1. はじめに
1.1. 目的と背景
本レポートは、Microsoft SQ2プロセッサに関して、主に日本語のウェブサイトから収集した情報に基づき、その技術仕様、性能、実用性について詳細な分析を提供することを目的とします。Microsoft SQ2は、MicrosoftがQualcomm Technologiesと共同で開発したARMアーキテクチャベースのSystem-on-a-Chip (SoC)であり、2020年に発表された「Surface Pro X」の高性能モデルに搭載されました 1。x86アーキテクチャが主流であったWindows PC市場において、ARMアーキテクチャを採用したプロセッサは、省電力性、常時接続性、ファンレス設計といった新たな価値提案を目指すものでした。SQ2は、初代のSQ1プロセッサを改良した後継チップとして登場し、Windows on ARMエコシステムの進化と密接に関連しています。本レポートでは、SQ2の技術的な特徴を深掘りし、ベンチマークスコアや実利用環境での評価を通じて、その性能と位置づけを客観的に明らかにします。
1.2. 調査手法
本レポートの作成にあたり、日本語で提供されている技術系ニュースサイト、PCレビューブログ、製品情報ページ、ユーザーフォーラム、ベンチマークデータベースなどを広範囲に調査しました。収集したデータと情報を整理・分析し、Microsoft SQ2プロセッサの全体像を多角的に評価しました。性能評価においては、標準的なベンチマークソフトウェアのスコアを比較参照し、実利用におけるユーザー体験に関する情報も考慮に入れました。引用した情報源については、関連する箇所でサイト名を明記しています。
1.3. レポート構成
本レポートは以下の構成でMicrosoft SQ2プロセッサを分析します。まず、プロセッサの基本的な技術仕様(アーキテクチャ、CPUコア、GPU、接続性など)を解説します。次に、SQ2を搭載した主要デバイスであるSurface Pro Xのデザイン、特徴、および市場での評価を概観します。続いて、各種ベンチマークソフトウェアを用いた性能測定結果を示し、競合するプロセッサ(SQ1、Intel/AMDモバイルプロセッサ、Apple Mシリーズなど)との比較分析を行います。さらに、ウェブブラウジングやオフィスワーク、クリエイティブ作業、ゲームといった実利用シナリオにおけるパフォーマンスとユーザー体験、特にアプリケーションの互換性やエミュレーション性能について詳述します。消費電力と発熱に関する評価も行い、最後にSQ2の強みと弱みを整理し、その特性を踏まえた得意なタスクと不得意なタスクを分析した上で、総合的な結論を提示します。
2. Microsoft SQ2: 基本仕様
2.1. アーキテクチャと製造プロセス
Microsoft SQ2は、QualcommのSnapdragon 8cx Gen 2 5GをベースとしてMicrosoftがカスタマイズしたSoCです 3。アーキテクチャには、スマートフォンやタブレットで広く採用されているARMアーキテクチャが採用されています 1。これは、PC市場で長らく標準であったIntelやAMDのx86アーキテクチャとは根本的に異なる設計思想に基づいています。ARMアーキテクチャは、一般的に電力効率に優れており、常時接続性(Always Connected)やファンレス設計といった特徴を持つデバイスの実現に適しています。製造プロセスについては、ベースとなったSnapdragon 8cxがTSMCの7nmプロセスで製造されていることから、SQ2も同様のプロセスを採用していると推測されます 3。
2.2. CPU: コア構成とクロック速度
SQ2のCPU部分は、Qualcomm Kryo 495 CPUコアをベースにしています 4。合計8つのCPUコアを搭載しており 5、これは高性能コアと高効率コアを組み合わせたbig.LITTLE構成であると考えられます。具体的には、PassMarkのデータによると、3.2GHzで動作するプライマリコア(高性能コア)4つと、2.4GHzで動作するセカンダリコア(高効率コア)4つの組み合わせが示唆されています 6。Geekbenchの情報では、プロセッサの識別子として「1 Processor, 8 Cores」と表示され、最大クロック周波数は3.15GHzと記録されています 7。この最大3.15GHzというクロック周波数は、前世代のMicrosoft SQ1が最大3.0GHzであったことから、150MHzの向上となります 3。
このクロック周波数の向上幅は比較的小さく(約5%増)、ベースとなるCPUアーキテクチャ(Kryo 495)がSQ1から変更されていない点を考慮すると、SQ2はSQ1からの大幅な性能向上版というよりは、マイナーチェンジ、あるいは高クロック版としての位置づけが強いと考えられます。PC Watchの記事でも、SQ2はSQ1の高クロック版であると結論付けられています 3。実際に、後述するPCMark 10 Applicationsのような実アプリに近いベンチマークテストでは、SQ1からの性能向上はわずかに留まっています 3。これは、性能の上限がクロック周波数だけでなく、Kryo 495アーキテクチャ自体の能力や7nmプロセス技術によって規定されていることを示唆しています。アーキテクチャの変更を伴わない小幅なクロック向上は、性能向上への寄与が限定的になる傾向があります。
2.3. GPU: Adreno 690 詳細と性能
SQ2に統合されているGPU (Graphics Processing Unit) は、Qualcomm Adreno 690です 1。これは、SQ1に搭載されていたAdreno 685から強化されたバージョンとなります 3。GPUの内部仕様、例えばシェーダーユニット数や動作クロック周波数といった詳細な情報は、一般に公開されている情報や、GPU-Zのような一般的なツールがARM版Windows上で利用できないことから特定が困難です 1。
