MediaTek MT8183(Kompanio 500)の概要
MediaTek MT8183は、MediaTekのKompanio 500シリーズとしても知られ、主にChromebookやAndroidタブレットなどのモバイルデバイス向けに設計されたシステムオンチップ(SoC)です 1。2019年後半に発表され 3、特にエントリークラスからミドルレンジのデバイスで広く採用されています。電力効率とコストパフォーマンスを重視した設計が特徴です。
基本仕様
MT8183は、8コア(オクタコア)CPUを搭載しています 4。具体的には、高性能処理を担う4つのArm Cortex-A73コアと、電力効率を重視した4つのArm Cortex-A53コアで構成されています 1。これらのコアはすべて最大2.0GHzのクロック周波数で動作可能です 1。この構成は、タスクに応じて高性能コアと高効率コアを使い分けることで、性能とバッテリー持続時間のバランスを取ることを目的としています 3。
グラフィックス処理ユニット(GPU)には、Arm Mali-G72 MP3が統合されています 1。このGPUは最大800MHz(一部情報では850MHz 10)で動作し、フルHD+(2400 x 1080)までのディスプレイ解像度をサポートします 1。メモリはLPDDR3およびLPDDR4xに対応しており 2、RAM速度は最大3200MHzまでサポートされると報告されています 3。
接続性に関しては、Wi-Fi 5(802.11a/b/g/n/ac)に対応し、2.4GHzと5GHzのデュアルバンドをサポートします 1。Bluetooth、FMラジオ、GPSも統合されています 1。ビデオコーデックは、H.264のエンコード、H.264およびH.265/HEVCのデコードに対応しています 1。
製造プロセスについては、12nm技術で製造されているとの情報があります 3。これは、より微細なプロセス(7nmや6nm)を採用する後継チップと比較するとやや古い世代の技術ですが、発表当時のエントリー向けSoCとしては標準的なものでした 9。
技術的特徴
MT8183のCPU構成は、Armの「big.LITTLE」アーキテクチャを採用しています 3。これにより、ウェブブラウジングやドキュメント編集のような比較的負荷の軽いタスクでは低消費電力のCortex-A53コアを使用し、ゲームや複雑なアプリケーションの実行時には高性能なCortex-A73コアを活用することで、全体の電力効率を高めています 3。この特性は、バッテリー駆動時間が重視されるChromebookやタブレットにおいて大きな利点となります 9。
また、MT8183にはデュアルコアのAIプロセッシングユニット(NPU)も統合されており、最大0.5TOPSのAI処理性能を提供します 1。これにより、カメラ機能の強化や音声認識など、デバイス上でのAI関連タスクの効率的な実行を支援します。MediaTekは、スマートフォン市場で培った低消費電力技術をChromebook向けプロセッサにも応用しており、MT8183はその戦略に沿った製品と言えます 9。
ベンチマークスコア
各種ベンチマークテストにおけるMediaTek MT8183のスコアは、その性能特性を客観的に示しています。これらのスコアは、同クラスの他のプロセッサとの比較や、特定のタスクにおけるパフォーマンスレベルを推測する上で参考になります。
Geekbench
GeekbenchはCPUの演算性能を測定する代表的なベンチマークです。MT8183を搭載したデバイスのGeekbenchスコアは、テストバージョンやデバイス構成(特にRAM容量)によって変動が見られます。
- Geekbench 5:
- シングルコアスコアは概ね290〜315点の範囲にあります 11。例えば、ASUS Chromebook Detachable CM3では301点や315点 14、IdeaPad Slim 360では292点 14といったスコアが報告されています。
- マルチコアスコアは、多くのデバイスで1190点〜1420点程度の範囲を示しています 11。ASUS Detachable CM3で1422点や1193点 14、IdeaPad Flex 360で1403点 14、IdeaPad Slim 360で1390点 14などの記録があります。ただし、Acer Spin 311 (M8183C搭載モデル) では918点とやや低いスコアも報告されており 14、デバイスごとの最適化やRAM容量の影響が考えられます。
- Geekbench 6:
- 後継バージョンであるGeekbench 6では、ASUS Chromebook Detachable CM3 (MT8183) のスコアとして、シングルコア315点、マルチコア1193点が報告されています 15。
これらのスコアは、MT8183が8コア構成によりマルチコア性能では一定のレベルを達成しているものの、シングルコア性能は限定的であることを示唆しています。
AnTuTu Benchmark
AnTuTu Benchmarkは、CPU、GPU、メモリ、UX(ユーザーエクスペリエンス)を総合的に評価するベンチマークです。
