MediaTek Helio G85 ベンチマークまとめ

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MediaTek Helio G85は、2020年に発表された、主に予算重視のゲーミングスマートフォン市場をターゲットとしたシステムオンチップ(SoC)です。本レポートでは、Helio G85の技術仕様、主要ベンチマークテストにおける性能、実際のゲームプレイにおけるパフォーマンス、競合SoCとの比較、および性能変動要因について詳細に分析します。

Helio G85は、2つの高性能Arm Cortex-A75コア(最大2.0GHz)と6つの高効率Arm Cortex-A55コア(最大1.8GHz)からなるオクタコアCPU構成を採用し、12nm FinFETプロセスで製造されています 1。特筆すべきは、Arm Mali-G52 MC2 GPUを最大1GHzという、同クラスのSoCとしては高いクロック周波数で動作させている点であり、これによりゲーム性能の向上が図られています 1。MediaTek独自のHyperEngineゲーミングテクノロジーも搭載され、CPU、GPU、メモリの動的な管理やネットワーク接続の最適化により、ゲーム体験の向上を目指しています 3

ベンチマークテストでは、AnTuTu Benchmark v10でおおよそ26万~28万点、Geekbench 6でシングルコア約415点、マルチコア約1330点を記録します 5。これは、発売当時のミドルレンジ下位クラスの性能を示しています。特にGPU性能は、同世代や一部の新しい競合(Snapdragon 680/685など)と比較しても健闘していますが、CPU性能は新しいアーキテクチャに劣ります 6

実際のゲームプレイでは、「PUBG Mobile」や「Call of Duty: Mobile」などの中程度の負荷のゲームは、中設定で概ね快適に動作します 5。しかし、「原神」のような高負荷ゲームでは、最低設定でもフレームレートの維持が難しく、特に長時間のプレイでは発熱とそれに伴うサーマルスロットリング(性能低下)が課題となります 9。これは、12nmプロセスと高クロックGPUの組み合わせに起因すると考えられます。

公式仕様ではストレージはeMMC 5.1サポートとされていますが 1、一部デバイスではより高速なUFS 2.1が採用されており 11、デバイス間の性能差の一因となっています。冷却設計やソフトウェア最適化も、最終的なユーザー体験に影響を与えます。

結論として、Helio G85は、日常的なタスクや軽度から中程度のゲームプレイには十分な性能を提供する、コスト効率の高いSoCです。しかし、最新の高負荷ゲームを最高設定でプレイしたいユーザーや、最高の電力効率、5G接続を求めるユーザーには適していません。予算を抑えつつ、ある程度のゲーム性能を求めるユーザー層にとって、発売から数年経った現在でも選択肢となり得るSoCと言えます。

I. MediaTek Helio G85: 技術アーキテクチャ

MediaTek Helio G85は、手頃な価格帯のスマートフォンで強化されたゲーム体験を提供することを目的として、2020年に発表されたSoCです。そのアーキテクチャは、当時のミドルレンジ市場の要求に応えるべく、性能と効率のバランスを考慮して設計されています。

A. CPU構成とクロック周波数

Helio G85は、オクタコア(8コア)CPU構成を採用しています。これは、Armのbig.LITTLE技術に基づき、性能重視のコアと電力効率重視のコアを組み合わせたものです 1

  • 高性能コア: 2つのArm Cortex-A75コアが最大2.0GHzで動作します。これらは、ゲームの起動、要求の厳しいアプリケーションの実行、応答性の高いユーザーインターフェースの提供など、高い処理能力を必要とするタスクを担当します 1
  • 高効率コア: 6つのArm Cortex-A55コアが最大1.8GHzで動作します。これらは、バックグラウンドタスク、音楽再生、SNSの更新など、比較的負荷の低い処理を担当し、消費電力を抑える役割を果たします 1

この2種類のコアは、共有の大型L3キャッシュによって相互接続されており、コア間のデータアクセスを高速化し、全体的なパフォーマンス向上に寄与しています 1。このCPU構成(2xA75 + 6xA55)は、Helio G85が発表された2020年頃のミドルレンジSoCでは一般的な構成であり、当時の市場ニーズに応えるためのバランスの取れた設計でした。Helio G85は64ビットアーキテクチャをサポートし、8つのコアすべてを同時に、あるいはタスクに応じて動的に組み合わせて使用できるHeterogeneous Multi-Processing(HMP)に対応しています 1

B. GPU仕様 (Mali-G52 MC2 @ 1GHz)

Helio G85のグラフィックス処理ユニット(GPU)は、Arm Mali-G52 MC2(MP2とも表記され、2つの実行ユニット/コアを持つことを意味します)です 1

このGPUの最大の特徴は、そのクロック周波数です。Helio G85では、GPUのピーク周波数が**1000MHz(1GHz)**に設定されています 1。これは、ほぼ同一の仕様を持つ先行モデルHelio G80のGPUクロック(950MHz)から引き上げられたものであり、Helio G85の主な改良点となっています 3。このGPUクロックの向上は、特にモバイルゲームにおけるフレームレートの向上や応答性の改善を目的としたものであり、MediaTekがHelio Gシリーズ、特にG85を「ゲーミング」SoCとして位置づける上での重要な技術的根拠となっています 1。なお、一部情報源 24 で950MHzと記載されている場合がありますが、公式情報や他の多数の情報源では1GHzとされており、1GHzが正しい仕様と考えられます。

GPUアーキテクチャはArmのBifrost(第2世代)に基づいており、グラフィックスAPIとしてはVulkan 1.3、OpenGL ES 3.2、および汎用計算用のOpenCL 2.0をサポートしています 4。これにより、当時の比較的新しいゲームやグラフィックスアプリケーションに対応可能でした。(一部資料 23 ではVulkan 1.1と記載されていますが、より新しい情報源 6 では1.3とされており、1.3が最終的な仕様である可能性が高いです。)

C. 製造プロセス (12nm FinFET)

Helio G85は、TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)の12nm FinFETプロセス技術を用いて製造されています 2

