Intel® Core™ Ultra 7 165U プロセッサー ベンチマーク分析レポート

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1. はじめに

Intel® Core™ Ultra プロセッサー・ファミリーは、ノートPC向けCPU市場における大きな転換点を示す製品群です。特に「Meteor Lake」開発コード名で知られる第1世代は、タイルベースのチップレット設計、AI処理専用のNPU（Neural Processing Unit）の統合、そして刷新された内蔵GPU「Intel® Arc™ Graphics」を特徴としています。本レポートでは、このファミリーの中でも省電力性を重視したUシリーズに属する「Intel® Core™ Ultra 7 165U」に焦点を当て、その詳細な仕様、各種ベンチマークテストの結果、実利用環境でのパフォーマンス、競合製品との比較分析を通じて、総合的な性能特性と市場における位置づけを明らかにします。調査にあたっては、主に日本語のテクノロジー系レビューサイトやニュースサイトの情報を参照しました。

2. Intel® Core™ Ultra 7 165U プロセッサーの公式仕様

Core Ultra 7 165Uは、Intelが2023年第4四半期に発表したモバイル向けプロセッサーであり、最新の製造プロセス「Intel 4」を採用しています 1。

2.1. CPUアーキテクチャ

本プロセッサーは、性能重視のPコア（Performance-core）、電力効率重視のEコア（Efficient-core）、そして超低消費電力のLP Eコア（Low Power Efficient-core）を組み合わせたハイブリッドアーキテクチャを採用しています 1。

  • コア数: 合計12コア 1
  • Pコア: 2コア (Redwood Cove アーキテクチャ) 1
  • Eコア: 8コア (Crestmont アーキテクチャ) 1
  • LP Eコア: 2コア (Crestmont アーキテクチャ、SoCタイルに実装) 1
  • スレッド数: 合計14スレッド（Pコアのみハイパースレッディング対応）1

この構成により、高負荷なタスクはPコアが、バックグラウンドタスクや低負荷な処理はEコアやLP Eコアが担当し、パフォーマンスと電力効率の両立を図ります。Intel® スレッド・ディレクターがOSと連携し、適切なコアへのタスク割り当てを最適化します 1。

2.2. 動作周波数とキャッシュ

  • 最大ターボ周波数: 4.9 GHz 1
  • Pコア最大ターボ周波数: 4.9 GHz 1
  • Eコア最大ターボ周波数: 3.8 GHz 1
  • LP Eコア最大ターボ周波数: 2.1 GHz 1
  • ベース周波数:
  • Pコアベース周波数: 1.7 GHz 1
  • Eコアベース周波数: 1.2 GHz 1
  • LP Eコアベース周波数: 700 MHz 1
  • キャッシュ: 12 MB Intel® Smart Cache (L3キャッシュ) 1
  • L2キャッシュ: 10.0 MB 8

最大4.9GHzの高いブーストクロックは、シングルスレッド性能が重要となるタスクでの応答性を高めます。

2.3. TDP（熱設計電力）

  • プロセッサー・ベースパワー (PBP): 15 W 1
  • 最大ターボパワー (MTP): 57 W 1
  • 最小保証電力: 12 W 1

ベースTDPが15Wと低く設定されており、薄型軽量ノートPCでの採用を主眼としています。高負荷時には最大57Wまで消費電力が上昇する可能性がありますが、これは筐体の冷却性能に依存します。

2.4. 内蔵GPU：Intel® Graphics

Core Ultra 7 165Uは、従来のIris Xe Graphicsから刷新された「Intel® Graphics」を内蔵しています。これはHシリーズに搭載される「Intel® Arc™ Graphics」と同じXe-LPアーキテクチャをベースとしていますが、コア数が削減されています 5。

  • GPU名: Intel® Graphics 1
  • Xeコア数: 4コア 1 (Hシリーズは8コア 5)
  • 最大動的周波数: 2.0 GHz 1
  • 主な機能: レイ・トレーシング対応、AV1エンコード/デコード、DirectX 12.2、最大4画面出力対応 1

