1. エグゼクティブサマリー
概要
Crucial T705 4TB (CT4000T705SSD3) は、CrucialのフラッグシップPCIe 5.0 NVMe SSDであり、前世代のT700の後継モデルです。現在市販されているコンシューマー向けSSDの中で最速クラスの製品として位置づけられ、最先端のストレージ性能を求めるエンスージアスト、ゲーマー、コンテンツクリエーター、プロフェッショナルユーザーをターゲットとしています 1。
主要な調査結果 – パフォーマンス
本製品は、Phison PS5026-E26コントローラーと2400 MT/sで動作するMicron製232層TLC NANDの組み合わせにより、クラス最高レベルのシーケンシャルリード/ライト速度(4TBモデルでそれぞれ最大14,100 MB/s、12,600 MB/s)を実現しています 1。ランダムアクセス性能も高く、PCMark 10や3DMarkといったストレージサブシステムベンチマークでも優れた結果を示しています 7。大容量ファイルの転送においては実世界でのメリットが大きい一方で、一般的な用途においては、高性能なGen4ドライブと比較した場合の体感的な性能向上は限定的である可能性も指摘されています 10。
主要な調査結果 – 温度と一貫性
その高性能と引き換えに、T705は顕著な発熱を伴います。サーマルスロットリングなしで持続的なパフォーマンスを発揮するためには、ヒートシンクの搭載が不可欠です 7。大容量のSLCキャッシュ(約440GB)と、キャッシュ枯渇後も比較的高速な持続書き込み速度を備えています 6。耐久性評価(TBW)は標準的な2400TBWです 1。
市場での位置づけ
Crucial T705 4TBは、コンシューマー向けSSDの性能の頂点に立つ製品ですが、それに伴う高価格と厳格な冷却要件が伴います 1。
2. 技術仕様
コアコンポーネント
- コントローラー: Phison PS5026-E26 このコントローラーは、T705の驚異的な速度を実現する上で中心的な役割を担う、主要なGen5対応コントローラーです 1。8チャンネル設計とARM Cortex-R5コアを特徴としています 6。
- NANDフラッシュ: Micron 232層 3D TLC NAND (B58R FortisFlash) T705の性能向上における最も重要な要素は、NANDインターフェース速度がT700の2000 MT/sから2400 MT/sへと高速化された点です 1。Micronの垂直統合(NANDの自社生産)は、供給や最適化において有利に働く可能性があります 1。
- DRAMキャッシュ: LPDDR4、NAND容量1TBあたり1GB CT4000T705SSD3 (4TBモデル) は、4GBのLPDDR4 DRAMキャッシュを搭載しています 1。このキャッシュは、フラッシュ変換レイヤー(FTL)の管理に使用され、特にドライブの空き容量が少なくなった際にもランダムアクセス性能の低下を抑制し、一貫したパフォーマンスを維持する上で重要な役割を果たします 7。
フォームファクタとインターフェース
- フォームファクタ: M.2 2280 (4TBモデルは両面実装) 5 両面実装であることは、基板の両面に部品が実装されていることを意味します。これにより、一部の薄型ノートPCやスペースに制約のあるM.2スロットとの物理的な互換性の問題が生じる可能性があります。これは、T705が主にデスクトップPCやワークステーション向けであることを補強する要素ですが、実用上の制限として留意すべき点です。
- インターフェース: NVMe 2.0 over PCIe 5.0 x4 1 PCIe 4.0および3.0スロットとの下位互換性も備えていますが、その場合はインターフェースの帯域幅に合わせて速度が低下します 1。
耐久性と保証
- 耐久性 (TBW): 4TBモデル (CT4000T705SSD3) は2400 Terabytes Written 1。 これは、保証期間である5年間で毎日約1.32回ドライブ全体を書き換えることに相当し (2400TBW / (5年 * 365日) ≈ 1.32 DWPD)、ハイエンドコンシューマー向けTLCドライブとしては堅牢な評価です。
- 保証: 5年間限定保証 1。
表: Crucial T705 4TB (CT4000T705SSD3) 仕様概要
仕様項目 | 詳細 | 出典 |
型番 | CT4000T705SSD3 | 5 |
容量 | 4TB | 5 |
インターフェース | NVMe 2.0 (PCIe 5.0 x4) | 1 |
フォームファクタ | M.2 2280 (両面実装) | 5 |
コントローラー | Phison PS5026-E26 | 1 |
NANDタイプ | Micron 232層 3D TLC NAND (B58R) | 1 |
NANDインターフェース速度 | 2400 MT/s | 1 |
DRAMキャッシュ | 4GB LPDDR4 | 1 |
シーケンシャルリード (公称) | 最大 14,100 MB/s | 1 |
シーケンシャルライト (公称) | 最大 12,600 MB/s | 1 |
