概要
AMD Radeon PRO W7900は、プロフェッショナル市場向けに設計された高性能ワークステーションGPUであり、最新のRDNA 3アーキテクチャを採用しています。その心臓部にはNavi 31 GPUが搭載されており、96基のCompute Unit、6144基のStream Processor、192基のAI Accelerator、そして96基のRay Acceleratorを備えています 1。このRDNA 3アーキテクチャの採用により、前世代のGPUと比較してレイトレーシング性能が大幅に向上しています 3。GPUは、5nmプロセスで製造されたGraphics Compute Die (GCD) と、6nmプロセスで製造された6つのMemory Cache Die (MCD) を組み合わせたチップレット設計を採用しており、これにより高い性能と電力効率の両立が図られています 4。W7900のブーストクロック速度は2,495 MHzに達し 1、FP32の理論性能は61.3 TFLOPSを誇ります 1。
メモリに関しては、48GBのGDDR6 ECCメモリを搭載し、384-bitのインターフェースを通じて864 GB/sという広大なメモリ帯域幅を実現しています 1。さらに、96MBのAMD Infinity Cacheを搭載することで、メモリへのアクセス効率を高めています 2。ディスプレイ出力は、3基のDisplayPort 2.1と1基のMini DisplayPort 2.1を備えており、最大で12Kの解像度をサポートします 1。また、最新のAV1コーデックのエンコード/デコード機能もサポートしており 2、DirectX 12 Ultimate、OpenGL 4.6、OpenCL 2.1、Vulkan 1.3といった主要なグラフィックスAPIにも対応しています 6。物理的な形状としては、初期モデルは冷却性能を重視したトリプルスロットのデザインでしたが 1、後にデュアルスロットのデザインも登場しています 10。消費電力はTDP 295Wであり 2、電源供給には8ピンのPCIeコネクタが2つ必要で、推奨される電源ユニットの容量は750Wです 5。
これらの仕様から、AMDはプロフェッショナル市場に向けて、最新技術を投入した高性能なGPUを提供していることがわかります。特に、大容量メモリと最新のディスプレイ規格への対応は、プロフェッショナルなワークフローにおいて重要な要素となります。デュアルスロット版の登場は、より多くのGPUを搭載したいユーザーにとって、システム構築の自由度を高めるという利点をもたらします。
Radeon PRO W7900は、DCC (デジタルコンテンツ制作)、CAD、動画編集、レンダリング、そしてAIワークステーションといった、非常に負荷の高いプロフェッショナルな用途をターゲットとしています 4。特に、高解像度かつ複雑なプロジェクトや、リアルタイムでのレンダリング、高度な3D環境の操作、複数のアプリケーションを同時に実行するようなマルチタスク処理において、その性能が最大限に発揮されるように設計されています 3。また、ECC (Error-Correcting Code) メモリを搭載している点は、データの破損を防ぎ、システムダウンによる作業中断を極力避ける必要があるプロフェッショナルな環境において、高い信頼性を提供する重要な要素となります 1。
一般的なベンチマーク結果
グラフィックカードの総合的な性能を評価する指標の一つであるPassMark G3D Markにおいて、videocardbenchmark.netのデータによると、Radeon PRO W7900は比較的高い性能を持つグラフィックカードとしてランク付けされており、全体で15位となっています 19。しかしながら、具体的なG3D Markの数値や、価格に対する性能比を示すG3DMark/Priceの値は現時点では提供されていません。そのため、W7900の総合的な性能やコストパフォーマンスをより詳細に評価するためには、他のベンチマーク結果を参照する必要があります。
前世代のAMDのワークステーションGPUであるW6800と比較すると、Radeon PRO W7900は大幅な性能向上を達成しています。特に、Unreal Engineを用いたテストでは、フレームレートが63%向上し、レイトレーシングを有効にした状態では68%もの向上を見せています 3。Autodesk VRED Professionalにおける性能向上はさらに顕著で、68%から77%の範囲でパフォーマンスが向上しています。また、Chaos Vantageを用いたレンダリング時間のテストでは、W7900はW6800と比較してほぼ半分の時間で処理を完了しており、大幅な高速化が実現されています 3。さらに、FP32の演算性能においては、W7900はW6800の3倍近くの性能を発揮すると報告されています 2。これらの結果は、Radeon PRO W7900が前世代から大幅な進化を遂げており、特にリアルタイム3Dグラフィックスやレイトレーシングを活用するワークフローにおいて、その恩恵を大きく受けられることを示唆しています。旧世代のAMD製ワークステーションGPUを使用しているユーザーにとって、W7900は非常に魅力的なアップグレードの選択肢となるでしょう。
