1. エグゼクティブサマリー
キオクシア EXCERIA PLUS G4 SSDシリーズは、コンシューマー向けPCIe 5.0インターフェース対応SSD市場への同社の参入を示す製品であり、本レポートでは特に1TBモデル (SSD-CK1.0N5PLG4J) に焦点を当てる。本製品は、コントローラーにPhison PS5031-E31T、NANDフラッシュメモリに自社製のBiCS8 218層TLCを採用している 1。
製品の市場における位置づけは、PCIe 5.0世代の高速なシーケンシャル性能 (公称リード最大10,000 MB/s、同ライト最大7,900 MB/s) と、初期のハイエンドPCIe 5.0 SSDと比較して改善された電力効率および熱管理のバランスを追求する点にある 2。
本分析の結果、以下の点が明らかになった。第一に、各種ベンチマークテストにおいて、シーケンシャルリード/ライト速度は概ね公称スペックを満たすか、わずかに上回る結果を示すことが多い 3。第二に、特定のテスト条件下では、低キューデプス (QD1) におけるランダムアクセス性能で良好な結果を示している 13。第三に、Phison E26コントローラー搭載の初期のPCIe 5.0 SSDと比較して、動作時の温度と消費電力は大幅に抑制されているものの、持続的な書き込み負荷下では依然として相当量の熱が発生し、性能維持のためにはヒートシンク等の冷却対策が推奨される 2。第四に、実アプリケーションにおける性能は、ハイエンドPCIe 4.0 SSDと競合するレベルであるが、一般的なコンシューマー用途においては、それらを劇的に凌駕するとは限らない 20。第五に、価格設定は、PCIe 5.0 SSDとしては比較的手頃な水準に位置づけられる可能性がある 2。
総括すると、EXCERIA PLUS G4 1TBは、PCIe 5.0の高速シーケンシャル性能と優れた電力効率を提供する、実行可能なアップグレード選択肢である。特に、発熱や消費電力を抑えたいユーザー、あるいはコスト効率の良いPCIe 5.0へのエントリーを求めるユーザーに適している。ただし、DRAMレス設計や4チャネルコントローラーに起因する潜在的な性能限界も認識する必要がある。
2. KIOXIA EXCERIA PLUS G4 1TB: 仕様と技術概要
2.1. 公称性能指標
キオクシア EXCERIA PLUS G4の1TBモデル (SSD-CK1.0N5PLG4J) に関するメーカー公称の性能仕様は以下の通りである。
- シーケンシャルリード: 最大 10,000 MB/s 1
- シーケンシャルライト: 最大 7,900 MB/s 1
- ランダムリード (最大): 1,300,000 IOPS 1
- ランダムライト (最大): 1,400,000 IOPS 1
インターフェースはPCI Express Gen 5.0 x4、プロトコルはNVM Express Revision 2.0cに準拠している 1。また、PCIe 4.0環境との後方互換性も有している 11。
2.2. 耐久性と保証
- 総書き込みバイト数 (TBW): 1TBモデルのTBWレーティングは600 TBWである 1。
- Drive Writes Per Day (DWPD): これは0.32 DWPDに相当する 24。
- 平均故障間隔 (MTTF): 150万時間とされている 6。
- 保証期間: 5年間保証が付帯する 1。ただし、キオクシア提供のSSD Utilityマネージメントソフトウェアで報告される「残り寿命の割合」がゼロになった時点で保証期間は終了するという条件が付記されている点に注意が必要である 5。
2.3. 主要コンポーネント
- コントローラー: Phison Electronics社のPS5031-E31T (E31T) を採用している。これはTSMCの7nmプロセスで製造された4チャネルのDRAMレスコントローラーである 1。このコントローラーは、先行する8チャネルのPhison E26と比較して、性能と電力効率、コスト効率のバランスを取ることに主眼が置かれている 2。オンボードDRAMキャッシュの代わりに、ホストシステムのメインメモリの一部をマッピングテーブル用に利用するHost Memory Buffer (HMB) 技術 (通常64MB) をサポートする 2。
- NANDフラッシュメモリ: キオクシア自社製の3次元フラッシュメモリ「BiCS FLASH」の第8世代にあたるBiCS8 218層 3D TLC NANDを採用している 1。キオクシアが国内工場で生産されたフラッシュメモリを使用している点も特徴である 4。TLC (Triple-Level Cell) は、1つのメモリセルに3ビットのデータを記録する方式である 8。
- フォームファクター: M.2 2280規格に準拠し、基板片面にコンポーネントを実装したシングルサイド設計となっている 1。厚さは2.38 mmと薄型である 1。