ランダムリード IOPS (公称) | 最大 1,500K IOPS | 1 |
ランダムライト IOPS (公称) | 最大 1,800K IOPS | 1 |
耐久性 (TBW) | 2400 TBW | 1 |
保証期間 | 5年間 | 1 |
この表は、CT4000T705SSD3モデルの主要な技術的詳細をまとめたものであり、性能分析の基礎となります。
3. 合成ベンチマーク性能分析
シーケンシャルリード/ライト性能
- 公称速度 (4TB): 最大リード 14,100 MB/s、最大ライト 12,600 MB/s 1。
- CrystalDiskMark結果: 複数のレビューサイトで4TBモデルのテスト結果が報告されており、概ね公称値に近い性能が確認されています。例えば、ITmedia PC USERではリード 14,195 MB/s、ライト 12,779 MB/s 8、GDM.or.jpではリード約 14,174 MB/s、ライト約 12,268 MB/s 24、YouTubeレビューではリード約 14,165 MB/s、ライト約 12,342 MB/s 15 といった結果が見られます。テスト環境による多少の差異はありますが、PCIe 5.0 x4インターフェースの帯域に迫る非常に高いスループットを示しています。 比較として、2TBモデルはリード 14,400~14,600 MB/s、ライト 12,700 MB/s程度と報告されており 7、仕様通り2TBモデルの方がわずかに高速であることが確認できます 16。
- ATTO Disk Benchmark: このベンチマークは、異なる転送サイズにおけるパフォーマンス特性を示します。2TBモデルのレビューでは、リードは4MB以上、ライトは256KB以上の転送サイズで最高のパフォーマンスを発揮する傾向が見られました 9。4TBモデルでも同様に、大きなブロックサイズで高いスループットが期待できますが、小さなブロックサイズでは性能が低下する可能性があります。
- Blackmagic Disk Speed Test: このテストでは、リード 9.82 GB/s、ライト 8.67 GB/sといった結果が報告されています 23。CrystalDiskMarkよりもやや低い数値が出ることが多いですが、これはテスト方法の違いによるものであり、依然として非常に高いスループットを反映しています。
ランダムリード/ライト性能 (4K IOPS)
- 公称IOPS (4TB): 最大リード 1,500K IOPS、最大ライト 1,800K IOPS 1。
- CrystalDiskMark (Random 4K Q32T1 / Q1T1): 4TBモデルのQ32T1テストでは、リード 993 MB/s、ライト 1077 MB/sといった結果が報告されています 8。システム応答性に重要なQ1T1ランダムリード性能については、2TBモデルで107 MB/sを超える結果が得られています 9。 シーケンシャル速度はPCIe 4.0のハイエンドドライブと比較して約2倍に達していますが、ランダムアクセス性能の向上幅はそれほど劇的ではありません。例えば、Gen4のトップドライブがQ1T1ランダムリードで70-90MB/s程度であるのに対し、T705は約100-110MB/s 9 と、相対的な伸びはシーケンシャルほど大きくありません。これは、OSの操作や小さなファイルのアクセスなど、ランダムI/Oに大きく依存するタスクにおいては、シーケンシャル性能の数値が示すほどの体感速度差を感じにくい可能性があることを示唆しています 12。
- VDIベンチマーク (AnandTech/StorageReview): 仮想デスクトップ環境をシミュレートしたテストでは、ブート時143K IOPS、初期ログイン時ピーク603K IOPS、月曜日ログイン時48K IOPSといった結果が得られており 23、仮想化ワークロードにおいても高い性能を発揮することが示されています。
ストレージサブシステムベンチマーク
- PCMark 10 Storage Tests (Full System Drive / Quick System Drive): 4TBモデルで6000を超えるスコア 8、2TBモデルで4308点 7 や6800点 9、比較テストで6541点 22 など、非常に高いスコアが報告されています。これらのテストは、OSの起動、アプリケーションの起動、ファイルのコピーといった実世界のアプリケーション利用状況をシミュレートしており、高スコアはシステム全体の応答性の良さを示します 7。T705はこの種のテストでしばしば記録を更新しています 9。
- 3DMark Storage Benchmark: 4TBモデルで5000点近く 8、2TBモデルで3603点 7 や記録的な高スコア 9、比較テストで6739点 22 といった結果が報告されています。このベンチマークは、ゲームのロード、インストール、保存、録画といったゲーム関連のアクティビティに焦点を当てており、高スコアは要求の厳しいゲーミングワークロードへの適性を示唆しています 7。
分析と考察