Qualcommは、Snapdragon 8cx Gen 3(SQ2のベースであるGen 2とは異なる後継チップ)に搭載されたAdreno 690について、前世代(おそらくAdreno 680系)と比較して最大60%の性能向上を実現したと発表していますが、これがSQ2に搭載されたAdreno 690と同一の仕様・性能を示すかは不明です 11。NotebookCheck.netのテストでは、Snapdragon 8cx Gen 3搭載機のAdreno 690は、低価格帯のIntel UHD Graphicsと同等レベルであり、3Dゲームにはあまり適していないと評価されています 11。SQ2のAdreno 690も同じ系統のGPUであるため、モバイル向けGPUとしては比較的高性能ながら、当時のIntel Iris Xe Graphicsのような高性能な統合GPUや、ましてや単体のディスクリートGPUと比較すると、グラフィックス性能には依然として大きな差が存在する可能性が高いです。サポートするAPIとしてはDirectX 12に対応しています 11。グラフィックス性能の具体的な評価については、後述のベンチマークセクションで触れます。
2.4. メモリとストレージサポート
メモリ(RAM)に関しては、低消費電力なLPDDR4x規格をサポートしています。SQ2を搭載したSurface Pro Xでは、8GBまたは16GBの容量で構成されていました 3。ストレージについては、高速なデータ転送が可能なNVMe (Non-Volatile Memory Express) 接続のSSD (Solid State Drive) に対応しています。Surface Pro Xでは、M.2 Type 2230という小型フォームファクタのSSDが採用され、容量は128GB、256GB、512GBのオプションが用意されていました 3。このSSDは取り外し(交換)が可能であることも特徴の一つです 10。
2.5. 接続性
SQ2は、Qualcomm Snapdragon X24 LTEモデムをSoC内部に統合しており、これにより高速なモバイルデータ通信が可能です 3。最大でギガビットLTE Advanced Proに対応し、物理的なnanoSIMカードスロットに加えて、eSIMもサポートしています 9。対応するLTEバンドも非常に幅広く、日本国内の主要な周波数帯を含む多数のバンドをカバーしており 1、国内外での利用における接続性の高さが期待できます。無線LAN(Wi-Fi)については、Wi-Fi 5 (IEEE 802.11ac) 規格に対応しています 3。また、Bluetoothバージョンは5.0をサポートしています 3。
ここで注目すべき点は、Wi-Fi 6 (IEEE 802.11ax) に対応していないことです。SQ2が登場した2020年後半から2021年初頭にかけては、すでにWi-Fi 6対応ルーターやデバイスが普及し始めており、特にプレミアムクラスのノートPCでは標準搭載されるケースが増えていました。ベースとなったSnapdragon 8cx Gen 2 5GではオプションとしてWi-Fi 6が提供されていたにも関わらず 4、MicrosoftはSQ2およびSurface Pro XにおいてWi-Fi 5の採用に留めました。これは、開発サイクルの早い段階での決定やコスト削減が理由かもしれませんが、最新のネットワーク環境下での通信速度や接続安定性の面で、将来的なボトルネックとなる可能性を内包しています。
3. SQ2搭載デバイス: Surface Pro X
3.1. 概要
Microsoft SQ2プロセッサを搭載した主要な、そして実質的に唯一の一般向けデバイスは、Microsoftの「Surface Pro X」です。具体的には、2020年10月以降に発表・発売されたモデルがSQ2を採用しています 1。Surface Pro Xは、タブレットとしてもノートPCとしても利用できる2-in-1デバイスであり、ARMアーキテクチャの特性である省電力性、常時接続性、薄型軽量デザインを最大限に活かすことを目指して設計されました。
3.2. デザインと特徴
Surface Pro X (SQ2モデル) は、洗練されたデザインとモバイル性に優れた特徴を持っています。
- ディスプレイ: 13インチのPixelSenseタッチスクリーンを搭載しています 3。解像度は2880×1920ピクセルと高く、アスペクト比はSurfaceシリーズ伝統の3:2です 3。これにより、一般的な16:9ディスプレイよりも縦方向の表示領域が広く、文書作成やウェブ閲覧に適しています 5。また、ベゼル(画面周囲の額縁)が非常に薄い「エッジ ツー エッジ」のデザインが採用されており、没入感の高い視覚体験を提供します 14。
- 筐体: 本体重量は約774g、厚さはわずか7.3mmと、極めて薄型軽量です 1。これにより、持ち運びが容易で、モバイルワークに適したデバイスとなっています。
- 冷却: SQ2プロセッサの電力効率の高さを活かし、冷却ファンを搭載しないファンレス設計を実現しています 5。これにより、動作音が非常に静かであるという利点があります。
- キックスタンド: Surfaceシリーズの特徴であるキックスタンドを内蔵しており、無段階で角度調整が可能です 5。これにより、デスク上での作業、膝の上での利用、ペン入力時など、様々なシーンに合わせて最適な角度でディスプレイを固定できます。
- カラー: 筐体カラーとして、従来のマットブラックに加えて、新たにプラチナ色が追加されました 1。
- ポート: 接続ポートとしては、USB Type-Cポートを2基搭載しています(USB 3.2 Gen 2対応)3。その他に、充電やドッキングステーション接続に用いるSurface Connectポート、nano SIMカードスロット、別売りのSurfaceキーボードを接続するための専用ポートを備えています 3。一方で、従来のUSB Type-Aポート、3.5mmイヤホンジャック、microSDカードリーダーは搭載されていません 13。これは、デバイスの薄型化とモバイル利用への特化を優先した設計思想の表れと言えます。
3.3. 日本市場におけるレビュー概要
日本国内のレビューサイトやユーザーの声を見ると、Surface Pro X (SQ2モデル) に対する評価は、いくつかの側面で高く評価される一方で、核心的な部分で課題も指摘されています。
- ディスプレイ: 13インチの高解像度 (2880×1920) PixelSenseディスプレイは、その鮮明さや発色の良さで一貫して高く評価されています。輝度も実測で487 nitsと十分に明るく、屋内・屋外での視認性も良好です 4。