これらのコンポーネント選択は、市場での製品の位置づけを考慮した戦略的な判断に基づいている。PCIe 5.0の第一世代を牽引したPhison E26コントローラー搭載ドライブは、高い性能を誇る一方で、コスト、消費電力、発熱といった課題も抱えていた 9。E31Tコントローラーは、より微細な7nmプロセスを採用することで電力効率を改善し発熱を抑制 2、DRAMキャッシュを省略 (HMB利用) することでコストと設計の複雑さを低減している 1。また、4チャネル構成は、約10GB/sの転送速度を実現するには十分でありながら、8チャネル構成よりもコスト面で有利である 2。これに自社製の最新NANDであるBiCS8を組み合わせることで、キオクシアは供給、コスト、技術統合の面で主導権を握ることができる 1。この結果、EXCERIA PLUS G4は、PCIe 5.0世代の目を引くシーケンシャル性能を提供しつつ、製造コストを抑え、熱・電力特性を改善することで、より広範な「メインストリーム」あるいは「バリューGen 5」セグメントをターゲットとすることが可能になっている 2。この構成は、シーケンシャルタスクで優れた性能を発揮する一方で、コントローラーアーキテクチャの特性上、特定のランダムアクセスや高負荷マルチタスク環境では、DRAM搭載の8チャネルドライブと比較して限界を示す可能性があることを示唆している。本製品の主な訴求力は、初期のPCIe 5.0フラッグシップ製品に見られた極端なコストや発熱のペナルティなしに、PCIe 4.0からの顕著なシーケンシャルスループット向上を実現する点にある。
2.4. 公式仕様比較 (1TB vs. 2TBモデル)
特徴 | 1TBモデル (SSD-CK1.0N5PLG4J) | 2TBモデル (SSD-CK2.0N5PLG4J) |
容量 | 1000 GB | 2000 GB |
シーケンシャルリード (MB/s) | 最大 10,000 | 最大 10,000 |
シーケンシャルライト (MB/s) | 最大 7,900 | 最大 8,200 |
ランダムリード (IOPS) | 最大 1,300,000 | 最大 1,300,000 |
ランダムライト (IOPS) | 最大 1,400,000 | 最大 1,400,000 |
耐久性 (TBW) | 600 TBW | 1,200 TBW |
コントローラー | Phison PS5031-E31T | Phison PS5031-E31T |
NANDフラッシュ | Kioxia BiCS8 3D TLC | Kioxia BiCS8 3D TLC |
DRAMキャッシュ | なし (HMB対応) | なし (HMB対応) |
フォームファクター | M.2 2280 (シングルサイド) | M.2 2280 (シングルサイド) |
保証期間 | 5年 | 5年 |
データソース: 1
この比較表は、両容量モデル間の主な公式仕様上の違い(主にシーケンシャルライト速度と耐久性)を明確にし、製品ライン内でのスケーリングを理解する助けとなる。
3. シンセティックベンチマーク性能 詳細分析
3.1. シーケンシャルリード/ライト速度分析
- CrystalDiskMark: 複数のレビューサイトで実施されたテスト結果を参照すると、SEQ1M Q8T1やSEQ1M Q1T1といった一般的なシーケンシャルアクセス指標において、本ドライブは良好な性能を示している 3。特に、公称スペックであるリード最大10,000 MB/s、ライト最大7,900 MB/s (1TBモデル) を満たすか、わずかに上回る実測値が報告されることが多い 10。ただし、レビュー間で若干の測定値のばらつきが見られる場合もある 3。
- ATTO Disk Benchmark: ATTOによる測定結果も、高いスループット性能を裏付けている 13。一部のレビューでは、ATTOのピーク速度がCrystalDiskMarkよりも若干低く測定されることがあるものの 13、公称のライト速度はしばしば確認されている 13。
- AS SSD Benchmark: AS SSD Benchmarkの結果も参照可能である 3。このベンチマークは非圧縮データを扱うため、CrystalDiskMarkよりもスコアが低くなる傾向があるが、それでも強力なシーケンシャル性能を示していることが確認できる 3。
3.2. ランダムリード/ライト性能分析
- CrystalDiskMark (RND4K): ランダムアクセス性能、特にOSやアプリケーションの応答性に直結するRND4K Q1T1と、より高負荷状態を示すQ32T16 (またはQ32T1) の結果が重要である。利用可能なレビュー結果によれば 3、特にRND4K Q1T1のリード性能において、一部の競合製品を上回る優れた結果が報告されている 13。しかし、メーカー公称の最大IOPS値 (1.3M/1.4M IOPS) は、通常、レビューで用いられるテスト条件 (低スレッド数、低キューデプス) では達成が困難であり、特定の高負荷・高並列な条件下での測定値である点に留意が必要である 13。
- AS SSD (4K / 4K-64Thrd): AS SSDにおける4Kおよび4K-64Thrdのスコアも、それぞれCrystalDiskMarkのQ1T1および高キューデプス時のランダム性能とおおむね相関する傾向を示す 3。
3.3. 公称スペックとの比較
1TBモデルの公称スペック (シーケンシャル 10,000/7,900 MB/s、ランダム 1.3M/1.4M IOPS) とベンチマーク結果を比較すると、シーケンシャル速度に関しては、多くのテストで公称値を満たすか上回る結果が得られている 10。一方で、ランダム性能に関しては、レビュー環境で公称の最大IOPSを達成することは稀である 13。
