基本仕様と特徴
CPU仕様
インテル® プロセッサー N150 は、4 つの物理コアと 4 つのスレッドで構成されており、ターボブースト時の最大動作周波数は 3.6 GHz に達します。CPU は 6 MB のインテル® スマートキャッシュを搭載しており、プロセッサーのベースパワーは 6 W です 1。このプロセッサーは、かつて “Twin Lake” と呼ばれていた Intel® Processor N シリーズに属し、モバイルシステム向けに設計されています。製造プロセスには Intel 7 リソグラフィーが採用されています 1。
一部のデバイス、例えば Beelink EQ14 では、プロセッサーの熱設計電力(TDP)が最大 25W に設定されていることが報告されています 2。この事実は、N150 を搭載するデバイスの冷却性能や電力供給能力によって、実際の性能や消費電力が大きく変動する可能性があることを示唆しています。ベースパワーはプロセッサーが通常動作する際の電力消費の目安となりますが、高負荷時には TDP の範囲内でより多くの電力を消費する可能性があります。
“Twin Lake” という開発コード名と、N100 プロセッサーと比較して CPU と内蔵 GPU のクロック周波数がわずかに向上したリフレッシュ版であるという情報 2 から、インテル® プロセッサー N150 は、前世代からの大幅なアーキテクチャ変更というよりも、性能の着実な向上を目指した製品であることがうかがえます。したがって、N150 の性能特性をより深く理解するためには、その前身である N100 とのベンチマーク結果を比較することが重要になります。
GPU仕様
インテル® プロセッサー N150 に統合されているグラフィックス機能は Intel® Graphics と呼ばれ、最大動的周波数は 1 GHz です。この内蔵 GPU は 24 個の実行ユニットを搭載しています 1。ディスプレイ出力としては、eDP 1.4b、DP 1.4、HDMI 2.1、MIPI-DSI 1.3 をサポートしており、最大で 3 つのディスプレイに同時出力が可能です。また、4K 解像度(60Hz)での表示もサポートされています 1。さらに、DirectX 12.1 および OpenGL 4.6 の API にも対応しています 1。
これらの仕様から、インテル® プロセッサー N150 の内蔵グラフィックスは、基本的なグラフィック処理、HD および 4K ビデオの再生、そして比較的負荷の低いゲームなどを快適にこなすことができると考えられます。しかし、最新の高度なグラフィック処理を必要とするゲームや、プロフェッショナル向けのグラフィックアプリケーションの実行には、性能面で限界があることが予想されます。内蔵 GPU の実行ユニット数や動作周波数は、専用のグラフィックカードと比較すると控えめであり、その設計は高いグラフィック処理能力よりも、効率性と基本的な機能の提供に重点が置かれていると言えるでしょう。
メモリ仕様
インテル® プロセッサー N150 は、最大 16 GB のメモリ容量をサポートしており、メモリの種類としては DDR4 3200 MT/s、DDR5 4800 MT/s、および LPDDR5 4800 MT/s に対応しています 1。ただし、最大メモリチャネル数は 1 に制限されています 1。一部の N150 搭載デバイスでは、8 GB または 16 GB の RAM が標準で搭載されています 3。プロセッサーがサポートする最大メモリ速度は 4800 MHz です 1。
複数の種類のメモリ規格をサポートしていることは、デバイスの製造メーカーにとって、コストと性能のバランスを取りながら製品を設計できるという利点があります。特に LPDDR5 のサポートは、モバイルデバイスにおける省電力性を重視する傾向を示唆しています。しかしながら、メモリチャネルがシングルであることは、デュアルチャネル構成と比較してメモリ帯域幅が狭くなるため、メモリを大量に消費するタスクにおいては性能上のボトルネックとなる可能性があります。デバイスの全体的な性能を評価する際には、搭載されているメモリの種類と容量だけでなく、シングルチャネルという点も考慮に入れる必要があります。
その他の特徴
インテル® プロセッサー N150 は、USB 2.0 および USB 3.2 1、PCIe Gen 3 1 など、様々な I/O 規格をサポートしています。また、デバイスの実装によっては、Wi-Fi 6/6E や Bluetooth 5.2 といった最新の無線接続規格に対応しているものもあります 4。プロセッサーのベースパワーが 6W と低いことから、N150 搭載デバイスは一般的に省電力性が高いとされています 3。これらの特性から、N150 は日常的なタスクや軽いワークロードに適しており 3、小型で携帯性に優れたデバイスへの搭載に適していると言えます 3。
仕様項目 | 詳細 | 引用元 |
コア数 | 4 | 1 |
スレッド数 | 4 | 1 |
最大ターボ周波数 | 3.6 GHz | 1 |
キャッシュ | 6 MB Intel® Smart Cache | 1 |
