I. はじめに
A. MediaTek Dimensity 8020の紹介
MediaTek Dimensity 8020は、2023年4月28日に発表されたARMベースのシステムオンチップ(SoC)であり、主にミドルレンジからアッパーミドルレンジのスマートフォン市場をターゲットとしています 1。このプロセッサは、台湾のファブレス半導体メーカーであるMediaTekによって設計され、製造は世界最大の半導体ファウンドリであるTSMCが担当し、6nmプロセスノードを採用しています 1。6nmプロセスは、性能と電力効率のバランスを提供する技術として、当時のミドルレンジSoCで広く採用されていました。
Dimensity 8020について特筆すべき点は、これが完全な新設計ではなく、既存のDimensity 1100と非常によく似た、あるいはそのリネーム(再ブランド化)製品であると複数の情報源から指摘されていることです 1。Dimensity 1100は、Dimensity 8020よりも前に発表されたSoCであり、これも6nmプロセスで製造され、同様のCPUおよびGPUコア構成を持っています。この事実は、Dimensity 8020の性能を評価する上で重要な背景情報となります。実績のある設計を再利用することで、開発コストを抑えつつ、一定の性能レベルを確保する戦略がうかがえますが、一方で最新のアーキテクチャを採用した競合製品との比較においては、性能や機能面での差異が生じる可能性があります。
B. レポートの目的と構成
本レポートは、公開されているベンチマークテストの結果(AnTuTu Benchmark, Geekbench, 3DMarkなど)や、日本語および英語のテクノロジーレビューサイト、ベンチマークデータベースから収集した情報に基づき、MediaTek Dimensity 8020の性能特性を深く掘り下げ、多角的に分析することを目的とします。
具体的には、以下の項目について詳細な分析を行います。
- 技術仕様: CPU、GPU、メモリ、接続性、AI処理ユニット(APU)、マルチメディア機能など、Dimensity 8020の基本的なハードウェア構成を解説します。
- ベンチマークパフォーマンス分析: AnTuTu, Geekbench, 3DMarkといった標準的なベンチマークテストのスコアを提示し、CPU(シングルコア、マルチコア)、GPU(グラフィックス性能)、AI処理能力、そして総合的なパフォーマンスを評価します。スコアのばらつきや、それが意味するものについても考察します。
- ゲーム性能評価: 主要なモバイルゲーム(例:原神)におけるフレームレート、安定性、そして発熱やスロットリング(性能低下)の傾向を、実機レビューに基づいて評価します。
- 競合プロセッサとの比較分析: 同時期にリリースされた、あるいは同等の市場セグメントに位置づけられる競合プロセッサ(Qualcomm Snapdragonシリーズ、他のMediaTek Dimensityシリーズ)との性能比較を行い、Dimensity 8020の優位性や劣位性を明らかにします。
- 電力効率とバッテリー寿命: 6nmプロセス技術やTDP(熱設計電力)を踏まえつつ、実機レビューにおけるバッテリー持続時間や電力効率に関する評価を分析します。
- 結論: 上記の分析結果を統合し、Dimensity 8020の総合的な性能評価、長所と短所、そして市場におけるポジショニングをまとめます。
本レポートを通じて、技術に関心のある読者がMediaTek Dimensity 8020の実力を客観的に理解し、搭載デバイスを選択する際の判断材料となる情報を提供することを目指します。
II. MediaTek Dimensity 8020 技術仕様
MediaTek Dimensity 8020は、性能と効率のバランスを重視したミドルハイレンジ向けのSoCであり、その詳細な技術仕様は以下の通りです。
A. CPUアーキテクチャ
Dimensity 8020は、ARMのbig.LITTLE技術に基づいたオクタコア(8コア)構成を採用しています。具体的には、高性能タスクを処理するための4つのARM Cortex-A78コア(最大クロック周波数2.6GHz)と、バックグラウンドタスクや低負荷処理を担当し電力効率を高めるための4つのARM Cortex-A55コア(最大クロック周波数2.0GHz)で構成されています 1。この4+4構成は、当時のミドルハイからハイエンドSoCで一般的でしたが、より新しい世代のCortex-XシリーズやCortex-A71x/A51xシリーズと比較すると、アーキテクチャとしては一世代前のものになります。
命令セットアーキテクチャは64ビットのARMv8.2-Aを採用しています 1。キャッシュ構成は、L1キャッシュが32KB、L2キャッシュが320KB、そしてL3キャッシュが8MBとなっています 1。特に8MBという比較的大きなL3キャッシュ容量は、Dimensity 1100やDimensity 8050といった関連チップにも見られる特徴であり、特定のワークロードにおいてCPUコアからメインメモリへのアクセス頻度を減らし、パフォーマンス向上に寄与する可能性があります 16。
製造プロセスには、TSMCの6nmプロセス技術が採用されています 1。これは電力効率と性能のバランスに優れたプロセスですが、競合製品に見られるより微細な4nmプロセス 13 と比較した場合、トランジスタ密度や絶対的な電力効率の点で潜在的な不利が存在する可能性があります。
B. GPU仕様
グラフィックス処理を担当するGPUには、ARM Mali-G77 MP9が搭載されています 1。「MP9」は9つの実行ユニット(コア)を持つことを意味します。Mali-G77は、ARMのValhallアーキテクチャの第1世代に属するGPUです 1。これはDimensity 8020の発表時点では比較的高性能な部類でしたが、後継のValhall世代GPU(例:Mali-G78, G710, G715)や、競合するQualcommのAdreno 7xxシリーズGPU 16 と比較すると、性能や最新機能(例:ハードウェアレイトレーシングのサポート度合いなど)で見劣りする可能性があります。
GPUの動作周波数は、多くの情報源で約836MHzと報告されていますが 1、一部には850MHz 5 や886MHz 18(Dimensity 8050の値)とする記述も見られます。グラフィックスAPIとしては、Vulkan 1.3とOpenCL 2.0をサポートしており 1、一部資料ではDirectX 12もサポートするとされています 5。
理論演算性能を示すFLOPS値については、約481.5 GFLOPS(ギガフロップス)とする情報 1 と、0.9792 TFLOPS(テラフロップス、979.2 GFLOPSに相当)とする情報 5 がありますが、Mali-G77 MP9のコア数と一般的な周波数から考えると、481.5 GFLOPSの方がより現実的な値である可能性が高いです。
C. メモリとストレージ
Dimensity 8020は、メモリタイプとしてLPDDR4Xをサポートします 1。最大動作周波数は2133MHzで、これはデータ転送レートとしては4266Mbpsに相当します 1。メモリバス幅は4x 16ビット(合計64ビット)であり 1、これにより最大メモリ帯域幅は34.1 Gbit/s(ギガビット/秒)となります 1。LPDDR4Xは当時のミドルレンジでは標準的なメモリ規格でしたが、より高速なLPDDR5をサポートする競合SoC 3 と比較すると、メモリ帯域幅の点で劣る可能性があり、これがデータ集約的なタスクや高解像度ゲームのパフォーマンスに影響を与える可能性があります。
ストレージインターフェースとしては、高速なUFS 3.1規格をサポートしています 1。UFS 3.1は、アプリケーションの起動時間短縮や、大容量ファイルの読み書き速度向上に大きく貢献し、スマートフォンの全体的な応答性を高める重要な要素です。
D. 接続性