Radeon PRO W7900の初期の推奨価格は3,999ドルでした 6。その後、2024年にはデュアルスロット版が3,499ドルで発売され、初期価格から500ドルの値下げが実施されています 10。一方、オーストラリアでの発売時の価格は約6,000豪ドル程度でした 2。デュアルスロット版の価格引き下げは、Radeon PRO W7900のコストパフォーマンスを高め、より多くのプロフェッショナルユーザーにとって手の届きやすい選択肢となる可能性があります。ただし、価格は地域や販売チャネルによって異なる場合があるため、購入を検討する際には最新の価格情報を確認することが重要です。
プロフェッショナルアプリケーションのベンチマーク
CAD
CAD (Computer-Aided Design) ソフトウェアの性能を測る業界標準のベンチマークの一つであるSPECviewperf 2020において、AMD Radeon PRO W7900のgeometric meanスコアは、Nvidia RTX 6000 Ada Generationと比較して8%低いという結果が出ています 7。しかしながら、AMDはこの結果に対し、Radeon PRO W7900の推奨発売価格が3,999ドルであるのに対し、RTX 6000の6,799ドルと比較して大幅に低いことから、価格性能比においてはW7900の方が優れていると主張しています 7。また、旧世代のNvidia RTX A6000と比較すると、W7900はSPECviewperf 2020のgeometric meanスコアで39%高い性能を示しています 7。これらの情報は、CADアプリケーションにおける絶対的な性能ではRTX 6000 Adaにわずかに及ばないものの、より低い価格で高い性能を発揮するW7900が、コストパフォーマンスを重視するユーザーにとって魅力的な選択肢となることを示唆しています。特に、旧世代のハイエンドGPUからのアップグレードを検討しているユーザーにとっては、W7900は大きな性能向上が期待できる製品と言えるでしょう。
具体的なCADアプリケーションにおける性能を見てみると、AMDが公開した社内ベンチマークの結果では、Autodesk MayaにおいてRadeon PRO W7900はNvidia RTX 6000 Adaと比較して、価格性能比でほぼ同等の結果を示しています 7。一方、Solidworks Visualize 2023との互換性に問題があったため、新しいGPUでのテストは実施できなかったという報告があります 2。しかしながら、Solidworks 2024で非常に複雑なテレスコープモデルを4K解像度でRealViewを有効にして表示した場合、7.6GBのVRAMを消費したというデータがあります 20。これは、大規模なCADモデルを扱う際には、大容量のVRAMが非常に重要であることを示しています。Radeon PRO W7900は48GBのVRAMを搭載しているため、このような高負荷なCADワークフローにおいても、安定したパフォーマンスを発揮することが期待されます。ソフトウェアとの互換性については、使用するアプリケーションの最新情報を確認することが重要です。
動画編集
動画編集ソフトウェアのベンチマーク結果を見ると、DaVinci Resolveにおいては、AMD Radeon PRO W7900は標準的な総合スコアとして2847を記録しています 15。内訳としては、4Kメディアの処理性能を示す4K Media Scoreが179、GPUによるエフェクト処理性能を示すGPU Effects Scoreが173、そしてFusionの性能を示すFusion Scoreが502となっています 15。DaVinci Resolveのエクスポート時間を見ると、特に一般的なコーデックであるH.264やHEVCを用いた場合において、W7900は競合製品を上回る性能を発揮しています 16。これは、多くの動画編集者が日常的に使用するコーデックであるため、W7900が実用的な動画編集作業において高いパフォーマンスを提供できることを示唆しています。
