NOTHING Phone (1) (RAM 8GBモデル) ベンチマークまとめ

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概要

スマートフォンの性能を客観的に評価する上で、ベンチマークテストは重要な指標となります。特に、最新技術を搭載したスマートフォンの登場が目覚ましい現代において、その性能を数値化し、比較検討することは消費者にとって不可欠です。本レポートでは、個性的なデザインと高い機能性で注目を集めるNOTHING Phone (1)の8GB RAMモデルに焦点を当て、詳細なベンチマーク結果を深掘りします。主要な日本語ウェブサイトから収集したデータに基づき、代表的なベンチマークソフトであるAnTuTu BenchmarkとGeekbenchにおけるスコアを分析し、その性能を多角的に評価することを目的とします。

ベンチマークスコアは、スマートフォンのハードウェアが持つ潜在能力や、実際の使用感におけるパフォーマンスを予測するための重要な手がかりとなります。これらのスコアを通じて、NOTHING Phone (1)がどのような処理能力を備え、日々の利用や特定のタスクにおいてどの程度のパフォーマンスを発揮できるのかを理解することができます。

スマートフォンの性能は、搭載されているSoC(System-on-Chip)、RAM容量、ソフトウェアの最適化(Androidのバージョンやメーカー独自のカスタマイズ)、そしてベンチマークアプリのバージョンなど、様々な要因によって左右されます。したがって、ベンチマーク結果を解釈し、異なるデバイス間で比較を行う際には、これらの要素を考慮に入れる必要があります。例えば、ベンチマークアプリのバージョンが異なると、テスト方法やスコアの算出アルゴリズムが変更されることがあり、単純な数値の比較だけでは不十分な場合があります。

NOTHING Phone (1)のベンチマークスコアを、同じ価格帯や類似したスペックを持つ他のミッドレンジスマートフォンと比較することで、その相対的な性能や市場における競争力をより深く理解することができます。単に数値を見るだけでなく、競合機種との比較を通じて、NOTHING Phone (1)がユーザーにどのような価値を提供できるのかを評価することが重要です。

本レポートでは、主要なAnTuTu BenchmarkとGeekbenchのスコアを複数の情報源から収集し、以下の表にまとめました。これにより、読者は主要なベンチマーク結果を一目で把握することができます。

ベンチマークソフト総合スコア/シングルコアマルチコアバージョン引用元サイト名
AnTuTu Benchmark約54万~64万Ver 9/10garumax.com, hypergadget.jp
Geekbenchシングルコア: 約815 (V5), 1010 (V6)マルチコア: 約3021 (V5), 約2654~2856 (V6)V5/V6hypergadget.jp, browser.geekbench.com

AnTuTu Benchmark 結果

スコア

NOTHING Phone (1) (8GB RAMモデル)のAnTuTu Benchmarkにおける総合スコアは、複数のウェブサイトで報告されています。1によると、スコアは使用されたAnTuTuのバージョンやAndroidのバージョンによって幅が見られます。

garumax.comが報告しているデータ1では、Androidのバージョンごとに異なるスコアが記録されています。Android 14(AnTuTu Ver 10)では総合スコアが632749、Android 13(AnTuTu Ver 10)では589659、そしてAndroid 12(AnTuTu Ver 9)では540446となっています。また、別の記事2でも、Android 12環境下でのAnTuTu Ver 9のスコアとして540,446点が報告されています。

一方、hypergadget.jpのデータ3では、バージョンは明記されていないものの、583,729という総合スコアが報告されています。また、hypergadget.jp4のデータでは、AnTuTu Ver 10.2.5を用いた計測結果として、3回の測定の平均値が643,456点となっています。

これらの結果から、NOTHING Phone (1)のAnTuTuスコアは、使用するベンチマークアプリのバージョンやAndroid OSのバージョンによって、およそ54万点から64万点の範囲で変動することがわかります。ソフトウェアのアップデートやベンチマークアプリの改訂が、デバイスのパフォーマンス評価に影響を与える可能性を示唆しています。

各項目の内訳

AnTuTu Benchmarkでは、総合スコアに加えて、CPU、GPU(3D)、MEM(メモリ)、UX(ユーザーエクスペリエンス)といった個別の項目ごとのスコアも測定されます。これらの内訳を見ることで、NOTHING Phone (1)の性能特性をより詳細に把握することができます。

garumax.comの報告1によると、GPUスコアはAndroid 14(Ver 10)で154764、Android 13(Ver 10)で139202、Android 12(Ver 9)で168272となっています。また、2でもAndroid 12(Ver 9)のGPUスコアとして168,272点が示されています。

hypergadget.jpのデータ4では、AnTuTu Ver 10.2.5における平均値として、CPUスコアが207,938、GPUスコアが154,909、MEMスコアが132,561、UXスコアが148,569と報告されています。個別の測定結果4を見ると、CPUスコアは206,758~209,853、GPUスコアは154,770~155,258、MEMスコアは129,463~135,218、UXスコアは147,213~148,905の範囲で推移しています。