Dimensity 8020は、SoC内に5Gモデムを統合しており、最新のモバイル通信規格に対応しています。サポートするのはSub-6 GHz帯の5Gであり 2、スタンドアロン(SA)モードとノンスタンドアロン(NSA)モードの両方に対応しています 9。また、デュアル5G SIM(両方のSIMスロットで5G待受が可能)もサポートします 9。理論上の最大通信速度は、下り(ダウンロード)が4.7 Gbps、上り(アップロード)が2.5 Gbpsとされており 1、これは当時のミドルハイSoCとしては標準的なスペックです。
無線LAN規格としては、Wi-Fi 6 (IEEE 802.11ax) をサポートしています 1。Wi-Fi 6は、従来のWi-Fi 5 (802.11ac) と比較して、通信速度の向上、低遅延、そして多数のデバイスが接続された環境での効率改善といった利点があります。ただし、より新しいWi-Fi 6E規格(6GHz帯を利用可能)をサポートするチップ 32 も存在する中で、Dimensity 8020は標準的なWi-Fi 6対応に留まります。
Bluetoothのバージョンは5.2をサポートしています 1。Bluetooth 5.2は、LE Audioなどの新機能や、接続安定性、省電力性の向上を提供します。
位置情報測位システムとしては、GPS、GLONASS、BeiDou、Galileo、QZSS(みちびき)、NavICといった主要な衛星測位システムをサポートしており、グローバルでの利用に対応しています 1。
E. AIプロセッシングユニット (APU)
Dimensity 8020は、MediaTek独自のAI処理専用ユニットである「APU 570」を搭載しています 2。APUはNeural Processing Unit (NPU) とも呼ばれ、AIに関連する計算を効率的に実行するために設計されたプロセッサです。このAPU 570は、Dimensity 8020と密接に関連するDimensity 8050 11 や、旧世代のDimensity 1300などにも採用されています。
APU 570の主な役割は、特にカメラ機能の強化にあります。具体的には、AIノイズリダクション(AINR)、AI露出調整(AI-AE)、AIオートフォーカス(AI-AF)、AIホワイトバランス(AI-AWB)、AIオブジェクトトラッキング、AIスーパーパノラマ(複数枚の写真をAIで合成)、AIマルチパーソンボケ動画(動画内で複数の人物に対して自然な背景ぼかしを適用)といった高度な画像・映像処理を、CPUやGPUに大きな負荷をかけることなく実行することを可能にします 9。また、標準ダイナミックレンジ(SDR)の映像をリアルタイムでハイダイナミックレンジ(HDR)映像に変換するAI SDR-to-HDR機能などもサポートされています 9。
しかしながら、APU 570の具体的な性能を客観的に示す標準的なAIベンチマーク(例:AI Benchmark, ETH Zurich AI Benchmarkなど)のスコアは、本レポート作成にあたり参照した資料の中では見つけることが困難でした 1。AI Benchmarkのウェブサイト 34 では、Dimensity 8020がAPU 570を搭載するチップとしてリストされていますが、具体的なスコアは掲載されていません。AI性能の評価は、ベンチマークがまだ十分に標準化されていないことや、特定のタスクに特化した性能を持つ場合があることから、総合的な数値での比較が難しい側面があります。そのため、Dimensity 8020のAI性能は、主にカメラ機能のレビューなどを通じて、その効果を間接的に評価することになります。
F. マルチメディア機能
Dimensity 8020は、現代のスマートフォンに求められる高品質なマルチメディア体験をサポートするための機能を備えています。
ディスプレイ関連では、最大解像度としてFull HD+ (2520 x 1080ピクセル) をサポートします 1。リフレッシュレートは最大144Hzまで対応しており 2、これによりゲームプレイ時の滑らかな映像表示や、ウェブサイトやSNSのスクロール時の残像感低減が期待できます。MediaTekの「MiraVision」技術により、HDR10+コンテンツの再生にも対応し、より広いダイナミックレンジと豊かな色彩表現を実現します 2。
カメラ機能に関しては、イメージシグナルプロセッサ(ISP)が最大108メガピクセル(MP)のシングルカメラ、または32MP+16MPのデュアルカメラ構成をサポートします 1。ビデオ撮影(キャプチャ)は、最大で4K解像度、毎秒60フレーム (4K@60fps) まで対応しています 1。これは高品質なビデオ録画を可能にしますが、一部のフラッグシップSoC(例:Snapdragon 8 Gen 1)が対応する8Kビデオ撮影には対応していません 19。ビデオ再生も同様に最大4K@60fpsに対応しています 1。
ビデオコーデックについては、エンコード(圧縮)ではH.264とHEVC (H.265) をサポート 9。デコード(伸張・再生)では、これらに加えてVP9とAV1にも対応しています 1。特にAV1コーデックのハードウェアデコード対応は、YouTubeなどの動画ストリーミングサービスで採用が進んでいる比較的新しい高効率コーデックであり、対応コンテンツをより少ないデータ量、あるいはより低い消費電力で再生できるメリットがあります 7。
G. テーブル:主要技術仕様一覧
機能項目 | 仕様 | 出典例 |
CPU | オクタコア (8コア) | 1 |
高性能コア | 4x ARM Cortex-A78 @ 最大 2.6GHz | 1 |
高効率コア | 4x ARM Cortex-A55 @ 最大 2.0GHz | 1 |
アーキテクチャ | ARMv8.2-A (64ビット) | 1 |
L3キャッシュ | 8 MB | 1 |
GPU | ARM Mali-G77 MP9 | 1 |
アーキテクチャ | Valhall 1st gen | 1 |
周波数 | 約 836 MHz | 1 |
APIサポート | Vulkan 1.3, OpenCL 2.0, DirectX 12 | 1 |
製造プロセス | TSMC 6nm | 1 |
メモリ | LPDDR4X | 1 |
最大周波数 | 2133 MHz (4266 Mbps相当) | 1 |
最大帯域幅 | 34.1 Gbit/s | 1 |
ストレージ | UFS 3.1 | 1 |
AIプロセッサ | MediaTek APU 570 | 9 |
接続性 | ||
5G | Sub-6 GHz (SA/NSA), 最大 DL 4.7Gbps / UL 2.5Gbps | 1 |
Wi-Fi | Wi-Fi 6 (802.11ax) | 1 |
Bluetooth | 5.2 | 1 |
マルチメディア | ||
最大ディスプレイ | FHD+ (2520×1080) @ 144Hz | 1 |
最大カメラ | 108MP (シングル) / 32MP+16MP (デュアル) | 1 |
ビデオ撮影 | 最大 4K@60fps | 1 |
ビデオ再生 | 最大 4K@60fps | 1 |
ビデオデコード | H.264, HEVC, VP9, AV1 | 1 |
この表は、Dimensity 8020の主要な技術的特徴をまとめたものです。これらの仕様が、後述するベンチマークスコアや実際の使用感にどのように影響するかを理解する上で基礎となります。
III. ベンチマークパフォーマンス分析
スマートフォンのSoC性能を客観的に評価する上で、標準的なベンチマークテストのスコアは重要な指標となります。ここでは、MediaTek Dimensity 8020について、主要なベンチマークテスト(AnTuTu Benchmark, Geekbench, 3DMark)の結果と、AI性能について分析します。
A. AnTuTu Benchmark (v9/v10)
AnTuTu Benchmarkは、CPU、GPU、メモリ(MEM)、ユーザーエクスペリエンス(UX)の各項目を測定し、総合スコアを算出する包括的なテストです 4。Dimensity 8020のAnTuTuスコアについては、いくつかの異なるバージョンや測定結果が報告されています。
