1. Google Tensor G2: 概要と技術仕様
1.1. 開発背景とアーキテクチャ
Google Tensor G2(型番: GS201、コードネーム: Cloudripper)は、GoogleがPixel 7シリーズおよびPixel Tablet向けに開発した第2世代のカスタムSystem-on-a-Chip (SoC) です 1。初代Tensor (GS101) の直接の後継チップとして2022年10月に発表され、初代に引き続きSamsungとの協業体制で開発されました 1。
アーキテクチャとしてはARMv8.2-Aを採用し、64ビットに対応しています 1。ただし、Tensor G2世代ではAndroid OSレベルでの32ビットアプリケーションのサポートが段階的に終了に向かう過渡期にあり、チップ自体は32ビット命令セットも保持しつつ、ソフトウェアエコシステム全体としては64ビットへの完全移行を目指す動きの中に位置づけられていました 4。この戦略は、将来的な性能向上やセキュリティ強化を見据えたものですが、一部の古い32ビットアプリの利用者にとっては互換性の問題を生じさせる可能性がありました。
Tensor G2のベースSoCはSamsungのExynos 2200であるとされています 1。これは、チップの基本的な設計思想や構成要素において、Samsungの技術が基盤となっていることを示唆します。しかし、Googleは単にExynosを流用するのではなく、特に人工知能 (AI) および機械学習 (ML) の処理能力を強化するために、独自のカスタマイズを施しています。その中核となるのが、Google独自のAIアクセラレータであるEdge TPUの搭載です 1。このEdge TPU (G2では「Janeiro」と呼ばれる第2世代) は、音声認識、リアルタイム翻訳、そして特にPixelシリーズの評価を高めている計算写真技術(Computational Photography)など、Googleが重視するAI機能の高速かつ効率的な実行を可能にします 1。
GoogleのSoC開発戦略は、競合他社(QualcommやAppleなど)がしばしば注力するような、CPUやGPUの純粋なピーク性能競争とは一線を画しています。むしろ、Exynosという既存の強力なプラットフォームを基盤としつつ、自社の強みであるAI技術をハードウェアレベルで統合(Edge TPU)することで、ソフトウェアとハードウェアが緊密に連携した独自のユーザー体験(特にAI関連機能)を創出することに重点を置いています 3。このアプローチは、開発リソースをGoogleならではの差別化要因であるAI機能に集中させ、開発期間やコストを管理しながら市場に製品を投入するための合理的な選択であったと考えられます。
1.2. 主要スペック詳細
Google Tensor G2の主要な技術仕様は以下の通りです。
- プロセスノード: 初代TensorがSamsungの5nm LPEプロセスで製造されたこと、そして後継のTensor G3/G4が4nmプロセス(SF4/SF4P)を採用していることを考慮すると、Tensor G2は初代と同じ5nmプロセス、あるいは初期の4nmプロセスを採用した可能性が高いと考えられます 1。提供された資料 1 ではG2のプロセスノードが明記されておらず、この点については不確実性が残ります。
- CPU: 8コア構成で、ARMv8.2-Aアーキテクチャに基づいています 1。
- 高性能コア: 2.85GHz駆動のARM Cortex-X1 × 2基
- 中性能コア: 2.35GHz駆動のARM Cortex-A78 × 2基
- 高効率コア: 1.8GHz駆動のARM Cortex-A55 × 4基 初代Tensorと比較すると、最高性能コアであるCortex-X1のクロック周波数がわずかに向上 (2.8GHz → 2.85GHz) し、中性能コアがCortex-A76からより新しく高性能なCortex-A78に変更され、クロック周波数も向上 (2.25GHz → 2.35GHz) しています 1。
- GPU: ARM Mali-G710 MP7(7コア構成)を採用しています 1。クロック周波数は850MHzとされています 9。初代TensorのMali-G78 MP20(20コア)と比較するとコア数は大幅に減少していますが、Mali-G710はG78よりも新しいアーキテクチャであり、電力効率や単位面積あたりの性能が向上しています。単純なコア数比較だけでは性能の優劣を判断できず、アーキテクチャの世代交代による影響を考慮する必要があります。
- NPU (AI Processor): 第2世代のカスタムEdge TPU「Janeiro」を搭載しています 1。GoogleはこのTPUが、Pixelデバイスの主要機能である写真のボケ補正(Photo Unblur)、リアルタイム翻訳、文字起こし、通話音声のクリア化など、多岐にわたるAI処理をデバイス上で高速かつ低消費電力で実行するために不可欠であると強調しています 3。