公称のランダムIOPS値が非常に高い (1.3M/1.4M) 一方で、実際のコンシューマーワークロードで重要となる低キューデプスでのベンチマーク結果は、非常に良好ではあるものの、必ずしも記録破りというわけではなく、テストによってばらつきが見られる。これは、いくつかの要因によって説明できる。まず、公称IOPS値は、コントローラーの潜在能力を最大限に引き出す理想的な高並列条件下 (高キューデプス、マルチスレッド) で測定されるが、これは一般的なデスクトップ利用状況とは異なる 8。次に、レビューではより少ないスレッド数やQD1性能に焦点を当てることが多い 3。さらに、DRAMレスアーキテクチャはHMBに依存するため、オンボードDRAMと比較してわずかなレイテンシが発生し、特に混合負荷や高負荷時のランダムアクセス速度に影響を与える可能性がある。ただし、PhisonはE31Tコントローラーを低キューデプス性能に最適化しているようである 2。レビュー間でQD1ランダム性能の評価に一貫性がない(一部では非常に優れているとされる 13 一方で、他では競合にわずかに劣るとされる 13)のは、ファームウェアのバージョン 1、テスト環境、またはベンチマークソフトの違いに起因する可能性がある。これらのことから、ユーザーは良好なQD1性能による優れた応答性を期待できるものの 13、超高水準のピークIOPS値が、必ずしもハイエンドGen 4ドライブやDRAM搭載Gen 5ドライブに対する比例的な実世界でのアドバンテージに直結するわけではないと理解すべきである。本ドライブの主な差別化要因は、依然としてシーケンシャル速度にある。
3.4. シンセティックベンチマーク結果集約表 (1TBモデル中心)
ベンチマークツール | メトリック | 結果 (MB/s または IOPS) | 出典 (ウェブサイト名/ID) |
CrystalDiskMark | SEQ1M Q8T1 Read | 10,335.09 (2TB) | akiba-pc.watch.impress.co.jp 10 |
10,407.11 (2TB) | pc.watch.impress.co.jp 11 | ||
10,404.66 (2TB) | news.mynavi.jp 12 | ||
10,397.38 (2TB) | kitguru.net 13 | ||
9933.88 (2TB) | techpowerup.com 3 | ||
CrystalDiskMark | SEQ1M Q1T1/Q8T1 Write | 8,705.70 (Q1T1, 2TB) | akiba-pc.watch.impress.co.jp 10 |
8,651.78 (Q8T1, 2TB) | pc.watch.impress.co.jp 11 | ||
8,934.74 (Q1T1, 2TB) | news.mynavi.jp 12 | ||
8,790.26 (Q8T1, 2TB) | kitguru.net 13 | ||
9577.44 (Q8T1, 2TB) | techpowerup.com 3 | ||
CrystalDiskMark | RND4K Q1T1 Read | 90.17 (2TB) | kitguru.net 13 |
81.39 (2TB) | techpowerup.com 3 | ||
CrystalDiskMark | RND4K Q1T1 Write | 348.73 (2TB) | kitguru.net 13 |
248.74 (2TB) | techpowerup.com 3 | ||
CrystalDiskMark | RND4K Q32T16 Read (IOPS) | 1,451,170 (2TB) | kitguru.net 13 |
CrystalDiskMark | RND4K Q32T16 Write (IOPS) | 1,606,249 (2TB) | kitguru.net 13 |
ATTO Disk Benchmark | Max Sequential Read | 9,690 (2TB) | kitguru.net 13 |
ATTO Disk Benchmark | Max Sequential Write | 8,230 (2TB) | kitguru.net 13 |
AS SSD Benchmark | Score | 6783 (2TB) | techpowerup.com 3 |
AS SSD Benchmark | Seq Read | 3634.92 (2TB) | techpowerup.com 3 |
AS SSD Benchmark | Seq Write | 3574.85 (2TB) | techpowerup.com 3 |
AS SSD Benchmark | 4K Read | 79.79 (2TB) | techpowerup.com 3 |
AS SSD Benchmark | 4K Write | 237.88 (2TB) | techpowerup.com 3 |
AS SSD Benchmark | 4K-64Thrd Read | 996.76 (2TB) | techpowerup.com 3 |
AS SSD Benchmark | 4K-64Thrd Write | 899.59 (2TB) | techpowerup.com 3 |
(注: 1TBモデルの独立したシンセティックベンチマークデータが限定的であるため、主に2TBモデルのデータを記載。1TBモデルのシーケンシャルライト性能は2TBモデルより低い点に注意)
4. アプリケーションベースおよびゲーミングベンチマーク
4.1. PCMark 10 Storage Benchmark