- AnTuTu v8: Notebookcheck.netによると、MT8183のAnTuTu v8スコア例として、総合158,554点(CPU: 67,925点, GPU: 25,424点, MEM: 32,293点, UX: 32,912点)が挙げられています 11。
- AnTuTu v9: ガルマックスによるN-one NPad Plus(MT8183搭載、6GB RAM)の実機テストでは、AnTuTu v9で総合スコア212,620点、GPUスコア48,029点を記録しています 16。
AnTuTuのスコア目安 16 から見ると、MT8183のスコア(特にv9で約21万点)は、タブレットにおける「エントリー」レベルに位置づけられます。これは、基本的な操作や軽量なアプリは快適に動作するものの、重い3Dゲームなど高負荷なタスクには限界があることを示唆しています 17。
PassMark
PassMark PerformanceTestは、CPUの総合的な処理能力(CPU Mark)とシングルスレッド性能(Single Thread Rating)を評価します。
- CPU Mark (総合スコア): cpubenchmark.netによると、MediaTek MT8183のCPU Markスコアは2,581です 7。
- Single Thread Rating: 同じくcpubenchmark.netによると、Single Thread Ratingは902です 7。
この結果は、8コア構成によるマルチスレッド性能が比較的良好である一方、個々のコアの性能(シングルスレッド性能)はそれほど高くないというMT8183の特性を裏付けています。
その他のベンチマーク (PCMark, 3DMark, Octane, CrXPRT)
- PCMark for Android (Work 2.0 / Work 3.0): 日常的なタスク(ウェブブラウジング、写真編集、ビデオ編集、データ操作など)のパフォーマンスを測定します。MT8183搭載デバイスのWork 2.0スコアは、概ね6300点〜6900点程度の範囲にあります 14。例えば、IdeaPad Slim 360で6878点、ASUS Detachable CM3で6655点などが報告されています 14。Work 3.0では、ASUS Detachable CM3が6379点を記録しています 15。
- 3DMark: GPUのグラフィック性能を測定します。Sling Shot Unlimited Physicsスコアで平均2590点、Sling Shot Extreme (ES 3.1) Unlimited Physicsスコアで平均2543点というデータがあります 11。Ice Storm Unlimited Physicsでは平均18163点です 11。これらのスコアは、Mali-G72 MP3 GPUが最新の高度な3Dゲームを高画質でプレイするには性能が不足している可能性を示唆しています。
- Octane 2.0: Googleが開発したJavaScriptベンチマークで、ウェブブラウザのパフォーマンスを測定します。MT8183搭載Chromebookのスコアは概ね9800点〜10700点程度であり、Intel Celeron NシリーズやPentium Nシリーズを搭載したChromebookと比較すると低い値となっています 14。
- CrXPRT 2: Chromebookの総合的なパフォーマンスを評価するベンチマークです。MT8183搭載デバイスのスコアは39〜41点程度であり、これもIntel Celeron/Pentium搭載機と比較して低い傾向にあります 14。
これらのベンチマーク結果を総合すると、MT8183はエントリークラスのプロセッサとして、日常的なタスクや軽めのマルチメディア利用には十分な性能を提供しますが、CPUのシングルコア性能やGPU性能が要求されるタスク、高度なウェブアプリケーションの実行においては、より上位のプロセッサに劣る傾向があることがわかります。
搭載デバイスにおける実使用感レビュー
ベンチマークスコアは客観的な指標ですが、実際の使用感がユーザーにとって最も重要です。MT8183を搭載したChromebookやタブレットに関する日本語のレビューからは、その長所と短所が浮かび上がってきます。
ウェブブラウジングと日常タスク
MT8183搭載デバイスのウェブブラウジング体験については、意見が分かれる傾向にあります。
肯定的な意見としては、Chrome OSのシンプルさやフォントの見やすさと相まって、ネットサーフィンがストレスなく行えるという声があります 20。特に、画像が多いサイトや一般的なウェブサイトの閲覧はスムーズに行えると評価されています 21。初心者にも扱いやすいという点がメリットとして挙げられています 20。
一方で、否定的な意見も少なくありません。特に複数のタブを開いたり、処理の重いウェブページを閲覧したりすると、動作がもっさりする、反応が遅い、読み込み時間が長いといった不満が報告されています 20。通信速度の遅さやWi-Fi接続の不安定さを指摘する声もあります 20。これらの問題は、プロセッサ自体の性能限界に加え、搭載されているRAM容量(多くの場合4GB)やストレージ(eMMC)の速度も影響している可能性があります 22。
動画再生