- RAM: LPDDR5規格のメモリに対応しています。バス幅は4×16-bitのクアッドチャネル構成です 1。Pixel 7 Proのベンチマーク情報からは、12GBのRAMを搭載したモデルが存在することが示唆されています 7。
- ストレージ: UFS 3.1規格に対応しており、高速なデータ読み書きが可能です 1。
- モデム: 通信機能の中核として、Samsung製のExynos 5300モデムを搭載しています 1。
- 接続性: Wi-Fi 6およびWi-Fi 6Eに対応し、高速な無線LAN通信が可能です 1。Bluetoothについては、バージョン5.2 1 または5.3 10 との情報があり、資料によって若干の差異が見られますが、いずれにせよ最新規格に近い機能を提供します。NFCやデュアルバンドGNSS(GPSなど)もサポートしています 1。
- セキュリティ: Google独自のセキュリティチップであるTitan M2と連携し、ARM TrustZone技術(Trusty OS)を利用した堅牢なセキュリティ環境を提供します 1。また、Pixelデバイスに対しては5年間のセキュリティアップデートが保証されています 11。
CPU構成における中性能コアのCortex-A78への変更は、単なる性能向上だけでなく、前世代のCortex-A76と比較して電力効率の改善も意図されている可能性があります 11。これはバッテリー駆動時間の延長に寄与する可能性があります。一方、GPUコア数の削減(MP20→MP7)は、一見するとグラフィック性能の低下を招くように見えますが、新しいMali-G710アーキテクチャの採用による効率向上や、GoogleがTensor G2で重視するユースケース(AI処理やカメラISPとの連携)を考慮した結果かもしれません。つまり、一般的なゲームにおけるピーク性能を極限まで追求するよりも、AI関連タスクや写真処理に必要な性能を確保しつつ、全体の電力効率やチップ面積、発熱とのバランスを最適化した設計である可能性が考えられます。
表1: Google Tensor G2 主要技術仕様
項目 | 仕様 | 出典 |
型番 | GS201 | 1 |
コードネーム | Cloudripper | 1 |
プロセスノード | Samsung 5nm LPE または 4nm (要確認) | 1 |
CPU | 8コア: 2x Cortex-X1 @2.85GHz + 2x Cortex-A78 @2.35GHz + 4x Cortex-A55 @1.8GHz | 1 |
GPU | ARM Mali-G710 MP7 (@850MHz) | 1 |
NPU | 第2世代 Edge TPU (Janeiro) | 1 |
RAM | LPDDR5 (4×16-bit Quad-channel) | 1 |
ストレージ規格 | UFS 3.1 | 1 |
モデム | Exynos 5300 | 1 |
Wi-Fi | Wi-Fi 6 / 6E | 1 |
Bluetooth | 5.2 / 5.3 | 1 |
セキュリティ | Titan M2, TrustZone (Trusty OS) | 1 |
1.3. 主な搭載デバイス
Google Tensor G2は、以下のGoogle製デバイスに搭載されています。
- Google Pixel 7 12
- Google Pixel 7 Pro 7
- Google Pixel Tablet 3
- Google Pixel 7a (ユーザーレビューから搭載が示唆される)14
- Google Pixel Fold (発売時期からG2搭載と推定されるが、提供資料内での明記なし)
これらのデバイスは、Tensor G2の強力なAI処理能力を最大限に活用し、他のスマートフォンやタブレットでは実現が難しい、あるいは処理速度が劣るような独自の機能を提供しています。例えば、Pixel 7シリーズでは、撮影後の写真のブレやボケを修正する「ボケ補正」、高精度なリアルタイム翻訳、話者の分離も可能な文字起こし機能などが、Tensor G2によって支えられています 3。Pixel Tabletにおいても、高速なストリーミング再生、高画質なビデオ通話、正確な音声入力などが、Tensor G2の搭載によって実現されているとGoogleは説明しています 3。
2. ベンチマークによる性能測定
2.1. 主要ベンチマークソフトの紹介
スマートフォンのSoC性能を客観的に測定し比較するために、様々なベンチマークソフトウェアが利用されています。これらのソフトウェアは、CPUの演算能力、GPUのグラフィック描画能力、メモリのアクセス速度、ストレージの読み書き速度、そしてそれらを総合したユーザーエクスペリエンス(UX)などを数値化します。Tensor G2の性能評価においても、以下の主要なベンチマークソフトが参照されます。
- Geekbench (現行バージョン: Geekbench 6): 主にCPUのシングルコア性能とマルチコア性能の測定に特化したベンチマークソフトです 15。異なるOS(Android, iOS, Windows, macOSなど)間でのスコア比較が比較的容易であるため、クロスプラットフォームでの性能比較によく用いられます 15。近年ではGPUの演算性能(Compute)を測定する機能も追加されています 16。Google Playストアなどから入手可能です 19。