Adobe Premiere Proのベンチマーク結果としては、PugetBenchを用いたテストで、Extended Overall Scoreが567、Standard Overall Scoreが891というスコアが得られています 15。Premiere Proにおいても、DaVinci Resolveと同様に、H.264/HEVCコーデックを使用した場合にW7900は優れた性能を発揮することが報告されています 12。また、RAWコーデックを用いた編集作業においても、W7900は競争力のあるパフォーマンスを示しており 16、幅広い種類の動画素材を扱う動画編集者にとって、W7900は有力な選択肢の一つとなるでしょう。これらの結果から、AMD Radeon PRO W7900は、DaVinci ResolveやAdobe Premiere Proといった主要な動画編集ソフトウェアにおいて、安定した高いパフォーマンスを発揮できることがわかります。
レンダリング
3DレンダリングにおけるAMD Radeon PRO W7900の性能を見ていきましょう。Blenderベンチマークの結果では、Monsterシーンで1分あたり1095.48サンプル、Junkshopシーンで1分あたり969.55サンプル、Classroomシーンで1分あたり865.63サンプルという結果が得られています 15。これらの数値は、W7900がBlenderのような主要なレンダリングソフトウェアにおいて、非常に高いレンダリング速度を実現できることを示しています。ただし、シーンによってサンプルレートに違いが見られることから、W7900のアーキテクチャ特性とレンダリングアルゴリズムの相性について、さらに詳細な分析を行うことで、より深い理解が得られる可能性があります。
一方、Redshiftにおいては、AMD GPUのサポートが比較的最近追加されたばかりであるため、現時点ではまだ最適化の余地があることが示唆されています 16。今後のソフトウェアアップデートによって、W7900のRedshiftにおける性能がさらに向上することが期待されます。Unreal Engineを用いたテストでは、前世代のW6800と比較して大幅なフレームレートの向上が確認されており、その向上率は63%から68%に達しています 3。特に、建築ビジュアライゼーションなどの分野で利用されるChaos Vantageを用いたレンダリング時間のテストでは、W7900はW6800と比較してほぼ半分の時間で処理を完了しており 3、リアルタイムレンダリング性能が大幅に向上していることがわかります。
レイトレーシング性能に関しては、RDNA 3アーキテクチャの採用により、前世代と比較して性能が向上していることは間違いありません 3。Unreal Engineを用いたテストでも、レイトレーシングを有効にした場合にフレームレートがさらに向上する傾向が見られます 3。しかしながら、Nvidia RTX 6000 Ada Generationと比較すると、レイトレーシングを有効にした状態のUnreal Engineでは、W7900は大幅に遅れを取るという結果が出ています 3。これは、現時点ではNvidiaのハイエンドGPUの方が、レイトレーシング処理においてはより高いパフォーマンスを発揮できることを示唆しています。レイトレーシングを多用するワークフローにおいては、この点が考慮されるべきでしょう。
競合製品との性能比較
AMD Radeon PRO W7900と競合する製品として、特に注目されるのはNvidia RTX 6000 Ada Generationです。性能を比較すると、SPECviewperf 2020のgeometric meanスコアはRTX 6000 Adaの方が8%高いという結果が出ていますが 7、別のテストでは54%高いという報告もあります 21。Unreal Engineでレイトレーシングを有効にした状態では、RTX 6000 AdaはW7900の2倍以上のフレームレートを記録しています 3。FP32の理論性能を見ると、RTX 6000 Adaが91 TFLOPSであるのに対し、W7900は61.3 TFLOPSとなっています 11。
価格を比較すると、Radeon PRO W7900の初期価格は3,999ドルでしたが 3、デュアルスロット版は3,499ドルで発売されています 10。一方、Nvidia RTX 6000 Ada Generationの初期価格は6,799ドルと、W7900よりも大幅に高価です 3。消費電力に関しては、平均消費電力はW7900が189W、RTX 6000 Adaが191Wとほぼ同程度ですが 21、ピーク時の消費電力はRTX 6000 Adaの方が高く、303Wであるのに対し、W7900は249Wとなっています 21。
これらの比較から、Nvidia RTX 6000 Ada Generationは特にレイトレーシング性能においてAMD Radeon PRO W7900を大きく上回るものの、価格が非常に高いことがわかります。一方、W7900は絶対的な性能ではRTX 6000 Adaに及ばない場合があるものの、より低い価格で高いコストパフォーマンスを提供していると言えるでしょう。平均消費電力がほぼ同程度であるため、電力効率の面でもW7900は魅力的な選択肢となります。