PCMark 10 Storageは、実際のアプリケーション動作をシミュレートすることで、ストレージの実用的な性能を評価するベンチマークである。EXCERIA PLUS G4は、このテストにおいて、旧世代のキオクシア製品に対して顕著な性能向上を示している。具体的には、PCIe 4.0対応の前モデルEXCERIA PLUS G3と比較して約23-29% 11、同じくPCIe 4.0対応のハイエンドモデルEXCERIA PROに対しても約43%高いスコアを記録したとの報告がある 11。2TBモデルの総合スコアは3617点、帯域幅は580.71 MB/s、レイテンシは85 µsという結果も得られている 3。個別のテスト項目(トレース)を見ると、アプリケーション起動、ファイルコピー、Adobe製品(Photoshop, Illustratorなど)の処理速度、ゲームの起動といった様々なシナリオで、旧世代を上回る性能を発揮している 11。特に、ゲーム起動やクリエイティブ関連のタスクでトップクラスの性能を示すと評価されている 11。興味深い点として、PCIe 4.0インターフェース接続時でもスコアの低下はわずかであり、旧世代インターフェース環境でもある程度の性能を発揮できることが示唆されている 11。
4.2. 3DMark Storage Benchmark
ゲーミング環境におけるストレージ性能を測定する3DMark Storage Benchmarkにおいても、EXCERIA PLUS G4は優れた結果を示している。EXCERIA PLUS G3を約13-22%、EXCERIA PROを約27%上回るスコアが報告されており 11、ゲーミング用途での優秀さが裏付けられている 10。2TBモデルの総合スコアは5034点、平均帯域幅は867.81 MB/s、平均レイテンシは68 µsという結果も報告されている 3。ゲームのロード、インストール、保存、移動といった個別のトレースにおいても、概ね良好な性能を示すが、一部のレビューでは、ゲーム移動や保存などのトレースで他のE31T搭載ドライブにやや劣る結果となり、総合的な平均帯域幅で最下位になったとの報告もある 13。PCMark 10と同様に、PCIe 4.0接続時のスコア低下は軽微であるとされている 11。
4.3. ゲームローディングタイムベンチマーク
特定のゲームタイトルを用いたロード時間テストでは、一貫しない結果も見られる。例えば、「Final Fantasy XIV: Endwalker」のベンチマークにおいては、PCIe 5.0接続時に最速のローディングタイムを記録し、PCIe 4.0接続時でもEXCERIA PROとほぼ同等であったとする報告がある一方で 11、別のレビューでは、ほとんどのシーンローディングテストで競合製品に劣り、最下位に位置したとの報告もある 13。2TBモデルのロード時間は7.98秒という具体的な数値も存在する 3。この不一致は、テスト環境やバージョンの違い、あるいはファームウェアの最適化状況などに起因する可能性がある。
これらのアプリケーションおよびゲーミングベンチマークの結果は、EXCERIA PLUS G4が旧世代のキオクシア製SSDから明確な性能向上を遂げ、PCIe 5.0世代のドライブとして堅実なパフォーマンスを提供することを示している。しかしながら、特に一般的なコンシューマー用途において、トップクラスのPCIe 4.0 SSDと比較した場合の実世界での性能向上幅は、シーケンシャル速度の飛躍的な向上ほど劇的ではない可能性がある。これは、PCMark 10や3DMark Storageといったベンチマークが、純粋なシーケンシャル転送だけでなく、様々なキューデプスでのランダムI/Oを含む実世界のワークロードをシミュレートするためである 3。一部のレビューでは、実生活での性能が最高のGen 4ドライブと比べて著しく速いわけではないと指摘されている 20。OS起動、アプリケーションのロード、多くのゲームのローディングといった一般的なタスクは、純粋なシーケンシャル速度よりも低キューデプスでのランダム性能やレイテンシに影響されやすい。EXCERIA PLUS G4はこの点で良好な性能を示すものの 13、トップクラスのGen 4ドライブとの差は、これらの領域では限定的かもしれない。本ドライブの持つ巨大なシーケンシャル帯域幅は、大容量ファイルの転送や特定のコンテンツ作成タスクといった、シーケンシャルアクセスが支配的なシナリオで最も効果を発揮する。したがって、SATAや旧世代NVMeドライブからのアップグレードであれば、ユーザーは大幅な改善を体感できるだろう。一方で、ハイエンドGen 4ドライブからの乗り換えの場合、システム全体の応答性やゲームロード時間の改善はより微妙なものとなり、主に大容量ファイル操作において明確なメリットを感じることになるだろう。将来的にDirectStorageのような技術が普及すれば、高いシーケンシャル性能がより活かされる可能性はあるが、現時点での普遍的なメリットは、トップGen 4ドライブと比較して限定的であると言える。
4.4. アプリケーション & ゲーミングベンチマーク結果集約表
ベンチマーク | メトリック | 結果 (2TBモデル) | 出典 (ウェブサイト名/ID) |
PCMark 10 Storage | Score | 4,869 | news.mynavi.jp 12 |
3617 | techpowerup.com 3 | ||
Bandwidth (MB/s) | 595.11 | kitguru.net 13 | |
580.71 | techpowerup.com 3 | ||
Latency (µs) | 85 | techpowerup.com 3 | |