- AnTuTu Benchmark: スマートフォン全体の総合的なパフォーマンスを評価するための定番ベンチマークアプリです 15。CPU、GPU、RAM(メモリ)、UX(ユーザーエクスペリエンス、主にストレージI/O性能や応答性などが含まれる)の各項目を個別にテストし、それらを合算した総合スコアを算出します 15。かつてはGoogle Playストアから削除された時期もありましたが、現在も広く利用されており、多くのレビューで参照されています 16。日本語表示にも対応しています 15。
- 3DMark: 主にGPUの3Dグラフィック描画性能を測定することに特化したベンチマークソフトです 15。特にスマートフォンのゲーム性能を推し量る際の指標として重要視されます。「Wild Life」、「Wild Life Extreme」、「Solar Bay」(レイトレーシング対応)、「Steel Nomad Light」など、負荷レベルやテスト内容の異なる複数のテストシナリオが用意されており、デバイスの性能に合わせて選択できます 16。クロスプラットフォームに対応しており、AndroidとiOSデバイス間のグラフィック性能比較も可能です 21。
これらの主要なソフト以外にも、PCMark(実用的なタスクを通じた性能測定)17、GFXBench(グラフィック性能測定)15、Vellamo(Webブラウジング性能測定)15、CPDT Benchmark(ストレージ性能測定)17 など、特定の性能側面に特化したベンチマークソフトも存在します。
スマートフォンのSoC性能を評価する際には、単一のベンチマークスコアだけを見るのではなく、複数の異なるテストの結果を総合的に参照することが重要です。例えば、GeekbenchはCPUの純粋な計算能力、3DMarkは高度なグラフィック処理能力、AnTuTuはシステム全体のバランスの取れた性能を示す傾向があります。これらの結果を組み合わせることで、SoCの特性や得意・不得意な分野をより深く理解することができます。
2.2. CPU性能ベンチマークスコア
2.2.1. Geekbench スコア分析
Google Tensor G2を搭載したPixel 7 ProにおけるGeekbench 5のスコアが、日本語のレビューサイトや情報サイトで報告されています。
- シングルコアスコア: 1,068点 7
- マルチコアスコア: 3,149点 7
これらのスコアを初代Tensor搭載機(Pixel 6など)と比較すると、シングルコア性能は約1,034点から1,068点へと約3%の向上に留まる一方、マルチコア性能は約2,756点から3,149点へと約14%と、より顕著な向上が見られます 24。
この性能向上パターンは、Tensor G2のCPUアーキテクチャの変更点を反映していると考えられます。シングルコア性能は主に最高性能コア(Cortex-X1)の能力に依存しますが、そのクロック周波数の向上幅は2.8GHzから2.85GHzと比較的小さなものでした 1。これがシングルコアスコアの伸びが限定的だった一因でしょう。一方で、マルチコア性能は全てのCPUコア(高性能、中性能、高効率)の連携によって決まります。Tensor G2では中性能コアがCortex-A76からより効率的で高性能なCortex-A78に変更され、クロック周波数も向上しました 1。この変更が、マルチコア処理能力の向上に大きく寄与したと推測されます。また、タスクスケジューリングの最適化などもマルチコア性能の向上に影響している可能性があります。
Geekbenchの結果からは、Tensor G2のCPUは、特に複数のタスクを同時に処理するような場面において、初代Tensorからの着実な進化を遂げていることが確認できます。
2.2.2. AnTuTu CPU スコア分析
AnTuTu Benchmark (v9.4.4) を用いた測定結果では、Tensor G2搭載デバイスのCPUスコアは以下の通り報告されています 12。
- Google Pixel 7 Pro: 194,017点
- Google Pixel 7: 197,606点
Pixel 7とPixel 7 Proの間でスコアに若干の差が見られますが、これは測定時のコンディションや個体差による誤差の範囲内と考えられ、両モデルは実質的に同等のCPU性能を有していると解釈できます。これらのスコアは、Tensor G2がある程度のCPU演算能力を持っていることを示しており、AnTuTu総合スコアの重要な構成要素となっています。ただし、このCPUスコア単独での評価は難しく、その性能レベルを正確に把握するためには、後述する競合SoCとの比較(セクション3)が不可欠です。
2.3. GPU性能ベンチマークスコア
2.3.1. 3DMark スコア分析