Hシリーズと比較してGPUコア数は半分ですが、前世代の統合グラフィックスからは性能向上が期待されます。

2.5. NPU：Intel® AI Boost

AI処理を低消費電力で実行するための専用プロセッサー「NPU (Neural Processing Unit)」を搭載しています 1。

  • NPU名: Intel® AI Boost 1
  • 対応機能: Windows Studio Effectsのハードウェアアクセラレーションなど 1
  • 対応フレームワーク: OpenVINO™, WindowsML, DirectML, ONNX RT 1

CPU、GPU、NPUを合わせて最大34TOPSのAI処理性能を提供し 6、将来的なAIアプリケーションの普及に対応します。

2.6. メモリおよびプラットフォーム機能

  • 対応メモリ:
  • LPDDR5/x 最大7467 MT/s 1
  • DDR5 最大5600 MT/s 1
  • 最大メモリ容量: 96 GB 1
  • メモリチャネル: 2チャネル 1
  • その他: Thunderbolt™ 4対応、PCI Express Gen 4対応 (最大20レーン)、Wi-Fi 6E (チップセット機能)、Intel® vPro® Enterprise対応 1

高速なメモリ規格に対応し、データ転送速度の向上に貢献します。Thunderbolt 4や最新のWi-Fi規格への対応により、高い接続性も確保されています。vPro® Enterprise対応は、ビジネス用途における管理性やセキュリティ機能の強化を意味します 1。

3. CPUベンチマーク性能

Core Ultra 7 165UのCPU性能を評価するため、主要なベンチマークソフトのスコアを日本語レビューサイトから収集しました。

3.1. Cinebench (R23 / 2024)

Cinebenchは、CPUのレンダリング性能を測定する定番ベンチマークです。

  • Cinebench 2024:
  • マルチコア: 581 – 617 6
  • シングルコア: 98 – 107 (比較データに基づく推定) 9
  • Cinebench R23:
  • マルチコア: 約10632 – 11000 6
  • シングルコア: 約1679 – 1883 (比較データに基づく推定) 9

これらのスコアは、Uシリーズプロセッサーとしては良好な値ですが、Pコア数が多くTDPが高いHシリーズ（例: Core Ultra 7 155HはR23マルチコアで約24000-28000 13）と比較すると、マルチコア性能には大きな差があります。

3.2. Geekbench 6

Geekbenchは、シングルコアおよびマルチコアの汎用的なCPU性能を測定します。

  • シングルコア: 2332 – 2383 6
  • マルチコア: 9767 – 10047 6

シングルコアスコアは比較的高く、Webブラウジングやオフィスアプリケーションなど、瞬間的な応答性が求められるタスクでの快適さを示唆しています。マルチコアスコアもUシリーズとしては健闘していますが、やはりHシリーズや競合のRyzen 7 Uシリーズには及びません 11。

3.3. PassMark CPU Mark

PassMarkは、CPUの総合的な性能を評価するベンチマークです。

  • CPU Mark (マルチコア総合): 約16756 – 17642 3
  • シングルスレッドレーティング: 約3398 – 3413 8

PassMarkのスコアもGeekbenchと同様の傾向を示しており、シングルスレッド性能は前世代のCore i7 Uシリーズ (例: i7-1265Uは約3165 8) を上回る一方、マルチコア性能はTDP 15Wという枠内で最適化されていることがうかがえます。

3.4. ベンチマーク結果の分析

Core Ultra 7 165Uのベンチマークスコアは、省電力性を重視したUシリーズプロセッサーとしての特性をよく表しています。シングルコア性能は高く、日常的なタスクや軽作業における応答性は良好です。しかし、Pコア数が2コアに限定され、TDPも15W（最大57W）であるため、動画エンコーディングや3Dレンダリングのような持続的な高負荷がかかるマルチコア処理では、より多くのPコアと高いTDPを持つHシリーズ（例: Core Ultra 7 155H/165H）や、競合のAMD Ryzen 7 Uシリーズ（例: 7840U/8840U）に比べて性能が制限されます 11。

4. 内蔵GPU (Intel® Graphics) のベンチマーク性能

Core Ultra 7 165Uに内蔵されるGPUは、4つのXeコアを持つ「Intel® Graphics」です 1。その性能を3DMarkと実際のゲームで見ていきます。

4.1. 3DMark (Time Spy / Fire Strike)

3DMarkは、GPUのグラフィックス性能を測定する標準的なベンチマークです。

  • Time Spy (DirectX 12): 約2067 (Dell Latitude 9450 2-in-1での計測値) 21
  • Fire Strike (DirectX 11): 約5468 (Dell Latitude 9450 2-in-1での計測値) 21