- キーボード(別売): 純正のタイプカバー(Surface Pro X Signature Keyboard / Surface Pro フレックスキーボード)は、薄型ながらもしっかりとした打鍵感があり、「適度な反発で軽やかに入力できる」と好評です 17。底打ち感は多少あるものの、長時間のタイピングでも指への負担が少ないと感じるユーザーが多いようです 17。タイピング時の安定性も、机上では問題なく、膝の上でもある程度安定して使用できるとの評価です 17。
- ペン(別売): 純正のSurface Slim Penは、筆圧検知4,096段階、傾き検知に対応し、応答速度(レイテンシ)も改善されているとされています 16。レビューでは、感度が良く滑らかな書き心地で、「ノートに書くようにサラサラと筆記できた」「ペンの追従性が良い」といった肯定的な意見が多く見られます 17。ペンはキーボード上部にマグネットで取り付け、充電・収納が可能です 16。
- オーディオ: ディスプレイ左右に配置されたステレオスピーカーは、音質がクリアで、低音から高音までバランス良く再生されると評価されています。特に動画視聴時には、その迫力や臨場感が高く評価されており、「映画館で見ているよう」といったコメントも見られます 17。
- 携帯性: 約774gという軽さと7.3mmの薄さは、持ち運びやすさを重視するユーザーから高く評価されています 13。
- 接続性: Wi-Fi環境がない場所でもインターネットに接続できるLTE通信機能が標準で搭載されている点は、大きな魅力として多くのレビューで強調されています 13。
- バッテリー駆動時間: 公称値で最大15時間というバッテリー駆動時間は、実際のレビューでも肯定的に評価されています。ウェブサイト「PC Watch」では実使用で10時間程度 18、「こまめブログ」では動画再生テストで14時間42分 19 という結果が報告されており、一般的な利用であれば1日中バッテリー切れを心配せずに使えるレベルにあると言えます。ただし、使い方、特にx64エミュレーションの利用頻度によっては、想定よりも早くバッテリーを消費するというユーザー報告もあります 20。
- 発熱と静音性: ファンレス設計のため、動作音は非常に静かです 5。ARMプロセッサの発熱の少なさから、「PC本体に触れても熱を感じない」21、「常に低温状態」21 といった肯定的な意見がある一方、負荷の高い作業を行うと本体がかなり熱くなるという報告も存在します 20。
- CPU性能とアプリ互換性: デザイン、ディスプレイ、携帯性、入力デバイスといったハードウェア面の評価が高い一方で、CPUの絶対的な処理性能については、特にIntel Core iシリーズを搭載した他のSurface Proモデルと比較して低い点が明確に指摘されています 13。そして、Surface Pro X (SQ2) の評価を最も大きく左右するのが、ARMネイティブではないアプリケーション、特に64bitアプリケーション(x64アプリ)の互換性と、エミュレーション実行時の性能低下です 13。
これらのレビューを総合すると、Surface Pro X (SQ2) の評価は、ユーザーの利用目的によって大きく分かれる傾向が見られます。デバイスとしてのデザイン、画面品質、ペン入力、携帯性、常時接続性といった要素は非常に高く評価されています。しかし、プロセッサの性能限界と、ソフトウェア(特にx64アプリ)の互換性という根本的な部分がボトルネックとなり、要求の高い作業や特定のアプリケーションを利用したいユーザーにとっては不満が残る可能性があります。軽いモバイル作業やコンテンツ消費が中心であれば満足度は高いものの、従来のWindows PCと同じような感覚で多様なソフトウェアを使いたい場合には、期待に応えられない場面が出てくる、という二面性を持つデバイスと言えるでしょう。この点は、Windows 10搭載時の初期レビューが厳しかったのに対し、x64エミュレーションが改善されたWindows 11搭載後のレビューで評価が持ち直したという報告からも窺えます 23。ソフトウェアエコシステムの成熟度が、デバイスの評価に直結していたことを示しています。
4. ベンチマークによる性能評価
Microsoft SQ2プロセッサの性能を客観的に評価するため、標準的なベンチマークソフトウェアのスコアを以下に示します。これらのスコアは、プロセッサの計算能力やグラフィックス処理能力を数値化し、他のプロセッサとの比較を可能にします。
4.1. CPU性能ベンチマーク
CPUの純粋な計算能力を測定するベンチマークの結果は以下の通りです。
- Geekbench 5:
- シングルコアスコア: 722 24
- マルチコアスコア: 2623 24
- Geekbench 6:
- シングルコアスコア: 986 7
- マルチコアスコア: 3582 7
- 注意: Geekbenchはバージョン間でスコアリングの基準が異なるため、Geekbench 5とGeekbench 6のスコアを直接比較することはできません。
- Cinebench R23:
- 調査した日本語の情報源の中には、SQ2の具体的なCinebench R23スコアを明記しているものは見当たりませんでした 25。レビューサイト「mybest」では、Cinebenchを使用した測定結果として「比較した前商品(おそらく他のSurfaceモデル)の平均スコアを大きく下回る結果」と言及されていますが、具体的な数値は示されていません 17。Cinebenchは、特にマルチコア性能が重要となるクリエイティブ系のタスク(3Dレンダリングなど)の性能指標として用いられることが多いベンチマークです。
- PassMark CPU Mark (総合スコア):
- 6,534 6
- PassMark Single Thread Rating (シングルスレッド性能):
- 1,906 6
