Crucial T700 4TB PCIe Gen5 NVMe SSD (CT4000T700SSD5JP) ベンチマークまとめ

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1. はじめに

Crucial T700シリーズは、PCIe 5.0インターフェースを採用したコンシューマー向けNVMe SSDの先駆けとして登場しました。特に4TBモデル(CT4000T700SSD5JP、ヒートシンク搭載)は、大容量と次世代の転送速度を両立し、高速なゲーミング体験、高解像度ビデオ編集、3Dレンダリング、AIアプリケーションといった高負荷ワークロードをターゲットとしています 1。本レポートでは、このCT4000T700SSD5JPモデルに焦点を当て、公式仕様の確認、国内外のレビューサイトやユーザー報告に基づくベンチマーク結果の収集・分析、サーマルスロットリングを含む実使用上の性能特性、そして競合製品との比較を通じて、そのパフォーマンスを詳細に評価します。

2. Crucial T700 4TB (CT4000T700SSD5JP) 公式仕様

Crucial T700 4TBモデルのメーカー公称仕様は以下の通りです。

仕様項目詳細出典
モデル番号CT4000T700SSD5JP (ヒートシンク搭載)4
容量4TB (4000 GB)1
フォームファクタM.2 (2280)1
インターフェースNVMe (PCIe Gen 5 x4)1
コントローラーPhison PS5026-E267
NANDフラッシュメモリMicron 232層 3D TLC NAND (2000 MT/s)1
DRAMキャッシュ8GB LPDDR4 (4TBモデル)7
シーケンシャル読込速度最大 12,400 MB/s1
シーケンシャル書込速度最大 11,800 MB/s1
ランダム読込IOPS最大 1,500K IOPS1
ランダム書込IOPS最大 1,500K IOPS1
耐久性 (TBW)2400 TBW1
平均故障間隔 (MTBF)150万時間4
ヒートシンク付属 (アルミニウム、ニッケルメッキ銅)4
暗号化TCG Opal 2.017
保証5年間限定保証1
互換性PCIe 5.0対応デスクトップPC/ワークステーション (PCIe 3.0/4.0下位互換)1
推奨用途ゲーミング、パフォーマンスコンピューティング、DirectStorage対応1

注記: ヒートシンク非搭載モデル (CT4000T700SSD3JP) も存在しますが、最適なパフォーマンスを得るためにはマザーボードまたは代替ヒートシンクの装着が必須とされています 1。本レポートの対象モデルCT4000T700SSD5JPには、専用設計のパッシブヒートシンクが標準で付属します 4

3. ベンチマーク結果 (日本語ソース)

日本のテクノロジーレビューサイトや個人のブログにおけるCT4000T700SSD5JPのベンチマーク結果は、主にその最大性能の高さを示しています。

3.1. PC Watch

PC Watchのレビューでは、Windows 11 Pro (22H2) 環境下でCrystalDiskMarkを使用したテストが行われました 9

  • テスト環境: 詳細なCPUやマザーボードの記載は見当たりませんでしたが、OSはWindows 11 Pro (22H2) です 9
  • ベンチマークソフト: CrystalDiskMark 9
  • 測定結果:
  • シーケンシャルリード: 12,432.5 MB/s
  • シーケンシャルライト: 11,553.2 MB/s
  • これらの値は、公称スペック(リード12,400 MB/s、ライト11,800 MB/s)に非常に近い、あるいはリードは僅かに上回る結果となっています 9
  • 3DMark Storage Benchmark: スコアは言及されていませんが、PCIe 4.0 SSD(通常4,000前後)と比較して大幅に高いスコアが期待され、ゲーム用途での体感性能向上が示唆されています 9

3.2. ASCII.jp

ASCII.jpの記事では、製品発売情報としてスペックが紹介されていますが、独自のベンチマークテスト結果の記載は見当たりませんでした 10。ただし、公称スペックであるシーケンシャルリード12,400 MB/s、ライト11,800 MB/sが改めて強調されています 10

3.3. Amazon.co.jp カスタマーレビュー

Amazon.co.jpのカスタマーレビューでは、実際のユーザーによる体感性能や注意点が報告されています 11

  • 体感性能: OS起動やゲームロードの高速化、大容量ファイル転送の速さによる作業効率向上が高く評価されています 11
  • 発熱: 高負荷時に70℃を超えるといった報告があり、冷却対策(ファン付きヒートシンクなど)の必要性が指摘されています 11