vs G3 Score Improvement | ~23-29% | pc.watch.impress.co.jp 11, news.mynavi.jp 12 | |
vs Pro Score Improvement | ~43% | pc.watch.impress.co.jp 11 | |
3DMark Storage | Score | 5034 | techpowerup.com 3 |
Bandwidth (MB/s) | 655.51 (Overall Avg) | kitguru.net 13 | |
867.81 | techpowerup.com 3 | ||
Latency (µs) | 68 | techpowerup.com 3 | |
vs G3 Score Improvement | ~13-22% | pc.watch.impress.co.jp 11, news.mynavi.jp 12 | |
vs Pro Score Improvement | ~27% | pc.watch.impress.co.jp 11 | |
FFXIV Endwalker | Loading Time (s) | 最速 (PCIe 5.0) | pc.watch.impress.co.jp 11 |
7.98 | techpowerup.com 3 | ||
最下位 (KitGuru Test) | kitguru.net 13 |
(注: 1TBモデルの独立したアプリケーションベンチマークデータが限定的であるため、主に2TBモデルのデータを記載)
5. 競合製品との性能比較
5.1. キオクシア旧世代製品との比較
EXCERIA PLUS G4は、キオクシアの旧世代SSDと比較して、特にシーケンシャル性能とアプリケーションベンチマークスコアにおいて、明確な世代間の進化を示している。PCIe 4.0対応のEXCERIA PLUS G3 (Phison E21コントローラー搭載) や、同じくPCIe 4.0対応のハイエンドモデルEXCERIA PROと比較して、PCMark 10 Storageや3DMark Storage Benchmarkで20%以上、場合によっては40%以上のスコア向上が報告されている 10。PCIe 4.0接続時においても、EXCERIA PROと同等のシーケンシャルリード/ライト性能を発揮するとされている 11。
5.2. PCIe Gen 5競合製品との比較
- 他のPhison E31T搭載ドライブ: Corsair MP700 Elite 3、PNY CS2150 3、MSI Spatium M560 3 など、同じコントローラーを採用する競合製品と比較した場合、ファームウェアのチューニングやNANDの選別により、わずかな性能差が見られることがある 13。一部のテストではEXCERIA PLUS G4が良好な結果を示す一方で、他のテストでは競合に若干劣る場面も報告されている 13。
- Phison E26搭載ハイエンドドライブ: Crucial T700/T705 13 や Corsair MP700 Pro 13 といった、より高性能な8チャネル/DRAM搭載のPhison E26コントローラーを採用するドライブと比較すると、EXCERIA PLUS G4はピークシーケンシャル性能(特にライト)では劣る傾向にある。しかし、E26搭載ドライブは一般的に消費電力と発熱が大きいというトレードオフが存在する 2。
5.3. ハイエンドPCIe Gen 4製品との比較
Samsung 990 Pro 13、WD_BLACK SN850X 15、SK Hynix P41 Platinum 51 といった、市場で評価の高いハイエンドPCIe 4.0 SSDと比較した場合、EXCERIA PLUS G4はシーケンシャルスループットにおいて明確な優位性を持つ。一方で、実世界のアプリケーション応答性や一部のランダムI/O指標においては、その差は縮まる可能性がある 20。
5.4. 価格対性能比の考察
EXCERIA PLUS G4 1TBモデルの市場価格は、他のPCIe 5.0 SSDと比較して、より手頃な価格帯に設定される傾向がある 2。発売当初の価格変動が大きかったとの指摘もあるが 15、安定すれば、PCIe 5.0 SSDとしては魅力的な価格設定となり得る 7。性能面では、トップクラスのGen 4ドライブに対する価格プレミアムが正当化されるか、また他のGen 5ドライブと比較して価値があるかは、ユーザーの具体的な用途と予算に依存する。
この製品の位置づけは、「必要十分なGen 5性能」を提供することにある。絶対的な最高性能を追求するのではなく、PCIe 4.0を明確に超える性能を提供しつつ、初期のGen 5フラッグシップ製品が抱えていた大きな欠点(過度の発熱、高消費電力、高コスト)を回避することを目指している。ベンチマーク結果はGen 4のシーケンシャル限界を明らかに超えており 10、E26ベースのドライブと比較して温度と消費電力が低いことが一貫して示されている 2。価格も、しばしばハイエンドGen 4に近い水準で提供される 2。レビューでも、「メインストリーム」や「バリュー」向けのGen 5製品として、効率性と手頃な価格が強調されている 2。すべてのベンチマークでトップに立つわけではないが、全体的な性能は非常に高く、要求の厳しいタスクにも十分対応可能である 3。キオクシアは、多くのユーザーが、もしそれが大きなコスト、熱、電力のペナルティを伴うのであれば、絶対的なピーク性能は必要とせず、Gen 5の具体的なメリット(シーケンシャル速度)を求めていると考えているようだ。これにより、G4は、バランスを重視する新規ビルド、アップグレード、さらには熱管理が重要なラップトップやスモールフォームファクターPCにとっても魅力的な選択肢となっている 6。