これらのCPUベンチマークスコアを総合的に見ると、Microsoft SQ2は、登場当時のミドルレンジからハイエンドクラスのIntelやAMDのモバイル向けプロセッサ、あるいはAppleのM1やM2といったARMベースの競合プロセッサと比較して、特にマルチコア性能、そしてシングルスレッド性能の両面で劣っていることが示唆されます。PassMarkの比較データでは、同世代のIntel Core i5-1245U (スコア 13,282) や後継のSnapdragon 8cx Gen 3 (スコア 11,814) に対して大きな差をつけられています 33。また、シングルスレッド性能においても、Apple M1 (スコア 3,682) の半分程度のスコアに留まっています 34。Geekbench 5のスコア (722/2623) も、当時のIntel Core i5/i7やApple M1が一般的に示すスコア(シングルコア1500点以上、マルチコア5000点以上)と比較すると、かなり低い水準です。この傾向は複数の異なるベンチマークで一貫しており、SQ2の純粋な計算能力が、当時の主要な競合製品に対して及ばなかったことを示しています。
表1: Microsoft SQ2 CPU ベンチマークスコア概要
ベンチマーク名 | バージョン | スコア種別 | スコア | 出典 |
Geekbench | 5.x.x | シングルコア | 722 | 24 |
Geekbench | 5.x.x | マルチコア | 2623 | 24 |
Geekbench | 6.3.0 | シングルコア | 986 | 7 |
Geekbench | 6.3.0 | マルチコア | 3582 | 7 |
PassMark CPU Mark | – | 総合 | 6,534 | 33 |
PassMark Single Thread Rating | – | シングル | 1,906 | 6 |
4.2. GPU性能ベンチマーク
内蔵GPUであるAdreno 690のグラフィックス性能を測定するベンチマークの結果は以下の通りです。
- 3DMark Time Spy (Graphics Score):
- 812 35
- 3DMark Wild Life Extreme (Unlimited Score):
- 3125 35
- 3DMark Steel Nomad Light (Unlimited Score):
- データなし 35
Adreno 690の3DMarkスコアを見ると、Time Spy Graphicsのスコア812点は、当時のエントリーレベルの単体GPU(数千点を記録)や、Intelの高性能統合グラフィックス(Iris Xeなど)と比較しても低い値です。これは、DirectX 12ベースの比較的負荷の高いPC向けゲーミングベンチマークにおいて、性能が限定的であることを示しています。一方、Wild Life Extremeはモバイルデバイス向けの比較的新しいベンチマークであり、ここでの3125点というスコアはモバイル統合GPUとしては標準的な範囲ですが、これが直接的にPCゲームの快適性につながるわけではありません。NotebookCheck.netの評価 11 と合わせても、Adreno 690のグラフィックス性能は、ウェブブラウジングや動画再生、UI描画といった日常的なタスクには十分ですが、要求スペックの高い最新のPCゲームを快適にプレイするには力不足であり、主にカジュアルゲームや古い世代のゲームがターゲットとなるレベルであると言えます。
表2: Adreno 690 (SQ2内蔵) GPU ベンチマークスコア概要
ベンチマーク名 | スコア種別 | スコア | 出典 |
3DMark Time Spy | Graphics Score | 812 | 35 |
3DMark Wild Life Extreme | Unlimited Score | 3125 | 35 |
4.3. 総合性能ベンチマーク
CPU、GPU、メモリ、ストレージなど、システム全体の応答性や生産性を評価するベンチマークの結果です。
- PCMark 10 Applications:
- PC Watchによるテストでは、SQ2搭載モデルはSQ1搭載モデルと比較して、このベンチマークのスコアが向上しているものの、その差はわずかであったと報告されています 3。このベンチマークは、Microsoft Officeアプリケーション(Word, Excel, PowerPoint – テスト実行時は32bit x86版をエミュレーションで動作)と、Microsoft Edgeブラウザ(ARMネイティブ版)を実際に使用して処理時間を測定するため、実用的なオフィスワークシナリオにおける性能を反映しています 3。
PCMark 10 Applicationsの結果が示すように、SQ1からSQ2への進化(CPUクロック向上、GPU強化)は、日常的なオフィス作業(特にEdgeブラウザや最適化されたOfficeアプリを中心とした利用)においては、体感できるほどの大きな性能差には繋がらなかった可能性があります。このベンチマークにはエミュレーション下での動作も含まれるため、純粋なCPUやGPUのピーク性能差よりも、実際のアプリケーション実行時の応答性や効率、あるいはエミュレーションのオーバーヘッドといった要素がスコアに影響していると考えられます。特定の、比較的負荷の軽いタスクにおいては、SQ1でもSQ2でも、ユーザー体験に大きな違いはなかったのかもしれません。
5. 競合プロセッサとの比較分析
Microsoft SQ2の性能をより深く理解するために、前世代のSQ1、同世代のIntel/AMDモバイルプロセッサ、そして同じARMアーキテクチャを採用するApple Mシリーズなど、主要な競合プロセッサとの比較を行います。
5.1. Microsoft SQ1からの進化
Microsoft SQ2は、初代のSurface Pro Xに搭載されたSQ1プロセッサの後継として登場しました。主な変更点は、CPUの最大クロック周波数が3.0GHzから3.15GHzへと引き上げられたこと、そして内蔵GPUがAdreno 685からAdreno 690へとアップグレードされたことです 3。基本的なCPUアーキテクチャ(Kryo 495ベース)や製造プロセスは共通していると考えられます。
しかし、前述のPCMark 10 Applicationsベンチマークの結果が示すように、これらの改良にも関わらず、実際のオフィスアプリケーションを用いたテストでは、SQ1からの性能向上はわずかなものでした 3。これは、アーキテクチャレベルでの大きな変更がなかったため、性能の伸びしろが限定的であったことを示唆しています。SQ2はSQ1のマイナーチェンジ版であり、性能面での飛躍的な向上をもたらすものではありませんでした。
5.2. 同世代Intel/AMDモバイルプロセッサとの性能差