これらの日本語ソースからは、T700 4TBが公称値に近い非常に高いシーケンシャル性能を発揮することが確認できますが、同時に高負荷時の発熱への注意も喚起されています。

4. ベンチマーク結果 (英語ソース)

英語圏の主要なテクノロジーレビューサイトでは、より詳細なテスト環境下で多岐にわたるベンチマークが実施されています。

4.1. Tom’s Hardware

Tom’s Hardwareは、T700のプレビュー版から製品版、そして4TBモデルに至るまで詳細なレビューを行っています。

  • テスト環境: Intel Z790マザーボード (ASUS Maximus Z790 Heroなど)、Intel Core i9またはAMD Ryzen 7000シリーズCPU、DDR5メモリ、Windows 11 7。テストは多くの場合、OSドライブとは別のセカンダリドライブとして、またはPCIe拡張カード上のM.2スロット (大型ヒートシンク付き) で実施されています 13
  • ベンチマークソフト: CrystalDiskMark (CDM), ATTO Disk Benchmark, PCMark 10 (Full System Drive Benchmark), 3DMark (Storage Benchmark), DiskBench, Iometer 7
  • 測定結果 (4TBモデル):
  • CrystalDiskMark: シーケンシャルリード/ライトは公称値に近い12,400 MB/s / 11,800 MB/sレベルを達成 15。ランダム性能 (4K Q1T1) はPCIe 4.0の最速ドライブ (Samsung 990 Proなど) と比較して大きな向上は見られないものの、高キューデプス (QD256など) では高いIOPSを示します 14
  • ATTO Disk Benchmark: 64KB以上のブロックサイズで高いスループットを示し、ピーク時には11 GB/sを超えるリード/ライト性能を記録。ただし、2MiB付近でのリード性能の落ち込みや、4KiB未満での性能低下がPhison E26ベースのドライブ共通の傾向として観察されています 14
  • PCMark 10: システムドライブ全体の応答性を示すテストでは、PCIe 4.0 SSDに対して明確なアドバンテージを示し、テスト時点での最高スコアを記録 14。4TBモデルは2TBモデルよりもさらに高い帯域幅を達成しました 15
  • 3DMark Storage Benchmark: ゲーム関連のワークロードをシミュレートするテストでも、テスト時点で最高スコアを記録。DirectStorage最適化ファームウェアの効果も期待されます 14。4TBモデルは2TBモデルや他のE26ベースSSDよりも高いスコアを示しました 15
  • DiskBench (50GB File Copy): 大容量ファイルコピーテストでは、特に書き込みとコピー(読み書き混合)においてPCIe 4.0ドライブに対する優位性が見られました。4TBモデルは2TBモデルと比較して書き込み性能が若干向上しています 15
  • 評価: テスト時点で最速のコンシューマーSSDと評価。高い総合性能、DirectStorage最適化、効果的な(ただし高価な)カスタムヒートシンクが長所として挙げられています。一方で、価格の高さ、実世界での性能向上が限定的な場合があること、競合製品の登場が短所として指摘されました 7

