GeForce RTX 3050は、NVIDIAの最新のエントリークラスGPUとして、2022年1月に発売されました。DLSSやリアルタイムレイトレーシングに対応したAmpereアーキテクチャを採用し、フルHDゲーミングで優れたパフォーマンスを発揮しながらも、比較的低価格で購入できる点が魅力です。最新のテクノロジーを体験したいゲーマーにとって、魅力的な選択肢と言えるでしょう。
本稿では、GeForce RTX 3050のベンチマーク結果を様々な角度から検証し、その実力を詳細に分析します。
ベンチマーク結果の概要
GeForce RTX 3050はエントリークラスのGPUであるため、上位モデルであるGeForce RTX 3060などと比較すると性能は劣ります。しかし、GeForce GTX 1660 SUPERなどの前世代のミドルレンジGPUと比較すると、同等以上のパフォーマンスを発揮することが期待されます。 1 特に、リアルタイムレイトレーシングやDLSSに対応している点は、GeForce RTX 3050の大きなアドバンテージです。
3DMark ベンチマーク
3DMarkは、GPUの性能を測定するための定番ベンチマークソフトです。GeForce RTX 3050の3DMarkベンチマーク結果は以下の通りです。
テスト | GeForce RTX 3050 | GeForce RTX 3060 | GeForce GTX 1660 SUPER |
Fire Strike | 約70% | 100% | ほぼ同等 |
Time Spy | 約70% | 100% | ほぼ同等 |
Port Royal | 大幅に高いスコア | – | – |
DLSS feature test | 約70% | 100% | 非対応 |
DirectX Raytracing feature test | 高いスコア | – | 非対応 |
1
Fire StrikeとTime Spyでは、GeForce RTX 3050はGeForce RTX 3060に及ばないものの、GeForce GTX 1660 SUPERと同等のスコアを記録しています。一方、レイトレーシング性能を測定するPort Royalでは、GeForce GTX 1660 SUPERを大きく上回るスコアを記録しており、RTコアの搭載による効果が顕著に表れています。また、DLSS feature testではGeForce RTX 3060の約70%の性能を示し、DirectX Raytracing feature testではGeForce RTX 2060を上回る性能を示しています。これらの結果から、GeForce RTX 3050はエントリークラスでありながら、最新のテクノロジーに対応し、高いパフォーマンスを発揮できることが分かります。
ゲームベンチマーク
3DMarkなどのベンチマークソフトに加えて、実際のゲームにおけるパフォーマンスも重要です。GeForce RTX 3050のゲームベンチマーク結果を、いくつかのゲームタイトルで検証してみましょう。
- FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION: GeForce GTX 1660 SUPERと同等のスコア 2
- ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ: GeForce GTX 1660 SUPERと同等のスコア 2
- Apex Legends: 最高設定で平均89.9 fpsを記録。中設定では平均111.9 fpsに向上。 3
- Fortnite: 最高設定で平均66.3 fpsを記録。中設定では平均133.5 fpsに向上。 3
- Rainbow Six Siege: 最高設定で平均162.6 fps、高設定で平均182.1 fpsを記録。 3
- Assassin’s Creed Valhalla: 最高設定で平均54.9 fps、高設定で平均65.1 fpsを記録。 3
- Cyberpunk 2077: ウルトラ設定でレイトレーシングとDLSS(バランス品質)を有効にした場合、平均45.7 fpsを記録。DLSSのみ有効にした場合、平均60 fpsを記録。 3
- Forza Horizon 5: エクストリーム設定で平均52.9 fpsを記録。中設定では平均90 fpsに向上。 3
これらのゲームベンチマークにおいても、GeForce RTX 3050はGeForce GTX 1660 SUPERとほぼ同等、あるいはそれ以上の性能を示しています。DLSSを有効にすることで、さらに高いフレームレートでゲームを楽しむことができます。