SQ2が登場した当時、ノートPC市場ではIntelの第10世代/第11世代Coreプロセッサ(Tiger Lakeなど)や、AMDのRyzen 4000/5000シリーズモバイルプロセッサが主流でした。これらのx86アーキテクチャベースのプロセッサと比較すると、SQ2の性能には明確な差が見られます。
PassMark CPU Markのスコア比較では、SQ2のスコアが6,534であるのに対し、例えばIntel Core i5-1245U(やや後の世代だが参考として)は13,282と、倍近いスコア差があります 33。シングルスレッド性能を示すPassMark Single Thread Ratingでも、SQ2の1,906に対し、Intel Core i5-1135G7は2,657、Core i7-11800Hは3,053と、いずれもSQ2を上回っています 6。
これらのベンチマーク結果は、純粋な計算能力において、SQ2が同世代の主要なx86系モバイルプロセッサに対して不利な立場にあったことを示しています。特にシングルスレッド性能の低さは、多くの日常的なアプリケーション(ウェブブラウザ、オフィスソフトなど)の起動速度や応答性において、体感的な差として現れる可能性があります。
5.3. Apple Mシリーズとの比較
SQ2と同じARMアーキテクチャを採用しながら、PC市場で大きなインパクトを与えたのがAppleのMシリーズプロセッサ(M1, M2など)です。SQ2とApple M1を比較すると、性能面で大きな差が存在します。
PassMark Single Thread Ratingでは、SQ2の1,904に対してApple M1 (8コア, 3.2GHz) は3,682と、ほぼ倍のスコアを記録しています 34。Geekbench 5のスコアにおいても、SQ2 (シングル722 / マルチ2623) 24 に対し、Apple M1は一般的にシングルコアで1700点以上、マルチコアで7000点以上を記録しており、圧倒的な差があります。Parallels Desktopを用いてM1 Mac上でWindows 10 on ARMを動作させた場合でも、比較的良好なベンチマークスコアが得られることが報告されており 36、これはM1チップ自体の高い潜在能力を示しています。
Apple M1の成功は、ARMアーキテクチャが必ずしも低性能であるわけではなく、カスタム設計された高性能コアと、OSおよびソフトウェアとの緊密な最適化によって、従来のx86プロセッサを凌駕する性能と電力効率を両立できることを証明しました。一方で、Qualcommの標準的なARMコア(Cortex-A76ベースのKryo 495)をベースとしたSQシリーズは、Appleほどの性能を発揮するには至りませんでした 37。MicrosoftとQualcommは、Appleのような垂直統合型の開発アプローチ(カスタムコア設計、OS、ソフトウェアの最適化)において、当時、後れを取っていたと言わざるを得ません。Apple M1の登場は、SQ2を含む当時のWindows on ARMプロセッサの相対的な性能不足を際立たせる結果となりました。
5.4. Snapdragon 8cx Gen 3との比較
SQ2のベースとなったSnapdragon 8cx Gen 2のさらに後継にあたるのが、Snapdragon 8cx Gen 3です。PassMark CPU Markの比較では、SQ2 (6,534) に対してSnapdragon 8cx Gen 3は11,814と、大幅に高いスコアを記録しています 33。これは、Windows on ARM向けのプロセッサも世代を重ねるごとに着実に性能向上を果たしていることを示しています。SQ2は、この進化の過程における一世代前の製品という位置づけになります。
表3: Microsoft SQ2 vs. 競合プロセッサ CPUベンチマーク比較
プロセッサ | ベンチマーク | スコア種別 | スコア | SQ2比 (CPU Mark基準) | 出典 |
Microsoft SQ2 @ 3.15 GHz | PassMark CPU Mark | 総合 | 6,534 | 100% | 33 |
PassMark Single Thread Rating | シングル | 1,906 | – | 6 | |
Microsoft SQ1 @ 3.0 GHz | PassMark CPU Mark | 総合 | (データなし) | – | – |
Intel Core i5-1245U | PassMark CPU Mark | 総合 | 13,282 | 約203% | 33 |
Snapdragon 8cx Gen 3 | PassMark CPU Mark | 総合 | 11,814 | 約181% | 33 |
Apple M1 (8 Core 3.2 GHz) | PassMark CPU Mark | 総合 | 14,144 | 約216% | 6 |
PassMark Single Thread Rating | シングル | 3,682 | (SQ2比 約193%) | 34 |
(注: SQ1のPassMarkスコアは利用可能なデータに含まれていませんでした。Apple M1のCPU Markスコアは参考値です。)
6. 実利用環境におけるパフォーマンスとユーザー体験
ベンチマークスコアはプロセッサの潜在能力を示す指標ですが、実際のユーザー体験は、ソフトウェアの互換性や最適化の度合いに大きく左右されます。特にARMアーキテクチャを採用したWindows PCであるSQ2搭載デバイス(Surface Pro X)においては、この点が重要になります。
6.1. ネイティブARMアプリの動作
Microsoft Edgeブラウザや、Microsoft Officeの一部アプリケーション(Word, Excel, PowerPoint, Outlook, OneNote, Teamsなど)は、ARM64アーキテクチャにネイティブ対応したバージョンが提供されています 2。これらのネイティブアプリは、プロセッサの能力を効率的に利用できるため、比較的快適に動作することが期待されます。Microsoft自身も、OfficeチームがARM64EC技術を利用して64bit版Office for ARMを開発し、従来のx64プラグインとの互換性を維持しつつネイティブ化を進めているとしています 38。ARM64EC (Emulation Compatible) は、ARMネイティブコードとx64エミュレーションコードを同一プロセス内で混在させることを可能にする技術であり、開発者がアプリケーション全体を一度に書き直すことなく、性能が重要となる部分から段階的にARMネイティブコードへ移行することを支援します 38。