12nmプロセスは、発表当時(2020年)のミドルレンジSoCとしては標準的な選択肢であり、それ以前のプロセス(例:28nm、14nm)と比較して性能と電力効率の向上を実現していました。しかし、半導体技術の進歩は速く、その後登場したより微細なプロセス(例:競合のSnapdragon 680/685が採用する6nmプロセス 6)と比較すると、電力効率や発熱の面では不利になります。一般的に、プロセスノードが微細化されるほど、同じ性能をより低い消費電力で実現できるか、同じ消費電力でより高い性能を引き出すことが可能になります。12nmというプロセスノードで1GHzという比較的高クロックなGPUを動作させることは、特に持続的な高負荷状態(例:長時間のゲームプレイ)において、相当な発熱を伴う可能性があります。この発熱が、後述するサーマルスロットリング(熱による性能抑制)や、ユーザーが報告する本体の熱さ 9 の一因となっていると考えられます。MediaTekがHyperEngine内に熱管理機能を組み込んでいること 4 も、この点を裏付けています。

D. メモリとストレージのサポート (LPDDR4x, eMMC 5.1 – UFS 2.1の言及/不一致への対応)

Helio G85は、メモリ(RAM)としてLPDDR4x規格をサポートしており、最大メモリ周波数は1800MHz、最大搭載容量は8GBとなっています 1。LPDDR4xは、当時のミドルレンジスマートフォンで広く採用されていた規格であり、十分な帯域幅を提供します。

ストレージに関しては、MediaTekの公式仕様 1 や一部の比較情報 23 では、サポートされるストレージタイプとしてeMMC 5.1のみが記載されています。eMMC 5.1は、コスト効率に優れたストレージ規格ですが、より新しいUFS(Universal Flash Storage)規格と比較するとデータ転送速度が大幅に劣ります。

一方で、複数の比較サイト 8 や、Helio G85を搭載した特定のデバイス(例:Redmi Note 9 11)のレビューでは、UFS 2.1のサポートや採用が言及されています。また、Helio G90T/G92のような近接するSoCがUFS 2.1を使用できたという情報 37 もあります。

これらの情報を総合すると、Helio G85の公式仕様上の保証はeMMC 5.1サポートのみですが、SoC自体はUFS 2.1を扱う能力を持っている可能性が高いと考えられます。しかし、最終的にどちらのストレージ規格を採用するかは、スマートフォンメーカー(OEM)の判断に委ねられており、多くの場合、コストを抑えるためにeMMC 5.1が選択されます。したがって、Helio G85搭載デバイスの基本的なストレージ性能はeMMC 5.1を基準に考えるべきですが、一部のモデルではより高速なUFS 2.1が搭載されている可能性がある、という点が重要です。ストレージ速度は、アプリケーションの起動時間、ファイルの読み込み/書き込み速度、そしてシステム全体の体感的な応答性に直接影響するため、eMMC 5.1とUFS 2.1では実際の使用感に差が出ます。

E. 接続性とマルチメディア機能

Helio G85は、2020年当時のミドルレンジスマートフォンに求められる標準的な接続機能とマルチメディア機能を備えています。

  • 接続性:
  • セルラー: 統合された4G LTEモデムを搭載し、下り最大300Mbps(LTE Cat-7)、上り最大100Mbps(LTE Cat-13、一部資料 23 では150Mbps)の通信速度をサポートします 1。2枚のSIMカードで同時に4G VoLTE(高音質通話)待受が可能なDual 4G VoLTE(DSDS)に対応しています 1。ただし、5G通信には対応していません 2。これは、MediaTekの5G対応SoCであるDimensityシリーズとの明確な差別化点です。
  • Wi-Fi/Bluetooth: Wi-Fi 5(IEEE 802.11a/b/g/n/ac)とBluetooth 5.0をサポートします 1。Wi-FiとBluetoothの同時使用時の干渉を低減する共存技術も搭載されています 1
  • 測位: GPS、GLONASS、Beidou、Galileoといった複数の衛星測位システムに対応しています 1。屋内やトンネル内などGNSS信号が届かない場所での位置精度を高める慣性ナビゲーションエンジンも搭載しています 1
  • その他: FMラジオチューナーも内蔵しています 1
  • マルチメディア:
  • ディスプレイ: 最大解像度2520 x 1080ピクセル(Full HD+)のディスプレイをサポートします 1。アスペクト比21:9のディスプレイにも対応しますが、リフレッシュレートは最大60Hzに制限されます 3
  • カメラ: イメージシグナルプロセッサ(ISP)は、最大で4800万画素(48MP)のシングルカメラ、または1600万画素(16MP)+ 1600万画素のデュアルカメラ構成をサポートします 1。AIを活用した顔認証(AI Face ID)、スマートフォトアルバム、背景ぼかし(ボケ)効果、電子式手ぶれ補正(EIS)、ローリングシャッター補正(RSC)、マルチフレームノイズリダクション(MFNR)などのカメラ機能もハードウェアレベルでサポートされています 1
  • ビデオ: ビデオエンコード(録画)およびデコード(再生)は、最大で2K(約2048×1080)解像度で30fps、またはFull HD(1080p)解像度で60fpsまで対応します 1。対応コーデックは、エンコードがH.264、H.265/HEVC、デコードがH.264、H.265/HEVC、VP-9です 1

これらの機能セットは、Helio G85がターゲットとする2020年のミドルレンジ市場の標準的な要求を満たすものでした。5G非対応という点は明確な位置づけを示していますが、Full HD+ディスプレイ、48MPカメラサポート、そして2Kビデオ対応といった点は、当時の同クラスのSoCとして十分な競争力を持っていました。

F. MediaTek HyperEngine ゲーミングテクノロジー概要

Helio G85を含むHelio GシリーズのSoCには、MediaTek HyperEngineと呼ばれる一連のゲーミング最適化技術が搭載されています 1。これは、ハードウェアの性能を最大限に引き出し、よりスムーズで安定したゲーム体験を提供することを目的とした、ソフトウェアおよびファームウェアレベルでの最適化技術群です。

HyperEngineの主な機能要素は以下の通りです。

  • リソースマネジメントエンジン (Resource Management Engine):
  • CPU、GPU、メモリのリソースを、電力消費、発熱、ゲームプレイの状況に応じてインテリジェントかつ動的に管理します 1
  • これにより、高負荷なゲームエンジンや要求の厳しいシーンでも、よりスムーズなパフォーマンスを維持し、電力効率を高めてより長時間のゲームプレイを可能にすることを目指します 1
  • MediaTekのThermal Management 3.0技術もこの一部であり、チップセットの温度を監視・制御し、オーバーヒートやサーマルスロットリングを防ぐことを目的としています 4
  • コネクティビティ強化 (Connectivity Enhancements):
  • Wi-FiとLTE(4G)の同時接続が必要になる状況をわずか13ミリ秒でインテリジェントに予測し、シームレスな切り替えを可能にします 1
  • スマートフォンと携帯電話基地局間の応答時間を短縮します 1
  • ゲームプレイ中に着信があった場合でも、データ接続を切断することなく通話を保留(または拒否)できるようにします 1。これにより、オンラインゲームの中断を防ぎます。

