読書|福田 康隆 著「ザ・モデル(THE MODEL)」はチェックポイントが多岐にわたる

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30回ぐらい読んで自分の「血肉」にしたい

ビジネス書と言いつつも、IT系に強いイメージのある翔泳社の本だけあって著者の体験談部分は「システム屋さん」の業界での出来事100%です。

正直なところ、ビジネス本のランキング上位ということで手を出すビジネスマンの方も多くいると思いますが、畑違いの人にとってどれほど参考になるのかは未知数な印象を持ちました。

そういう意味では、自分は枠組みから外れる業種・職種ということになります。ただ、クライアント側(ユーザー)としてMAとかCRMに微妙に関わってはいるので、用語については身近なものではありましたが。

さて、そんな前置きをしつつ、本書についての所感を書いていきます。

結論として、端的な評価としては「ポジティブ」です。
ぜひ、幅広い業界のビジネスマンにこの本を読んでほしいと思います。
たしかに、システム屋さんとの付き合いが薄い、全く無い、といった業界の人にはハードルが高いと思われますが、そういう世界もある、という接触機会としても有用です。

そして、IT業界や職種的に営業や経営企画的なポジションならば、若い人も含めて2020年時点では頭にインプットしておくことで俯瞰的に仕事を見つめ直せると思います。

そうそう、この本は単なるハウツー本と思って読むと、なかなかに違和感があります。著者の福田氏の個人的な仕事の話もふんだんに盛り込まれているので自叙伝的に思える部分も。
福田氏個人の仕事のやり方や、当時在籍していた会社・部門の置かれている状況を第三者にもわかりやすく述べた上で、一般化した”考え方”を開示しているんだなーと、いったん腑に落ちれば違和感も特に感じなくなります。

そういう意味では、1回目に読んだときと2回目に読んだ際の読者側の心持ちが大きく変わるんではなかろうか。少なくとも自分の場合は1回読んだだけでは、表面なぞったぐらいでしたわ。まぁ、地頭がいい人がこぞって称賛する本(と勝手に認識している)なので、自分のような非才の身では30回ぐらい読んで、体に叩き込んでこそ効果が出てくる、たぶん。

結構な文字数使って、内容のことには全然触れてないな。

内容で語られているのは、表紙にあるとおり「マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス」です。このキャッチ、”凝縮されっぷり”がすごいな。ほんとこれ。

この「共業プロセス」をどう考えて運用を回していくのか、日頃自己流でやっているであろう多くの読者には大いに参考になると思います。部分的にはすでに実践中の内容も含まれているかもですが、自部門の足りない部分の点検や、俯瞰して他部署の役割や関係性にも思いを致すには十分役立つハズ。

ベテランの方が読んでどう思うかわかりませんが、将来の幹部候補を目指している野心あふれる若手は、平社員のうちから意識しておいて損は無い。ちょっと背伸びして頑張って読む、ぐらいがビジネス書ってカッコイイ読み方だと思ってます。はい。

IT系ビジネス書にありがちな、略語や例示されている企業情報でわからないものはインターネットでググりましょうね。放置して読み流すのと、未知の分野にふれる機会にするのとでは読後の成長度合いに差が付きます。こういう分野でも好奇心って大切だ。