動画再生に関しては、YouTubeやAmazon Prime VideoなどのストリーミングサービスをHD画質で視聴する分には、問題なく再生できるという意見が一般的です 20。ディスプレイの発色も良好で、動画コンテンツを楽しめるという評価もあります 21。
ただし、高解像度動画の再生には限界があるようです。レビューの中には、4K 30FPSの動画でも処理落ちが発生する可能性があるという指摘が見られます 20。これは、MT8183のビデオデコード能力やGPU性能が、高ビットレートの4Kコンテンツをスムーズに処理するには十分でないことを示唆しています。
マルチタスクとAndroidアプリ
MT8183搭載のChromebookやタブレットでは、Androidアプリの利用も可能です。一部のレビューでは、Androidアプリの動作はスムーズで、スマートフォンの小さな画面よりも快適に使えるという肯定的な意見が見られます 20。
しかし、マルチタスク性能に関しては、ウェブブラウジングと同様に限界が指摘されています。複数のアプリを同時に起動したり、多くのブラウザタブを開いたりすると、動作が遅くなる傾向があります 20。この問題は、特にRAM容量が4GBのモデルで顕著になる可能性があります 22。あるレビューでは、Chrome OSがAndroidアプリを実行するために使用する仮想環境(ARCVM)の起動が、特に起動直後のパフォーマンス低下の原因となっている可能性を指摘し、4GB RAMのデバイスではPlay Storeを無効化することで快適性が向上する場合があると述べています 22。
軽めのゲーム
MT8183はハイエンドゲーム向けではありませんが、比較的負荷の軽いゲームであればプレイ可能です。N-one NPad Q(MT8183搭載)のレビューでは、以下のゲームの動作について言及されています 21:
- マインクラフト(統合版): スムーズで快適にプレイでき、チャンク読み込み時にも重さを感じにくいと評価されています。
- PUBG Mobile: グラフィック設定を「HD」まで選択可能で、大人数が密集する場面でも比較的スムーズなプレイが可能とされています。
- 原神: 画質設定を「低」または「中」にすることで、ある程度スムーズにプレイできるものの、画質を上げるとカクつきが見られると報告されています。
これらのレビューから、MT8183はカジュアルゲームや設定を調整した一部の3Dゲームであれば楽しめる程度のグラフィック性能を持っていることがわかります。
総じて、MT8183搭載デバイスは、基本的なウェブブラウジング、動画視聴、軽作業、カジュアルゲームといった用途には十分対応できますが、複数のタスクを同時にこなしたり、負荷の高いアプリケーションやゲームを実行したりする際には、パフォーマンスの限界を感じる場面があると言えるでしょう。
競合プロセッサとの比較
MediaTek MT8183の性能をより深く理解するためには、同価格帯や類似の用途で使用される他のプロセッサとの比較が有効です。特に、エントリークラスのChromebookやタブレットで競合となるIntel Celeron Nシリーズや、後継のMediaTek Kompanioシリーズとの比較が重要です。
Intel Celeron Nシリーズ (N4000, N4020など)
Intel Celeron Nシリーズは、長らくエントリークラスのノートPCやChromebookで広く採用されてきました。MT8183としばしば比較されるのが、Celeron N4000やN4020です。
- PassMark: PassMarkの比較データによると、MT8183(CPU Mark: 2,581)は、Celeron N4000(CPU Mark: 1,428)に対して、総合的なマルチスレッド性能で約80%高速です 18。これは、MT8183が8コア構成であるのに対し、N4000が2コア構成であることに起因します。一方で、シングルスレッド性能(Single Thread Rating)では、MT8183(902)はCeleron N4000(1,037)に約13%劣っています 18。
- Geekbench 5: komameblog.jpのデータ 14 によると、MT8183搭載機のマルチコアスコア(約1400点前後)は、Celeron N4020搭載機(CB314で910点)よりも高い傾向にあります。しかし、シングルコアスコアでは、MT8183(約300点前後)はCeleron N4020(CB314で483点)に劣ります。
- その他のベンチマーク: Octane 2.0やCrXPRT 2、PCMark Work 2.0といったベンチマークでも、Celeron N4020やPentium N5030/N6000搭載機がMT8183搭載機よりも高いスコアを示す傾向が見られます 14。
- 実使用感: あるRedditユーザーは、MT8183はCeleron N4000/N4020と比較して、オクタコア構成によりマルチタスク性能で有利であると評価しています 22。
これらの比較から、MT8183はコア数が多いためマルチタスク処理ではCeleron N4000/N4020に対して有利ですが、個々のコアの性能が低いため、シングルスレッド性能や、特定のベンチマーク(特にウェブ関連)では劣る傾向があることがわかります。