HyperEngineは、特にHelio G85のようなミドルレンジのハードウェアにおいて、その潜在能力を引き出すための重要な要素です。ネットワーク遅延の最小化や、サーマルスロットリングによる性能低下の抑制といった課題に対して、ソフトウェアレベルでの解決策を提供しようとするものです。これは、単なるハードウェアスペック競争だけでなく、実際のゲーム体験の質を重視するMediaTekのアプローチを示しています。

II. 合成ベンチマーク性能分析

合成ベンチマークテストは、SoCの理論的な最大性能を測定し、異なるチップセット間の性能を定量的に比較するための重要な指標となります。ここでは、主要なベンチマークテスト(AnTuTu Benchmark、Geekbench、3DMark)におけるHelio G85のスコアを分析し、その性能特性を明らかにします。ただし、これらのスコアはテスト環境やデバイス固有の最適化によって変動する可能性がある点に留意が必要です。

A. AnTuTu Benchmark (v9/v10) 分析

AnTuTu Benchmarkは、CPU、GPU、メモリ(RAMおよびストレージ)、UX(ユーザーエクスペリエンス)の性能を総合的に評価する、広く利用されているベンチマークツールです。

Helio G85のAnTuTu Benchmark v10におけるスコアは、複数の情報源やテストデバイスの結果を見ると、おおよそ26万点から28万点の範囲に収まることが多いようです 5。ベンチマークデータベースサイトNanoreview.netが集計した平均スコアは262,804点であり、これを代表的な値として参照できます 5

この総合スコアの内訳(Nanoreview v10平均値に基づく)は以下の通りです 5

  • CPU: 約72,000点
  • GPU: 約42,000点
  • Memory (MEM): 約70,000点
  • UX: 約78,000点

古いバージョンのAnTuTuや特定のデバイスでの報告では、異なるスコアも見られます。例えば、Redmi Note 9の発表時には約20.5万点(おそらくv8)というスコアが示されました 15。また、Bajaj Finservの比較記事では約17.6万点(v8またはv9の可能性)というスコアも記載されています 23

重要なのは、同じHelio G85を搭載していても、デバイスによってスコアにばらつきが見られる点です。以下の表は、いくつかのHelio G85搭載デバイスにおけるAnTuTu v10のスコア例を示しています。

表 II.A: Helio G85搭載デバイスのAnTuTu v10ベンチマークスコア

デバイスモデルRAM/ストレージ総合スコアCPUスコアGPUスコアMEMスコアUXスコア情報源
平均 (Nanoreview)262,80472,39941,89970,16378,3435
POCO C658GB/256GB264,44341,70472,85010
Motorola moto g248GB~271,123 (平均)~85,299 (平均)~41,653 (平均)~67,392 (平均)~76,778 (平均)41
Redmi Pad SE 8.74GB/128GB278,701 (最高値)89,72539,95972,89475,72328
Xiaomi Redmi Note 9272,0575
Xiaomi Poco C658GB/256GB269,2685
Xiaomi Redmi 13C269,0065

注: スコアはテスト条件により変動します。一部スコアは情報源で提供されていないため「-」としています。moto g24のスコアは3回測定の平均値です。

これらのAnTuTu v10スコアは、Helio G85を現代のスマートフォン市場においてエントリーレベルからミドルレンジ下位のカテゴリに位置づけます(一般的に30万点未満)。GPUスコア(約4.2万点)は、同クラスとしては健闘していますが、ハイエンドチップと比較すると低い値です。一方、UXスコアが10万点を下回っている 10 ことは、より高速なデバイスと比較して、日常的な操作(アプリ切り替え、スクロールなど)でわずかな遅延を感じる可能性を示唆しています 10。デバイス間でスコアにばらつきが見られることは、搭載RAM容量、ストレージタイプ(eMMCかUFSか)、そしてメーカーによるソフトウェア最適化が最終的なパフォーマンスに影響を与えることを示しています(詳細はセクションVで後述)。

B. Geekbench Performance (v5.5 & v6)

Geekbenchは、特にCPUのコア性能(シングルコアおよびマルチコア)と、GPUの計算性能(Compute)を測定することに特化したベンチマークです。

Helio G85のGeekbench 6における代表的なスコアは以下の通りです 5

  • シングルコア: 約413点
  • マルチコア: 約1332点
  • Compute (GPU, OpenCL/Vulkan): 約1138点

比較のため、Geekbench 5.5のスコア(Notebookcheck.netの集計に基づく)も示します 14

  • シングルコア: 約356点
  • マルチコア: 約1321点

表 II.B: Helio G85のGeekbenchスコア

ベンチマークバージョンスコアタイプ平均スコア情報源
Geekbench 6Single-Core4135
Geekbench 6Multi-Core13325
Geekbench 6Compute (GPU)11385
Geekbench 5.5Single-Core35613 (Notebookcheck Ratingより推定)
Geekbench 5.5Multi-Core132113 (Notebookcheck Ratingより推定)

Geekbenchのスコアも、Helio G85の性能特性を裏付けています。シングルコアスコア(GB6で約413点)は、搭載されているCortex-A75コアが、より新しい世代のCPUコア(例:Cortex-A76やカスタムKryoコア)と比較して性能面で劣ることを示しています。マルチコアスコア(GB6で約1332点)は、8コア構成により、基本的なマルチタスク処理には十分な能力があることを示唆しています。

特筆すべきは、Geekbench Computeスコア(GB6で約1138点)です。これは、同じクラスの一部の競合SoCのGPU(例:Snapdragon 680/685に搭載されているAdreno 610)と比較して、かなり高い値を示しています 6。Snapdragon 680のAdreno 610は約575点 7、Snapdragon 685のAdreno 610は約377点 6 であり、Helio G85のMali-G52 MC2 GPUが、特定の計算タスクにおいてこれらのAdreno GPUよりも優れた性能を発揮することを示唆しています。これは、MediaTekがG85のGPU性能を重視した設計を行ったことの表れと言えます。