Key Table 1: 主要ワークステーションGPUの比較 (性能と価格)
GPU | FP32性能 (TFLOPS) | メモリ容量 (GB) | メモリ帯域幅 (GB/s) | 初期価格 (USD) | SPECviewperf 2020 (対RTX 6000 Ada) | Unreal Engine (RT有効時, 対W7900) | 平均消費電力 (W) |
AMD Radeon PRO W7900 | 61.3 | 48 | 864 | 3999 | -8% | 100% | 189 |
AMD Radeon PRO W7900 (DS) | 61.3 | 48 | 864 | 3499 | – | – | 295 |
Nvidia RTX 6000 Ada | 91 | 48 | 960 | 6799 | +8% | +100%以上 | 191 |
Nvidia RTX A6000 | – | 48 | – | 4649 | -39% | – | – |
旧世代のNvidia GPUであるRTX A6000と比較すると、Radeon PRO W7900はSPECviewperf 2020のgeometric meanスコアで39%高い性能を示しています 7。AMDは、価格性能比においてもW7900の方が優れていると主張しています 7。これは、W7900が旧世代のNvidiaハイエンドGPUと比較しても性能が向上しており、これらのGPUからのアップグレードを検討しているユーザーにとって、W7900が有力な候補となることを示唆しています。
性能対価格の分析では、AMDはRadeon PRO W7900がNvidia RTX 6000 Adaの約75%の性能を半分の価格で提供できると主張しています 3。デュアルスロット版においては、RTX 6000 Adaと比較して最大52%優れた性能/ドルを実現するとも述べています 11。さらに、Llama3 70 billion Q4 LLM推論においては、RTX 6000 Adaと比較して38%優れた性能/ドルであるとされています 11。これらの主張は、Radeon PRO W7900の最大の強みが、その優れたコストパフォーマンスにあることを示唆しています。絶対的な性能を最優先とする一部のユーザーを除けば、多くのプロフェッショナルユーザーにとって、W7900は非常に魅力的な選択肢となるでしょう。
性能側面別の詳細データ
レンダリング速度
Blenderベンチマークのシーンごとの結果を詳細に見ると、Monsterシーンでのサンプルレートが最も高く、次いでJunkshop、そしてClassroomとなっています 15。この違いは、それぞれのシーンの複雑さやGPUへの負荷の違いによるものと考えられます。Monsterシーンは比較的単純なオブジェクトで構成されているのに対し、Classroomシーンはより多くの複雑なオブジェクトやテクスチャを含んでいる可能性があります。このような分析を通じて、Radeon PRO W7900が得意とするレンダリング処理の特性や、特定の種類のシーンにおけるパフォーマンスの傾向を把握することができます。
また、Chaos Vantageを用いたテストでは、Radeon PRO W7900は前世代のW6800と比較してレンダリング時間がほぼ半減しています 3。Chaos Vantageは、建築ビジュアライゼーションなどの分野で広く用いられるリアルタイムレンダリングソフトウェアであり、この結果はW7900がこれらの分野のプロフェッショナルにとって非常に有効なツールとなる可能性を示唆しています。リアルタイムでの高速なレンダリング能力は、設計プロセスの効率化や、よりインタラクティブなプレゼンテーションの実現に貢献します。
メモリ帯域幅
AMD Radeon PRO W7900は、48GBの大容量GDDR6 ECCメモリと384-bitのメモリインターフェースにより、864 GB/sという非常に広いメモリ帯域幅を実現しています 1。この広大なメモリ帯域幅は、高解像度のテクスチャや非常に複雑な3Dシーンを扱うような、メモリ負荷の高いプロフェッショナルアプリケーションにおいて、パフォーマンスのボトルネックを解消し、全体的な処理速度の向上に大きく貢献します 3。
ただし、OpenCLを用いたメモリ帯域幅テストにおいては、Nvidia RTX 6000 Adaの方が高いスループットを示す場合があるという指摘もあります 22。これは、GPUのアーキテクチャやドライバの最適化の違いによるものと考えられ、特定の環境下では競合製品の方がより効率的なメモリ管理を行っている可能性を示唆しています。