ベンチマークのスコアは、使用するテストプラットフォーム(CPU、マザーボード、OS)やベンチマークソフトウェアのバージョンによって変動する可能性があります 8。例えば、IntelプラットフォームではCPU直結のPCIe 5.0レーン数に制限があり、グラフィックカードとの帯域共有が発生する場合があります 8。しかし、複数の信頼できるレビューソース(Tom’s Hardware, AnandTech, TweakTown, ITMedia, MyNaviなど)で一貫して高いパフォーマンスレベルが観測されていることは、T705の基本的な性能の高さを裏付けています 8。
表: 合成ベンチマーク結果比較 (Crucial T705 4TB vs. 主要競合製品)
製品 | 容量 | Seq Read (MB/s) | Seq Write (MB/s) | Rand 4K Q1T1 Read (MB/s) | PCMark 10 (Score) | 3DMark Storage (Score) | 出典例 (一部) |
Crucial T705 | 4TB | ~14,195 | ~12,779 | ~107 (2TB) | >6,000 | ~5,000 | 8 |
Crucial T700 | 4TB | ~12,400 | ~11,800 | N/A | ~6,000 | ~5,000 | 8 |
Sabrent Rocket 5 | 4TB | ~14,100 | N/A | N/A | N/A | N/A | 29 (性能類似) |
Samsung 990 Pro | 4TB | ~7,450 | ~6,900 | ~90 | ~4,000 | ~4,500 | 13 (性能比較) |
WD_BLACK SN850X | 4TB | ~7,300 | ~6,600 | ~80 | ~3,800 | ~4,200 | 13 (性能比較) |
注: N/Aはデータなし、スコアはおおよその値。T705 4TBのRand 4K Q1T1 Readは2TBモデルの値を参考に記載。競合製品のスコアは代表的なレビューからの概算値。
この表は、T705 4TBの性能を主要な競合製品と比較するためのものです。シーケンシャル性能ではGen5ドライブが圧倒的ですが、PCMark 10などの総合的なベンチマークでは、Gen4のハイエンド製品との差が縮まる傾向が見られます。
4. 実世界でのパフォーマンス評価
大容量ファイル転送性能
T705は、その卓越したシーケンシャルスループットにより、大容量ファイルの転送において顕著な性能を発揮します。例えば、100GBの混合ファイル(62,000ファイル以上)の読み取りテストでは、2TBモデルで7,663 MB/sという記録的な転送速度が報告されています(書き込みは約2,400 MB/s)9。また、500GBの単一ファイルコピーでは、約3.5 GB/sの速度を維持したとの報告もあります 12。
ユーザーレビューや専門家の評価でも、大容量ファイルの転送速度の速さが頻繁に強調されており、特に動画編集者など、日常的に巨大なファイルを扱うユーザーにとっては、作業効率の大幅な向上が期待できます 7。これは、ドライブが持つ高いシーケンシャル性能が、連続したデータの読み書きが中心となるこの種のタスクに直接的な利益をもたらすためです。
アプリケーションとゲームのロード時間
PCMark 10や3DMark Storage Benchmarkの高いスコアは、アプリケーションの起動やゲームのロード時間短縮への貢献を示唆しています 7。特に、Microsoft DirectStorageへの最適化は、将来的により効率的なデータロードを可能にし、ゲーム体験を向上させる可能性があります 2。T705の高い帯域幅は、AI関連のワークロードにも適しているとされています 1。
しかしながら、多くのレビューやユーザーコメントでは、OSの起動やゲームのロード時間に関して、高性能なPCIe 4.0 SSDと比較した場合の実世界での体感的な差は、数秒あるいはそれ以下であり、しばしば認識できないほど小さいと指摘されています 3。これは、ロード時間にはストレージの速度だけでなく、CPUによるデータ展開やGPUの処理など、他のシステムコンポーネントの性能も影響するためです。現状のトップクラスのGen4 SSDでも既に非常に高速であるため、T705のさらなる速度向上が必ずしも劇的な体感差に繋がるとは限りません。DirectStorageのような技術が普及すればボトルネックが解消される可能性はありますが、現時点では、ロード時間短縮のみを目的とする場合、T705の高価格に見合う価値があるかは疑問視されることがあります。
ユーザーエクスペリエンスに関する洞察
Amazon.co.jpなどのユーザーレビューを見ると、「とにかく高速」「爆速」といった速度に対する称賛の声が多く見られます 10。OSの起動やアプリケーションの応答性が向上し、「ストレスフリーな環境になった」と感じるユーザーもいます 10。一方で、ほぼ全てのレビューで「発熱が大きい」「冷却対策は必須」といった熱に関する警告がなされており、これがT705を選択する上での重要な考慮事項となっています 10。
5. 温度性能とヒートシンクに関する考察
発熱特性