5.5. 主要性能指標 競合比較表
SSDモデル | 容量 | インターフェース | コントローラー | CDM SEQ Read (MB/s) | CDM SEQ Write (MB/s) | PCMark 10 Score/BW | 価格帯/TBあたり価格 |
KIOXIA EXCERIA PLUS G4 | 1TB | PCIe 5.0 x4 | Phison E31T | ~10,000 | ~7,900 | – (2TB: 3617/581) | 中 (Gen 5) |
KIOXIA EXCERIA PLUS G3 (参考) | 2TB | PCIe 4.0 x4 | Phison E21T? | ~5,000 | ~3,900 | 低 (vs G4) | 低 (Gen 4) |
KIOXIA EXCERIA PRO (参考) | 2TB | PCIe 4.0 x4 | 不明 | ~7,300 | ~6,400 | 中 (vs G4) | 中 (Gen 4) |
Corsair MP700 Elite (E31T) | 2TB | PCIe 5.0 x4 | Phison E31T | ~10,000 | ~8,500? | ~3,800? | 中 (Gen 5) |
Crucial T705 (E26) | 2TB | PCIe 5.0 x4 | Phison E26 | ~14,000+ | ~12,000+ | 高 | 高 (Gen 5) |
Samsung 990 Pro (Gen 4) | 1TB | PCIe 4.0 x4 | Samsung Pascal | ~7,450 | ~6,900 | 高 (Gen 4) | 中高 (Gen 4) |
(注: 上記は代表的なモデルとの比較であり、実際の性能や価格はレビューや市場状況により変動します。EXCERIA PLUS G4のPCMark 10スコアは2TBモデルの参考値です)
データソース: 3
6. 熱管理と持続書き込み性能
6.1. 連続書き込みテスト分析
連続した大容量ファイルの書き込みテストでは、多くのNVMe SSDと同様に、EXCERIA PLUS G4もSLC (Pseudo-SLC) キャッシュを利用して初期の高い書き込み速度を実現し、キャッシュが枯渇すると速度が低下する挙動を示す 3。レビューでは、IOMeterや大容量ファイルコピーを用いてこの挙動が測定されている。
6.2. SLCキャッシュサイズとキャッシュ枯渇後の書き込み速度
- SLCキャッシュサイズ: 1TBモデルの正確なSLCキャッシュサイズに関する情報は限られている。しかし、2TBモデルでは約408GBから420GB 10、あるいは約220GB 3 という報告があり、実装によって異なる可能性がある。一般的にTLC NANDを用いたドライブのダイナミックSLCキャッシュは最大で総容量の約1/3程度確保されるため、1TBモデルでは理論上最大約330GBとなるが、実用上の上限は200GB前後に設定されている可能性が高い。TechPowerUpのレビューでは、2TBモデルのキャッシュサイズを約408GBと見積もっている 33。
- キャッシュ枯渇後の速度: SLCキャッシュが満杯になった後の書き込み速度については、2TBモデルで概ね1.4 GB/sから1.5 GB/s程度で推移するという報告が多い 10。ただし、さらに負荷がかかると700 MB/s前後まで低下する可能性も指摘されている 15。一方で、2.5 GB/s程度で推移したという報告もあり 3、テスト条件やファームウェアによる違いが考えられる。1TBモデルのキャッシュ枯渇後の速度に関する直接的なデータは少ないが、2TBモデルと同等か、若干低い水準であると推測される。これらの速度は、TLC NANDかつDRAMレス設計のドライブとしては、決して悪くない水準であると評価されている 15。
6.3. 動作温度とサーマルスロットリング
- 動作温度: アイドル時および負荷時の動作温度については、レビュー間で報告に幅がある。一部のテストでは、特にPhison E26搭載ドライブと比較して、顕著に低い温度が報告されている(例: マザーボードヒートシンク下で最大44℃ 13、平均38℃ 13、あるいは最大52℃ 11)。これは、E31Tコントローラーの電力効率の高さを示唆している。しかし、別のテストでは、ヒートシンク装着下でも最大80℃ 15、ヒートシンクなしでは80℃でサーマルスロットリングが発生 12、あるいはコントローラーのホットスポットが100℃に達する 17 といった高い温度も報告されている。キオクシアは製品ラベル自体にヒートスプレッダー機能を持たせているが 5、これは補助的なものと考えられる。
- サーマルスロットリング: 高負荷が長時間続いたり、適切な冷却が行われなかったりすると、サーマルスロットリング(熱による性能抑制)が発生することが確認されている 12。スロットリングが発生する温度閾値は、E31Tコントローラーのテストから80℃~85℃程度と推測される 8。スロットリング発生時の性能低下は顕著で、書き込み速度が約1 GB/s 12 や約3 GB/s 16 まで低下する例が報告されている。
- 冷却の重要性: 電力効率が改善されたとはいえ、PCIe 5.0の高速動作は依然として大きな発熱を伴うため、特に持続的な高負荷状態での性能を維持するには、最低でもマザーボード付属のM.2ヒートシンクを使用することが強く推奨される 15。
