性があります。
3. アプリケーションパフォーマンス分析
3.1. CAD および BIM ワークロード
CAD ソフトウェアにおけるグラフィックス性能は、特にモデリングなどの比較的単純なタスクにおいては CPU の処理能力がボトルネックとなることが多く、その性能は使用するソフトウェアやモデルの複雑さによって大きく変動します 2。
Radeon PRO W7500 は Solidworks において良好な性能を示し、13,000 個ものコンポーネントを含む大規模なモデルを 4K 解像度で表示した際にも、RealView(よりリアルな照明とマテリアルを適用する機能)を有効にした状態でスムーズな 29 フレーム/秒 (FPS) を達成しました 2。これは、Radeon PRO W7500 が高解像度で複雑な CAD モデルを十分に処理できる能力を持ち、多くの製品設計ワークフローにおいて満足のいくユーザーエクスペリエンスを提供できることを示しています。現実的なレンダリング機能を有効にした大規模なモデルで、推奨される最低限のフレームレートである 24 FPS を上回るスムーズな動作を実現していることは、一般的な CAD タスクに必要なグラフィカル処理能力が十分にあることの証左と言えるでしょう。
また、Radeon PRO W7500 はハードウェアレイトレーシング機能を内蔵しているという大きな利点を持っており、これにより、CAD およびエントリーレベルのビジュアライゼーションワークフローにおいて、将来を見据えた選択肢となっています 2。この機能は、2021 年夏に発売された NVIDIA T1000 などの競合製品と比較して、Radeon PRO W7500 を有利な立場に置きます 2。ハードウェアレイトレーシングは、CAD における現実的な照明効果やレンダリング結果を実現するために、ますます重要な役割を果たしており、Radeon PRO W7500 はこの点で競合製品に対して一日の長があると言えます。
しかしながら、Radeon PRO W7500 (および W7600、W6600) は、レイトレーシングを有効にした状態で 4K 解像度で Unreal Engine を使用して Audi のモデルを表示するなど、グラフィックスメモリを大量に消費するシナリオにおいては性能が不足する場合があります。このような状況では、非常に低いフレームレートしか得られず、実用的な作業を行うことが困難になることが報告されています 2。8GB の GDDR6 メモリは、特に高解像度でレイトレーシングを有効にした非常に要求の厳しい視覚化タスクにおいてはボトルネックとなり、ユーザーエクスペリエンスやアプリケーションの応答性に悪影響を与える可能性があります。最新のビジュアライゼーションツールや、高解像度のテクスチャと複雑なレイトレーシング効果を備えたモデルは、8GB を超える VRAM を容易に消費してしまうため、このような結果になったと考えられます。
興味深いことに、あるレビューでは、Radeon PRO W7500 が SPECviewperf 2020 の snx-03 (Siemens’ NX 8.0 CAD) テストにおいて、NVIDIA GeForce RTX 4090 を上回るという結果を示しました 3。この特定の CAD ベンチマークにおけるこの驚くべき結果は、特定の CAD ソフトウェアにおける Radeon PRO W7500 の潜在的なドライバーの最適化や、アーキテクチャ上の利点を浮き彫りにしています。NVIDIA GeForce RTX 4090 は、全体的にはるかに強力なグラフィックスカードですが、この個別の結果は、Radeon PRO W7500 が Siemens NX 8.0 における特定の種類のワークロードの処理において、特筆すべき強みを持っている可能性を示唆しています。
3.2. ビデオ編集ワークフロー
コンテンツ作成に関するレビューに基づいて、DaVinci Resolve および Adobe Premiere Pro といった主要なビデオ編集ソフトウェアにおける Radeon PRO W7500 のパフォーマンスについて考察します 15。
DaVinci Resolve において、Radeon PRO W7500 は GPU Effects の処理能力および全体的なパフォーマンスの両面で、旧世代の NVIDIA T1000 を一般的に大幅に上回る結果を示しました。しかし、より高性能な NVIDIA RTX A2000 と比較すると、わずかに性能が劣るという結果になりました 15。この結果から、Radeon PRO W7500 は DaVinci Resolve 内でのビデオ編集タスクにおいて、旧世代の T1000 から大幅な性能向上を提供しており、既存のシステムからのアップグレードを検討しているユーザーにとって魅力的な選択肢となることが示唆されます。Radeon PRO W7500 に搭載された新しいアーキテクチャと最新の機能が、このプロフェッショナル向けのビデオ編集ソフトウェアにおいて明確な性能上の利点をもたらしていると考えられます。