6.2. x86/x64エミュレーションの性能と互換性
Windows on ARMの大きな課題は、従来のWindows PC向けに開発された膨大なx86およびx64アプリケーションをどのように動作させるかという点です。
- エミュレーションの進化: Surface Pro Xが登場した当初のWindows 10 on ARMでは、主に32bitのx86アプリケーションのエミュレーションのみがサポートされていました。その後、64bitのx64アプリケーションのエミュレーション機能が開発され、Windows Insider Programでのプレビューを経て、Windows 11 on ARMで正式にサポートされるようになりました 1。
- 性能: x64エミュレーションの性能については、評価が分かれています。初期のプレビュー段階では「非常に悪い (very, very badly)」と酷評されたこともありました 41。しかし、Windows 11での正式サポートや、XtaCacheと呼ばれるキャッシュ機構(一度変換したコードをキャッシュし、次回以降の起動を高速化する仕組み)の導入 42 などにより、性能は改善されています。最近では「かなり高速である」との評価も見られます 43。
- 互換性: 性能が改善されたとはいえ、エミュレーションはネイティブ実行と比較してパフォーマンスのオーバーヘッドが避けられません。また、すべてのx64アプリケーションが問題なく動作するわけではありません 13。特に、ハードウェアに深く関わるドライバや、カーネルレベルで動作する一部のソフトウェア(例: 特定のセキュリティソフトや仮想化ソフトウェア)、そしてゲームで用いられるアンチチートシステムなどは、エミュレーション環境下で正常に動作しない、あるいは互換性の問題を引き起こす可能性があります 45。例えば、広く使われているGoogle Chromeブラウザも、ARM64ネイティブ版が存在しないため、x64版をエミュレーションで動作させる必要があります 46。
このx64エミュレーションの性能と互換性の不確実性は、SQ2搭載デバイス(Surface Pro X)の評価を決定づける最大の要因と言えます。Windows 11で状況は改善したものの、ユーザーが日常的に使用したい特定のx64アプリケーションが、期待通りに、そして快適な速度で動作するかどうかは、実際に試してみるまで分からないという側面が残ります。これは、従来のx86ベースのWindows PCであれば「ほとんどのWindowsアプリは動作するだろう」という期待があるのに対し、ARM版Windowsではその期待が必ずしも満たされない可能性があるというギャップを生み出しています。
6.3. 一般的なタスク (ウェブブラウジング、オフィスソフト)
ARMネイティブ対応のMicrosoft Edgeブラウザや、最適化されたMicrosoft Officeアプリケーションを使用する場合、ウェブ閲覧、メールの送受信、文書作成・編集といった一般的なタスクは、比較的スムーズにこなすことができます 3。しかし、Google Chromeのようなx64版ブラウザをエミュレーションで利用する場合や、多数のブラウザタブを同時に開く、複雑な数式やマクロを含む大規模なExcelファイルを開くといった、より負荷の高い作業では、プロセッサの性能限界やエミュレーションのオーバーヘッドにより、動作が遅くなったり、応答性が低下したりする可能性があります 46。
6.4. クリエイティブ作業 (動画編集、写真編集)
SQ2のCPUおよびGPU性能は、プロフェッショナルレベルの動画編集(4K編集など)、RAW形式の写真現像、複雑なイラストレーションや3Dモデリングといった、高い計算能力を要求されるクリエイティブ作業には基本的に不向きです。これは、前述のベンチマークスコア や競合プロセッサとの比較 からも明らかです。Adobe Creative Cloud(Photoshop, Premiere Proなど)のような業界標準のソフトウェアの多くはx64版であり、これらをエミュレーションで動作させることは可能かもしれませんが、快適な作業に必要なパフォーマンスを得ることは難しいと考えられます。ARMネイティブに対応した軽量な編集ソフトであれば、簡単な作業は可能かもしれませんが、本格的な制作環境としては力不足でしょう。
6.5. ゲームパフォーマンス
PCゲームのプレイに関しても、SQ2にはいくつかの大きな制約があります。まず、Adreno 690 GPUの性能限界 11 により、グラフィックス設定を大幅に下げない限り、最新のAAAタイトルをプレイすることは困難です。加えて、多くのPCゲームはx64アプリケーションであり、エミュレーションによる性能低下が避けられません。さらに、オンラインゲームなどで使用されるアンチチートソフトウェアがARM版Windowsのエミュレーション環境を不正行為と誤認識し、ゲームが起動しない、あるいはアカウントが停止されるといったリスクも指摘されています 45。Microsoft Storeで配布されているARMネイティブ対応のカジュアルゲームや、要求スペックの低い古いx86ゲームであれば、設定次第でプレイ可能な場合もありますが、ゲーミングPCとしての利用は想定されていません。
6.6. Surface Pro Xにおけるユーザー体験
実利用におけるパフォーマンスとは別に、Surface Pro Xというデバイス自体の使い勝手に関する評価は、概ね良好です。Section 3で述べたように、高品質なディスプレイ、クリアなサウンド、打ちやすいキーボード(別売)、滑らかな書き心地のペン(別売)といったハードウェア面の品質は高く評価されています 17。また、LTEによる常時接続 13、薄型軽量で持ち運びやすいデザイン 15、ファンレスによる静音動作 5 といった、ARMアーキテクチャの利点を活かしたユーザー体験は、特にモバイル利用を重視するユーザーにとっては大きな魅力となります。
7. 消費電力と発熱