4.2. TechPowerUp

TechPowerUpも4TBモデルの詳細なレビューを実施しています。

  • テスト環境: AMD Ryzen 7 7700X CPU, ASUS X670E Hero マザーボード, 32GB DDR5-6000 RAM, Windows 11 Pro 8
  • ベンチマークソフト: CrystalDiskMark, ATTO, AS SSD, Anvil Storage Utilities, PCMark 10, 独自ファイルコピーテスト、各種アプリケーションテスト (ゲームロード、Officeインストールなど) 8
  • 測定結果 (4TBモデル):
  • CrystalDiskMark/ATTO: Tom’s Hardwareと同様に、公称値に近い高いシーケンシャル性能を確認 17
  • Sustained Write (SLC Cache Test): 約400GBの巨大なpSLCキャッシュサイズを確認。キャッシュ内では約7 GB/s (シングルスレッド) の書き込み速度を維持し、キャッシュ枯渇後は約3.3 GB/sのTLC速度に低下。ドライブがほぼ満杯になる(3.3TB書き込み後)と1 GB/sまで低下。全容量書き込みの平均速度は約2.87 GB/sと非常に高速 18
  • Real-life Tests: 多くの実アプリケーションテストにおいて、Samsung 990 ProやWD Black SN850Xといった高性能PCIe 4.0 SSDと比較してわずかな差しか見られませんでしたが、総合的には最速クラスのパフォーマンスを示しました 17
  • 評価: 4TB容量を持つ唯一のPCIe 5.0 SSD(レビュー当時)としてユニークな存在。非常に高いピーク性能と巨大なSLCキャッシュを持つ一方、実世界での性能向上は限定的であり、高価格と高消費電力が課題とされました 17。ヒートシンクの冷却性能はファンレスながら良好と評価されています 8

4.3. その他 (AnandTech, The SSD Review, etc.)

  • AnandTech: T700のプレビューや、後継のT705のレビュー記事でT700に言及。Phison E26コントローラーとMicron 232L TLC NAND (T700は2000 MT/s, T705は2400 MT/s) の組み合わせを解説。T700が当時の競合 (Corsair MP700など) より高速な2000 MT/s NANDを採用していた点を指摘 20
  • The SSD Review: Intel Z790プラットフォームでのテストを実施。ATTOベンチマークでリード10.82 GB/s、ライト11.56 GB/sを記録し、テスト時点での最高性能と評価。付属ヒートシンク使用時の最高温度は52°Cと報告 12

英語ソースのレビューは、T700 4TBが合成ベンチマークにおいて圧倒的なピーク性能を持つことを裏付けています。しかし、実アプリケーションにおいてはPCIe 4.0の最速ドライブとの差が縮まる傾向や、高負荷時の発熱、消費電力の高さといったトレードオフも指摘されています。

5. パフォーマンス分析と比較

収集したベンチマーク結果を分析すると、いくつかの重要な傾向が見えてきます。

5.1. 公称スペックとの比較

  • シーケンシャル性能: 多くのレビュー(PC Watch, Tom’s Hardware, TechPowerUpなど)で、CrystalDiskMarkを用いたテストにおいて、シーケンシャルリード/ライト速度が公称値(12,400 MB/s / 11,800 MB/s)に非常に近いか、僅かに上回る結果が報告されています 9。これは、理想的な条件下ではメーカーの主張通りの性能を発揮できることを示唆しています。
  • ランダム性能: 公称値である最大1,500K IOPSは、特定の条件下(高キューデプス、特定ツール)での測定値であり、一般的なデスクトップ利用におけるランダムアクセス性能(例: 4K Q1T1)では、最速のPCIe 4.0 SSDからの飛躍的な向上は見られにくい傾向があります 14。これは、インターフェース帯域幅の向上よりも、NAND自体のレイテンシやコントローラーの処理能力がボトルネックとなるためと考えられます。

5.2. レビュー間の結果のばらつき

ベンチマーク結果には、レビューサイトやテスト環境によって若干のばらつきが見られます。

  • テスト環境: 使用されるCPU (Intel vs AMD)、マザーボード (チップセット、M.2スロットの接続)、OS設定 (Windows 11のバージョン、Core Isolationの有効/無効など) が結果に影響を与える可能性があります 2。Crucial自身も、測定条件としてWindows 11 Core Isolation無効化を挙げています 2
  • ベンチマークソフト: 使用するソフト(CrystalDiskMark, ATTO, PCMark 10, 3DMarkなど)やそのバージョン、設定(テストサイズ、キューデプスなど)によって測定される側面が異なります 14。例えば、ATTOでは特定のブロックサイズで性能低下が見られる一方、CrystalDiskMarkでは安定したシーケンシャル性能が示されることがあります 14
  • ドライブの状態: 新品状態 (FOB: Fresh-Out-of-Box) か、ある程度使用された状態かによっても性能が変わる可能性があります。特に書き込み性能はpSLCキャッシュの状態に依存します 2