これらのスコアは、前世代のIntel Iris Xe Graphics (例: Core i7-1365U搭載機) と比較して向上していますが、8つのXeコアを持つHシリーズのIntel Arc Graphics (例: Core Ultra 7 155H) や、エントリークラスの専用GPU (dGPU) には及びません。例えば、Core Ultra 7 155U (同じく4コアGPU) 搭載機でデュアルチャネルメモリの場合、Fire Strikeスコアがシングルチャネル時より大幅に向上するという報告もあり、メモリ構成がGPU性能に大きく影響することを示唆しています 22。

4.2. ゲーム性能

実際のゲームにおけるフレームレートは、GPU性能を判断する上で重要です。

  • 軽量～中量級ゲーム: Dota 2 Reborn (1920×1080, Ultra) で平均57.3fps 21、Valorant (LOW設定) で平均60fps 14 など、比較的軽いゲームや設定を調整すれば快適にプレイ可能です。
  • 重量級ゲーム: The Witcher 3 (1920×1080, Ultra) で17.9fps 21、Baldur’s Gate 3 (1920×1080, Low) で15fps 21 など、最新のAAAタイトルを高画質でプレイするのは困難です。
  • 比較: 一部のDirectX 12対応ゲームでは、旧世代のエントリーdGPUであるNVIDIA GeForce GTX 1650 Max-Qを（最小フレームレートなどで）上回る場面も見られます 14。これは、最新アーキテクチャの最適化が効いている可能性を示唆します。

4.3. GPU性能の評価

Core Ultra 7 165UのIntel Graphics (4-core) は、前世代の統合グラフィックスから着実な進化を遂げており、Webブラウジングや動画再生といった日常的な用途はもちろん、設定次第では軽めのゲームや簡単なクリエイティブ作業もこなせるレベルに達しています 3。ノートPC向けのGTX 1650以前のdGPUの存在意義を問う声もあるほどです 23。しかし、あくまで統合グラフィックスの範疇であり、本格的なゲーミングや高度な3Dレンダリングには、8コア版Arc Graphicsを搭載したHシリーズや、専用GPUを搭載したモデルが依然として有利です。

5. 実利用環境でのパフォーマンスとバッテリー駆動時間

ベンチマークスコアだけでなく、実際のアプリケーション使用感やバッテリー持続時間も重要な評価軸です。

5.1. 一般的なタスク（オフィス、Webブラウジング）

Core Ultra 7 165Uは、高いシングルコア性能と効率的なEコア/LP Eコアの組み合わせにより、Microsoft Officeスイートでの文書作成や表計算、複数のタブを開いたWebブラウジングといった日常的なタスクにおいて、非常に快適なパフォーマンスを提供します 25。AI Boost (NPU) を活用した機能（例: Web会議での背景ぼかしやノイズ除去）も、対応アプリケーションが増えれば、より快適性を高める要素となります 20。

5.2. クリエイティブタスク

内蔵GPUの性能向上により、Adobe Photoshopでの写真編集やPremiere Proでの簡単なフルHD動画編集などは、前世代のUシリーズCPU搭載機よりもスムーズに行えるようになっています 3。しかし、4K動画編集や複雑な3Dモデリングといった高負荷なクリエイティブワークロードに対しては、依然としてHシリーズプロセッサーや専用GPU搭載機が推奨されます 20。

5.3. バッテリー駆動時間

TDP 15Wという省電力設計により、Core Ultra 7 165Uは優れたバッテリー駆動時間を実現するポテンシャルを持っています。

  • レビュー例:
  • HP EliteBook 1040 G11 (Core Ultra搭載) で約20時間 28。
  • HP EliteBook 830 G11 (Core Ultra搭載) で約16時間 28。
  • HP EliteBook 840 G11 (165U搭載可能) は公称約10.2時間 (JEITA 3.0 動画再生) 29。
  • あるレビューでは、テスト中に7時間使用してもバッテリーが50%残っており、通常利用で7～8時間、軽負荷なら10時間も狙えると評価されています 30。
  • ThinkPad E14 Gen 6 (Core Ultra 5 125H搭載機) のレビューでは、47Whバッテリーで動画編集プレビュー時に4時間18分と計測されており、「普通レベル」と評価されていますが、より省電力な165Uでは改善が期待できます 27。