ARMアーキテクチャを採用するプロセッサの主な利点の一つは、その優れた電力効率です。これがバッテリー駆動時間やデバイスの発熱にどのように影響するかを見ていきます。
7.1. バッテリー駆動時間の評価
Microsoftは、SQ2を搭載したSurface Pro Xのバッテリー駆動時間について、一般的なデバイス利用で最大15時間と公表しています 3。これは、SQ2が登場した当時の一般的なx86アーキテクチャ搭載ノートPCと比較しても、かなり長い部類に入ります。
実際のレビューサイトによる測定結果も、この公称値に近い、あるいはそれを裏付ける良好な結果を示しています。例えば、PC Watchのレビューでは、1日の利用(5~6時間)後もバッテリー残量が50%程度あり、実質10時間程度の動作が見込めると評価されています 18。また、こまめブログによる動画連続再生テストでは、14時間42分という結果が得られています 19。これらの結果は、SQ2プロセッサとSurface Pro Xプラットフォームが、高い電力効率を実現していることを示しています。
ただし、留意すべき点として、バッテリー駆動時間は利用状況によって大きく変動します。特に、x64アプリケーションをエミュレーションで長時間実行したり、CPUやGPUに高い負荷がかかる作業(例: 多数のアプリの同時利用、動画エンコードなど)を行ったりした場合には、バッテリー消費が通常よりも早まる可能性があります。Microsoft Communityには、特定の状況下でバッテリー消費が非常に早く感じられるというユーザーからの報告も見られます 20。したがって、SQ2搭載デバイスの長いバッテリー駆動時間という利点を最大限に享受するためには、可能な限りARMネイティブに最適化されたアプリケーションを中心に利用することが鍵となります。エミュレーションは、パフォーマンスだけでなく、電力効率にも影響を与える可能性があることを念頭に置く必要があります。
7.2. 動作時の発熱と冷却機構
Surface Pro Xは、SQ2プロセッサの電力効率を活かし、冷却ファンを搭載しないファンレス設計を採用しています 5。これにより、図書館や静かなオフィスなど、騒音を気にする環境でも快適に利用できるという大きなメリットがあります。
一般的に、ARMプロセッサは同等性能のx86プロセッサと比較して消費電力が少なく、それに伴い発熱も少ないとされています 21。レビューの中には、「PC本体に触れても熱を感じない」「常に低温状態のボディ本体で作業が可能」といった、発熱の少なさを肯定的に評価する声もあります 21。
しかし、ファンレス設計であるということは、高負荷が持続した場合の熱処理能力には限界があることも意味します。いくら電力効率が高いとはいえ、プロセッサは負荷がかかれば発熱します。ファンによる強制空冷がないため、熱は筐体を通じて自然に放散されるのを待つしかありません。そのため、ベンチマークテストの実行中や、重いアプリケーション(特にエミュレーションで動作するもの)を長時間使用した場合など、持続的に高い負荷がかかる状況では、本体が顕著に熱くなることがあります 20。場合によっては、プロセッサの過熱を防ぐために性能を自動的に抑制するサーマルスロットリングが発生する可能性も否定できません(HJ-Sekizan BLOGの記事では、高性能CPU搭載ノートPCにおけるサーマルスロットリングの問題に言及しており、ARMベースPCへの期待を述べていますが、ARM機でも高負荷時には同様の問題が起こりうることを示唆しています 45)。
このファンレス設計に伴う熱処理能力の限界は、SQ2のベンチマークスコアが、特に持続的な負荷がかかるテストにおいて伸び悩む一因となっている可能性も考えられます。瞬間的なピーク性能は高くても、熱によってその性能を維持できない場合があるということです。静音性というメリットと、高負荷時の性能維持というトレードオフが存在すると言えるでしょう。
8. Microsoft SQ2の強みと弱み分析
これまでの分析を踏まえ、Microsoft SQ2プロセッサの強みと弱み、そしてその特性から導かれる得意なタスクと不得意なタスクを整理します。
8.1. 強み (Strengths)
- 優れた電力効率と長いバッテリー駆動時間: ARMアーキテクチャの最大の利点であり、コンセントのない場所での長時間利用を可能にします 10。公称最大15時間という駆動時間は、モバイルデバイスとしての価値を高めています。
- 常時接続性 (内蔵LTE): 高速なLTEモデムを標準で内蔵しており、Wi-Fi環境に依存せず、いつでもどこでもインターネットに接続できる利便性を提供します 13。これは、移動の多いビジネスユーザーや学生にとって大きなメリットです。
- ファンレス設計による完全な静音性: 冷却ファンがないため、動作音が一切なく、静かな環境での利用に最適です 5。
- 薄型軽量デザインの実現: 低消費電力・低発熱という特性が、Surface Pro Xのような非常にスリムで軽いデバイスデザインを可能にしました 1。携帯性を最優先するユーザーに適しています。
- 瞬時の起動(Instant On): スリープ状態からの復帰が非常に速く、スマートフォンのような感覚で即座に作業を開始できます。
8.2. 弱み (Weaknesses)
- 絶対的なCPU/GPU性能の低さ: ベンチマークスコアが示す通り、同世代のIntel/AMDモバイルプロセッサやApple Mシリーズと比較して、純粋な計算能力やグラフィックス性能で見劣りします 6。
- x64アプリケーションの互換性とエミュレーション性能: Windows 11でx64エミュレーションは改善されましたが、依然として全てのアプリケーションが完璧に動作するわけではなく、互換性の問題やエミュレーションによる性能低下のリスクが残ります 13。ARMネイティブアプリへの依存度が高くなります。
- 限定的なソフトウェアエコシステム: ARMネイティブに対応したWindowsアプリケーションの種類は、膨大なx86/x64アプリケーションと比較すると、まだ限定的です 13。利用したいソフトウェアがARMに対応しているか、あるいはエミュレーションで問題なく動作するかを確認する必要があります。
- 搭載デバイスにおけるポート類の制限: SQ2を搭載したSurface Pro Xでは、USB Type-Aポート、3.5mmイヤホンジャック、SDカードスロットが省略されており、周辺機器の接続にはアダプターが必要になる場合があります 13。