C. 3DMark グラフィックスベンチマーク

3DMarkは、特にGPUのグラフィックス描画性能を測定するためのベンチマークスイートです。ゲーム性能を評価する上で重要な指標となります。

Helio G85の主要な3DMarkテストにおけるスコアは以下の通りです(主にXiaomi Redmi 13Cでの測定結果 48 およびNanoreviewの平均値 5 に基づく):

  • 3DMark Wild Life: 約743点 (平均フレームレート: 4 FPS) 5
  • 3DMark Wild Life Extreme: 約158点 (平均フレームレート: 1 FPS) 48
  • 3DMark Sling Shot Extreme (OpenGL ES 3.1): 約1390点 (Graphics: 1256, Physics: 2304) 48
  • 3DMark Sling Shot Extreme (Vulkan): 約1403点 (Graphics: 1288, Physics: 2094) 48
  • 3DMark Sling Shot: 約1751点 (Graphics: 1637, Physics: 2308) 48

Notebookcheck.netの集計による古いテスト(Sling Shot Physics)では、平均約2700点というスコアも報告されています 13

表 II.C: Helio G85の3DMarkベンチマークスコア

テスト名総合スコアGraphicsスコアPhysicsスコア平均FPS (主要テスト)情報源
Wild Life7434 FPS5
Wild Life Extreme1581 FPS48
Sling Shot Extreme (OpenGL)13901256230448
Sling Shot Extreme (Vulkan)14031288209448
Sling Shot17511637230848
Sling Shot Physics (Unlimited)~2700 (平均)13

注: スコアはテストデバイスや条件により変動します。一部スコアは情報源で提供されていない場合があります。

3DMarkのスコア、特に比較的新しいWild Lifeテスト(スコア743 / 158)の結果は、Helio G85が軽度から中程度のゲームに適しているものの、最新のグラフィックス負荷が高いタイトルには力不足であることを明確に示しています。これらのテストでの低いフレームレート(1~4 FPS)は、高画質設定でのプレイが困難であることを意味します。

Sling Shotテストのスコア(Extremeで約1400点、Standardで約1750点)は、発売当時のクラスとしては妥当なレベルですが、現在のミドルレンジやハイエンドSoCと比較すると大幅に低い値です。PhysicsスコアはGeekbenchで示されたCPU性能を反映しており、GraphicsスコアがMali-G52 MC2 GPUの性能限界を示しています。総じて、3DMarkの結果は、Helio G85のGPUが古いゲームや要求の少ないゲームには対応できるものの、最新の高忠実度グラフィックスには対応が難しいことを示唆しています。

D. クロスベンチマーク性能概要

AnTuTu、Geekbench、3DMarkの各ベンチマーク結果を総合すると、Helio G85はミドルレンジ下位に位置づけられるSoCであると評価できます。その特徴として、クラス内では比較的能力の高いGPU性能を持っている一方で、12nmという製造プロセスや旧世代のCPUコア(Cortex-A75)により、最新のSoCと比較するとCPU性能や電力効率の面で見劣りします。

異なるベンチマーク間で見られる一貫性として、CPU性能と比較してGPU性能が相対的に健闘している点が挙げられます(例:Geekbenchのシングル/マルチコアスコアに対するComputeスコアの高さ、一部の競合(SD680/685)に対する3DMarkスコアの優位性など)。これは、MediaTekがG85をゲーミング向けとして設計した際の意図を反映していると考えられます。

III. 実環境でのゲーミング性能評価

合成ベンチマークスコアはSoCの潜在能力を示す一方で、実際のゲームプレイ体験は、ゲーム自体の最適化、デバイスの熱設計、ソフトウェアなど、多くの要因に影響されます。ここでは、Helio G85搭載デバイスにおける実際のゲームパフォーマンスを、報告されているフレームレート(FPS)データやユーザーレビューに基づいて評価します。

A. 主要タイトルにおけるパフォーマンス

様々な情報源から収集した、Helio G85搭載デバイスでの主要なモバイルゲームのフレームレート(FPS)データを以下にまとめます。可能な限り、テスト時のグラフィック設定も併記します。

表 III.A: Helio G85 ゲーミングパフォーマンス (報告されているFPS)

ゲームタイトルグラフィック設定報告FPS (平均/範囲/最低)情報源
PUBG MobileHigh45 FPS (平均)5
PUBG MobileUltra (上限40FPS)23 FPS (最低, 高負荷時)10
Call of Duty: MobileMedium40 FPS (平均)5
原神 (Genshin Impact)Low21 FPS (平均)5
原神 (Genshin Impact)Lowest (60FPS目標)21 FPS (最低, 高負荷時)10
原神 (Genshin Impact)Medium24-30 FPS (ユーザー報告)9
原神 (Genshin Impact)Low60 FPS (ユーザー報告)9
FortniteLow21 FPS (平均)5
Shadowgun LegendsLow49 FPS (平均)5
World of Tanks BlitzMedium51 FPS (平均)5
Mobile Legends: Bang BangUltra46 FPS (平均)5
Asphalt 9“問題なく動作”49
NFS No Limits45 FPS49

注: FPSはプレイ状況やデバイスによって大きく変動します。ユーザー報告の「原神 Low 60 FPS」は他のテスト結果と比較して非常に高く、特定の状況下でのみ達成可能か、測定誤差の可能性があります。YouTubeのテスト動画 7 でも、多くの場合、低設定でのプレイが中心となっています。

これらのデータから、Helio G85のゲーミング性能は、多くの人気タイトルにおいて低~中設定であれば、ある程度プレイ可能なレベルにあることがわかります。「Mobile Legends: Bang Bang」や「World of Tanks Blitz」のような比較的負荷の軽いゲームは、高めの設定でも良好なパフォーマンスを示すことがあります。

しかし、「原神」や「Fortnite」のようなグラフィックス負荷が非常に高いゲームでは、チップの限界が見られます。これらのゲームでは、多くの場合、最低設定を選択しても、平均フレームレートが30 FPSを下回り、プレイアブルとは言い難い状況になることがあります 5。特に高負荷な戦闘シーンや広大なマップの移動時には、フレームレートがさらに低下する可能性があります。一部のユーザーから「原神」が低設定で60 FPS出たという報告 9 もありますが、これは他の多くのテスト結果と乖離しており、限定的な状況での測定値であるか、あるいはデバイス固有の極端な最適化(または測定方法の問題)が影響している可能性があります。総じて、Helio G85はカジュアルからミドルコアのゲーマーには適していますが、最新の高負荷ゲームを高画質かつ安定した高フレームレートで楽しみたいユーザーには不向きと言えます。