Crucial T705が高温になる主な理由は、PCIe 5.0 x4インターフェースの性能を最大限に引き出すために、Phison E26コントローラーと2400 MT/s動作のNANDフラッシュを限界近くまで駆動させていることにあります。これにより、必然的に消費電力が増加し、発熱量も増大します 1。特にPhison E26コントローラーは、以前から発熱が大きいことで知られています 6。
報告されている負荷時の温度は、適切なヒートシンクとエアフローがある環境でのベンチマーク中でも65℃から71℃に達することがあります 7。ユーザーからは、高負荷時に70℃を超えるという報告も見られます 10。冷却が不十分な場合、これらの温度はさらに上昇する可能性があります。
サーマルスロットリング挙動
T705のファームウェアは、ドライブの温度が81℃に達すると性能を抑制するサーマルスロットリングを開始し、90℃で保護シャットダウンするように設計されています 1。
レビューでのテスト結果によれば、適切な冷却(ケースファンによるエアフローやヒートシンクの使用)があれば、サーマルスロットリングを回避して安定した性能を維持することが可能です 7。しかし、冷却が不十分な場合には、特に高負荷が続く状況下でスロットリングが発生し、性能が大幅に低下するリスクがあります 16。ファームウェアの改良により、過熱によるクラッシュは防止されるようになっていますが 16、性能維持のためには冷却が不可欠です。
ヒートシンクの必要性と有効性
T705で最適なパフォーマンスを持続的に得るためには、ヒートシンクの使用が必須であると、多くのレビューやユーザーコメントで強調されています 3。
選択肢としては、Crucialが提供するバンドル版ヒートシンク(アルミニウムと銅を使用したパッシブ冷却設計)1、マザーボードに標準搭載されているM.2ヒートシンク、あるいはアクティブファンを備えたものを含むアフターマーケット製のクーラー 8 があります。
Crucial製のヒートシンクは、適切なケースエアフローがあれば十分な冷却効果を発揮すると評価されていますが 7、より大型のマザーボードヒートシンクや高性能なアフターマーケットクーラーの方が、さらに低い温度を維持できる可能性も指摘されています 8。ヒートシンク付きモデルは追加コストが発生することも考慮に入れる必要があります 1。
この冷却要件は単なる推奨ではなく、T705の性能を最大限に引き出すための基本的な運用上の制約と言えます。ユーザーは冷却ソリューションを計画に含める必要があり、これが追加コストやシステムの複雑化、あるいはマザーボードやケース選択の制約要因となる可能性があります。これにより、T705はパッシブ冷却環境やスペースに制約のあるシステムにはあまり適さないと言えます。
6. パフォーマンスの一貫性: SLCキャッシュと持続書き込み
SLCキャッシュ実装
T705は、書き込み処理を高速化するために、動的な疑似SLC (pseudo-SLC) キャッシュを利用しています 6。
4TBモデルのSLCキャッシュサイズは、約440 GBと報告されており、これは非常に大きな容量です 6。比較として、2TBモデルのキャッシュサイズは約200GBから230GB程度であり 7、キャッシュサイズがドライブ容量に応じてスケールしていることがわかります。
SLCキャッシュ内外での書き込み性能
SLCキャッシュの範囲内では、書き込み速度は公称のシーケンシャルライト速度(最大約12,600 MB/s)に近い値を示します。
重要なのはSLCキャッシュが枯渇した後の持続書き込み速度ですが、T705はこの点でも優れた性能を示します。2TBモデルでは、キャッシュ枯渇後も約4,000 MB/sという高い速度を維持できると報告されています 7。4TBモデルでも同等か、わずかに高い速度が期待されます。ある比較レビューでは、T705の15分間の平均持続書き込み速度が4029 MB/sに達し、競合製品(Samsung 9100 Proの1867 MB/s)を大幅に上回ったとされています 22。ただし、極端に長時間の連続書き込みを行うと、さらに低い速度(2TBモデルで約1.16 GB/s)に低下する「フォールディング」状態に入る可能性も指摘されています 27。
この大容量SLCキャッシュと高いキャッシュ枯渇後の持続書き込み速度(約4GB/s)の組み合わせは、T705が大規模な連続書き込みワークロードを効率的に処理できることを意味します。これは、キャッシュが小さい、あるいはネイティブTLCの書き込み速度が遅いドライブに対する大きなアドバンテージであり、動画レンダリングの書き出しや大容量データのバックアップといったコンテンツ作成作業におけるT705の適性を裏付けています。
ドライブ使用率の影響
一般的にTLC NANDを採用したSSDは、空き容量が少なくなる(特にSLCキャッシュ容量を超えるデータを書き込んだ後)と、パフォーマンス(特に書き込み速度と一貫性)が低下する傾向があります。T705に搭載されているDRAMキャッシュは、ランダムアクセス性能の低下を緩和するのに役立ちます 7。提供された情報源には、ドライブ使用率がT705の性能に与える具体的な影響を検証したテスト結果は含まれていませんが、これはNAND技術の一般的な特性として考慮すべき点です。
7. 競合製品との比較