しかし、全体的な傾向としては、T700 4TBがPCIe 5.0世代のSSDとして非常に高いピーク性能を持つことは、多くのレビューで共通して確認されています。

6. 持続的パフォーマンスとサーマルスロットリング

PCIe 5.0 SSDの性能を最大限に引き出す上で、高負荷時の持続性と熱管理は極めて重要な要素です。

6.1. 持続的書き込み性能 (pSLCキャッシュ)

  • T700 4TBは、大容量のpSLC (pseudo-SLC) キャッシュを搭載しています。TechPowerUpのテストでは、約400GBのキャッシュサイズが確認されました 18。Tom’s Hardwareのテストでも414GBと報告されています 15
  • キャッシュが有効な間は非常に高速な書き込み速度(Tom’s Hardwareで約11.2 GB/s 15、TechPowerUpで約7 GB/s 18 – ※測定方法の違いによる差)を維持できます。
  • キャッシュが枯渇すると、書き込み速度はネイティブTLC速度に低下します。TechPowerUpでは約3.3 GB/s 18、Tom’s Hardwareでは約3.6 GB/s 13 と報告されています。これは依然として高速ですが、ピーク時からは大幅に低下します。
  • さらに書き込みを続けると、ガベージコレクションなどの内部処理のために速度がさらに低下する領域(TechPowerUpで約1 GB/s 18、Tom’s Hardwareで約1.8 GB/sのフォールディング状態 13)も存在します。
  • 全容量書き込みの平均速度はTechPowerUpで約2.87 GB/sと、非常に高いレベルです 18

この巨大なキャッシュサイズにより、一般的な大容量ファイルのコピーや短時間の高負荷書き込みではピーク性能を維持できますが、数十GBを超える連続的な書き込みが長時間続くような特殊なワークロードでは、キャッシュ枯渇後の速度低下を考慮する必要があります。

6.2. サーマルスロットリングとヒートシンクの効果

PCIe 5.0 SSDは、その高速性ゆえに発熱量が大きく、適切な冷却がないとサーマルスロットリング(温度上昇による性能低下)が発生しやすくなります。

  • 温度: 高負荷時、特に連続書き込みテストでは、コントローラー温度が80℃を超えることが報告されています。Tom’s Hardwareでは、付属ヒートシンク使用下のIometerテストでピーク87℃に達し、スロットリングが発生したと報告しています 13。The SSD Reviewでは付属ヒートシンクでピーク52℃と報告しており 12、Redditユーザーの報告ではベンチマーク中に177°F (約81℃) でスロットリングした例もあります 22。Amazonレビューでも70℃超えが報告されています 11
  • スロットリング挙動: スロットリングが発生すると、パフォーマンスが一時的に低下し、温度が下がると回復するという動作を繰り返します 13
  • ヒートシンクの重要性: Crucialは、ヒートシンク非搭載モデルでもマザーボード等のヒートシンクが必須であると明記しています 1。付属のヒートシンク (CT4000T700SSD5JP) は、ファンレスながら効果的に熱を拡散するように設計されており 4、TechPowerUpのテストでは、厳しい条件下でもスロットリングは限定的で、発生まで5分以上かかったと評価されています 23。Tom’s Hardwareのテストでも、適切なエアフローがあれば付属ヒートシンクで十分機能するとしていますが、エアフローがない場合は86℃に達する可能性があると警告しています 24
  • 冷却強化の効果: Tom’s Hardwareが大型の拡張カード用ヒートシンク(通常のM.2ヒートシンクより大きい)を使用したテストでは、Iometerテスト中のピーク温度が54℃に抑えられ、スロットリングは発生しませんでした 13。Redditユーザーも、M.2クーラーを追加することで温度が大幅に下がり、スロットリングを回避できたと報告しています 22
  • エアフロー: Crucial自身も、最適なパフォーマンスのためには適切なエアフローが必要であると述べています 2。ケース内のエアフローが乏しい場合、ヒートシンクがあっても温度が上昇しやすくなります。

結論として、T700 4TBは高い発熱を伴いますが、CT4000T700SSD5JPに付属するヒートシンクは、適切なケース内エアフローがあれば、多くの状況でサーマルスロットリングを抑制するのに十分な性能を持っています。しかし、エアフローが悪い環境や、極端に長時間の連続書き込みを行う場合は、より強力な冷却ソリューション(大型マザーボードヒートシンク、アクティブ冷却ファン付きヒートシンク、水冷など 19)を検討する価値があります。