Adobe Premiere Pro においても、Radeon PRO W7500 は NVIDIA T1000 を上回る性能を示しましたが、一般的には RTX A2000 に性能面で劣る結果となりました。ただし、一般的なビデオコーデックである H.264 および HEVC のエンコード/デコード処理においては、Radeon PRO W7500 は非常に強力なパフォーマンスを発揮しました 15。この事実は、Radeon PRO W7500 がこれらの一般的なビデオコーデックの処理に優れていることを示しており、これらのフォーマットを頻繁に使用するユーザーにとっては大きなメリットとなります。一般的に、AMD の GPU はハードウェアアクセラレーションによるビデオエンコードおよびデコードのタスクにおいて、高いパフォーマンスを発揮する傾向があります。
レビューの中では、Radeon PRO W7500 は比較的軽量なビデオ編集プロジェクト、具体的には CPU の処理に依存するコーデックや低ビットレートのメディアを使用する編集作業に適しており、OpenFX やノイズリダクションといった GPU の処理能力を大量に必要とするエフェクトを多用するワークフローには、必ずしも理想的ではない可能性があるという推奨事項が示されています 15。これは、ビデオ編集における Radeon PRO W7500 の能力は多くのユーザーにとって十分であるものの、GPU の処理能力とグラフィックスメモリを大量に必要とする、非常に要求の厳しいタスクにおいては性能が制限される可能性があることを示唆しています。Radeon PRO W7500 の 8GB の VRAM と全体的な処理能力は、多数のエフェクトや高解像度のフッテージを含む複雑なビデオ編集プロジェクトにおいては、ボトルネックとなる可能性があると考えられます。
3.3. ゲーミングパフォーマンス(raw パワーの指標として)
Radeon PRO W7500 は本来ワークステーション向けのグラフィックスカードですが、ゲーミングベンチマークの結果は、その基本的な計算能力、いわゆる raw パワーに関する洞察を提供することができます 3。
Radeon PRO W7500 は、F1 22 および Total War: Three Kingdoms という 2 つのゲームタイトルにおいて、最大の設定で 1080p の解像度でプレイ可能なフレームレートを達成しました。さらに、F1 22 においては、AMD の FidelityFX Super Resolution (FSR) を有効にすることで、1440p の解像度でも快適にプレイできるレベルの性能を示しました 3。この結果は、Radeon PRO W7500 が適度なグラフィック設定と解像度であれば、カジュアルなゲーミングを楽しむのに十分な raw パワーを備えていることを示唆しています。これは、ワークステーションを時折ゲームにも使用したいと考えているユーザーにとっては、考慮すべき点となるかもしれません。最新のゲームタイトルでプレイ可能なフレームレートを達成していることは、Radeon PRO W7500 が一定レベル以上の基本的なグラフィカル処理能力を有していることの証と言えるでしょう。
4. 競合製品との比較
ここでは、AMD Radeon PRO W7500 と、その主な競合製品として特定されている NVIDIA RTX A2000 および T1000 を直接比較し、それぞれの特徴を明らかにします 2。
Radeon PRO W7500 は、DaVinci Resolve や Premiere Pro を含むほとんどのコンテンツ作成に関するベンチマークテストにおいて、旧世代の NVIDIA T1000 を一般的に上回る性能を示しており、より優れたコストパフォーマンスを提供すると言えます 15。この結果は、Radeon PRO W7500 が T1000 からの明らかなアップグレードとなり、同様の価格帯でありながら、より優れた性能と最新の機能を提供していることを示唆しています 11。NVIDIA T1000 は旧世代の Turing アーキテクチャに基づいていますが、Radeon PRO W7500 はより新しい AMD RDNA 3 アーキテクチャの恩恵を受けているため、このような性能差が生じたと考えられます。
一方、NVIDIA RTX A2000 は、特に GPU の処理能力をより多く必要とするタスクや、Blender を用いたオフラインレンダリングなどの作業においては、Radeon PRO W7500 よりも全体的に優れた性能を発揮することが多いようです 15。RTX A2000 は、多くの場合 Radeon PRO W7500 よりも高価ですが、より要求の厳しいワークフローを持つプロフェッショナルに対して、より高いレベルの性能を提供します 10。RTX A2000 は一般的に、より多くの CUDA コア、より高いメモリ帯域幅(特に 12GB バージョン)、そして一部のアプリケーションにおいてはより優れたレイトレーシング性能を備えているため、このような結果になるのは自然と言えるでしょう。