他のPCIe 5.0 SSDとの比較
Crucial T705(特に2TBモデル)は、発売時点(2024年2月~3月頃)において、市販されているコンシューマー向けSSDの中で最速であると多くのレビューで評価されています 3。
- Crucial T700との比較: T705は、NANDインターフェース速度が2000 MT/sから2400 MT/sに向上したことにより、T700よりも高速です 1。
- 他のE26 + 2400 MT/s NAND搭載ドライブとの比較: Sabrent Rocket 5やGigabyte Aorus Gen5 14000など、同じ基本コンポーネントを使用するドライブとは、ピーク性能レベルは非常に近いと予想されます。ファームウェアのチューニングや冷却ソリューションの違いにより、わずかな性能差が生じる可能性はあります 1。
- 異なるコントローラー/NAND搭載ドライブとの比較: 例えばSamsung 9100 Proと比較した場合、特定のベンチマーク、持続書き込み挙動、消費電力、発熱特性などで違いが見られる可能性があります。ある比較では、9100 Proは消費電力/発熱が低い可能性があるものの、SLCキャッシュ枯渇後の持続書き込み速度ではT705が優れていると示唆されています(ただし、9100 Proのキャッシュ持続時間は長い)22。
ハイエンドPCIe 4.0 SSDとの比較
- 性能差の定量化: T705は、Samsung 990 Pro、WD_BLACK SN850X、Crucial T500といったPCIe 4.0のハイエンドドライブと比較して、シーケンシャルスループットは約2倍に達します 7。
- 収穫逓減の分析: シーケンシャル速度は大幅に向上していますが、ランダムIOPS、アプリケーション/ゲームのロード時間、一般的な応答性における改善幅は、多くの場合それほど大きくありません。そのため、多くのユーザーにとって、その大幅な価格プレミアムに見合う価値があるとは限らないと指摘されています 3。
- 代替案: Crucial T500(T705と同じNANDを使用するがGen4インターフェース)は、コストパフォーマンスに優れた代替品として考えられます 27。
パフォーマンス対コスト分析
T705は非常に高価な製品であり、4TBモデルの希望小売価格はヒートシンクなしで$714、ヒートシンク付きで$730と設定されています 1(他のレビューでも高価格が指摘されています 16)。GB単価を計算し、競合製品と比較すると、そのプレミアム性が際立ちます。
結論として、T705は、絶対的な最高性能を求め、そのためのコスト(適切な冷却ソリューションのコストと複雑さを含む)を厭わないユーザーをターゲットとしています 3。T705は、Gen5の速度的利点を実際に活用できる特定のワークロードを持つユーザーにとっては価値がありますが、よりコスト効率の高いGen4ソリューションと比較すると、その価値は主観的なものになります。ほとんどのユーザーにとっては、高性能なGen4ドライブが依然として実用的な選択肢です。
8. 機能とエコシステム
暗号化サポート
T705は、ハードウェアベースのAES-256暗号化とTCG Opal 2.01をサポートしており、プロフェッショナルな環境でのデータセキュリティと管理性を向上させます 1。
データ整合性機能
エラー訂正コード (ECC)、TRIMサポート、SMARTモニタリング、適応型熱保護といった機能により、データの信頼性とドライブの健全性が維持されます 1。
ソフトウェアサポート
Crucialは、ドライブ管理、ファームウェア更新、健康状態の監視などを可能にする「Crucial Storage Executive」ソフトウェアを提供しています 9。また、購入特典としてAcronis True Image(クローニング用、通常Crucial製品にバンドル)やAdobe Creative Cloudの試用版が含まれる場合があります 9。
9. 結論と推奨事項
強みの要約
Crucial T705 4TBは、比類なきシーケンシャル性能、全体的に強力なベンチマーク結果、大容量SLCキャッシュ、高い耐久性評価、そして堅牢な機能セット(暗号化、ソフトウェアサポート)を提供します。
弱みの要約
主な弱点は、必須となる冷却対策を要するほどの著しい発熱、非常に高い価格設定、そして一部の一般的なワークロードにおいてはトップクラスのGen4ドライブに対する実世界での性能向上が限定的である点です。また、Intelプラットフォームではレーン共有による制限の可能性も指摘されています 8。
推奨されるユーザープロファイル
以下のユーザーには、Crucial T705 4TBの検討をお勧めします。
- コストに関わらず絶対的な最速ストレージを求めるエンスージアスト。
- 最大のシーケンシャルスループットと大容量キャッシュの恩恵を受けられる、非常に大きなファイルを扱うコンテンツクリエーター(動画編集、3Dレンダリングなど)。
- 高い帯域幅を必要とするI/O集約型アプリケーションやAI/MLワークロードを実行するプロフェッショナル 1。
- PCIe 5.0の能力と冷却要件を中心に設計された新しいハイエンドシステムを構築するユーザー。