B. フレームレートの安定性とユーザー体験レポート

平均フレームレートだけでなく、フレームレートの安定性もゲーム体験の質を左右する重要な要素です。Helio G85では、特に高負荷時にフレームレートが大きく変動する可能性が指摘されています。

例えば、PUBG Mobileでは、高負荷状態(スモーク内での戦闘など)で最低フレームレートが23 FPSまで低下したという報告があります 10。同様に、原神でも高負荷時に最低21 FPSまで落ち込むテスト結果が見られます 10。平均FPSがある程度出ていても、このように最低FPSが低いと、ゲームプレイ中に突然カクついたり、操作が重くなったりする「スタッター」が発生し、快適性が損なわれます。

ユーザーレビューからも、この傾向はうかがえます。あるユーザーは、Motorola G24(Helio G85搭載)で「原神」が当初「非常にうまく動作する」と感じたものの、プレイ中に**本体背面が「異常に熱くなった」**と報告しています 9。この発熱は、パフォーマンス低下(サーマルスロットリング)の前兆あるいは結果であることが多く、長時間のプレイではフレームレートの安定性が損なわれる可能性が高いことを示唆しています。

また、ゲーム開発者がSnapdragonプラットフォーム向けに最適化を行う傾向があるため、MediaTek製SoCでは一部のゲームで互換性やパフォーマンスチューニングが十分でない場合がある、という意見も見られます 36

MediaTekのHyperEngine技術は、このようなパフォーマンスの変動を抑制し、よりスムーズなゲームプレイを提供することを目指していますが 1、観測されている最低FPSの落ち込みや発熱の問題を考慮すると、その効果には限界があるようです。特に、12nmというプロセスノードと1GHzという高いGPUクロックの組み合わせから生じる熱的な制約は、ソフトウェア最適化だけでは完全には克服できない課題であると考えられます。結果として、Helio G85の実際のゲーム体験は、特に要求の厳しいタイトルや長時間のプレイにおいて、熱による性能低下の影響を受けやすいと言えるでしょう。

IV. 比較性能評価

Helio G85の性能をより深く理解するためには、同世代の競合製品や、MediaTek自身の前後の製品ラインナップと比較することが不可欠です。ここでは、ベンチマークスコアに基づき、Helio G85の相対的な性能ポジションを評価します。

A. 前世代/後継モデルとの比較 (Helio G80, G88)

  • 対 Helio G80:
    Helio G85は、実質的にHelio G80のマイナーチェンジ版と見なすことができます。両者の主な違いはGPUのクロック周波数であり、G85が1000MHzであるのに対し、G80は950MHzです 3。CPU構成(2x A75 @ 2GHz + 6x A55 @ 1.8GHz)や製造プロセス(12nm)、その他の仕様はほぼ同一です。したがって、Helio G85はG80に対して、主にゲームやGPUベンチマークにおいてわずかに優れた性能を示すことが期待されます。ただし、Notebookcheck.netのCPU中心の総合評価では、G80(0.4793点)がG85(0.4746点)を僅かに上回る結果も示されており 19、これはテストサンプルの個体差や測定誤差の範囲内と考えられ、CPU性能は実質的に同等と見てよいでしょう。
  • 対 Helio G88:
    Helio G88は、Helio G85とCPUおよびGPUのコアアーキテクチャ、クロック周波数が全く同じです(2x A75 @ 2GHz, 6x A55 @ 1.8GHz, Mali-G52 MC2 @ 1GHz) 8。両者の主な違いは、G88がより高いリフレッシュレート(90Hz)のディスプレイや、より高解像度のカメラセンサー(最大64MP)をサポートする点にあります 8。ベンチマークスコアも非常に近く、AnTuTuではG88がCPU/UXでわずかに高いスコアを示す場合もありますが、GPUスコアはほぼ同等です 8。Notebookcheck.netの評価では、G88(0.4616点)がG85(0.4746点)よりわずかに低いスコアとなっています 13。

これらの比較から、Helio G85はG80に対してGPU性能でわずかなアドバンテージを持つものの、G88に対してはコア性能面での向上はなく、主にサポートする周辺機能(ディスプレイ、カメラ)が異なる、実質的に同クラスのSoCであると結論付けられます。G80、G85、G88は、ほぼ同じ性能帯に属する兄弟モデルと言えるでしょう。