- AnTuTu v9: Motorola Edge 40を用いたテストでは、総合スコアが714,606点(CPU: 228,943点, GPU: 155,187点, MEM: 148,144点, UX: 182,332点)と報告されています 4。一方で、Notebookcheckのデータでは同じAnTuTu v9で総合687,619点(CPU: 172,354点)という結果も示されています 7。
- AnTuTu v10: より新しいAnTuTu v10でのスコアは、複数の情報源から報告されており、概ね74万点台が中心となっています。
- nanoreview.netの平均スコア(複数デバイスのテスト結果に基づく)は、総合742,480点(CPU: 220,474点, GPU: 185,750点, MEM: 164,100点, UX: 172,156点)です 1。
- Bajaj Finservの記事では、Dimensity 7030との比較において、Dimensity 8020のスコアが総合758,585点(CPU: 190,000点, GPU: 230,000点, MEM: 115,000点, UX: 223,585点)とされています 5。
- Garumaxによる実機(Motorola Edge 40)テストでは、通常モードで総合718,241点(GPU: 183,308点, UX: 178,433点)、ハイパフォーマンスモードを有効にすると総合777,680点(GPU: 222,877点)までスコアが向上したと報告されています 12。
- nanoreview.netに投稿されたユーザーによる測定結果では、Motorola Edge 40で71万点から76万点台が多く見られますが、室温などの条件によっては68万点台 1 や、逆に96万点台という非常に高いスコア(これは測定エラーや特殊な冷却環境の可能性も考えられます)も報告されています 1。Infinix Zero 30 5Gでは64万点から74万点台のスコアが報告されています 1。
これらのスコアから、Dimensity 8020はAnTuTuベンチマークにおいて70万点台前半から後半のスコアを記録するSoCであり、これはミドルハイレンジ、あるいはアッパーミドルレンジに位置づけられる性能レベルを示しています 12。日常的な操作の快適性を示すUXスコアも17万点から18万点台と比較的高く 1、一般的な用途でのスムーズな動作が期待できます。
ただし、注目すべきは報告されているスコアのばらつきです。これは、ベンチマークアプリのバージョン(v9とv10ではスコアリングの基準が異なります)、テストを実施したデバイス(Motorola Edge 40, Infinix Zero 30 5Gなど)、測定時の環境温度 1、そしてパフォーマンスモードの設定 12 など、様々な要因によってスコアが変動するためです。特に、Dimensity 8020がDimensity 1100のリネーム品であるという背景 1 を考えると、搭載されるスマートフォンのファームウェアの最適化度合いや、冷却システムの設計 37、電源管理ポリシーの違いが、観測されるパフォーマンスに影響を与えている可能性があります。したがって、単一のスコアだけを見るのではなく、複数の情報源からのスコア範囲や平均値、そして測定条件を考慮に入れることが、Dimensity 8020の性能をより正確に理解する上で重要です。特定のデバイスの性能を知りたい場合は、そのデバイス固有のレビューやベンチマーク結果を参照することが推奨されます。
B. Geekbench (v5/v6)
Geekbenchは、主にCPUの演算性能を測定するベンチマークテストであり、シングルコア性能とマルチコア性能を個別に評価します。また、GPUの演算性能(Compute)を測定するテストも含まれています。
- CPU性能:
- Geekbench 5: Notebookcheckなどのデータによると、シングルコアスコアは約835点、マルチコアスコアは約3300点前後です 2。
- Geekbench 6: より新しいバージョンであるGeekbench 6では、スコア体系が変更されています。複数の情報源(nanoreview.net, 91mobiles, Notebookcheck)でほぼ一貫したスコアが報告されており、シングルコアスコアは約1120点、マルチコアスコアは約3600点~3700点となっています 1。
- GPU Compute性能:
- Geekbench 6 Compute (Vulkan/OpenCL): nanoreview.netのデータによると、スコアは4731点です 1。
Geekbenchのスコアを見ると、特にマルチコア性能が約3600点~3700点(v6)と高いことがわかります。これは、4つの高性能Cortex-A78コアを搭載していることによる恩恵が大きいと考えられます 1。このマルチコア性能は、同世代のミドルハイレンジの競合SoCと比較しても遜色なく、むしろ優位に立つ場面も見られます(例:Snapdragon 7 Gen 1のマルチコアは約2761点 15、Snapdragon 7s Gen 2は約2943点 20)。シングルコア性能(約1120点)も良好ですが、マルチコア性能ほどの突出した高さではありません。
一方で、GPU Computeスコア(4731点)は、CPU性能と比較すると、やや控えめな印象を受けるかもしれません。搭載されているGPU、Mali-G77 MP9は、Dimensity 8020の発表時点では高性能な部類でしたが、最新世代のGPUアーキテクチャではありません 1。このことから、Dimensity 8020は、CPUのマルチタスク処理能力に強みを持つ一方で、GPU性能はCPU性能ほど際立っておらず、全体としてはバランス型のミドルハイSoCであると評価できます。日常的なアプリケーションの利用や、複数のアプリを同時に使用するような場面では非常に快適な動作が期待できますが、グラフィックス性能への要求が極めて高い最新の3Dゲームなどを最高設定でプレイする場合には、GPUがボトルネックとなる可能性も考えられます。
C. 3DMark
3DMarkは、主にGPUのグラフィックス性能を測定するためのベンチマークテストです。特に「Wild Life」テストは、比較的新しいAPIであるVulkan(Androidの場合)を使用し、現代的なモバイルゲームの負荷をシミュレートします。「Sling Shot」はやや古いテストですが、過去のチップとの比較に用いられることがあります。
- Wild Life:
- nanoreview.netなどの情報源によると、標準的なWild Lifeテストのスコアは4464点です 1。このスコアは、ミドルレンジ上位からミドルハイレンジに相当するGPU性能を示しています。
- 特筆すべきは、このテストにおける安定性(Stability)スコアが98%と非常に高い点です 1。安定性スコアは、テスト実行中の複数回のループにおける最低スコアを最高スコアで割ったもので、数値が高いほど、負荷がかかり続けても性能が低下しにくい(スロットリングが少ない)ことを意味します。98%という値は、ベンチマーク中の性能低下がほとんどないことを示唆しています。
- 平均フレームレート(Graphics test FPS)は26 FPSと報告されています 1。
- 一方で、Bajaj Finservの記事では、Wild Lifeのスコアが6200点、安定性が95%、Graphics testが4800(単位不明、スコアの可能性)と、他の情報源と大きく異なる数値が記載されています 5。この差異の原因は不明ですが、テスト条件やバージョンの違いなどが考えられるため、参考情報として留めるのが適切でしょう。
- Sling Shot / Sling Shot Extreme (Physics):