回避すべきユーザー
以下のユーザーには、他の選択肢を検討することをお勧めします。
- 予算を重視するユーザー。
- 主にゲームのロード時間に関心があり、コストパフォーマンスでGen4が優れていると考えるユーザー。
- 適切なM.2冷却ソリューションやPCIe 5.0サポートを持たないシステムのユーザー。
- PS5ユーザー(オーバースペックであり、必要なヒートシンクを装着すると温度やサイズの点で問題が生じる可能性があるため)17。
最終評価
Crucial T705 4TBは、コンシューマー向けSSDの速度における現在の技術的頂点を示す製品です。しかし、その魅力は、高いコストと厳しい熱管理要件によって、ニッチな層に限定されます。「最高」を必要とし、その要件を満たすことができるユーザーにとっては最良の選択肢ですが、多くのユーザーにとっては、依然として優れたGen4ドライブが実用的かつ賢明な選択となるでしょう。
引用文献
- Crucial T705 Gen5 NVMe SSD: A 14.5 GBps Consumer Flagship …, 4月 26, 2025にアクセス、 https://www.anandtech.com/show/21269/crucial-t705-gen5-nvme-ssd-a-145-gbps-consumer-flagship-with-2400-mts-232l-nand
- Crucial Launches Crucial Pro DDR5-6000 Memory and T705 M.2 Gen 5 SSD, 4月 26, 2025にアクセス、 https://www.techpowerup.com/forums/threads/crucial-launches-crucial-pro-ddr5-6000-memory-and-t705-m-2-gen-5-ssd.319312/
- ‘Fastest SSD on the planet’: Crucial’s T705 tops benchmarks as reviewers rave about its performance — but it is far too expensive and a RAID-0 setup may beat it | TechRadar, 4月 26, 2025にアクセス、 https://www.techradar.com/pro/fastest-ssd-on-the-planet-crucials-t705-tops-benchmarks-as-reviewers-rave-about-its-performance-but-it-is-far-too-expensive-and-a-raid-0-setup-may-beat-it
- Crucial T705 4TB PCIe Gen5 NVMe M.2 SSD | CT4000T705SSD3, 4月 26, 2025にアクセス、 https://www.crucial.jp/ssd/t705/ct4000t705ssd3
- Crucial CT4000T705SSD3-JP T705 Crucial T705 4TB PCIe Gen5 NVMe M.2 SSD – 製品詳細 | パソコンSHOPアーク(ark), 4月 26, 2025にアクセス、 https://www.ark-pc.co.jp/i/13512722/
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- Crucial T705 SSD review: fantastic speed for those who can afford it …, 4月 26, 2025にアクセス、 https://www.techradar.com/computing/computing-components/crucial-t705
- Micron releases Crucial T705 Gen5 SSD (up to 14.5GB/s) and DDR5 Pro Overclocking Memory Modules – www.guru3d.com, 4月 26, 2025にアクセス、 https://www.guru3d.com/story/micron-releases-crucial-t705-gen5-ssd-and-ddr5-pro-overclocking-memory-modules/
- Crucial’s superfast 2TB T705 Gen 5 SSD is back down to its lowest-ever price — Grab one of these drives for the ultimate gaming PC build | Tom’s Hardware, 4月 26, 2025にアクセス、 https://www.tomshardware.com/pc-components/ssds/crucials-superfast-2tb-t705-gen-5-ssd-is-back-down-to-its-lowest-ever-price-grab-one-of-these-drives-for-the-ultimate-gaming-pc-build