7. 競合製品との比較 (PCIe 5.0 4TB SSD)

Crucial T700 4TBが登場した当初、同容量のPCIe 5.0 SSDは市場にほとんど存在しませんでした 17。しかし、その後、後継モデルや他社製品が登場しています。ここでは、最も直接的な比較対象となるCrucial T705 4TBとの比較を中心に見ていきます。

7.1. Crucial T705 4TB との比較

Crucial T705は、T700と同じPhison E26コントローラーとMicron 232層TLC NANDを採用していますが、NANDの動作速度がT700の2000 MT/sから2400 MT/sに引き上げられています 20

  • 公称スペック:
  • T705 4TB: リード 14,100 MB/s, ライト 12,600 MB/s 26
  • T700 4TB: リード 12,400 MB/s, ライト 11,800 MB/s 26
  • 公称値では、T705がリードで約14%、ライトで約7%高速化されています。ランダム性能の公称値はほぼ同等です 26
  • ベンチマーク性能:
  • Tom’s Hardwareの比較では、T705はT700に対して全体で約6%高いパフォーマンスを示したとされています 24
  • Dong Knowsのレビューでは、T705はシーケンシャルテストでT700を上回り、特に読み書き同時実行で4000MB/sを超える初のドライブであったと報告されています。しかし、ランダムアクセス性能や実世界での体感差はT700とほとんど変わらなかったとも述べています 26
  • 価格と価値: T705はT700よりも高速ですが、その分価格も高く設定されています 20。絶対的な最高性能を求めるのでなければ、価格が下がってきたT700の方がコストパフォーマンスが良い選択肢となる可能性があります 24

7.2. 他社 PCIe 5.0 4TB SSD

レビュー時点では、MSI Spatium M570 Pro Frozr 4TB 19 や Corsair MP700 Pro 4TB 27 など、Phison E26コントローラーと高速NAND(多くは2400 MT/s)を採用した競合製品も登場しています。これらの製品は、T705と同等かそれに近い性能を持つと予想されますが、T700 4TBと比較した場合、T705と同様の性能差(T700より数%~十数%高速)が見られると考えられます。

7.3. PCIe 4.0 SSD との比較

T700はPCIe 5.0 SSDとして、Samsung 990 ProやWD Black SN850Xといった最速クラスのPCIe 4.0 SSDと比較して、シーケンシャル性能では約2倍のスペックを持っています 1。ベンチマークでも、特にシーケンシャル転送やPCMark 10、3DMark Storage Benchmarkなどのテストでは明確な優位性を示します 14。しかし、ランダムアクセス性能や、ゲームのロード時間、一般的なアプリケーションの応答性といった実世界に近いシナリオでは、その差は大幅に縮まることが多いです 7。価格差を考慮すると、多くのユーザーにとっては高性能なPCIe 4.0 SSDが依然としてコスト効率の高い選択肢となり得ます 7

8. 結論

Crucial T700 4TB PCIe Gen5 NVMe SSD (CT4000T700SSD5JP) は、レビュー時点において市場で利用可能な最速クラスのコンシューマー向けSSDの一つであり、特に大容量とPCIe 5.0の帯域幅を最大限に活用したいユーザーにとって魅力的な選択肢です。

  • 性能: 公称値に近い最大12,400 MB/sのシーケンシャルリード、11,800 MB/sのシーケンシャルライトという圧倒的なピーク性能を、多くのベンチマークテストで実証しています。巨大なpSLCキャッシュ(約400GB)により、大容量ファイルの転送も高速に処理できます。PCMark 10や3DMark Storage Benchmarkなどの総合的なテストでも高いスコアを示し、DirectStorageなどの将来技術への対応も強みです 9
  • 課題: 一方で、その高性能は高い発熱と消費電力を伴います 11。CT4000T700SSD5JPに付属するヒートシンクは効果的ですが、最適な性能維持のためにはケース内の良好なエアフローが不可欠であり、状況によってはより強力な冷却が必要になる場合があります 22。また、実世界でのアプリケーションパフォーマンスにおいては、最速のPCIe 4.0 SSDとの体感差が限定的である場面も多く、価格プレミアムに見合う価値があるかは用途によります 7
  • 市場での位置づけ: 後継モデルであるT705や他社の同世代SSDが登場したことで、T700は絶対的な最速の座は譲りましたが、依然として非常に高性能なPCIe 5.0 SSDです 24。価格がこなれてくれば、T705や他の最新モデルに対するコストパフォーマンスの高い代替品となる可能性があります 24