実際の駆動時間は、搭載されるノートPCのバッテリー容量、ディスプレイ輝度、作業内容に大きく依存しますが、多くのレビューでCore Ultra Uシリーズ搭載機は長時間のバッテリー駆動が可能であると評価されています 28。急速充電に対応するモデルも多く、短時間での充電も可能です 28。

6. 競合CPUとの性能比較

Core Ultra 7 165Uの性能を相対的に評価するため、いくつかの競合CPUと比較します。

6.1. vs. 前世代Intel Core Uシリーズ (例: Core i7-1355U/1365U)

  • CPU性能: PassMark CPU Markで比較すると、Core Ultra 7 165U (約17448) はCore i7-1355U (約14510) より約17-20%高速です 17。シングルスレッド性能は同等か、i7-1355U/1365Uがわずかに高い場合もありますが 9、マルチスレッド性能ではCore Ultra 7 165Uが優位です 9。Notebookcheckのレビューでは、同じ筐体に搭載した場合、Core Ultra 7 165Uはi7-1365Uより約10-15%高速とされています 21。
  • GPU性能: Core Ultra 7 165UのIntel Graphics (4-core) は、i7-1355U/1365UのIris Xe Graphicsよりも高性能です。
  • その他: Core Ultra 7 165UはNPUを搭載しており、AI処理能力が追加されています。

全体として、CPUマルチコア性能の向上、GPU性能の大幅な向上、NPUの追加が主な違いです。

6.2. vs. AMD Ryzen Uシリーズ (例: Ryzen 7 7840U/8840U)

  • CPU性能: PassMark CPU Markで比較すると、Core Ultra 7 165U (約17448) はRyzen 7 7840U (約24943) やRyzen 7 8840U (約23559) に比べてマルチコア性能で約30-40%劣ります 11。シングルスレッド性能もRyzen勢が若干優位です 11。
  • GPU性能: Ryzen 7 7840U/8840Uに内蔵されるRadeon 780M Graphicsは、Core Ultra 7 165UのIntel Graphics (4-core) よりも一般的に高性能と評価されています。
  • TDP: Core Ultra 7 165UのTDP (15W) は、Ryzen 7 7840U/8840Uの標準TDP (28-30W) よりも大幅に低く、電力効率では有利です 16。

マルチコア性能とGPU性能ではRyzen 7 Uシリーズが優位ですが、Core Ultra 7 165Uは消費電力の低さが大きなアドバンテージとなります。

6.3. vs. 他のIntel Core Ultra シリーズ (例: Ultra 5 Uシリーズ, Ultra 7 Hシリーズ)

  • vs. Core Ultra 5 Uシリーズ (135U/125U): ベンチマークスコア上では、Core Ultra 7 165UとCore Ultra 5 135U/125Uの間に大きな性能差が見られない場合があります 12。PassMark CPU Markではほぼ同等 18、Cinebench R23やGeekbench 6では165Uが10-15%程度上回るものの 12、実利用での体感差は小さい可能性があります。主な違いは最大ブーストクロックやvPro対応の有無などと考えられます。
  • vs. Core Ultra 7 Hシリーズ (155H/165H): HシリーズはPコア数が6基、GPUコア数が8基と多く、TDPも28W以上と高いため、CPU・GPU共にCore Ultra 7 165Uよりも大幅に高性能です 1。特にマルチコア性能では2倍近い差が出ることもあります 13。

Uシリーズ内ではUltra 5との差が小さい一方、Hシリーズとの性能差は明確です。

6.4. 比較分析の要約

Core Ultra 7 165Uは、前世代のCore i7 Uシリーズからの着実な進化、特にGPU性能とAI機能の追加が特徴です。しかし、絶対的なCPUマルチコア性能やGPU性能では、よりTDPの高いHシリーズや競合のAMD Ryzen 7 Uシリーズに劣ります。省電力性とパフォーマンスのバランスを重視した選択肢と言えます。Core Ultra 5 Uシリーズとの性能差が小さい点は、製品選択において価格や搭載機能（vProなど）を考慮する必要があることを示唆しています。