他のMediaTek Kompanioシリーズ (Kompanio 520など)
MediaTekはMT8183(Kompanio 500)の後継として、Kompanio 520などの新しいチップを投入しています。これらは性能や機能面で改善が見られます。
- Kompanio 520 vs MT8183: ITmedia PC USERの記事 15 によると、Kompanio 520を搭載したChromebook CM14 Flipは、MT8183搭載のDetachable CM3と比較して、Geekbench 6のシングルコアスコアで約2倍(636 vs 315)、マルチコアスコアで約1.3倍(1607 vs 1193)の性能向上を示しています。PCMark for Android Work 3.0でも約1.17倍(7468 vs 6379)のスコア向上です 15。
- Kompanio 520の改善点: office-kabu.jpのレビュー 23 では、Kompanio 520がMT8183(Kompanio 500)から進化した点として、Wi-Fi 6への対応や、より高速なRAM(LPDDR4X-3600/3733)への対応が挙げられています。これにより、通信速度やマルチタスク時の安定性向上が期待されます。
新しいKompanioシリーズは、MT8183の弱点であったシングルコア性能を改善しつつ、Wi-Fi 6などの新機能を取り入れており、全体的なパフォーマンスと機能性が向上しています。
Snapdragonエントリーモデル等
MT8183は、Qualcomm Snapdragonのエントリーからミドルレンジのプロセッサとも比較されることがあります。for-real.jpの記事 19 では、PCMark 10のスコアでMT8183(6530点)がSnapdragon 662(5978点)を上回る一方、Snapdragon 730G(6986点)にはわずかに及ばない結果が示されています。ただし、これは特定のベンチマークにおける比較であり、総合的な優劣を示すものではありません。
ベンチマークスコア比較表
以下に、主要なベンチマークスコアにおけるMT8183と競合プロセッサの比較をまとめます。(スコアは代表的な値であり、デバイスやテスト条件によって変動します)
プロセッサ | Geekbench 5 (Multi) | Geekbench 5 (Single) | PassMark CPU Mark | PassMark Single Thread | 搭載デバイス例 (参考) |
MediaTek MT8183 | 約 1200 – 1420 | 約 290 – 315 | 2,581 | 902 | IdeaPad Slim 360, ASUS Detachable CM3, NPad Plus |
Intel Celeron N4000 | 約 800 | 約 390 | 1,428 | 1,037 | Acer 512 C851T |
Intel Celeron N4020 | 約 910 | 約 480 | (N/A) | (N/A) | Acer CB314, IdeaPad Slim 350i |
Intel Pentium N5030 | 約 1430 | 約 510 | (N/A) | (N/A) | HP 14a |
MediaTek Kompanio 520 | 約 1600 (GB6) | 約 630 (GB6) | (N/A) | (N/A) | ASUS Chromebook CM14 Flip |
MediaTek Helio P60T | (N/A) | (N/A) | (N/A) | (N/A) | IdeaPad Duet (Octane: 9676, PCMark: 6686) 14 |
(スコア出典: 7)
(N/Aは該当データが提供された資料内になかったことを示す)
この比較表からも、MT8183はCeleron N4000/N4020に対してマルチコア性能で優位性があるものの、シングルコア性能では劣り、後継のKompanio 520には総合的に及ばないことが確認できます。
MT8183の性能評価
これまでの仕様、ベンチマークスコア、実使用感レビュー、競合比較を踏まえ、MediaTek MT8183の性能を総合的に評価します。
強み
- コストパフォーマンス: MT8183は、エントリークラスのChromebookやAndroidタブレットに多く採用されており、低価格なデバイスを実現する上で重要な役割を果たしています 3。基本的な用途に対して十分な性能を比較的安価に提供できる点が最大の強みです。
- 電力効率: big.LITTLEアーキテクチャの採用により、タスク負荷に応じて消費電力を最適化できます 3。これにより、バッテリー駆動時間が重視されるモバイルデバイスにおいて、長時間の利用を可能にします。特にChromebook向けプロセッサとして、低消費電力技術が活かされています 9。
- マルチコア性能: 8コア構成により、同価格帯のデュアルコアプロセッサ(例: Celeron N4000)と比較して、マルチスレッド処理能力に優れています 18。複数の軽いタスクを並行して行うような場面では、コア数の多さが有利に働く可能性があります。