総括すると、Crucial T700 4TB (CT4000T700SSD5JP) は、妥協のないストレージ性能と大容量を求めるエンスージアスト、プロフェッショナルクリエイター、そして最新技術をいち早く導入したいゲーマーに適した製品です。ただし、その性能を最大限に引き出すためには、適切な冷却環境の構築が前提となり、コストと実用性のバランスを考慮する必要があります。

引用文献

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  2. Crucial T700 4TB PCIe Gen5 NVMe M.2 SSD with heatsink | CT4000T700SSD5, 4月 25, 2025にアクセス、 https://www.crucial.com/ssd/technology/ct4000t700ssd5
  3. Crucial T700 4TB PCIe Gen5 NVMe M.2 SSD with heatsink | CT4000T700SSD5, 4月 25, 2025にアクセス、 https://www.crucial.com/ssd/t700/ct4000t700ssd5
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  5. CT4000T700SSD5JP | Crucial T700 ハイエンド M.2 NVMe接続SSD 4TB ヒートシンク付, 4月 25, 2025にアクセス、 https://www.cfd.co.jp/biz/product/detail/ct4000t700ssd5jp.html
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  10. Crucial最速のNVMe SSD「T700」シリーズから大容量4TBモデルが登場 – ASCII.jp, 4月 25, 2025にアクセス、 https://ascii.jp/elem/000/004/161/4161687/
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  27. 〜4TB | 1TB以上〜 | PCI-Express(NVMe) | M.2 | SSD | ドライブ・ストレージ | 検索結果: 8件 | パソコンSHOPアーク(ark), 4月 25, 2025にアクセス、 https://www.ark-pc.co.jp/search/?category=c31&p1=b32020&p2=c32024&p3=h32032&p4=p32030&p5=s32235
  28. Crucial T700 SSD review: The king of PCIe Gen5 SSDs – XDA Developers, 4月 25, 2025にアクセス、 https://www.xda-developers.com/crucial-t700-ssd-review/
  29. Crucial T500 Review (vs T700): A Solid Performance Alternative | Dong Knows Tech, 4月 25, 2025にアクセス、 https://dongknows.com/micron-crucial-t500-pcie-4-0-nvme-ssd-review/
  30. 最大12400MB/sの超高速SSD「Crucial T700 PCIe Gen5 SSD」に4TBモデル, 4月 25, 2025にアクセス、 https://akiba-pc.watch.impress.co.jp/docs/news/news/1509150.html
  31. Crucial CT4000T700SSD5JP T700 – 製品詳細 | パソコンSHOPアーク(ark), 4月 25, 2025にアクセス、 https://www.ark-pc.co.jp/i/13512552/
  32. SSD好きが選ぶ、Amazonブラックフライデーでこれは買うべきSSD6選! – ASCII.jp, 4月 25, 2025にアクセス、 https://ascii.jp/elem/000/004/237/4237558/
  33. Crucial CT4000T700SSD5JP T700 4TB PCIe Gen5 NVMe M.2 SSD with heatsink, 4月 25, 2025にアクセス、 https://www.oliospec.com/shopdetail/000000013235/
  34. T700 CT4000T700SSD5JP [M.2 NVMe 内蔵SSD / 4TB / PCIe Gen5x4 / ヒートシンク付 / T700 PCle Gen5 NVMe SSD with heatsink シリーズ / 国内正規代理店品] – ツクモ, 4月 25, 2025にアクセス、 https://shop.tsukumo.co.jp/goods/0649528937599/
  35. crucial Crucial 4TB CT4000T700SSD5 ヒートシンク搭載 [M.2 Type2280 NVMe 2.0 PCIe … – Yahoo!ショッピング, 4月 25, 2025にアクセス、 https://store.shopping.yahoo.co.jp/todoku-ne/649528936721-iwwnn.html
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