ベースパワー | 6 W | 1 |
GPU | Intel® Graphics, 1 GHz Max Dynamic Frequency, 24 Execution Units | 1 |
最大メモリサイズ | 16 GB | 1 |
メモリタイプ | DDR4 3200 MT/s, DDR5 4800 MT/s, LPDDR5 4800 MT/s | 1 |
最大メモリチャネル数 | 1 | 1 |
CPU性能
シングルコア性能
Geekbench
Geekbench 6 によるインテル® プロセッサー N150 のシングルコア性能を測定した結果を見ると、laptopmedia.com のデータでは約 1152 9、browser.geekbench.com のデータでは 1261 10 というスコアが報告されています。また、同じく browser.geekbench.com のデータでは、SZBOX GK3 N150 MINI PC において 1107 から 1538 までの範囲で複数のスコアが記録されています 10。
これらのスコアのばらつきは、テストを実行したデバイスの具体的な構成、例えば冷却システムの性能や電力供給の制限、さらにテスト中にバックグラウンドで動作していたプロセスの影響などによって生じたと考えられます。同じプロセッサーを搭載していても、システム全体の設計や設定が異なると、特に持続的な高負荷状態においては性能に差が生じることが一般的です。したがって、ベンチマークの結果を比較検討する際には、テスト環境や使用されたデバイスのコンテキストを考慮することが重要となります。
Cinebench
Cinebench R23 を用いたシングルコア性能のベンチマーク結果では、PC Watch の記事で 773 というスコアが報告されています 2。一方、laptopmedia.com のデータでは、Cinebench 2024 のシングルコアスコアは 173 でした 9。また、cpubenchmark.net のランキングによれば、インテル® プロセッサー N150 は、4980 個の CPU 中 1632 番目に速いシングルスレッド性能を持つとされています 11。さらに、komameblog.jp の記事では、他の低価格ミニ PC との比較において、N150 のシングルコアスコアは 790 から 796 の範囲で示されています 12。
これらの結果から、Cinebench R23 における約 770 というシングルコアスコアは、シングルスレッドで動作するタスクにおいては控えめな性能レベルであることを示唆しており、より高性能なデスクトップやラップトップ向けのプロセッサーと比較すると、その性能は低い方に位置づけられます。しかしながら、他の低価格帯のミニ PC(N100、N97)との比較では、シングルコア性能は同程度であることが示されています 12。Cinebench は CPU のレンダリング性能を評価する上で広く用いられるベンチマークであり、シングルコアスコアは、動画編集や画像処理など、複数のスレッドをあまり利用しないタスクにおけるシステムの応答性を測る指標となります。
その他のベンチマーク
PC Watch の記事によると、PCMark 10 Essentials のサブスコアは 6,350 でした 2。このスコアは、アプリケーションの起動、Web ブラウジング、ビデオ会議といった基本的なタスクにおいては、インテル® プロセッサー N150 が十分な性能を発揮できることを示しています。
PCMark 10 は、実際の使用シナリオを想定した複数のテストで構成されており、システムの総合的な性能を評価するベンチマークです。Essentials サブスコアが高いことは、N150 が日常的なコンピューティング作業においては快適な使用感を提供できる可能性を示唆しています。これは、生の CPU ベンチマークで示されたシングルコア性能の低さとは対照的に、実際の利用においては十分なパフォーマンスを発揮できることを意味します。
マルチコア性能
Geekbench
Geekbench 6 によるインテル® プロセッサー N150 のマルチコア性能を測定した結果を見ると、laptopmedia.com のデータでは約 2979 9、browser.geekbench.com のデータでは 2899 10 というスコアが報告されています。また、同じく browser.geekbench.com のデータでは、SZBOX GK3 N150 MINI PC において 1825 から 4061 までの範囲で複数のスコアが記録されています 10。
シングルコア性能と同様に、マルチコア性能においてもスコアにばらつきが見られますが、これもデバイスの構成や熱管理、電力制限などの要因によるものと考えられます。約 2900 というマルチコアスコアは、このクラスのプロセッサーとしては、複数のスレッドを活用できるワークロードにおいて適切なレベルの性能を示していると言えるでしょう。マルチコアベンチマークは、動画編集、3D レンダリング、科学技術計算など、複数のコアを並列して利用できるタスクにおけるプロセッサーの処理能力を評価します。