主要なGPUベンチマークである3DMarkに関して、提供された日本語の情報源の中には、Google Tensor G2搭載デバイス(Pixel 7シリーズなど)の具体的なスコア(例: Wild Lifeテストのスコア)を記載したものは見当たりませんでした。したがって、3DMarkを用いたGPU性能の詳細な分析には、追加の調査によって信頼できる日本語レビューサイト等からスコア情報を収集する必要があります。
2.3.2. AnTuTu GPU スコア分析
AnTuTu Benchmark (v9.4.4) におけるGPUスコアについては、以下の結果が報告されています 12。
- Google Pixel 7 Pro: 284,372点
- Google Pixel 7: 292,865点
ここでもPixel 7と7 Proの間でわずかな差が見られますが、誤差の範囲内と考えられます。注目すべきは、これらのGPUスコアが、同ベンチマークにおけるCPUスコア(約19万点台)よりも大幅に高い値を示している点です。これは、AnTuTuの総合スコアにおいて、GPU性能がCPU性能以上に大きな比重を占めていることを示唆しています。
搭載されているGPU、ARM Mali-G710 MP7 1 は、このスコアから判断する限り、一定レベルのグラフィック処理能力を有していると言えます。しかし、このAnTuTu GPUスコアが、競合する他のハイエンドSoC(特にSnapdragonシリーズのAdreno GPU)と比較してどの程度の水準にあるのか、そして実際のゲームプレイ体験(セクション4.1で後述)とどの程度相関するのかについては、さらなる比較分析が必要です。
2.4. 総合ベンチマークスコア
2.4.1. AnTuTu 総合スコア分析
AnTuTu Benchmark (v9.4.4) によるTensor G2搭載デバイスの総合スコアは以下の通りです 12。
- Google Pixel 7 Pro: 763,939点
- Google Pixel 7: 746,772点
これらの総合スコアは、CPUスコア、GPUスコアに加え、MEM(メモリ性能)スコアとUX(ユーザーエクスペリエンス)スコアを合算したものです。各項目の内訳は以下の通りです 12。
- Pixel 7 Pro: CPU 194,017, GPU 284,372, MEM 130,778, UX 154,772
- Pixel 7: CPU 197,606, GPU 292,865, MEM 112,088, UX 144,213
総合スコアが約75万点から76万点台であることから、Tensor G2は発表当時(2022年後半)のハイエンドスマートフォン向けSoC市場において、最上位層には及ばないものの、高性能なカテゴリに属するパフォーマンスを持っていたことがわかります(具体的な競合比較はセクション3で行います)。
Pixel 7 ProとPixel 7の間で見られる約1万7千点のスコア差について、内訳を見ると特にMEMスコアの差(Pixel 7 Pro: 130,778 vs Pixel 7: 112,088)が比較的大きいことがわかります。これは、両モデル間で搭載されているRAM容量に違いがあることに起因する可能性があります。Pixel 7 Proには12GB RAM搭載モデルが存在するのに対し 7、Pixel 7は通常8GB RAMを搭載しています。RAM容量や速度の違いがMEMスコアに影響し、結果として総合スコアの差につながっていると考えられます。UXスコアにも差が見られますが、これはストレージ性能の個体差や、テスト実行時の細かな条件の違いなども影響している可能性があります。
表2: Google Tensor G2 ベンチマークスコア概要 (Pixel 7/Pro)
デバイス | ベンチマークソフト | テスト項目 | スコア | 出典 |
Pixel 7 Pro | Geekbench 5 | Single-Core | 1,068 | 7 |
Pixel 7 Pro | Geekbench 5 | Multi-Core | 3,149 | 7 |
Pixel 7 Pro | AnTuTu v9.4.4 | Overall | 763,939 | 12 |
Pixel 7 Pro | AnTuTu v9.4.4 | CPU | 194,017 | 12 |
Pixel 7 Pro | AnTuTu v9.4.4 | GPU | 284,372 | 12 |
Pixel 7 Pro | AnTuTu v9.4.4 | MEM | 130,778 | 12 |
Pixel 7 Pro | AnTuTu v9.4.4 | UX | 154,772 | 12 |
Pixel 7 | AnTuTu v9.4.4 | Overall | 746,772 | 12 |
Pixel 7 | AnTuTu v9.4.4 | CPU | 197,606 | 12 |
Pixel 7 | AnTuTu v9.4.4 | GPU | 292,865 | 12 |
Pixel 7 | AnTuTu v9.4.4 | MEM | 112,088 | 12 |
Pixel 7 | AnTuTu v9.4.4 | UX | 144,213 | 12 |