6.4. 電力効率
- 公称値と実測値: キオクシアは、前世代のEXCERIA PLUS G3と比較して、最大シーケンシャルリード時において最大約80%の電力効率向上を謳っている 4。アクティブ時の標準的な消費電力は5.3Wとされている 4。実測値としては、リード/ライト時の平均消費電力が約5.9W、最大6.1W 2、あるいは平均3.4W、最大5.0W 33 といった報告がある。アイドル時の消費電力については情報が錯綜しており、PS4(低電力アイドル状態)で3.5mWという非常に低い値が報告される一方で 2、デスクトップアイドル時に1.4W 17 や2.2W 33 といった比較的高めの値も報告されており、一部レビューではアイドル電力の高さが欠点として指摘されている 20。これは測定時の省電力ステート (PS3, PS4など) やシステム構成の違いによる可能性がある。
- 効率の評価: E31Tコントローラーは、アクティブ時の電力効率において非常に優れていると評価されており、テストされたドライブの中で最高クラスの効率を示すという報告もある 9。
EXCERIA PLUS G4 (および搭載されるE31Tコントローラー) は、特に負荷時の電力効率において、初期のフラッグシップGen 5ドライブと比較して明確な改善を示している。これは、7nmプロセス採用などの技術的進歩によるものである 2。この改善により、ピーク温度はE26搭載ドライブよりも低く抑えられる傾向にある 11。しかしながら、「効率的」であることが「常に低温で動作する」ことを意味するわけではない。持続的な書き込み負荷は依然として大きな熱を発生させ 3、冷却なしでは性能低下を招く 12。キオクシアやPhison自身も、長時間のワークロードにはヒートシンクを推奨している 16。また、アイドル時の消費電力については、報告値にばらつきがあり、一部では比較的高めである可能性が示唆されているため、特にラップトップでの利用や常時稼働システムでの利用を考えるユーザーは注意が必要かもしれない。公称の「80%改善」という主張は、特定の条件下(最大シーケンシャルリード効率)での旧モデルG3との比較であり、すべての電力消費側面や競合製品との比較において普遍的に当てはまるわけではない。結論として、本ドライブは負荷時の効率において多くの競合製品、特に初期のGen 5モデルよりも優れており、熱的に制約のある環境においては相対的に有利である。しかし、最適な性能を維持するためには依然としてヒートシンクが強く推奨され、「効率的」という言葉を過度に楽観的に解釈すべきではない。
6.5. 熱および持続書き込み性能 サマリー表
メトリック | 値 (1TB推計 / 2TB実測) | 出典 (ウェブサイト名/ID) |
SLCキャッシュサイズ (GB) – 推定/実測 | ~200-330 / 220-420 | 3 |
キャッシュ枯渇後速度 (MB/s) – 初期低下 | ~1400-2500? / 1400-2500 | 3 |
キャッシュ枯渇後速度 (MB/s) – 追加低下 | ~700? / ~700 | 15 |
ピーク温度 (°C) – ヒートシンクあり | – / 44-80 | 10 |
ピーク温度 (°C) – ヒートシンクなし | – / 80-109 | 12 |
スロットリング閾値 (°C) – 推定 | ~80-85 | 8 |
消費電力 – アクティブ (W) – 標準/平均 | 5.3 / 3.4-5.9 | 2 |
消費電力 – アイドル (W/mW) | 1.4-2.2W / 3.5mW (PS4) | 2 |
(注: 1TBモデルの値は主に2TBモデルのデータからの推計。キャッシュサイズ、枯渇後速度、温度、アイドル電力には報告のばらつきあり)
7. 実世界での使用感と実用的な洞察
7.1. ファイル転送性能
実際のファイルコピーテストでは、EXCERIA PLUS G4は高速な転送速度を示す。例えば、KitGuruによる2TBモデルのFastCopyテストでは、8種類の異なる転送テストにおいて、書き込み平均4,259 MB/s、読み込み平均4,634 MB/sを記録した。最も速い転送は4K RAWムービークリップの書き込み (7,168 MB/s) であり、最も遅いのは50GBのファイルフォルダの書き込み (572 MB/s) であった 13。TechPowerUpのテストでは、121GBのゲームフォルダのコピーに57.8秒 (平均2100 MB/s) を要した 3。大容量ファイルコピー時には、特にQLC NANDを採用したエントリークラスSSDと比較して、性能低下が少なく、その優位性を体感できるとのユーザーレビューもある 48。
7.2. OS起動、アプリケーションローディング、ゲーミング体験
OSの起動時間、アプリケーションの起動時間、ゲームのロード時間など、日常的なタスクにおける体感速度や応答性に関する定性的なフィードバックも重要である。レビューでは、ゲーマーやビデオ編集者、一般ユーザーにとって十分な性能を提供すると評価されている 2。PCMark 10や3DMarkの個別トレース結果からも、Adobe製品の起動やゲームロードにおいて高速であることが示唆されている 11。TechPowerUpによる実測では、Windows 11の起動時間は15.7秒、Adobe Photoshopのファイルロード時間は17.1秒、Adobe Premiere Proのプロジェクトロード時間は10.9秒であった 3。
7.3. 全体的なユーザーエクスペリエンス