7. 総合評価と市場での位置づけ

収集した情報に基づき、Core Ultra 7 165Uの総合的な評価と市場での位置づけをまとめます。

7.1. 強み

  • 優れた電力効率: TDP 15Wという低いベース電力により、長時間のバッテリー駆動を実現しやすい 1。
  • 高いシングルコア性能: 最大4.9GHzのブーストクロックにより、日常的なアプリケーションの応答性が高い 1。
  • 進化した内蔵GPU: 従来のIris Xe Graphicsから性能が向上し、軽めのゲームやクリエイティブ作業への対応力が向上 3。
  • 専用NPU搭載: AI処理を効率的に実行するIntel® AI Boostにより、将来的なAIアプリケーションへの対応力を備える 1。
  • 最新プラットフォーム: Thunderbolt 4、Wi-Fi 6E、高速メモリ（LPDDR5x/DDR5）など、最新の接続規格や技術に対応 1。
  • vPro Enterprise対応: ビジネス用途に必要な高度なセキュリティと管理機能を提供 1。

7.2. 弱み

  • 限定的なマルチコア性能: Pコア数が2コアのため、Hシリーズや競合のRyzen 7 Uシリーズと比較して、マルチスレッド性能で見劣りする 11。
  • GPU性能の限界: 内蔵GPUは進化したものの、4コア構成のためHシリーズの8コア版Arc Graphicsや専用GPUには及ばず、要求の高いゲームやクリエイティブ作業には不向き 5。
  • Core Ultra 5 Uシリーズとの性能差: ベンチマーク上、Core Ultra 5 Uシリーズとの性能差が比較的小さく、価格差に見合う性能向上が得られない可能性がある 12。

7.3. 最適な用途

  • プレミアム薄型軽量ノートPC: バッテリー寿命と携帯性を重視するモバイルユーザー 27。
  • ビジネス向けノートPC: vProによるセキュリティ・管理機能と、オフィスワークやWeb会議での快適なパフォーマンスを求めるビジネスユーザー 1。
  • 日常的なコンピューティング: Webブラウジング、動画視聴、Officeソフト利用などを中心とする一般ユーザー 25。
  • 軽度のクリエイティブ作業: 写真編集や簡単な動画編集を行うユーザー 20。
  • AI機能の活用: 将来的にNPUを活用したAIアプリケーションを利用したいユーザー 20。

7.4. 市場における位置づけ

Core Ultra 7 165Uは、Intelのモバイル向けCPUラインナップにおいて、**「電力効率と応答性、AI機能をバランスさせたプレミアムUシリーズ」**と位置づけられます。前世代からの明確な進化を示しつつ、特にバッテリー寿命と日常的なタスクの快適性を重視する薄型ノートPC市場のニーズに応える製品です。vPro Enterprise対応により、法人向け市場においても重要な選択肢となります。

ただし、性能面ではHシリーズやAMD Ryzen 7 Uシリーズとの間に明確な差があり、ユーザーは自身の用途（マルチタスク性能、ゲーミング、クリエイティブ作業の負荷）と、バッテリー寿命や携帯性といった要素を比較検討する必要があります。また、Core Ultra 5 Uシリーズとの価格対性能比も考慮すべき点です。

8. 結論

Intel® Core™ Ultra 7 165Uは、Meteor Lakeアーキテクチャの省電力向けモデルとして、優れた電力効率、高いシングルコア性能、進化した内蔵グラフィックス、そして将来性のあるNPUを統合したバランスの取れたプロセッサーです。特に薄型軽量ノートPCにおいて、長時間のバッテリー駆動と日常的なタスクでの高い応答性を両立させたいユーザーにとって魅力的な選択肢となります。ビジネス用途におけるvPro対応も重要な付加価値です。

一方で、マルチコア性能やGPU性能は、より高性能なHシリーズや競合のAMD Ryzen 7 Uシリーズには及びません。また、Core Ultra 5 Uシリーズとの性能差が比較的小さい可能性があるため、搭載ノートPCの価格設定や具体的な機能（vProの有無など）を考慮した上で選択することが推奨されます。Core Ultra 7 165Uは、性能絶対主義ではなく、効率性、応答性、そしてAIという新しい要素を重視する現代のモバイルコンピューティングの要求に応えるための、Intelの戦略的な製品と言えるでしょう。

引用文献

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