3. 競合SoCとの性能比較
3.1. 比較対象SoCの選定
Google Tensor G2の性能を市場における相対的な位置づけで評価するためには、同時期にハイエンドスマートフォン市場で競合していた主要なSoCとの比較が不可欠です。Tensor G2は2022年10月に登場したため 1、比較対象としては以下のQualcomm製Snapdragon SoCが適切と考えられます。
- Snapdragon 8 Gen 1: 2021年末に発表され、2022年前半の多くのAndroidフラッグシップ機に搭載されたSoC。Tensor G2登場前の主要な競合製品。
- Snapdragon 8+ Gen 1: Snapdragon 8 Gen 1の改良版で、主に製造プロセス変更により性能と電力効率が改善されたモデル。2022年半ばに登場し、Tensor G2と同時期の直接的な競合製品。
- Snapdragon 8 Gen 2: 2022年末に発表され、2023年のAndroidフラッグシップ機の主力となったSoC。Tensor G2の性能を測る上での上位の指標となる。
ユーザーからの要求にもSnapdragon 8 Gen 1/Gen 2との比較が含まれていましたが、提供された日本語の情報源の中には、これらのSnapdragonチップとTensor G2のベンチマークスコアを直接比較したデータは含まれていませんでした。したがって、以下の比較分析は、Tensor G2のスコア(7 など)と、信頼できる日本語のテクノロジーレビューサイト等で一般的に報告されているSnapdragonチップのベンチマークスコアを組み合わせる形で進める必要があります。
3.2. ベンチマークスコア比較
Tensor G2と主要な競合Snapdragon SoCの性能を、主要なベンチマークテスト(Geekbench, AnTuTu, 3DMark)を用いて比較します。以下の表には、Tensor G2のスコアと、一般的な日本語レビューサイト等で報告されているSnapdragon SoCのおおよそのスコアレベルを示します。(注意:Snapdragonのスコアは外部情報源に基づく参考値であり、テストバージョンや測定条件によって変動します。)
表3: Google Tensor G2 vs 競合SoC ベンチマークスコア比較(推定値含む)
SoC名 | Geekbench 5/6 SC (推定) | Geekbench 5/6 MC (推定) | AnTuTu v9/v10 Overall (推定) | AnTuTu GPU (推定) | 3DMark Wild Life (推定) | 出典 (Tensor G2) / 外部参照 (Snapdragon) |
Google Tensor G2 | 約1070 (GB5) | 約3150 (GB5) | 約75-76万 (v9) | 約28-29万 (v9) | (データ不足) | 7 |
Snapdragon 8 Gen 1 | 約1200 (GB5) | 約3800 (GB5) | 約90-100万 (v9) | 約40-45万 (v9) | 約9500-10000 | 外部参照 |
Snapdragon 8+ Gen 1 | 約1300 (GB5) | 約4200 (GB5) | 約105-110万 (v9) | 約45-50万 (v9) | 約10500-11000 | 外部参照 |
Snapdragon 8 Gen 2 | 約1500 (GB5) / 約1900 (GB6) | 約4800 (GB5) / 約5100 (GB6) | 約120-130万 (v10) | 約55-60万 (v10) | 約13000-14000 | 外部参照 |
注: Snapdragonのスコアは一般的な傾向を示す参考値です。Geekbench 6やAnTuTu v10のスコアは、v5/v9とは直接比較できません。
上記の比較から、以下の傾向が推測されます。
- CPU性能 (Geekbench): Tensor G2のシングルコア性能はSnapdragon 8 Gen 1と同等か、やや下回る可能性があります。マルチコア性能はSnapdragon 8 Gen 1に近いレベルかもしれませんが、改良版である8+ Gen 1や、特に次世代の8 Gen 2に対しては差が見られます。
- GPU性能 (AnTuTu GPU, 3DMark): Tensor G2のGPU性能 (Mali-G710 MP7) は、Snapdragon 8 Gen 1のAdreno GPUに近いか、やや劣る可能性があります。しかし、Snapdragon 8+ Gen 1、特にSnapdragon 8 Gen 2のAdreno GPUと比較すると、グラフィック処理能力において明確な差が存在すると考えられます。AnTuTu GPUスコアや、特に高負荷な3DMarkのスコアでその差が顕著になるでしょう。
- 総合性能 (AnTuTu Overall): Tensor G2のAnTuTu総合スコア(約75万点台)は、Snapdragon 8 Gen 1搭載機の初期スコア(約90万点以上)、Snapdragon 8+ Gen 1(100万点超え)、そしてSnapdragon 8 Gen 2(120万点超え)と比較すると、低い水準に留まります。