- Notebookcheckのデータでは、Sling Shot Extreme (ES 3.1) Unlimited Physicsのスコアが5415点 2、Sling Shot (ES 3.0) Unlimited Physicsのスコアが3388点 2 となっています。これらのテストの「Physics」スコアは、主にCPUの物理演算性能を反映する部分が大きいです。
3DMark Wild Lifeのスコア(約4464点)と特に高い安定性(98%)は、Dimensity 8020のGPUが、持続的なグラフィック負荷に対して安定したパフォーマンスを発揮する潜在能力を持っていることを示しています。これは、6nmプロセス技術 1 と、ベースとなったDimensity 1100の設計 1 が比較的安定しており、過度な発熱による急激な性能低下(スロットリング)が抑制されている可能性を示唆します。また、テストに使用されたデバイス(例:Motorola Edge 40 1)の冷却設計が効果的である可能性も考えられます 31。この高い安定性は、長時間のゲームプレイにおいて、フレームレートが急に落ち込むような体験をしにくいことを期待させます。ただし、後述するように、実際のゲームプレイでは発熱が報告されるケースもあるため 22、ベンチマーク上の安定性がそのまま実使用環境での快適性に直結するとは限らない点には注意が必要です。
D. AIパフォーマンス (APU 570)
Dimensity 8020は、AI処理を専門に行うMediaTek APU 570を搭載しています 2。このAPUは、カメラ画質の向上(AIノイズリダクション、AI露出補正、AIによる被写体追跡、AIを用いたパノラマ合成、AIによる動画の背景ぼかし等)や、SDR映像のHDRへのリアルタイム変換といった機能を実現するために活用されています 9。専用のAIプロセッサを搭載することで、これらの処理をCPUやGPUに大きな負荷をかけることなく、効率的に実行できるというメリットがあります。
しかしながら、APU 570の純粋な演算性能を客観的に示すための標準的なAIベンチマークテスト(例:AI Benchmark, ETH Zurich AI Benchmarkなど)のスコアは、公開されている情報からは見つけることができませんでした 1。AI Benchmarkのウェブサイト 34 ではAPU 570搭載チップがリストアップされていますが、スコアは提供されていません。これは、AIベンチマークの標準化がまだ途上であることや、メーカーがスコア公開に積極的でないこと、AI性能が特定のタスクに特化していて単一の総合スコアで評価しにくいことなどが理由として考えられます。
したがって、Dimensity 8020のAI性能については、APU 570の搭載とその機能(主にカメラ関連機能の強化)に言及することはできますが、その性能レベルを定量的に評価することは現時点では困難です。実際のAI機能の動作や効果については、搭載デバイスのレビューなどを参考に判断する必要があります。
E. テーブル:ベンチマークスコア一覧
ベンチマークテスト | スコア種別 | スコア (目安) | 出典例 | テストデバイス例 |
AnTuTu v9 | 総合 | 約 688k – 715k | 4 | Motorola Edge 40 |
CPU | 約 172k – 229k | 4 | Motorola Edge 40 | |
GPU | 約 155k | 4 | Motorola Edge 40 | |
AnTuTu v10 | 総合 | 約 710k – 778k (通常: 740k前後) | 1 | Motorola Edge 40, Infinix Zero 30 5G |
CPU | 約 190k – 220k | 1 | Motorola Edge 40 | |
GPU | 約 183k – 230k | 1 | Motorola Edge 40 | |
MEM | 約 115k – 164k | 1 | Motorola Edge 40 | |
UX | 約 172k – 224k | 1 | Motorola Edge 40 | |
Geekbench 5 | Single-Core | 約 835 | 2 | Motorola Edge 40 |
Multi-Core | 約 3300 | 2 | Motorola Edge 40 | |
Geekbench 6 | Single-Core | 約 1120 | 1 | Motorola Edge 40 |
Multi-Core | 約 3600 – 3700 | 1 | Motorola Edge 40 | |
Compute (GPU) | 約 4731 | 1 | (N/A) | |
3DMark | Wild Life Score | 約 4464 | 1 | (N/A) |
Wild Life Stability | 98% | 1 | (N/A) | |
Wild Life FPS | 26 FPS | 1 | (N/A) | |
Sling Shot Extreme Physics | 約 5415 | 2 | Motorola Edge 40 | |
Sling Shot Physics | 約 3388 | 2 | Motorola Edge 40 |
(注) スコアは測定環境やデバイスにより変動します。k = 1,000
この表は、Dimensity 8020の主要なベンチマークスコアをまとめたものです。これにより、異なるテストにおける性能レベルの概要を把握できます。
IV. ゲーム性能評価
ベンチマークスコアはSoCの潜在能力を示す指標ですが、実際のゲームプレイにおける快適性は、フレームレートの高さや安定性、そして発熱による影響など、様々な要素によって決まります。ここでは、Dimensity 8020のゲーム性能について、実機レビューに基づき評価します。
A. 実機でのゲームプレイ評価
Dimensity 8020は、ミドルレンジSoCとしては良好なゲーム性能を提供すると評価されています 22。日常的なタスクや、比較的負荷の軽いカジュアルゲームであれば、全く問題なく快適に動作します 4。
負荷の高い3Dゲームについても、多くのタイトルを標準的な画質設定で楽しむことが可能です 12。
- 原神 (Genshin Impact):
- 非常に負荷が高いとされるこのゲームですが、Dimensity 8020はデフォルトのグラフィック設定である「中」設定であれば、快適にプレイできる性能を持っています 12。Garumaxによるテストでは、高負荷状態でも下限フレームレート43FPSを維持したと報告されています 12。
- HyperGadgetによるMotorola Edge 40でのテストでは、さらに厳しい「最高」画質設定(60fps目標)でプレイした場合、開始直後は45fpsで非常に安定した動作を見せました 31。これは、同テストで比較対象とされたGoogle Pixel 7a (Tensor G2搭載) よりも安定した挙動であり、予想外の結果と評価されています 31。ただし、プレイ開始から約5分が経過すると、端末の温度上昇を抑制するためか、フレームレートは自動的に30fps程度に低下しました 31。この挙動は、急激なフレーム落ちを防ぐための意図的な制御と見られますが、最高画質での常時高フレームレート維持は難しいことを示唆しています。
- Blackview HKのブログ記事でも、最高画質設定ではフレームレートが低下する可能性があると指摘されています 44。
- 総じて、原神をプレイする場合、画質設定を「中」または「高」程度に調整することで、比較的安定したフレームレートで楽しむことができると考えられます 23。
- Call of Duty: Mobile:
- 比較的高負荷なFPSゲームですが、「高」設定または「最高(Ultra)」設定で、目標フレームレートである60FPSでのスムーズなプレイが可能であると報告されています 6。
- PUBG Mobile:
- この人気バトルロイヤルゲームでは、グラフィック設定「スムーズ」において、フレームレート設定を上限である「極限」(60FPS)まで引き上げることが可能であり、高負荷時でも59FPSを維持できたとの報告があります 12。Blackview HKの記事でも、「高」設定でのプレイが可能とされています 23。