競合製品であるNvidia RTX 6000 Adaのメモリ帯域幅は960 GB/sであり 23、Radeon PRO W7900の864 GB/sと比較するとわずかに高い数値となっています。数値上の差は小さいものの、極めてメモリ帯域幅を必要とする特定のワークロードにおいては、この差がパフォーマンスに影響を与える可能性も考えられます。しかしながら、W7900のメモリ帯域幅も依然として非常に高い水準にあり、ほとんどのプロフェッショナルアプリケーションにおいて十分な性能を発揮できると言えるでしょう。
消費電力
AMD Radeon PRO W7900の最大TDP (Thermal Design Power) は295Wとされています 2。実際の平均消費電力は189Wであり 21、ピーク時の消費電力は249Wを記録しています 21。これらの数値は、Radeon PRO W7900がその高い性能に対して、比較的抑えられた消費電力で動作することを示しており、システムの電源設計や冷却設計において、他のハイエンドGPUと比較して有利に働く可能性があります。特に、長時間のレンダリング作業などを行うユーザーにとっては、消費電力の低さがシステムの安定性や運用コストの面でメリットとなります。
競合製品であるNvidia RTX 6000 Adaの最大消費電力は300Wであり 23、Radeon PRO W7900よりもわずかに高い数値です。平均消費電力は191W、ピーク時の消費電力は303Wとなっており 21、W7900と比較して平均およびピーク時の消費電力が高くなっています。このことから、Radeon PRO W7900はNvidia RTX 6000 Adaと比較して、電力効率の面で若干優位性があると言えるでしょう。
まとめ
AMD Radeon PRO W7900の主な性能特性と傾向を改めて確認すると、RDNA 3アーキテクチャによる前世代からの大幅な性能向上が挙げられます。特に、48GBの大容量ECCメモリと広いメモリ帯域幅は、メモリ負荷の高いプロフェッショナルなワークロードにおいてその真価を発揮します。動画編集においては、H.264/HEVCコーデックで優れた性能を示し、BlenderやUnreal Engineといった主要なレンダリングソフトウェアでも高いパフォーマンスを発揮します。競合製品と比較すると、特にコストパフォーマンスに優れており、多くのプロフェッショナルユーザーにとって魅力的な選択肢となります。一方で、レイトレーシング性能はNvidiaのハイエンドGPUに一日の長があり、一部ソフトウェアとの互換性には注意が必要です。消費電力は競合製品と同程度かやや低い水準にあります。
AMD Radeon PRO W7900のメリットとしては、高いコストパフォーマンス、大容量のECCメモリ、広いメモリ帯域幅、特定のプロフェッショナルアプリケーション(特に動画編集)における優れた性能、最新のDisplayPort 2.1サポート、そして比較的低い消費電力が挙げられます。デメリットとしては、レイトレーシング性能が競合製品に劣る場合があること、そして一部のソフトウェアとの互換性に注意が必要な点が挙げられます。
これらの特性を踏まえると、AMD Radeon PRO W7900は、予算を重視しつつも大容量メモリを必要とする動画編集者、3Dアーティスト、デザイナーにとって最適な選択肢の一つとなるでしょう。特に、H.264/HEVCコーデックを多用する動画編集ワークフローや、BlenderやUnreal Engineなどのソフトウェアをメインに利用するクリエイター、そしてCADや建築ビジュアライゼーションなど、高いメモリ帯域幅が要求される分野のプロフェッショナルにとって、W7900はその性能と価格のバランスから非常に魅力的なGPUと言えます。
Key Table 2: AMD Radeon PRO W7900の主要スペック
項目 | 仕様 |
GPUアーキテクチャ | AMD RDNA™ 3 |
ストリームプロセッサ数 | 6144 |
AIアクセラレータ | 192 |
レイアクセラレータ | 96 |
FP32ピーク性能 | 61.3 TFLOPS |
メモリ容量 | 48 GB GDDR6 ECC |
メモリインターフェース | 384-bit |
メモリ帯域幅 | 864 GB/s |
AMD Infinity Cache | 96 MB |
DisplayPort | 3 x DisplayPort™ 2.1, 1 x Enhanced Mini DisplayPort™ 2.1 |
最大解像度 | 12K (DSC使用時) |
AV1エンコード/デコード | 対応 |
TDP | 295W |
電源コネクタ | 2 x 8-pin |
推奨PSU | 750W |
フォームファクタ | トリプルスロット (初期), デュアルスロット (後期) |
対応API | DirectX® 12.0 Ultimate, OpenGL® 4.6, OpenCL™ 2.1, Vulkan® 1.3 |
引用文献
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