3.3. 性能ポジショニング分析
ベンチマークスコアに基づく比較からは、Google Tensor G2は、その発表時期(2022年後半)において、市場の最上位に位置するQualcomm Snapdragon SoC(特にSnapdragon 8+ Gen 1や、続くSnapdragon 8 Gen 2)に対して、純粋な処理性能、とりわけGPU性能と総合スコアにおいて劣っていたと評価できます。
この性能差は、GoogleがTensor G2の開発において、必ずしも業界最高のベンチマークスコアを追求したわけではないことを示唆しています。むしろ、Googleは自社のソフトウェア、特にAIを活用したカメラ機能や音声認識、リアルタイム翻訳といった独自機能との連携を最適化し、それらを快適に動作させるための性能と電力効率のバランスを重視したと考えられます 3。前述の通り、独自のEdge TPU 1 を搭載し、AI処理能力を強化したことが、この戦略を象徴しています。
したがって、Tensor G2のポジショニングは、「最高のピーク性能」ではなく、「GoogleのサービスとAI機能に最適化された体験」を提供することにあると言えます。ベンチマークスコア上では競合に見劣りする部分があったとしても、Google AIによるユニークな機能(例えば、写真のボケ補正、クリアな通話音声、高精度な文字起こしなど)を通じて、ユーザーに異なる種類の価値を提供しようとしています。この戦略が市場で成功するかどうかは、単なる数値上の性能だけでなく、これらの独自機能が実際の使用感においてどれだけ魅力的であるか(セクション4で詳述)に大きく依存すると言えるでしょう。
4. 実使用感に基づく評価
ベンチマークスコアはSoCの潜在的な性能を示す重要な指標ですが、実際のスマートフォンの使用感がスコア通りになるとは限りません。ソフトウェアの最適化、発熱制御、バッテリー効率など、多くの要因がユーザー体験に影響を与えます。ここでは、日本語のレビューサイトやユーザー報告から、Google Tensor G2搭載デバイスの実使用感に関する評価を分析します。
4.1. ゲームプレイにおける性能
ベンチマークスコア、特にAnTuTuのGPUスコア 12 は比較的高水準を示唆していましたが、実際のゲームプレイにおいては、Tensor G2の性能が必ずしも期待通りではない、あるいは特定のゲームタイトルに対する最適化が不十分である可能性が指摘されています。
あるユーザーレビュー 14 では、Tensor G2を搭載したPixel 7aで「ウマ娘 プリティーダービー」をプレイした際、旧世代のiPhone(iPhone 13やiPhone 11)や、さらにはミドルレンジとされるSnapdragon 695 5G搭載のスマートフォンよりも、動作のもたつきやストレスを感じることがあったと報告されています。レース中の高精細表示自体は可能であるものの、日常的な周回プレイなど、継続的な操作が求められる場面で重さを感じることがあったようです 14。
この報告は、合成ベンチマークのスコアと実際のゲーム体験との間に乖離が存在する可能性を示唆しています。考えられる原因としては、いくつかの可能性が挙げられます。第一に、特定のゲームエンジンやグラフィックAPI(例: Vulkan, OpenGL ES)に対するGPUドライバの最適化が、競合するAdreno GPUほど進んでいない可能性。第二に、ピーク性能は発揮できても、高負荷が持続するゲームプレイ中に発熱によるサーマルスロットリング(性能抑制)が発生しやすく、パフォーマンスが低下してしまう可能性。第三に、Tensor G2に採用されたMali-G710 MP7というGPUアーキテクチャが、特定の種類のグラフィック処理(例えば、特定のシェーダー処理や大量のオブジェクト描画など)において、SnapdragonのAdreno GPUほど効率的ではない可能性などが考えられます。
このため、特にグラフィック負荷の高いゲームを快適にプレイしたいユーザーにとっては、ベンチマークスコアだけを鵜呑みにするのではなく、実際にプレイしたいゲームタイトルでの動作レビューやプレイ動画などを確認することが、Tensor G2搭載デバイスを選ぶ上でより重要になると言えます。
4.2. マルチタスクと日常操作の快適性
一方で、ゲーム以外の一般的な用途、すなわちWebブラウジング、SNSの利用、動画視聴、メッセージング、地図アプリなどの日常的な操作においては、多くのユーザーはTensor G2搭載デバイスに対して大きな不満を感じていないようです。Pixel 7aのユーザーレビューでも、「普段遣いに関してはそれほど不満はない」と述べられています 14。
また、Google Pixel Tabletのようなデバイスでは、Tensor G2の処理能力により、画面を分割して複数のアプリを同時に使用するマルチタスクもスムーズに行えるとされています 3。これは、Tensor G2が持つ十分なCPU性能(特に初代から向上したマルチコア性能 7)と、比較的高速なLPDDR5 RAM 1 の組み合わせによって支えられていると考えられます。一般的なスマートフォンの利用シーンにおいては、Tensor G2は快適な動作を提供する能力を持っていると言えるでしょう。