- Asphalt 9: Legends:
- グラフィックスが美麗なレースゲームですが、Motorola Edge 40を用いたテストでは、フレームレートを60fpsに設定してプレイした際、ほぼ常に60fpsを維持し、フレーム落ちもほとんど見られなかったと高く評価されています 31。Blackview HKの記事でも、「高」設定でのプレイが可能とされています 23。
- その他のゲーム:
- nanoreview.netに掲載されているDimensity 1100(Dimensity 8020とほぼ同等)でのテスト結果によると、Fortnite(高設定 27FPS)、Shadowgun Legends(Ultra設定 68FPS)、World of Tanks Blitz(Ultra設定 83FPS)、Mobile Legends: Bang Bang(Ultra設定 60FPS)といったゲームのプレイ報告があります 6。Mobile LegendsについてはBlackview HKもUltra設定でのプレイが可能としています 23。
- エミュレーション:
- 比較的高度な処理能力を要求されるゲーム機エミュレーションについては、PlayStation 2、GameCube/Wii、ニンテンドー3DS、そして一部の軽量なNintendo Switchタイトルであれば、ある程度動作させることが可能とされています 45。しかし、専用のドライバ最適化が進んでいるSnapdragonシリーズ(特に旧ハイエンドのSnapdragon 865など)と比較すると、パフォーマンス、特にグラフィック描画の互換性やアップスケーリング(高解像度化)時の性能で劣る可能性があるとの指摘があります 46。エミュレーション目的での利用を主眼に置く場合は、Snapdragon搭載機の方が適している場面が多いかもしれません。
B. フレームレートと安定性
Dimensity 8020は、多くの人気ゲームにおいて、目標とされる60FPSに近い、あるいはそれを維持するフレームレートでのプレイを実現できるポテンシャルを持っています 4。特にMotorola Edge 40を用いたレビューでは、負荷の高い原神やAsphalt 9においても、フレームレートの変動が少なく、安定した動作を見せた点が評価されています 31。この安定性には、MediaTek独自のゲーム最適化技術群である「HyperEngine」9 や、スマートフォンメーカー側による冷却設計やソフトウェアチューニング 23 が寄与していると考えられます。3DMarkのベンチマークテストで示された高い安定性スコア 1 も、この傾向を裏付けています。
C. 発熱とスロットリング
一方で、Dimensity 8020搭載デバイスのゲームプレイ中の発熱については、評価が分かれる側面があります。
- 発熱の報告: 長時間ゲームをプレイしたり、高負荷な処理を続けたりすると、端末が熱を持つという報告が複数のレビューで見られます 22。特に、Motorola Edge 40のように薄型軽量デザインで、かつサイドフレームにアルミニウムなどの熱伝導性の高い素材を使用している場合、ユーザーが熱を感じやすい可能性があります 37。
- 発熱抑制の評価: 他方で、比較的良好な熱管理がされており、過度な発熱は抑えられているという評価もあります 44。また、前述の原神のテスト 31 で見られたように、一定の温度に達するとフレームレートを意図的に下げる制御(サーマルスロットリング)が働くことで、極端な高温状態になるのを防いでいるとも考えられます。HyperGadgetの記事では、Motorola Edge 40が原神プレイ中にGPUパフォーマンスを維持しようとして発熱(最高42.5度)し、その結果CPUクロックが低下した可能性にも言及しています 40。
- ベンチマークとの関連: 3DMarkの安定性テストでは98%という高いスコア 1 を記録しており、少なくともベンチマークテストのような一定負荷の状況下では、急激な性能低下は起こりにくいことが示唆されています。
これらの情報を総合すると、Dimensity 8020の発熱とそれに伴うスロットリングの度合いは、搭載されるデバイスの設計(特に冷却機構)や、ユーザーの使用状況、パフォーマンス設定(例:ハイパフォーマンスモードの有無 12)に大きく依存すると考えられます。薄型軽量のスマートフォン 31 では、冷却能力に限界があるため、高負荷が長時間続くとパフォーマンスが低下する可能性が高まります。一方で、より大型で冷却機構が充実している可能性のあるタフネススマートフォン 29 などでは、より安定したパフォーマンスを維持できるかもしれません。したがって、Dimensity 8020搭載デバイスを選ぶ際には、発熱や持続性能に関する個別のレビューを参考にし、自身の使い方に合ったデバイスを選択することが重要です。
V. 競合プロセッサとの比較分析
Dimensity 8020の性能を正確に位置づけるためには、同クラスの競合プロセッサとの比較が不可欠です。ここでは、主要な競合製品であるQualcomm Snapdragonシリーズと、同じMediaTekのDimensityシリーズの他のチップとの性能比較を行います。
A. Qualcomm Snapdragonシリーズとの比較
- Snapdragon 7 Gen 1 (4nm Samsungプロセス):
- Dimensity 8020は、Snapdragon 7 Gen 1に対して、主要なベンチマークテストで明確な性能優位性を示します。AnTuTu v10総合スコアでは約9% 15、Geekbench 6シングルコアで約16%、マルチコアで約33%、GPU Computeで約86% 15、3DMark Wild Lifeスコアで約41% 15、それぞれDimensity 8020が上回っています。
- CPUの最大クロック周波数(2.6GHz vs 2.4GHz)やメモリ帯域幅(34.1GB/s vs 25.6GB/s)でもDimensity 8020が有利です 15。一方で、プロセスノードはSnapdragon 7 Gen 1の方が微細(4nm vs 6nm)ですが、製造ファウンドリが異なります(Samsung vs TSMC)。TDP(持続的な電力制限)はDimensity 8020の方が低い(4W vs 5W)とされています 15。
- 全体として、Dimensity 8020はこの世代のSnapdragon 7シリーズに対して、特にCPUマルチコア性能とGPU性能で大きなアドバンテージを持っています。
- Snapdragon 7s Gen 2 (4nm Samsungプロセス):
- Snapdragon 7s Gen 2は、名前に反してSnapdragon 7 Gen 1よりも性能が低いとされることが多いチップです 49。Dimensity 8020は、このSnapdragon 7s Gen 2に対しても大幅な性能優位性を維持しています。
- AnTuTu v10総合スコアで約22% 20、Geekbench 6シングルコアで約11%、マルチコアで約25%、GPU Computeに至っては約115% 20、3DMark Wild Lifeスコアで約48% 20、それぞれDimensity 8020が上回っています。
- 特にGPU性能における差は顕著です。
- Snapdragon 7 Gen 3 (4nm TSMCプロセス):
- Snapdragon 7 Gen 3は、より新しい世代のミドルハイ向けSoCであり、Dimensity 8020との比較では一長一短が見られます。
- AnTuTu v10総合スコア(約810k vs 742k)16 と3DMark Wild Lifeスコア(約5916 vs 4464)16 では、Snapdragon 7 Gen 3がそれぞれ約9%、約33%上回り、特にGPU性能の向上が顕著です。これは、Snapdragon 7 Gen 3が新しいCPUコアアーキテクチャ(Cortex-A715/A510)とより強力なGPU(Adreno 720)を採用しているためです 16。