B. 主要競合との比較 (Snapdragon 600シリーズ – 例: SD 662, 665, 680, 685)

Helio G85が主に競合するのは、QualcommのSnapdragon 600シリーズです。

  • 対 Snapdragon 662:
    Helio G85は、Snapdragon 662(11nmプロセス)に対して、AnTuTu(総合、CPU、GPU)およびGeekbenchのスコアで概ね優位に立っています 23。これは、G85がより高性能なCortex-A75コア(対するSD662はKryo 260 Gold、Cortex-A73ベース)を採用していること、およびGPU(Mali-G52 MC2 @ 1GHz)がSD662のAdreno 610(@950MHz)よりも強力であることに起因します 23。
  • 対 Snapdragon 665:
    Snapdragon 665(11nmプロセス)に対しても、Helio G85はAnTuTuで約12%、Geekbench(シングルコアで+23%、マルチコアで+14%)、そして特に3DMarkで+239%と、大幅に高いスコアを示します 36。Redmi Note 9(G85)とRedmi Note 8(SD665)の比較でも、AnTuTuスコアで21%の性能向上が報告されています 15。ここでもG85のGPU性能の優位性が際立っています。ただし、ユーザーの意見としては、G85の方が長期的に性能が安定しているという声がある一方で、Snapdragonの方がアプリ開発者による最適化が進んでいるという指摘もあります 36。
  • 対 Snapdragon 680:
    Snapdragon 680は、より新しい6nmプロセスを採用しており、電力効率でG85(12nm)を上回ります。AnTuTuスコアではSD680が最大17%高く、Geekbenchマルチコアでも若干優位ですが、シングルコア性能はほぼ同等です 7。しかし、GPU性能では逆転し、G85のMali-G52 MC2がSD680のAdreno 610に対して、Geekbench Computeで+98%、3DMarkで+26%と大幅に高いスコアを記録します 7。実際のゲームFPS比較でも、SD680の方が高いFPSを出せる場合(ただし低設定が多い)と、G85の方が高設定でプレイできる(ただしFPSは低い)場合があり、一概にどちらが優れているとは言えません 7。ユーザーコメントでは、CPU性能と効率性からSD680の方が体感的に速く感じるが、GPU性能はG85の方が良い、という評価が見られます 7。
  • 対 Snapdragon 685:
    Snapdragon 685(6nmプロセス)は、SD680のクロック向上版(最大2.8GHz)であり、CPU性能ではG85(最大2.0GHz)を大幅に上回ります(AnTuTu +33%, Geekbenchシングル +15%, マルチ +13%) 6。しかし、GPUはSD680と同じAdreno 610であり、G85のMali-G52 MC2がGeekbench Computeで+202%、3DMarkで+16%と、依然として圧倒的な差をつけています 6。これは、CPU性能を取るかGPU性能を取るかという明確なトレードオフを示しています。
  • 対 Snapdragon 720G:
    Snapdragon 720G(8nmプロセス)は、より上位のSoCであり、Kryo 465コア(Cortex-A76ベース)と強力なAdreno 618 GPUを搭載しています。AnTuTu、Geekbench、3DMarkのいずれにおいても、Helio G85を大幅に上回る性能を示します 24。

表 IV.B: ベンチマーク比較: Helio G85 vs. 主要Snapdragon競合

SoCプロセスAnTuTu v10 (総合)GB6 SingleGB6 Multi3DMark WL情報源
MediaTek Helio G8512nm~262,804~413~1332~7435
Qualcomm Snapdragon 66211nm~158,000 (v?)23
Qualcomm Snapdragon 66511nm~235,500~335~1166~21915
Qualcomm Snapdragon 6806nm~308,000~412~1444~5887
Qualcomm Snapdragon 6856nm~349,440~473~1510~6416
Qualcomm Snapdragon 720G8nm~255,000 (v?)~1200 (3DM)24

注: AnTuTuスコアはバージョンによって大きく異なるため注意が必要です。SD662/720Gのスコアは古いバージョンの可能性があります。3DMark WLスコアがない場合は、他の3DMarkテストのスコアを参考にしています(SD720G)。

これらの比較から、Helio G85は発売当時、旧世代のSnapdragon 600シリーズ(SD662, SD665)に対してはCPU・GPU共に競争力があり、特にGPU性能で優位性を持っていました 15。しかし、より新しい6nmプロセスのSnapdragon 600シリーズ(SD680, SD685)と比較すると、CPU性能と電力効率では劣るものの、GPU性能では依然としてアドバンテージを保っています 6。これは、ユーザーの用途(CPU重視かGPU重視か)によって評価が分かれる点です。Snapdragon 720Gのような一つ上のクラスのSoCには、総合性能で明確に劣ります 24

C. その他の関連SoCとの比較 (例: Unisoc T616/T618, Helio G99, Dimensity 700)

  • 対 Unisoc T616:
    Unisoc T616は、Helio G85と同じ12nmプロセスで、CPUアーキテクチャも同じ(2x A75 @ 2GHz + 6x A55 @ 1.8GHz)ですが、GPUはMali-G57 MP1(@750MHz)を搭載しています 18。ベンチマーク比較では、T616がAnTuTu(+12%)やGeekbench CPUスコアでG85を上回る一方、G85のMali-G52 MP2(@1GHz)はT616のGPUに対してGeekbench Computeで+124%、3DMarkで+60%と、グラフィックス性能で大幅に優位に立っています 18。これもCPUとGPUのトレードオフの関係を示しています。
  • 対 Unisoc T618:
    Unisoc T618も12nmプロセスで、CPU構成はG85とほぼ同じですが、効率コア(A55)のクロックがわずかに高い(最大2.0GHz)一方、GPUは同じMali-G52 MP2ながらクロックが低い(850MHz)という特徴があります 19。ベンチマークスコアは両者で非常に拮抗しており、T618がAnTuTu(+7%)やGeekbench CPUでわずかに優位、G85がGeekbench Compute(+9%)や3DMark(+1%)でわずかに優位といった状況です 32。実質的に、Helio G85とUnisoc T618は直接的な競合相手であり、ほぼ同等の性能クラスに属すると言えます。
  • 対 Helio G99:
    Helio G99は、6nmプロセスを採用し、より新しく高速なCPUコア(2x A76 @ 2.2GHz + 6x A55 @ 2GHz)と、より新しいアーキテクチャのGPU(Mali-G57 MC2)を搭載しており、Helio G85からの大幅なアップグレードとなります。ベンチマークスコアも一貫してG99がG85を大きく上回っており(例:Geekbench 5.5 シングル+91%, マルチ+28% 14、AnTuTuスコアは一般的に40万点超)、性能クラスが異なります。
  • 対 Dimensity 700:
    Dimensity 700は、7nmプロセスを採用し、Helio G99と同様にCortex-A76ベースのCPUコア(2x A76 @ 2.2GHz + 6x A55 @ 2GHz)とMali-G57 MC2 GPUを搭載しています。CPUベンチマーク 13 や3DMarkのPhysicsテスト 13 でHelio G85を大幅に上回る性能を示し、さらに5G接続もサポートしています。これもG85より上位のSoCです。

これらの比較から、Helio G85はUnisoc T618とは非常に近い性能レベルで競合しており、T616に対してはGPU性能で優位性を持つもののCPU性能では劣る、という関係性が見て取れます。一方で、MediaTek自身の後継製品であるHelio G99や、エントリークラスの5G対応SoCであるDimensity 700と比較すると、性能面で明確な差があり、G85がより下位のセグメントに位置づけられていることがわかります。

V. パフォーマンスの変動要因と影響

同じHelio G85 SoCを搭載しているにもかかわらず、異なるスマートフォンモデル間でベンチマークスコアや実際の使用感に差が見られることがあります。この性能変動は、SoC単体の能力だけでなく、デバイス全体の設計や実装に起因する複数の要因によって引き起こされます。