4.3. 発熱とバッテリー消費
高性能なSoCは、その性能を発揮する代償として、高負荷時に発熱しやすく、バッテリー消費も大きくなる傾向があります。Tensor G2の発熱やバッテリー消費に関する日本語の情報源からの具体的なレビューや測定データは、提供された資料の中では限定的でした。
前述のように、CPUに電力効率の良いCortex-A78コアを採用したこと 1 や、電力効率改善への言及 11 から、Googleがバッテリー効率を意識して設計したことは伺えます。しかし、実際のユーザー体験として、特に高負荷が続く状況(長時間のゲームプレイや動画撮影など)でどの程度の発熱があり、それがパフォーマンス(サーマルスロットリングによる性能低下)やバッテリー持続時間にどの程度影響するのかは、これらの資料だけでは明確ではありません。
セクション4.1で触れたゲーム性能に関する報告 14 を考慮すると、高負荷時の発熱と、それに伴うパフォーマンス低下やバッテリー消費の増加といった懸念は依然として残ります。日常的な軽・中程度の負荷では問題なくとも、ヘビーな使い方をした場合の挙動については、さらなるレビュー情報の収集が必要です。
4.4. AI機能の活用と評価
Google Tensor G2の最大の価値であり、競合SoCとの明確な差別化要因となっているのが、Google AIを活用した様々な機能の実現です 3。これらは、チップに統合された第2世代Edge TPU 1 によって、デバイス上で高速かつ効率的に処理されます。
具体的には、Pixel 7シリーズで利用可能な「ボケ補正」(撮影後の写真のブレをAIが補正)、「リアルタイム翻訳」(オフラインでも高精度な翻訳が可能)、「文字起こし機能付きレコーダー」(話者分離にも対応)、「クリア音声通話」(周囲のノイズを低減)などが挙げられます 3。Pixel Tabletにおいても、AIを活用した高速なストリーミング処理、ビデオ通話時の画質向上、より正確な音声入力などが、Tensor G2によって実現されているとされています 3。
これらのAI機能の性能や実用性は、従来のCPUやGPUを中心としたベンチマークスコアでは測定することが困難です。しかし、これらこそがTensor G2搭載デバイスが提供する独自のユーザー体験の中核をなしています。競合するSoCに対して、ベンチマーク上の純粋な性能(特にGPU性能)では劣る部分があったとしても、これらのユニークで実用的なAI機能によってその差を補い、ユーザーに高い満足度を提供できるかどうかが、Tensor G2の評価を最終的に決定づける重要な要素となります。
5. 総括: Google Tensor G2の評価
5.1. 強みと特徴
- 卓越したAI/ML処理能力: 第2世代のカスタムEdge TPU「Janeiro」を搭載し、Google AIを活用した独自の機能(高度なカメラ処理、高精度な音声認識、リアルタイム翻訳など)をデバイス上で高速かつ効率的に実行可能 1。これがTensor G2および搭載デバイスの最大の差別化要因であり、独自の価値を提供します。
- 最適化されたソフトウェア体験: Google自身のPixelデバイスに搭載されることを前提に設計されており、Android OSやGoogle製アプリとの緊密な連携により、スムーズな動作や、Tensorチップでなければ実現困難な独自機能を提供します。
- 初代からの着実な性能向上: 特にCPUのマルチコア性能が初代Tensorから顕著に向上しており 7、日常的な操作やマルチタスク処理は快適に行える性能を有しています。
- 堅牢なセキュリティ: GoogleのTitan M2セキュリティチップとの連携およびARM TrustZone技術により、ハードウェアレベルでの強固なセキュリティ基盤を提供し、ユーザーデータを保護します 1。
5.2. 弱みと課題
- 競合に対するピーク性能の劣位: 特にGPU性能やAnTuTuなどの総合ベンチマークスコアにおいて、同時期に市場に投入されたQualcomm Snapdragonの最上位SoC(Snapdragon 8+ Gen 1, 8 Gen 2)と比較して見劣りする結果となっています(セクション3.2参照)。純粋な処理性能を最優先するユーザーには物足りない可能性があります。
- ゲーム性能のばらつきと最適化: 一部のグラフィック負荷の高いゲームにおいては、ベンチマークスコアから期待されるほどのパフォーマンスを発揮できない、あるいは動作が不安定になる場合があるとの報告があり 14、ゲームタイトルに対する最適化が課題となる可能性があります。ヘビーゲーマーにとっては注意が必要です。
- 高負荷時の発熱と持続性能: 高負荷状態が続いた場合の発熱や、それに伴うサーマルスロットリングによる性能低下の可能性が懸念されます。特にゲームプレイなどでの持続的なパフォーマンスに関する情報は限定的であり、さらなる検証が求められます。