- 一方で、Geekbench 6マルチコアスコアではDimensity 8020が約9%上回り(約3681 vs 3375)16、GPU ComputeスコアでもDimensity 8020が約14%上回っています(約4731 vs 4167)16。シングルコア性能はほぼ同等です 16。
- Dimensity 8020は、最新の競合チップに対して、CPUマルチコア性能では依然として競争力を保っていることがわかります。
- Snapdragon 870 (7nm TSMCプロセス):
- Snapdragon 870は、旧世代のハイエンドSoC(Snapdragon 865の改良版)であり、依然として高い性能を持っています。Dimensity 8020との比較では、性能特性が異なります。
- CPUシングルコア性能ではSnapdragon 870が優位です(Geekbench 6.4で約1300 vs 1120 41、Geekbench 5.5で約990 vs 835 2)。
- CPUマルチコア性能では、Dimensity 8020が同等かやや優位な結果を示しています(Geekbench 6.4で約3617 vs 3357 41、Geekbench 5.5で約3310 vs 3245 2)。
- GPU性能を示す3DMark Sling Shot Extreme Physicsスコアでは、Dimensity 8020が平均値で上回っていますが、Snapdragon 870の最大値はDimensity 8020を上回っており、デバイスの実装による差が大きい可能性があります 41。
- Dimensity 8020はより新しい6nmプロセスと4つのCortex-A78コア構成により、マルチコア性能で旧ハイエンドに匹敵する性能を発揮していると言えます。
- Snapdragon 8 Gen 1 (4nm Samsungプロセス):
- Snapdragon 8 Gen 1はフラッグシップクラスのSoCであり、Dimensity 8020と比較すると全体的に性能が上です 19。
- 特にGPU性能(Adreno 730 vs Mali-G77 MP9)とメモリ帯域幅(LPDDR5 51.2 GB/s vs LPDDR4X 34.1 GB/s)で大きな差があります 19。また、Snapdragon 8 Gen 1は8Kビデオ撮影にも対応しています 19。
- これはターゲットとする市場セグメントの違いを明確に反映しています。
これらの比較から、Dimensity 8020はアッパーミドルレンジまたはミドルハイ 12 のSoCとして位置づけられることがわかります。Snapdragon 7 Gen 1や7s Gen 2といった同世代またはそれ以前のミドルレンジチップに対しては明確な性能的アドバンテージを持ち、旧世代ハイエンドのSnapdragon 870に対してもマルチコア性能では互角以上に渡り合えます。一方で、より新しいSnapdragon 7 Gen 3やフラッグシップのSnapdragon 8シリーズに対しては、特にGPU性能面で見劣りする部分があります。Dimensity 1100のリネームという背景 1 は、コストを抑えつつ旧ハイエンドに近いCPU性能を提供するための戦略と考えられ、特定の価格帯においては非常にコストパフォーマンスの高い選択肢となり得ます。特にCPUマルチコア性能を重視するユーザーにとっては魅力的な選択肢ですが、最新のグラフィック性能を求める場合は、より新しいSoCを検討する必要があります。
B. MediaTek Dimensityシリーズとの比較
- Dimensity 1080 / 7050 (6nm TSMC):
- Dimensity 8020は、Dimensity 1080(およびそのリネームであるDimensity 7050)に対して、CPU・GPUともに明確に高性能です。高性能コア数が多く(4つ vs 2つ 8)、GPUもより強力なMali-G77 MP9(vs Mali-G68 MP4 8)を搭載しています。Geekbench 6のスコアでも、シングル・マルチともに大きな差がついています 13。
- Dimensity 1100 (6nm TSMC):
- Dimensity 8020とDimensity 1100は、スペック上ほぼ同一のチップです 6。CPUコア構成(4xA78@2.6 + 4xA55@2.0)、GPU(Mali-G77 MP9)、製造プロセス(6nm)のいずれも共通しています 6。
- ベンチマークスコアも非常に近く、Geekbench 6や3DMark Wild LifeではDimensity 8020がわずかに高いスコアを示す傾向がありますが 6、これは最適化やテスト環境の差によるものと考えられます。一部のAnTuTu v9比較ではDimensity 1100の方が高いスコアを示す例もあります 7。
- これらのことから、Dimensity 8020はDimensity 1100のリネーム、あるいはごくわずかな改良版である可能性が極めて高いと言えます 1。
- Dimensity 7030 (6nm TSMC):
- Dimensity 8020は、Dimensity 7030に対して大幅に高性能です。高性能コア数が多く(4つ vs 2つ 5)、GPUもMali-G77 MP9(vs Mali-G610 MP3 5)と格段に強力です。AnTuTu v10スコアでは約23万点以上の差がついています 5。
- Dimensity 7200 (4nm TSMC):
- Dimensity 7200は、より新しい4nmプロセスとARMv9世代のCPUコア(2x A715 + 6x A510)を採用していますが 14、Dimensity 8020との比較では性能特性が異なります。
- AnTuTu v10総合スコアはほぼ同等です(約742k vs 719k 14)。
- Geekbench 6では、シングルコア性能は新しいコアを持つDimensity 7200がやや優位ですが、マルチコア性能では高性能コア数で勝るDimensity 8020が大きく上回ります 14。GPU Computeスコアと3DMark Wild LifeスコアでもDimensity 8020が優位です 14。
- Dimensity 8020は、より新しいプロセスとアーキテクチャを持つDimensity 7200に対して、特にCPUマルチコア性能とGPU性能で依然としてアドバンテージを持っていることが示されています。
- Dimensity 8050 (6nm TSMC):
- Dimensity 8050は、Dimensity 8020と実質的に同じチップファミリーと考えられます。主な違いは、Dimensity 8050の高性能コアのうち1つが最大3.0GHzまでクロックアップされている点です(他3つは2.6GHz)11。GPUクロックもわずかに高い(886MHz vs 836MHz)18。
- ベンチマークスコアも非常に近く、AnTuTu v10、Geekbench 6シングルコア、3DMark Wild Lifeではほぼ同等かDimensity 8050がわずかに上回ります 18。しかし、なぜかGeekbench 6マルチコアスコアではDimensity 8020の方が高い結果が出ています 11。これはテスト個体差やソフトウェア最適化による影響の可能性が高いです。
- 基本的に、Dimensity 8050はDimensity 8020(およびDimensity 1100/1300)のクロック向上版と見なすことができます。
これらの比較から、Dimensity 8020はMediaTekのラインナップにおいて、Dimensity 7000番台の下位モデルやDimensity 1080/7050よりも明確に上位に位置づけられます。その実態はDimensity 1100/1300系のリフレッシュであり、Dimensity 8050とはクロック違いの兄弟チップと言えます。新しいアーキテクチャを採用したDimensity 7200と比較しても、コア構成の違いからマルチコア性能やGPU性能では優位性を示す場面があり、単なる旧世代チップとは言えないユニークなポジションにあります。これは、MediaTekが旧世代のハイエンド向け設計を、性能とコストのバランスが求められるミドルハイ市場に再投入するという戦略をとっていることを示唆しています。