8.3. 得意なタスクと最適な利用シーン
上記の強みを活かせる、以下のようなタスクや利用シーンにSQ2は適しています。
- モバイル生産性: ウェブブラウジング、メールのチェック・返信、Microsoft Office(特にARMネイティブ版)を用いた文書作成や編集、プレゼンテーション資料の確認・修正など。
- コンテンツ消費: 動画ストリーミングサービスの視聴、電子書籍やPDFドキュメントの閲覧。高品質なディスプレイとスピーカーがこれをサポートします。
- コミュニケーションと簡単な入力: オンライン会議(Teamsなど)、メモ取り、アイデアスケッチ(Surface Pen利用時)。
- 常時接続環境での利用: 外出先や移動中に、LTE接続を活用してリアルタイムな情報アクセスやクラウドサービスを利用する作業。
- 静音性が求められる環境: 図書館、講義室、寝室など、動作音を避けたい場所での利用。
8.4. 不得意なタスクと課題
一方で、以下のタスクや要求には、SQ2の性能や互換性の限界から対応が困難です。
- 要求スペックの高いPCゲーム: 最新の3Dゲームや、高いフレームレートが求められる競技性の高いゲームのプレイ。
- ヘビーなクリエイティブワーク: プロレベルの動画編集(特に高解像度素材)、大量のRAW写真現像、複雑な3Dモデリングやレンダリング、大規模なソフトウェア開発。
- 特定の業務用・専門ソフトウェア: CADソフトウェア、科学技術計算ソフト、仮想化ソフトウェア(特にx86 OSの仮想化)、その他、ARM版Windowsやx64エミュレーションに対応していない、あるいは動作が不安定なレガシーアプリケーションや特殊なソフトウェアの利用。
- 高度なマルチタスク: 多数のアプリケーションやブラウザタブを同時に開き、頻繁に切り替えながら行うような、システムに高い負荷がかかるマルチタスク作業 17。
9. 結論
9.1. Microsoft SQ2プロセッサの総合評価
Microsoft SQ2は、初代SQ1からの性能向上を目指したARMベースのSoCであり、主にSurface Pro X (2020) に搭載されました。その評価は、ARMアーキテクチャ固有の利点と、当時のWindows on ARMエコシステムが抱える課題の両面を反映したものとなります。
最大の強みは、優れた電力効率からもたらされる長時間のバッテリー駆動時間、内蔵LTEモデムによる常時接続性、そしてファンレス設計による完全な静音性です。これらは、Surface Pro Xという薄型軽量で洗練されたデバイスデザインと組み合わさり、特定のモバイル利用シナリオにおいては、従来のx86ノートPCにはない快適なユーザー体験を提供しました。
しかしながら、その一方で、絶対的な処理性能においては、同世代のIntelやAMDのモバイルプロセッサ、そして特にApple M1プロセッサに対して明確な差をつけられました。CPU、GPU共に、要求の高いタスクを快適にこなすには力不足であり、これがSQ2搭載デバイスの汎用性を制限する要因となりました。さらに深刻な課題は、ソフトウェアの互換性、特にx64アプリケーションのエミュレーション性能と安定性でした。Windows 11で改善は見られたものの、依然として全てのアプリケーションが問題なく動作する保証はなく、ユーザーは利用したいソフトウェアの互換性を事前に確認する必要がありました。
総じて、Microsoft SQ2は、Windows on ARMプラットフォームの進化過程における過渡期の製品であり、その価値はユーザーの利用目的やソフトウェア環境への依存度が非常に高いものでした。常時接続性やバッテリー寿命、静音性を最優先し、利用するアプリケーションがARMネイティブ対応、あるいはエミュレーションで問題なく動作する範囲に限られるユーザーにとっては魅力的な選択肢となり得ましたが、より高い性能や幅広いソフトウェア互換性を求める大多数のPCユーザーにとっては、妥協が必要なプロセッサであったと言えます。
9.2. 位置づけと市場への影響
SQ2とそれを搭載したSurface Pro Xは、Microsoftが推し進めるWindows on ARM戦略の一環として市場に投入されました。x86アーキテクチャの支配が続くPC市場において、ARMの利点を活かした新たな選択肢を提示しようという意欲的な試みでした。しかし、その登場は、奇しくもAppleが自社設計のM1チップでARMアーキテクチャの性能ポテンシャルを劇的に引き上げ、市場の認識を大きく変えた時期と重なりました。結果として、Apple M1の圧倒的な性能と効率性は、SQ2(およびそのベースであるQualcomm Snapdragon 8cxシリーズ)の相対的な性能不足を浮き彫りにし、Windows on ARMプラットフォームの普及に向けた課題を改めて示すことになりました。SQ2は、Windows on ARMが目指す理想(省電力、常時接続、高性能)と、当時の現実(性能限界、互換性問題)とのギャップを示す存在となったのです。
9.3. 将来性
Microsoft SQ2自体は、既に旧世代のプロセッサであり、現在の市場で積極的に選択されるものではありません。しかし、MicrosoftとQualcomm(および他のチップメーカー)によるWindows on ARMへの取り組みは継続されています。SQ2とその搭載デバイスから得られた経験や、浮き彫りになった課題(特にソフトウェア互換性と性能)は、その後のプロセッサ開発(例: Qualcomm Snapdragon X Elite/Plus)や、Windows OS自体のARMアーキテクチャへの最適化、そしてアプリケーション開発者によるARMネイティブ対応の促進に活かされていると考えられます 43。
ARMアーキテクチャが、従来のx86アーキテクチャと並ぶ、あるいはそれを代替するWindows PCの主流となり得るか、その将来はまだ不透明な部分もありますが、電力効率やAI処理能力といった面での利点から、今後も重要な選択肢であり続ける可能性は高いです。SQ2は、その長い道のりにおける一つのマイルストーンとして記憶されるでしょう。
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