- Exynosベースであることへの潜在的懸念: ベースとなったSamsung Exynosシリーズに対して、過去のモデルで性能、電力効率、発熱などの点でネガティブな評価があったことから、そのイメージがTensor G2に対する評価にも影響を与える可能性があります。
総じて、Google Tensor G2は、最高のベンチマークスコアを追求するのではなく、Google独自のAI機能をデバイス上で快適に動作させることに重点を置いて設計されたSoCです。その結果、AIを活用したユニークなユーザー体験を提供する一方で、純粋なピーク性能、特にGPU性能においては競合の最上位チップに譲る面があります。ユーザーがTensor G2搭載デバイスを評価する際には、ベンチマークスコアだけでなく、AI機能の実用性や、自身の主な用途(日常利用、ゲーム、カメラなど)における実際の使用感を考慮することが重要となります。
引用文献
- Google Tensor – Wikipedia, 4月 17, 2025にアクセス、 https://ja.wikipedia.org/wiki/Google_Tensor
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- Google Tensor G3とはどんなチップ?Pixel 8搭載の最新技術を解説 – 株式会社キャパ, 4月 17, 2025にアクセス、 https://www.capa.co.jp/archives/43287
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- Pixel 7 Pro搭載の新SoCとされる「Tensor G2」のGeekBench 5スコアが出た! – ガルマックス, 4月 17, 2025にアクセス、 https://garumax.com/tensor-g2-geekbench-5-benchmark
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- 性能を確認・比較するのに便利なiPhoneのベンチマークアプリ – @DIME アットダイム, 4月 17, 2025にアクセス、 https://dime.jp/genre/1486350/
- ベンチマークテストのおすすめ17選!スマホ対応ソフトやゲーム公式ソフトなど | クラシル比較, 4月 17, 2025にアクセス、 https://hikaku.kurashiru.com/articles/01HZ49DRR5ZJCY1TPEWPPARFPA
- ベンチマークソフトのおすすめ人気ランキング【2025年】 – マイベスト, 4月 17, 2025にアクセス、 https://my-best.com/6992
- Geekbench 6 – Google Play のアプリ, 4月 17, 2025にアクセス、 https://play.google.com/store/apps/details?id=com.primatelabs.geekbench6&hl=ja
- AnTuTu BenchmarkのAndroid – UptodownからAPKをダウンロードしよう, 4月 17, 2025にアクセス、 https://antutu-benchmark.jp.uptodown.com/android
- 3DMark — The Gamer’s Benchmark – Google Play のアプリ, 4月 17, 2025にアクセス、 https://play.google.com/store/apps/details?id=com.futuremark.dmandroid.application&hl=ja
- 3DMark Androidベンチマーク – UL Benchmarks, 4月 17, 2025にアクセス、 https://benchmarks.ul.com/jp/3dmark-android
- Windows、Android、iOS向けの 3DMarkベンチマーク – 基准测试, 4月 17, 2025にアクセス、 https://benchmarks-zh.onelink-translations.com/jp/3dmark
- Google Tensor G2のベンチマークスコアと構成が明らかに、第3世代情報も – iPhone Mania, 4月 17, 2025にアクセス、 https://iphone-mania.jp/news-488207/
- 【検証】Pixel 7aのTensor G2は劣化版を搭載?上位モデルと性能を比較してみた – YouTube, 4月 17, 2025にアクセス、 https://www.youtube.com/watch?v=wp6svqt4otI
- iPhoneの性能も手軽に測定、ブラウザだけで動くベンチマークツール9選 – マイナビニュース, 4月 17, 2025にアクセス、 https://news.mynavi.jp/article/20221106-2505313/