GeForce RTX 3050 vs. Other GPUs
GeForce RTX 3050の性能を他のGPUと比較したベンチマーク結果は以下の通りです。
GPU | 3DMark Fire Strike | 3DMark Time Spy |
GeForce RTX 3060 Ti | – | 約2倍 |
GeForce RTX 3060 | 約1.4倍 | 約1.4倍 |
GeForce RTX 2060 | 約1.2倍 | – |
GeForce GTX 1660 Ti | – | 約1.3倍 |
GeForce GTX 1660 SUPER | ほぼ同等 | ほぼ同等 |
GeForce GTX 1660 | – | 約1.2倍 |
GeForce GTX 1650 SUPER | 約1.4倍 | 約1.7倍 |
GeForce GTX 1650 | – | 約2倍 |
3
GeForce RTX 3050は、GeForce GTX 1660 SUPERと同等レベルの性能を持つ一方で、GeForce RTX 3060 TiやGeForce RTX 3060といった上位モデルには及ばないことが分かります。
デスクトップ版とノートPC版の比較
GeForce RTX 3050は、デスクトップPC向けとノートPC向けにそれぞれ提供されています。ノートPC版は、デスクトップ版と比較してグラフィックスメモリ容量が4GBと少なく、性能もやや劣る傾向があります。 6 これは、ノートPCの限られたスペースや電力供給に合わせた設計によるものです。
しかし、最新のノートPC向けGeForce RTX 3050は、1920×1080ドットの解像度でリアルタイムレイトレーシングを有効にしたゲームを60fps以上でプレイできるだけの性能を備えています。 6 モバイル環境でも、最新のゲームを快適に楽しむことができるでしょう。
モデル | メモリ容量 | 3DMark Time Spy |
デスクトップ版 | 8GB | 4,798 |
ノートPC版 | 4GB | 5,246 |
7
オーバークロック性能
GeForce RTX 3050は、オーバークロックによって性能を向上させることができます。 8 オーバークロックを行うことで、ゲームによってはフレームレートを数%から最大で20%程度向上させることが可能です。 3 例えば、Cyberpunk 2077では、オーバークロックによって平均フレームレートが60fpsに到達しました。 3
ただし、オーバークロックはGPUの温度上昇や消費電力増加を招く可能性があるため、注意が必要です。 8 安定性を確保し、適切な冷却対策を行うことが重要です。
消費電力と温度
GeForce RTX 3050は、消費電力が130Wと、比較的低く抑えられています。 8 これは、前世代のGeForce GTX 1070よりも20Wも低い値です。 8 ベンチマーク実行中の消費電力は、平均195.6~219.3W、最大208.5~241.8W程度です。 2 GPU温度は、高負荷時でも最高70℃程度に抑えられています。 9
GeForce RTX 3050は、優れたパフォーマンスを発揮しながらも、消費電力を抑えている点が特徴です。ワットパフォーマンスが高く、省電力性に優れていると言えるでしょう。 8
DLSSについて
DLSS (Deep Learning Super Sampling) は、NVIDIAが開発したAIベースのアップスケーリング技術です。DLSSは、低解像度の画像をAIによって高解像度化することで、画質を維持しながらフレームレートを向上させることができます。
GeForce RTX 3050は、DLSSに対応しており、対応ゲームにおいてはDLSSを有効にすることで、より高いフレームレートでゲームを楽しむことができます。 3 例えば、Cyberpunk 2077では、DLSSを有効にすることで、フレームレートが約1.5倍に向上しました。 3
競合製品との比較
GeForce RTX 3050の主な競合製品は、AMDのRadeon RX 6500 XTです。Radeon RX 6500 XTは、GeForce RTX 3050よりも低価格ですが、グラフィックスメモリ容量が4GBと少なく、性能もやや劣る傾向があります。 10
GeForce RTX 3050は、Radeon RX 6500 XTよりも高い価格ですが、グラフィックスメモリ容量が8GBと多く、DLSSやレイトレーシングに対応しているなど、総合的な性能で勝る場面が多いです。 10 ゲームタイトルや設定によっては、Radeon RX 6500 XTがGeForce RTX 3050を上回るパフォーマンスを発揮する場合もあります。
まとめ