- Crucial’s 2TB T705 – the fastest available consumer Gen 5 SSD – has sold out at Amazon, but you can get the same drive with a heatsink for an extra $20 | Tom’s Hardware, 4月 26, 2025にアクセス、 https://www.tomshardware.com/pc-components/ssds/crucials-2tb-t705-the-fastest-available-consumer-gen-5-ssd-has-sold-out-at-amazon-but-you-can-get-the-same-drive-with-a-heatsink-for-an-extra-usd20
- Crucial T705 could deliver a blistering 14,500 MB/s of bandwidth — new PCIe 5.0 SSD pictures and specs leak | Tom’s Hardware, 4月 26, 2025にアクセス、 https://www.tomshardware.com/pc-components/ssds/crucial-t705-could-deliver-a-blistering-14500-mbs-of-bandwidth-new-pcie-50-ssd-pictures-and-specs-leak
- Samsung 9100 Pro vs Crucial T705: Which One to Choose? – Stored Bits, 4月 26, 2025にアクセス、 https://storedbits.com/samsung-9100-pro-vs-crucial-t705/
- Crucial T705 レビュー – StorageReview.com, 4月 26, 2025にアクセス、 https://www.storagereview.com/ja/review/crucial-t705-review
- PCIe 5.0(x4)の限界に迫る14,000MB/s超の最速NVMe M.2 SSD、Crucial「T705」を試す – エルミタージュ秋葉原, 4月 26, 2025にアクセス、 https://www.gdm.or.jp/review/2024/0309/529512/2
- Crucial T705 SSD Lineup Leaks – read and write speeds of 13,600 MB/s and 10,200 MB/s, 4月 26, 2025にアクセス、 https://www.guru3d.com/story/crucial-t705-ssd-lineup-leaks-read-and-write-speeds-of-13600-mb-s-and-10200-mb/
- Crucial’s new T705 PCIe Gen5 SSD teased: up to 14.5GB/sec reads, up to 4TB capacity – TweakTown, 4月 26, 2025にアクセス、 https://www.tweaktown.com/news/96013/crucials-new-t705-pcie-gen5-ssd-teased-up-to-14-5gb-sec-reads-4tb-capacity/index.html
- Crucial T705 2TB SSD Review: The Fastest SSD on The Planet – Tom’s Hardware, 4月 26, 2025にアクセス、 https://www.tomshardware.com/pc-components/ssds/crucial-t705-2tb-ssd-review/2
- Crucial T705 CT1000T705SSD3の口コミ・評判は?実際に使ってよい点・気になる点を徹底レビュー! | マイベスト, 4月 26, 2025にアクセス、 https://my-best.com/products/2085871
- Crucial 2TB T705 Delivers the Full Force of Phison E26 Controller, 4月 26, 2025にアクセス、 https://phisonblog.com/crucial-2tb-t705-delivers-the-full-force-of-phison-e26-controller/
- [SSD] Crucial T705 4 TB No Heatsink $488.99 (Newegg) : r/buildapcsales – Reddit, 4月 26, 2025にアクセス、 https://www.reddit.com/r/buildapcsales/comments/1igwy23/ssd_crucial_t705_4_tb_no_heatsink_48899_newegg/