Cinebench
Cinebench R23 を用いたマルチコア性能のベンチマーク結果では、PC Watch の記事で 2,663 というスコアが報告されています 2。また、komameblog.jp の記事では、他の低価格ミニ PC との比較において、N150 のマルチコアスコアは 2336 から 2954 の範囲で示されており 12、一部のケースでは前世代の N100 プロセッサーよりもわずかに高い性能を示しています。
Cinebench R23 のマルチコアスコアが約 2600-3000 であることは、N100 と比較して、複数のスレッドを利用するタスクにおいて明らかな性能向上が見られることを示唆しています。これは、動画編集やRAW現像など、CPU に高い負荷がかかる作業を行うユーザーにとって、N150 がより魅力的な選択肢となる可能性を示唆しています。マルチコア性能の向上は、前世代からの重要な進化であり、N150 のアーキテクチャにおける改善の恩恵と言えるでしょう。
その他のベンチマーク
PC Watch の記事によると、PCMark 10 Productivity のサブスコアは 4,696 でした 2。このスコアは、スプレッドシートの操作や文書作成といったオフィス関連のタスクにおいて、インテル® プロセッサー N150 が十分な性能を発揮できることを示唆しています。
PCMark 10 の Productivity テストは、オフィスアプリケーションの実行やコンテンツ作成など、ビジネスシーンで一般的に行われる作業をシミュレートしており、このテストでの良好なスコアは、N150 が日常的な生産性向上タスクに適していることを裏付けています。
ベンチマーク | シングルコアスコア | マルチコアスコア | 引用元 |
Geekbench 6 | ~1152-1538 | ~2899-4061 | laptopmedia.com 9, browser.geekbench.com 10 |
Cinebench R23 | ~773 | ~2663 | PC Watch 2 |
Cinebench R23 (他機種比較) | ~790-796 | ~2336-2954 | komameblog.jp 12 |
Cinebench 2024 | ~173 | N/A | laptopmedia.com 9 |
GPU性能
3DMark
PC Watch の記事では、インテル® プロセッサー N150 の内蔵グラフィックスの性能を測定した 3DMark の結果として、Time Spy スコアが 368、Fire Strike スコアが 270 から 1102 の範囲、Sky Diver スコアが 4,199 であったことが報告されています 2。また、komameblog.jp の記事では、Time Spy Graphics スコアが 435 であったとされています 12。さらに、www.3dmark.com のデータによると、総合スコアは 5219(Graphics スコア 5669、CPU スコア 3601)13、5080(Graphics スコア 5559、CPU スコア 3415)14、および 460(Graphics スコア 404、CPU スコア 2166)15 でした。
これらの 3DMark のスコアは一貫して、N150 の統合グラフィックス性能が、専用のグラフィックカードを搭載したシステムや、より高性能な統合グラフィックスソリューションと比較して、非常に低いレベルにあることを示しています。Time Spy Graphics スコアが約 400〜500 であることは、最新の要求の厳しい 3D ゲームを快適にプレイするには性能が不足しており、非常に軽いゲームや、解像度や設定を低く抑えた古いゲームであれば動作する可能性がある程度であることを示唆しています。3DMark はグラフィックス性能を専門的に評価するベンチマークであり、N150 のスコアは、エントリーレベルの統合グラフィックスとしては典型的な範囲内にあると言えるでしょう。
その他のグラフィックス関連ベンチマーク
YouTube の動画では、Final Fantasy XV のベンチマーク結果として、パフォーマンスモードとスタンダードモードの両方で約 900 のスコアが得られており、動作は「カクカク」(ラグがある)と評されています 16。このスコアは、前世代の N100 プロセッサーと比較して約 10% の向上を示しています。一方、Final Fantasy XIV: Endwalker のベンチマークでは、約 2860 のスコアが得られており、これは N100 の中間的なスコアと同程度です 16。
これらの Final Fantasy シリーズのベンチマーク結果は、N100 と比較して、特定のゲームシナリオにおいては若干の性能向上が見られる可能性があるものの、全体的なゲーム性能は依然として限定的であることを示唆しています。「カクカク」という評価は、比較的負荷の低いゲームであっても、高い設定ではスムーズなゲーム体験が得られない可能性があることを示しています。実際のゲームを用いたベンチマークは、合成ベンチマークだけでは分からない、GPU の実際の性能をより具体的に示すものです。異なるゲームタイトル間で性能の向上が異なることは、ゲームエンジンやグラフィック設定によって性能が大きく左右されることを示しています。