GeForce RTX 3050は、エントリークラスのGPUとして、フルHDゲーミングにおいて十分な性能を備えています。特に、DLSSやリアルタイムレイトレーシングに対応している点は、大きな魅力です。GeForce GTX 1660 SUPERなどの前世代のミドルレンジGPUと比較しても、同等以上の性能を発揮することが期待できます。
GeForce RTX 3050は、フルHD解像度で快適にゲームをプレイしたいと考えているゲーマーにとって、コストパフォーマンスに優れた選択肢と言えるでしょう。最新のテクノロジーを体験しながら、予算を抑えたいゲーマーにおすすめです。バランスの取れた性能、機能、価格により、GeForce RTX 3050は、最新のゲームの世界に足を踏み入れたいと考えている予算重視のゲーマーにとって、魅力的な選択肢となっています。
GeForce RTX 3050 スペック
項目 | 値 |
アーキテクチャ | NVIDIA Ampere |
CUDAコア | 2560基 |
Tensorコア | 80基 |
RTコア | 20基 |
メモリ | GDDR6 8GB |
メモリバス | 128bit |
消費電力 | 130W |
10
引用文献
1. GeForce RTX 3050ベンチマークレビュー | パソコン工房 NEXMAG, 3月 9, 2025にアクセス、 https://www.pc-koubou.jp/magazine/62756
2. 【Hothotレビュー】“3万9800円から”のGeForce RTX 3050の実力を試す, 3月 9, 2025にアクセス、 https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/hothot/1383245.html
3. RTX 3050ベンチマーク & レビュー:今更GTX 1660 Superと同等性能・・・? | ちもろぐ, 3月 9, 2025にアクセス、 https://chimolog.co/bto-gpu-rtx-3050/
4. PassMark Software – Video Card (GPU) Benchmarks – High End Video Cards, 3月 9, 2025にアクセス、 https://www.videocardbenchmark.net/high_end_gpus.html
5. GeForce GTX 1660 SUPER vs GeForce RTX 3050 8GB vs GeForce RTX 2060 vs GeForce RTX 3060 12GB vs GeForce RTX 3060 Ti – Video Card Benchmarks, 3月 9, 2025にアクセス、 https://www.videocardbenchmark.net/compare/GeForce-GTX-1660-SUPER-vs-GeForce-RTX-3050-vs-GeForce-RTX-2060-vs-GeForce-RTX-3060-vs-GeForce-RTX-3060-Ti/4159vs4495vs4037vs4345vs4318
6. NVIDIA,デスクトップPC向けGPU「GeForce RTX 3050」やノートPC向け「GeForce RTX 3080 Ti/3070 Ti」を発表 – 4Gamer, 3月 9, 2025にアクセス、 https://www.4gamer.net/games/527/G052743/20220105002/
7. 【GeForce】RTX3050TiとRTX3050のスペック、ベンチ、ゲーム性能を紹介!果たしてその性能は!?+RTX3080Ti続報 – YouTube, 3月 9, 2025にアクセス、 https://www.youtube.com/watch?v=wK05bFe7gWw
8. RTX 3050 とは?スペックや性能、口コミまで徹底解説 – | 法人様向けパソコンならドスパラプラス, 3月 9, 2025にアクセス、 https://dosparaplus.com/library/details/001254.html
9. レイトレ環境をより身近にするエントリーグラフィックス、NVIDIA「GeForce RTX 3050」検証 – エルミタージュ秋葉原, 3月 9, 2025にアクセス、 https://www.gdm.or.jp/review/2022/0126/424602/7
10. RTX 3050のゲーム性能をベンチマーク!【凡庸?汎用?】 – こまたろPC, 3月 9, 2025にアクセス、 https://jiyunagomataro.com/pc_smartphone/rtx3050/