ただし、Radeon PRO W7500 は、両方の NVIDIA 製グラフィックスカードと比較して、H.264 および HEVC コーデックのエンコード/デコード処理において優位性を示しています 15。
表 2: 主要ビデオ編集ソフトウェアにおけるベンチマーク比較: W7500 vs. RTX A2000 vs. T1000
ベンチマーク項目 | Radeon PRO W7500 | NVIDIA RTX A2000 | NVIDIA T1000 |
DaVinci Resolve GPU Effects | 45 | 58 | 32.7 |
DaVinci Resolve Extended Overall | 1688 | 1868 | 1343.3 |
Premiere Pro GPU Effects | 18.73 | 25.9 | 14.67 |
Premiere Pro Extended Overall | 446.33 | 533.67 | 401.67 |
Premiere Pro H.264/HEVC Geomean | 76.7 | 71.83 | 59.8 |
この表は、主要なプロフェッショナルビデオ編集アプリケーションにおける Radeon PRO W7500 とその主な競合製品との性能を並べて比較したものです 15。これにより、読者はこれらのグラフィックスカードの相対的な性能を迅速に評価することができます。
5. 消費電力、熱特性、価格
Radeon PRO W7500 の消費電力は非常に低い 70W であり、これは PCIe スロットからの電力供給のみで動作できるレベルです 1。この低い消費電力は、エネルギー効率の面で大きな利点であり、追加の電源コネクタを必要としないため、幅広いシステムとの互換性も高まります。消費電力が低いほど、システムの運用コストを抑えることができ、発熱量も減少します。
Radeon PRO W7500 の熱設計はシングルスロットでシングルファン構成となっており、標準的なデスクトップワークステーションに容易に搭載できるよう設計されています 1。シングルスロット設計は、特にコンパクトなワークステーションや、拡張スロットの数が限られているシステムにおいて、その互換性を高める上で重要な要素となります。このフォームファクタにより、様々なワークステーション構成への組み込みが容易になります。
複数のレビューによると、Radeon PRO W7500 はフルロード時でも比較的静かで、発熱も少ない状態で動作することが報告されています 18。静音性はプロフェッショナルな作業環境において重要な要素であり、作業への集中を妨げるノイズを最小限に抑えることができます。効果的な熱管理により、グラフィックスカードは過度な騒音を発生させることなく、安定した性能を維持できると考えられます。
Radeon PRO W7500 の市場における販売価格は、一般的に約 429 ドルとなっています 3。この競争力のある価格設定により、Radeon PRO W7500 は、予算に制約のあるプロフェッショナルが、認定されたワークステーション GPU を求める場合に非常に魅力的な選択肢となります。多くの場合より高価な NVIDIA RTX A2000 と比較して、Radeon PRO W7500 はプロフェッショナル GPU 市場へのより手頃な価格での参入ポイントを提供します。
6. 結論と推奨事項
AMD Radeon PRO W7500 の主な性能特性をまとめると、その電力効率の高さ、購入しやすい価格、そして H.264/HEVC ビデオ編集や特定の CAD ワークロードにおける良好なパフォーマンスが挙げられます。
一方で、ハイエンドのグラフィックスカードと比較した場合の raw パワーの限界や、非常に要求の厳しい視覚化タスクにおけるグラフィックスメモリの潜在的なボトルネックについても考慮する必要があります。
これらの分析を踏まえ、Radeon PRO W7500 の購入を検討している潜在的なユーザーに対して、以下の推奨事項を提示します。
- Radeon PRO W7500 は、CAD/BIM、エントリーレベルの 3D モデリング、そして一般的なコーデックを使用するビデオ編集タスクなど、比較的軽度から中程度のワークロードを扱うプロフェッショナルにとって適しています。
- 特に、電力効率、静音動作、そしてコンパクトなシングルスロットのフォームファクタを重視するユーザーにとって、Radeon PRO W7500 は優れた選択肢となるでしょう。
- 非常に要求の厳しい視覚化、高度なレンダリング、または GPU を多用するビデオ編集ワークフローを必要とするプロフェッショナルは、NVIDIA RTX A2000 や、より高性能な Radeon PRO の上位モデルなどの、より強力なグラフィックスカードを検討する必要があるかもしれません。
- 特に旧世代のグラフィックスカード(例えば NVIDIA T1000 など)からのアップグレードを検討している場合、Radeon PRO W7500 は手頃な価格で最新の認定プロフェッショナル GPU を提供する、非常に強力な価値提案となるでしょう。
引用文献
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