- 基本的なタスクへの適性: ウェブブラウジング、動画視聴(HD画質)、ドキュメント作成、オンライン会議、カジュアルゲームといった日常的な用途においては、多くの場合、十分なパフォーマンスを提供します 20。
弱み
- 限定的なシングルコア性能: PassMarkやGeekbenchのシングルコアスコアが示すように、個々のCPUコアの性能は高くありません 7。これは、シングルスレッド処理が中心となる一部のアプリケーションや、応答性が求められる場面でのパフォーマンスに影響を与える可能性があります。
- 高負荷タスクでの性能限界: 高度な3Dゲーム、高解像度(4K)動画の再生・編集、非常に重いウェブアプリケーションの実行など、高いCPU・GPU性能を要求されるタスクでは、性能不足を感じる場面が多くなります 20。AnTuTuや3DMarkのスコアも、グラフィック性能の限界を示唆しています 11。
- RAM容量によるボトルネック: MT8183搭載デバイスは、多くの場合4GBのRAMと組み合わされています 10。複数のアプリケーションやブラウザタブを同時に開くと、RAM不足が原因で動作が遅くなる、あるいは不安定になる可能性があります 20。
- 旧世代の技術: 12nmという製造プロセスは、より新しい7nmや6nmプロセスのチップと比較すると、電力効率や性能面で不利になる可能性があります 9。また、Wi-Fi 6に対応していない点も、最新規格と比較すると見劣りします 23。
まとめ
MediaTek MT8183 (Kompanio 500) は、2019年末に登場したエントリークラスのモバイルデバイス向けSoCであり、特に低価格なChromebookやAndroidタブレット市場において重要な地位を占めてきました。8コアCPU(4xA73 + 4xA53)とMali-G72 MP3 GPUを搭載し、電力効率とコストパフォーマンスに優れる点が最大の特徴です。
ベンチマークスコアや実使用感レビューからは、ウェブブラウジング、HD動画視聴、軽作業、カジュアルゲームといった基本的な用途には十分対応できる性能を持っていることがわかります。特に、マルチコア性能は同価格帯のIntel Celeron Nシリーズ(N4000/N4020)を上回る場合があり、複数の軽いタスクをこなす際には有利です。
一方で、シングルコア性能は限定的であり、高負荷なゲームや4K動画再生、重いマルチタスクなどでは性能の限界が見られます。また、搭載デバイスの多くが4GB RAMであることも、実際の使用感におけるボトルネックとなっている可能性があります。
競合比較では、Intel Celeron Nシリーズに対してマルチコア性能で勝るもののシングルコア性能で劣り、後継のMediaTek Kompanio 520などと比較すると、全体的な性能や機能(Wi-Fi 6対応など)で見劣りします。
結論として、MediaTek MT8183は、予算を抑えつつ基本的な機能を求めるユーザー、例えば教育用途、セカンドデバイス、ライトなコンテンツ消費を主目的とするユーザーに適したプロセッサと言えます。しかし、より高いパフォーマンスや快適なマルチタスク環境、最新機能を求めるユーザーにとっては、後継のKompanioシリーズや、より上位のプロセッサを搭載したデバイスを検討する方が満足度が高いでしょう。市場では徐々に新しい世代のチップに置き換えられつつありますが、中古市場や特定のエントリーモデルにおいては、依然として選択肢の一つとなっています。
引用文献
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- MediaTek Kompanio 500, 4月 15, 2025にアクセス、 https://www.mediatek.jp/products/chromebooks/mediatek-kompanio-500
- MediaTek MT8183: A Comprehensive Performance Review, 4月 15, 2025にアクセス、 https://www.peicheng-qps.com/en/blog-detail/mediatek-mt8183-a-comprehensive-performance-review
- aiwa tab AB8(予約販売品) CPU:Mediatek MT8183 Octa core(Cortex-A73 Quad core 2GHz + Cortex-A53 Quad core 2GHz)/メモリ:4GB/eMMC:64GB/8インチ液晶/OS:android 12/ドライブ:非搭載/無線LAN/WEBカメラ/ 新品タブレットPCを激安, 4月 15, 2025にアクセス、 https://www.mediator.co.jp/category/itemdetail/web240111nb
- MediaTek MT 8183 | Entry Tablet Platform, 4月 15, 2025にアクセス、 https://www.mediatek.com/products/tablets/mt8183
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