A. デバイス間でのベンチマークスコアの差異分析

前述の通り、Helio G85搭載デバイスのAnTuTu v10スコアは、約26万点から28万点程度の範囲で変動が見られます(表 II.A参照)。Geekbenchスコアも同様に、デバイス間でわずかながら差異が生じます。さらに、同じデバイスで複数回ベンチマークを実行した場合でも、測定ごとにスコアが若干変動することがあります 41

これらの事実は、合成ベンチマークスコアが絶対的な値ではなく、特定のデバイス、特定の測定条件下での性能を示す相対的な指標であることを示しています。同じSoCを搭載していても、5~10%程度のスコア差が生じることは珍しくありません。この変動性を理解することは、ベンチマークスコアを解釈する上で重要です。

B. デバイスの最適化、RAM、冷却ソリューションの影響

デバイス間で性能差が生じる主な要因としては、以下の点が挙げられます。

  • RAM容量と速度:
    搭載されているRAMの容量は、特にマルチタスク性能に影響します。バックグラウンドで多くのアプリが動作している場合、RAM容量が少ないとリソース不足に陥り、パフォーマンスが低下する可能性があります。ただし、ピーク時のベンチマークスコア自体には、RAM容量が極端に少ない場合を除き、大きな影響を与えないことが多いです(例:moto g24 (8GB) と g13 (4GB) のスコアが近い 41)。RAMの速度(仕様上はLPDDR4x 1800MHzまでサポート)やタイミング設定も、わずかながら性能に影響を与える可能性があります。
  • ストレージタイプ:
    前述の通り、Helio G85は公式にはeMMC 5.1をサポートしますが、一部デバイスではより高速なUFS 2.1が採用されています 1。eMMC 5.1とUFS 2.1ではシーケンシャルおよびランダムの読み書き速度に大きな差があり、これがアプリの起動時間、ファイルのロード時間、そしてAnTuTuベンチマークのMEMスコアやUXスコアに直接影響します。UFS 2.1を搭載したデバイスは、eMMC 5.1搭載デバイスよりも体感的に速く感じられる可能性が高いです。
  • ソフトウェア最適化:
    スマートフォンメーカーは、Android OSの上に独自のカスタムUI(スキン)を搭載し、様々なカスタマイズを加えています。OSのバージョン、カーネルのチューニング、バックグラウンドで動作する独自サービスの数、CPU/GPUの動作を制御するガバナー設定(HyperEngineの一部として調整される可能性あり 1)、ドライバのバージョンなどが、システムの応答性やベンチマークスコアに影響を与えます。メーカーによる最適化の度合いが、性能差として現れることがあります。
  • 冷却ソリューション:
    Helio G85は12nmプロセスで製造され、GPUは最大1GHzで動作するため、特に高負荷時にはかなりの熱を発生します。スマートフォン内部の冷却設計(ヒートスプレッダーの有無やサイズ、筐体の素材や構造など)の効率性が、この熱をどれだけ効果的に放散できるかを決定します。冷却能力が低いデバイスでは、SoCの温度が急速に上昇し、損傷を防ぐために性能を抑制するサーマルスロットリングが早期に、かつ強く発生しやすくなります。これが、持続的なパフォーマンス、特にゲーム中のフレームレート安定性に大きな影響を与えます。

これらのデバイス固有の要因が複合的に作用することで、同じHelio G85を搭載していても、最終的なユーザー体験や測定されるパフォーマンスに差が生じます。メーカーは、コストと性能のバランスを考慮しながらこれらの要素を決定するため、結果としてデバイスごとに異なる性能特性が現れるのです。

C. 熱性能とスロットリングに関する考察

Helio G85のパフォーマンスを語る上で、熱管理は避けて通れない重要な側面です。MediaTek自身がHyperEngine内にリソース管理やThermal Management 3.0といった熱対策機能を組み込んでいること 1 は、発熱が潜在的な課題であることを認識している証拠と言えます。

実際に、ユーザーからはゲームプレイ中にデバイスが「異常に熱くなる」という報告が上がっています 9。スマートフォンのレビュー記事でも、「負荷時にかなり暖かくなる」「負荷下でわずかなスロットリングが見られる」といった指摘が見られます 62。CPU Throttling Testのような専用ツールによる詳細なテスト結果は今回の資料からは得られませんでしたが 63、これらの間接的な証拠や、12nmプロセスと1GHz GPUという組み合わせを考慮すると、持続的な高負荷下でサーマルスロットリングが発生する可能性は非常に高いと考えられます。

サーマルスロットリングが発生すると、SoCは自身の温度を下げるためにCPUやGPUのクロック周波数を強制的に低下させます。これにより、ゲーム中のフレームレートが不安定になったり、突然低下したり、あるいはシステム全体の応答性が悪化したりします。Helio G85搭載デバイスで安定したパフォーマンスを維持できるかどうかは、MediaTekの管理技術に加え、各スマートフォンメーカーが採用する冷却ソリューションの出来栄えに大きく依存すると言えるでしょう。冷却が不十分なデバイスでは、ピーク性能は発揮できても、それを長時間維持することは難しいと考えられます。

VI. 結論: Helio G85のパフォーマンスプロファイルと市場での位置づけ

本レポートで分析した技術仕様、ベンチマーク結果、実ゲーム性能、競合比較、および性能変動要因を総合的に評価し、MediaTek Helio G85のパフォーマンスプロファイルと市場における位置づけを結論づけます。

A. 強みのまとめ

  • クラス内では強力なGPU: 発売当時、最大1GHzで動作するMali-G52 MC2 GPUは、同クラスの競合製品、特にAdreno 610など比較的性能の低いGPUを搭載したSnapdragon 600シリーズの一部に対して、グラフィックス性能で明確なアドバンテージを提供しました 1
  • HyperEngineによる最適化: ゲームプレイの流暢さ、ネットワーク接続の安定性、リソース管理を改善することを目的としたソフトウェア/ファームウェアレベルの最適化技術は、特に予算重視のSoCにおいて、体感性能の向上に貢献する可能性があります 1
  • コスト効率の高いパフォーマンス: Helio G85は、手頃な価格のスマートフォンで、日常的なタスクや中程度のゲームプレイを可能にする、コストパフォーマンスに優れた選択肢を提供しました 4
  • 成熟したプラットフォーム: 多くのデバイスに採用された実績があり、ドライバの安定性や幅広いアプリケーションとの互換性が期待できます(多数のテストデバイスや比較対象として登場することから推測 2)。