C. テーブル:競合プロセッサとのベンチマーク比較
プロセッサ名 | プロセス | CPU構成 (高性能+効率) | GPU | AnTuTu v10 (総合) | Geekbench 6 (Single) | Geekbench 6 (Multi) | 3DMark (Wild Life) | 出典例 |
MediaTek Dimensity 8020 | 6nm TSMC | 4xA78@2.6 + 4xA55@2.0 | Mali-G77 MP9 | ~742k | ~1122 | ~3681 | ~4464 | 1 |
Qualcomm Snapdragon 7 Gen 1 | 4nm Samsung | 1xA710@2.4 + 3xA710@2.36 + 4xA510@1.8 | Adreno 644 | ~679k | ~964 | ~2761 | ~3166 | 15 |
Qualcomm Snapdragon 7s Gen 2 | 4nm Samsung | 4xA78@2.4 + 4xA55@1.95 | Adreno 710 | ~608k | ~1012 | ~2943 | ~3018 | 20 |
Qualcomm Snapdragon 7 Gen 3 | 4nm TSMC | 1xA715@2.63 + 3xA715@2.4 + 4xA510@1.8 | Adreno 720 | ~810k | ~1139 | ~3375 | ~5916 | 16 |
Qualcomm Snapdragon 870 | 7nm TSMC | 1xA77@3.2 + 3xA77@2.42 + 4xA55@1.8 | Adreno 650 | (~760k前後)* | ~1299 (v6.4) | ~3357 (v6.4) | (~4200前後)* | 41 |
MediaTek Dimensity 1080 / 7050 | 6nm TSMC | 2xA78@2.6 + 6xA55@2.0 | Mali-G68 MP4 | ~530k* | ~999 (v6.0) | ~2400 (v6.0) | (~2300前後)* | 8 |
MediaTek Dimensity 1100 | 6nm TSMC | 4xA78@2.6 + 4xA55@2.0 | Mali-G77 MP9 | ~760k* | ~1104 | ~3321 | ~4299 | 6 |
MediaTek Dimensity 7030 | 6nm TSMC | 2xA78@2.5 + 6xA55@2.0 | Mali-G610 MP3 | ~523k | (データ不足) | (データ不足) | ~4500 (独自テスト) | 5 |
MediaTek Dimensity 7200 | 4nm TSMC | 2xA715@2.8 + 6xA510@2.0 | Mali-G610 MP4 | ~719k | ~1187 | ~2643 | ~4166 | 14 |
MediaTek Dimensity 8050 | 6nm TSMC | 1xA78@3.0 + 3xA78@2.6 + 4xA55@2.0 | Mali-G77 MP9 | ~763k | ~1115 | ~3173 | ~4531 | 11 |
(注) スコアは目安であり、テストバージョンや環境により変動します。 が付いているスコアは、情報源やテストバージョンが異なるため、直接比較には注意が必要です。k = 1,000
この比較表により、Dimensity 8020が各競合プロセッサに対してどの程度の性能を持っているかを定量的に把握することができます。
VI. 電力効率とバッテリー寿命
SoCの性能だけでなく、電力効率とそれがもたらすバッテリー寿命も、スマートフォンの使用体験を左右する重要な要素です。ここでは、Dimensity 8020の電力効率とバッテリー寿命について、プロセス技術、TDP、そして実機レビューに基づいて考察します。
A. プロセス技術とTDP
Dimensity 8020は、TSMCの6nmプロセスで製造されています 1。6nmプロセスは、7nmプロセスから改良された技術であり、一般的に良好な電力効率を提供するとされています。MediaTek自身も、このプロセス技術によりバッテリー寿命が延長されることをアピールしています 9。
また、Dimensity 8020のTDP(Sustained Power Limit、持続的な負荷がかかった際の電力制限の目安)は4Wであるという情報が複数の比較サイトで見られます 1。これは、例えばSnapdragon 7 Gen 1のTDP 5W 15 よりも低く、Snapdragon 8 Gen 1のTDP 10W 19 と比較すると大幅に低い値です。TDPが低いことは、理論上は持続的な高負荷状態での消費電力が抑えられ、発熱も少なくなる傾向があることを示唆します。
さらに、MediaTekは**「5G UltraSave」**と呼ばれる省電力技術を搭載しており、5G通信時のバッテリー消費を最適化するとしています 9。
これらの技術仕様からは、Dimensity 8020がある程度の電力効率を持つように設計されていることがうかがえます。
B. 実機レビューに基づく評価
しかし、SoC自体の電力効率が良くても、実際のスマートフォンのバッテリー寿命は、搭載されるバッテリーの容量、ディスプレイの輝度やリフレッシュレート設定、ソフトウェアの最適化度合い、そしてユーザーの使い方(インストールしているアプリ、通信環境など)といった多くの要因に大きく左右されます。
Dimensity 8020を搭載する代表的な機種であるMotorola Edge 40(バッテリー容量4400mAh 27)のレビューを見ると、バッテリー寿命に関する評価は一貫していません。
- 肯定的な評価: Notebookcheckのレビューでは「良好なバッテリー寿命 (good performance and battery life)」と言及されています 27。他のレビューでも「1日半持つ (almost 1.5 days of use)」といった評価が見られます 27。Gadgetguyのレビューでも「より長いバッテリー寿命 (longer battery life)」が利点として挙げられています 27。
- 否定的な評価: 一方で、「平凡なバッテリーバックアップ (poor battery backup)」27、「1日持たない (does not last all day)」43 といった厳しい評価も存在します。あるユーザーは、AccuBatteryアプリでのスクリーンオンタイム(SOT)は8.5時間と良好ながら、100%充電しても朝から夜までギリギリ持つ程度で、バッテリー寿命を考慮して80%充電にすると1日持たないと報告しています 43。別のユーザーは、購入から1年半経過したEdge 40のバッテリー持ちがSOT 3~3.5時間程度にまで悪化したと述べています 43。
- 要因: これらの評価のばらつきは、ユーザーの使用状況の違い(例:ディスプレイのリフレッシュレートを常に144Hzに設定しているか 43)、バックグラウンドで動作するアプリ 50、ソフトウェアのバージョンや最適化 43、あるいは個体差などが影響している可能性があります。
比較対象として、Dimensity 7030を搭載するMotorola Edge 40 Neo(バッテリー容量5000mAh 32)のレビューでも、バッテリー持ちが良いという評価 32 と、ユーザーフォーラムでの「非常に悪い」という報告 50 が混在しており、バッテリー寿命の評価がいかに状況に依存するかを示しています。