ベンチマーク | スコア | 詳細 (Graphics/CPU) | 引用元 |
3DMark Time Spy | ~368 | PC Watch 2 | |
3DMark Fire Strike | ~270-1102 | PC Watch 2 | |
3DMark Sky Diver | ~4199 | PC Watch 2 | |
3DMark Time Spy | ~435 | (435 / N/A) | komameblog.jp 12 |
3DMark (総合) | 5219 | (5669 / 3601) | www.3dmark.com 13 |
3DMark (総合) | 5080 | (5559 / 3415) | www.3dmark.com 14 |
3DMark (総合) | 460 | (404 / 2166) | www.3dmark.com 15 |
消費電力と性能バランス
インテル® プロセッサー N150 のプロセッサーベースパワーは 6W です 1。しかし、一部の実装では TDP が最大 25W に達する可能性があることが示されています 2。N150 を搭載したミニ PC は、省電力性を特徴として宣伝されることが多いです 3。ある情報源では、N150 を搭載したミニ PC には 36W の AC アダプターが必要であると述べられており 16、これはシステム全体の消費電力がプロセッサーのベースパワーを超える可能性があることを示唆しています。
N150 は、日常的なタスクに適した控えめな性能と低消費電力とのバランスを取っています。ベースパワーは非常に低いものの、TDP が大幅に高くなる可能性があることは、高負荷時にはより多くの電力を消費することを示しています。したがって、デバイスの効率性や、バッテリー駆動時間などを評価する際には、プロセッサーだけでなく、他のコンポーネントを含むシステム全体の消費電力を考慮する必要があります。
一部のベンチマーク結果 2 における前世代の N100 プロセッサーとの比較では、N150 は CPU および GPU タスクにおいてわずかな性能向上を提供しながら、おそらく同程度の電力効率を維持していることが示されています。このことは、N150 が、大幅な消費電力の増加なしにわずかな性能向上を求めるユーザーにとって、N100 よりも魅力的な選択肢となる可能性を示唆しています。
ベンチマーク結果のまとめと考察
これまでのベンチマーク結果を総合的に見ると、インテル® プロセッサー N150 は、基本的なコンピューティングタスク、Web ブラウジング、オフィスアプリケーション、およびメディア消費などにおいては十分な性能を発揮できるプロセッサーであると言えます。特にマルチコア性能においては、前世代の N100 と比較してわずかな向上が見られ、軽いマルチタスク処理にもある程度対応できると考えられます。しかしながら、内蔵グラフィックスの性能は限定的であり、最新の要求の厳しいゲームやグラフィック集約型のアプリケーションを快適に動作させるには力不足です。
また、様々な情報源やデバイス間でベンチマークスコアにばらつきが見られることは、N150 の実際の性能を評価する際には、個々のデバイスの具体的な実装やテスト環境を考慮することが重要であることを示しています。RAM の構成、ストレージの速度、冷却システムの性能などが、最終的なベンチマーク結果に影響を与える可能性があります。
引用文献
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- Amazon.co.jp: 【2025新型・N150初登場】 ミニpc 最大3.60GHz 4C/4T mini pc インテル N150 ミニパソコン Windows11 Pro 8GB DDR4 256GB SSD 容量拡大可能 小型pc HDMI2.0+DP1.4 2画面 4K@60Hz みにpc USB3.2/LANポート 2.4G/, 4月 6, 2025にアクセス、 https://www.amazon.co.jp/%E3%80%902025%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%83%BBN150%E5%88%9D%E7%99%BB%E5%A0%B4%E3%80%91-%E6%9C%80%E5%A4%A73-60GHz-Windows11-%E7%9C%81%E9%9B%BB%E5%8A%9Bmini-pc-E1%E5%B0%8F%E5%9E%8B%E3%83%91%E3%82%BD%E3%82%B3%E3%83%B3/dp/B0DTDCQ3YJ
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