B. 弱みのまとめ

  • 旧世代のプロセスノード (12nm): より新しい6nmや7nmプロセスを採用した競合SoCと比較して、電力効率が悪く、発熱量が多くなる傾向があります。これはバッテリー持続時間や持続的なパフォーマンスに影響を与えます 6
  • 限定的なCPU性能: 搭載されているCortex-A75コアは、より新しいCortex-A76/A78や高性能なカスタムKryoコアと比較して、シングルスレッド性能や全体的なCPU処理能力で見劣りします 6
  • ベースラインはeMMC 5.1ストレージ: 公式仕様では、より低速なeMMC 5.1ストレージのみが保証されています。メーカーがより高速なUFS 2.1を採用しない限り、アプリの起動時間やシステムの応答性がボトルネックとなる可能性があります 1
  • サーマルスロットリングの可能性: 12nmプロセスと高クロックGPUの組み合わせにより、持続的な高負荷下では発熱しやすく、パフォーマンスが低下する(スロットリング)傾向があります。実際のパフォーマンスはデバイスの冷却設計に大きく依存します 9
  • 5G非対応: 将来的なネットワークインフラへの対応や、より高速なモバイル通信を求めるユーザーにとっては、明確な欠点となります 2

C. ターゲットとなる用途とデバイスセグメント

  • 主なターゲット: 予算重視のエントリークラスからミドルレンジ下位のスマートフォン。発売当時の価格帯としては、おおよそ100ドルから250ドル程度のデバイスが中心でした 2
  • 適した用途:
  • ウェブブラウジング、SNS、動画視聴などの日常的なタスク 2
  • 十分なRAMが搭載されていれば、基本的なマルチタスク処理。
  • カジュアルゲームや、比較的古い、あるいは要求スペックの低いモバイルゲームを、低~中程度のグラフィック設定でプレイすること 2
  • 不向きな用途:
  • 最新のグラフィックス負荷が高いゲームを、高画質設定や安定した高フレームレートでプレイすること。
  • 最高の電力効率や長いバッテリー持続時間を最優先するユーザー。
  • 5G接続が必要なユーザー。

総括すると、MediaTek Helio G85は、発表当時の市場環境において、予算を抑えながらもある程度のゲーム性能を求めるユーザー層に向けた、バランスの取れたSoCでした。特にGPU性能は同クラス内で健闘しましたが、プロセスノードの古さやそれに伴う熱の問題、CPU性能の限界といった弱点も抱えています。現在ではより高性能で効率的なSoCが登場していますが、中古市場や新興国向けの低価格モデルにおいては、依然として選択肢の一つとなり得る存在です。

引用文献

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  54. Infinix Hot 12 Test Game GENHSIN IMPACT | helio G85, Ultra Graphics 60Fps, 6GB, 4月 20, 2025にアクセス、 https://www.youtube.com/watch?v=FZwIx1ZGR4w
  55. Infinix Note 10 Test Game Genshin Impact | Heating Test, 6GB, Helio G85 – YouTube, 4月 20, 2025にアクセス、 https://www.youtube.com/watch?v=kEGpJ0YqZsw
  56. Realme C25s Test Game Genshin Impact | Ram 4GB, Helio G85 – YouTube, 4月 20, 2025にアクセス、 https://www.youtube.com/watch?v=J3auTaE9wa4
  57. unisoc Tiger T616 vs Helio G85 comparison video chipset – YouTube, 4月 20, 2025にアクセス、 https://m.youtube.com/watch?v=VVfM2JLFAmI&pp=ygUII3Q2MTZzb2M%3D
  58. Unisoc Tiger T620 vs MediaTek Helio G85 – What’s A Better? – YouTube, 4月 20, 2025にアクセス、 https://www.youtube.com/watch?v=elJNBzs2mi0
  59. Mediatek Helio G85 vs Unisoc T7255 (T616) vs Mediatek Helio G80 – Notebookcheck, 4月 20, 2025にアクセス、 https://www.notebookcheck.com/Helio-G85-vs-T616-vs-Helio-G80_12751_14016_12221.247552.0.html
  60. MediaTek G85 (MT6769Z) vs Unisoc T618 [cpubenchmark.net] by PassMark Software, 4月 20, 2025にアクセス、 https://www.cpubenchmark.net/compare/4010vs4033/MediaTek-MT6769Z-vs-Unisoc-T618
  61. Ranking – Smartphone SoC Performance – Know Your SoC Better, 4月 20, 2025にアクセス、 https://www.antutu.com/en/ranking/soc0.htm
  62. Motorola Moto G85 smartphone review – The mid-range phone with an almost borderless 120-Hz display : r/Android – Reddit, 4月 20, 2025にアクセス、 https://www.reddit.com/r/Android/comments/1epvh81/motorola_moto_g85_smartphone_review_the_midrange/
  63. Throttling Test Helio G85 – TikTok, 4月 20, 2025にアクセス、 https://www.tiktok.com/discover/throttling-test-helio-g85
  64. MediaTek G85 (MT6769Z) – CPU Benchmarks, 4月 20, 2025にアクセス、 https://www.cpubenchmark.net/cpu.php?cpu=MediaTek+G85+%28MT6769Z%29&id=4010
  65. Samsung Galaxy A05 does Geekbench 6 with a Helio G85 chipset – Reader comments, 4月 20, 2025にアクセス、 https://m.gsmarena.com/newscomm-59475.php
  66. モトローラ「moto g31」は5G非対応も2万円台半ばで有機ELのハイコスパモデル – ASCII.jp, 4月 20, 2025にアクセス、 https://ascii.jp/elem/000/004/082/4082767/2/
  67. Helio G85搭載の8.7型タブ「Redmi Pad SE 8.7」が日本上陸したのでスペックをチェック!, 4月 20, 2025にアクセス、 https://garumax.com/redmi-pad-se-8-7-launched-in-japan
  68. Tiger T618 vs Helio G96 – what’s better? – YouTube, 4月 20, 2025にアクセス、 https://m.youtube.com/watch?v=5FSmRZSeaXw&pp=ygUKI3RpZ2VydDYxOA%3D%3D
  69. Helio G85 is a new gaming oriented processor from MediaTek – GadgetMatch, 4月 20, 2025にアクセス、 https://www.gadgetmatch.com/helio-g85-gaming-processor/
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