一部では、Dimensityプロセッサ全般がSnapdragonと比較して電力効率で劣るという見方もありますが 43、Dimensity 8020(6nm)に関しては、比較的効率が良いとの評価 9 も存在します。
C. 発熱との関連
前述の通り、Dimensity 8020は高負荷時に発熱する可能性が指摘されています 22。一般的に、SoCの発熱は電力消費の増加につながり、バッテリー寿命にも悪影響を与える可能性があります。特に、Motorola Edge 40のような薄型軽量デバイスでは、放熱能力に限界があるため、高負荷が続くとパフォーマンスの低下(スロットリング)だけでなく、バッテリー消費も加速する可能性があります 37。
結論として、Dimensity 8020の電力効率は、6nmプロセスや4WというTDPの数値からは一定レベルの効率が期待されます。しかし、実際のバッテリー寿命は、搭載されるデバイスのバッテリー容量、ディスプレイ設定、ソフトウェア、そしてユーザーの使い方によって大きく変動するため、SoC単体で一概に評価することは困難です。Motorola Edge 40のレビューに見られる評価のばらつきは、このことをよく示しています。Dimensity 8020搭載デバイスのバッテリー性能を判断するには、個別のデバイスレビューを参考にし、自身の利用シナリオを考慮することが不可欠です。
VII. 結論
本レポートでは、MediaTek Dimensity 8020について、技術仕様、ベンチマークパフォーマンス、ゲーム性能、競合製品との比較、電力効率とバッテリー寿命の観点から詳細な分析を行いました。以下にその要点をまとめます。
A. パフォーマンスサマリー
MediaTek Dimensity 8020は、TSMCの6nmプロセスで製造されたアッパーミドルレンジ向けのSoCです。
- ベンチマーク: AnTuTu v10で約74万点、Geekbench 6でシングルコア約1120点、マルチコア約3600-3700点、3DMark Wild Lifeで約4460点というスコアを記録します 1。これは、ミドルハイレンジとして十分な性能レベルを示しています。
- CPU性能: 4つの高性能Cortex-A78コアを搭載し、特にマルチコア性能は強力です。同世代のSnapdragon 7 Gen 1/7s Gen 2を上回り、旧世代ハイエンドのSnapdragon 870にも匹敵する場面があります 15。
- GPU性能: ARM Mali-G77 MP9 GPUは、ミドルレンジとしては良好な性能を持ち、多くの3Dゲームを標準から高設定でプレイ可能です 12。ベンチマークテストにおける持続性能(安定性)も非常に高いことが示されています 1。
- AI性能: 専用のAPU 570を搭載し、主にカメラ機能の強化に貢献していますが、その性能を定量的に示す標準的なベンチマークスコアは不足しています 9。
B. 長所と短所
長所:
- 強力なCPUマルチコア性能: 4つのCortex-A78コアにより、マルチタスク処理やCPU負荷の高いアプリケーションで優れたパフォーマンスを発揮します 15。
- 安定したGPU持続性能(ベンチマーク上): 3DMark Wild Lifeテストで98%という高い安定性スコアを示し、スロットリング耐性の高さがうかがえます 1。
- 高速ストレージ対応: UFS 3.1に対応しており、アプリの起動やデータアクセスが高速です 1。
- 高リフレッシュレート対応: 最大144Hzのディスプレイをサポートし、滑らかな表示体験を提供します 4。
- コストパフォーマンス: Dimensity 1100という実績のある設計をベースにしているため、性能に対して価格を抑えたデバイスを実現しやすい可能性があります 12。
短所:
- 旧世代アーキテクチャ: Dimensity 1100/8050のリネームであり、CPU・GPUともに最新世代のアーキテクチャではありません 1。
- 最新競合に対するGPU性能: Snapdragon 7 Gen 3など、より新しいミドルハイSoCと比較すると、GPU性能で見劣りする場合があります 16。
- メモリ規格: LPDDR5ではなくLPDDR4Xまでの対応となります 1。
- 発熱の可能性(デバイス依存): 特に薄型デバイスでは、高負荷時に発熱し、パフォーマンスが低下する可能性があります 37。
- バッテリー寿命の評価のばらつき(デバイス依存): 搭載デバイスや使用状況によってバッテリー寿命の評価が大きく異なります 27。
C. 市場における総合評価
MediaTek Dimensity 8020は、2023年から2024年初頭にかけてのスマートフォン市場において、アッパーミドルレンジ(ミドルハイ)セグメントで有力な選択肢の一つでした。その強力なCPUマルチコア性能と、バランスの取れたGPU性能は、多くのユーザーにとって十分以上のパフォーマンスを提供します。特に、日常的なマルチタスク処理能力を重視し、最新ゲームを常に最高画質設定でプレイすることにはこだわらないユーザーにとって、コストパフォーマンスの高い選択肢となり得ます 12。
Dimensity 8020がDimensity 1100のリネームであるという事実は、最新技術を求めるユーザーにとってはマイナス点かもしれませんが、一方で成熟した技術による安定性や、コスト削減によるデバイス価格への反映というメリットも考えられます。
このSoCは、Motorola Edge 40 4 やInfinix Zero 30 5G 4 といったスタイリッシュなミドルレンジ機から、DOOGEE DK10 39 やUlefone Armorシリーズ 29 のような特定のニーズに応えるタフネススマートフォンまで、多様なデバイスに採用されています。Dimensity 8020搭載スマートフォンを検討する際には、SoC自体の性能特性を理解した上で、個々のデバイスのデザイン、カメラ性能、バッテリー容量、そして価格といった他の要素と総合的に比較検討することが重要です。
引用文献
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- Dimensity 8020/8050発表!中身はリネームで性能が低い – ガルマックス, 4月 22, 2025にアクセス、 https://garumax.com/dimensity-8020-dimensity-8050-announcement
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- motorola edge 40をレビュー!クチコミ・評判をもとに徹底検証 – マイベスト, 4月 22, 2025にアクセス、 https://my-best.com/products/1639383
- Snapdragon 450はゲームに適しているか? | Blackviewブログ, 4月 22, 2025にアクセス、 https://www.blackview.hk/blog/langja-phones/ja65202565
- Ulefone Armor 23 Ultra İki Yönlü Uydu Mesajlaşma 5280mAh Pil MediaTek Dimensity 8020 12GB+512GB – Teknobin, 4月 22, 2025にアクセス、 https://www.teknobin.com/product/ulefone-armor-23-ultra-iki-yonlu-uydu-mesajlasma-5280mah-pil-mediatek-dimensity-8020-12gb512gb/
- The AMD Ryzen 7 5700G, Ryzen 5 5600G, and Ryzen 3 5300G Review – AnandTech, 4月 22, 2025にアクセス、 https://www.anandtech.com/show/16824/amd-ryzen-7-5700g-and-ryzen-5-5600g-apu-review
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