シングルサイドM.2 2280フォームファクターは、多くのデスクトップやラップトップへの物理的な取り付けを容易にする 36。キオクシアは、ドライブの状態監視やメンテナンス、ファームウェア更新などを行うための「SSD Utility」ソフトウェアを提供している 5。テスト期間中に安定性の問題が報告されなかったことも、信頼性を示す一因となる 20。
ベンチマークでは測定可能な差が存在するものの、EXCERIA PLUS G4とハイエンドPCIe 4.0 SSDとの間で、OS起動、ウェブブラウジング、軽度のゲームプレイ、オフィスアプリケーションといった一般的なタスクにおける体感的なユーザーエクスペリエンスの差は、多くのユーザーにとって最小限である可能性がある。この現象は、トップクラスのNVMeドライブ間の比較においてしばしば指摘される点である 48。PCMark 10のようなベンチマークは改善を示すものの 11、スコア差が必ずしも体感的な応答性の差に直結するわけではない。Gen 5のシーケンシャル速度が最も活かされるのは、大容量ファイルのコピー/移動、大容量ソースファイルを用いた高負荷なビデオ編集、あるいは将来のDirectStorage対応ゲームといった、一部のユーザーにとっては日常的ではないタスクである 20。OSやアプリケーションの機敏性にとって重要な低キューデプスでのランダム性能は、G4でも良好だが、トップクラスのGen 4ドライブもこの点で非常に優れており、体感的な差は縮まっている 14。したがって、G4をより安価なハイエンドGen 4ドライブよりも選択する決定は、ユーザーの特定のワークロードに大きく依存すべきである。頻繁な大容量ファイル転送や特定の高帯域幅タスクが一般的であれば、G4は明確な利点を提供する。しかし、使用パターンがより典型的なデスクトップアクティビティ中心であれば、Gen 5のために追加コストを支払うことは、現時点では限定的な体感上のメリットしか得られず、将来への投資という意味合いが強くなる。
8. 結論
8.1. 強み
- 高速シーケンシャル性能: 公称スペック(リード最大10,000 MB/s、ライト最大7,900 MB/s)を満たす、あるいは上回る高いシーケンシャルリード/ライト速度。
- アプリケーション性能: PCMark 10や3DMark Storageなどの実アプリケーションベースのベンチマークにおいて、旧世代製品から大幅な性能向上。
- 電力効率と発熱: 特に負荷時において、初期のハイエンドGen 5 SSDと比較して優れた電力効率と低い発熱。
- 低キューデプス性能: 一部のテストにおいて、良好な低キューデプス(QD1)ランダムアクセス性能。
- 価格競争力: PCIe 5.0 SSDとしては比較的手頃な価格帯に位置づけられる可能性。
- 設計と保証: 取り付けが容易なシングルサイドM.2 2280設計と、5年間の長期保証。
8.2. 弱み
- DRAMレス設計: オンボードDRAMキャッシュを搭載せずHMBに依存するため、高負荷時の性能一貫性に影響を与える可能性。
- 4チャネルコントローラー: 8チャネルコントローラー搭載のハイエンドGen 5 SSDと比較して、ピーク性能(特にランダムIOPSや一部のライト性能)に限界。
- 持続書き込み性能: SLCキャッシュ枯渇後に書き込み速度が大幅に低下(ただし、クラスとしては妥当な速度)。
- 冷却要件: 電力効率は改善されたものの、最適な持続性能のためには依然としてヒートシンクによる冷却が推奨される。
- アイドル電力: 一部の報告では、アイドル時の消費電力が比較的高めである可能性。
- 対Gen 4の実用性能差: 一般的なデスクトップタスクにおいては、ハイエンドGen 4 SSDに対する体感的な性能向上が限定的である可能性。
- ピークIOPSの達成困難性: 公称の最大ランダムIOPS値は、一般的なレビュー環境では達成が難しい。
- 価格変動: 発売後の価格が不安定であったとの報告あり 15。
8.3. 総合評価
キオクシア EXCERIA PLUS G4 1TB (SSD-CK1.0N5PLG4J) は、PCIe 5.0 SSDの第二世代として、初期モデルが抱えていた主要な課題(過度の発熱、高消費電力)にうまく対処した、バランスの取れた製品である。強力なシーケンシャル性能と優れた電力効率を、より現実的な価格で提供することを目指している。絶対的な最高性能やDRAMキャッシュの搭載よりも、シーケンシャル速度と効率を重視するユーザーにとって、PCIe 5.0への実用的なエントリーポイントとなる。
8.4. 推奨事項
- 推奨ユーザー:
- 極端な冷却ソリューションを避けたいPCIe 5.0システムビルダー。
- 頻繁に大容量ファイルの転送を行うユーザー(ビデオ編集者、コンテンツクリエーターなど)。
- Gen 4よりも効率を優先するラップトップユーザー(ただし、適切なM.2冷却が必要)。
- 将来性を見据えて、コスト効率の良いPCIe 5.0オプションを探しているユーザー。
- 代替案を検討すべきユーザー:
- 主な用途が一般的なデスクトップ作業(ウェブ閲覧、オフィス、軽度のゲーム)であり、ランダムI/O性能やコストパフォーマンスを最重視する場合、ハイエンドPCIe 4.0 SSDが依然として優れた選択肢となる可能性がある。
- 共通の推奨事項:
- どのような使用状況であっても、性能維持と製品寿命の観点から、M.2ヒートシンクの使用を強く推奨する。
引用文献
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