さらに、hypergadget.jp3では、CPUスコアが164,143、GPUスコアが176,005と報告されています。ただし、このスコアがどのAnTuTuバージョンに基づいているかは明記されていません。

これらの個別のスコアを分析することで、NOTHING Phone (1)は、グラフィックス処理能力(GPU)において比較的安定した性能を発揮する一方、CPUスコアにはソフトウェアのバージョンによる変動が見られることが示唆されます。また、ユーザーエクスペリエンス(UX)に関するスコアも一定の水準を保っており、日常的な操作における快適さが期待できます。

異なるバージョンおよびAndroidバージョンにおけるスコア

AnTuTu Benchmarkのスコアは、アプリのバージョンやAndroid OSのバージョンによって変動する傾向が見られます。1のデータからは、新しいAndroidバージョン(Android 14)で計測されたAnTuTu Ver 10のスコアが、古いバージョン(Android 12、AnTuTu Ver 9)のスコアよりも高い傾向にあることが示唆されます。特に総合スコアにおいては、Android 14で約63万点、Android 12で約54万点と、明確な差が見られます。GPUスコアにおいても、Ver 9(Android 12)の方がVer 10(Android 13)よりも高い結果が出ており、一概に新しいバージョンが高いとは言えない側面もあります。

hypergadget.jp4のデータでも、AnTuTu Ver 10.2.5におけるスコアが比較的高いことが確認できます。これは、AnTuTu自体がバージョンアップを重ねる中で、スコアの算出方法やテスト内容が変更されていることが影響していると考えられます。したがって、ベンチマーク結果を比較する際には、使用されたAnTuTuのバージョンとAndroid OSのバージョンを考慮することが重要です。

Geekbench 結果

シングルコア

Geekbenchは、CPUのシングルコアおよびマルチコアの性能を評価するためのベンチマークソフトです。NOTHING Phone (1)のシングルコアスコアについて、hypergadget.jp3ではGeekbench 5のスコアとして815が報告されています。一方、browser.geekbench.com5ではGeekbench 6のスコアとして1010が示されています。

Geekbenchのバージョンが異なると、スコアの基準やテスト内容が大きく異なるため、これらの数値を直接比較することはできません。しかし、それぞれのバージョンにおけるシングルコアスコアは、個々のCPUコアが独立して処理を行うタスク、例えばアプリケーションの起動やウェブブラウジングなどにおける性能を示す指標となります。NOTHING Phone (1)のシングルコア性能は、Geekbenchのバージョンによって異なるものの、一定の処理能力を備えていることが伺えます。

マルチコア

マルチコアスコアは、デバイスに搭載された全てのCPUコアを同時に使用する際の総合的な処理能力を示すものです。hypergadget.jp3によると、NOTHING Phone (1)のGeekbench 5におけるマルチコアスコアは3,021です。また、browser.geekbench.com5ではGeekbench 6のマルチコアスコアとして2856が、browser.geekbench.com6では同じくGeekbench 6で2654というスコアが報告されています。

ここでも、Geekbenchのバージョンによるスコアの違いが見られます。Geekbench 5と6ではスコアのスケールが異なるため、直接的な比較は難しいですが、Geekbench 6のスコアにおいても、情報源によって若干の差異が見られます。これは、テスト時のデバイスの状態やバックグラウンドで動作しているプロセスなどの影響が考えられます。マルチコアスコアが高いほど、複数のアプリケーションを同時に使用するマルチタスクや、動画編集、ゲームなど、より負荷の高い処理を快適に行える可能性が高まります。NOTHING Phone (1)のマルチコア性能は、ミッドレンジのスマートフォンとしては比較的高い水準にあると言えるでしょう。

マルチコアの詳細 (Geekbench 6 の場合)

browser.geekbench.com6に示されているGeekbench 6のマルチコアテストの詳細な内訳を見ると、NOTHING Phone (1)が様々な種類の処理に対してどのような性能を発揮するのかをより深く理解することができます。以下に、報告されている個々のワークロードとそのスコアを示します。

  • ファイル圧縮: 1181 (169.6 MB/sec)
  • ナビゲーション: 2571 (15.5 routes/sec)
  • HTML5ブラウザ: 3352 (68.6 pages/sec)
  • PDFレンダリング: 4779 (110.2 Mpixels/sec)
  • フォトライブラリ: 3339 (45.3 images/sec)
  • Clang: 3375 (16.6 Klines/sec)
  • テキスト処理: 1078 (86.3 pages/sec)
  • アセット圧縮: 4723 (146.3 MB/sec)
  • 物体検出: 1791 (53.6 images/sec)
  • 背景ぼかし: 2424 (10.0 images/sec)
  • 水平線検出: 3843 (119.6 Mpixels/sec)
  • 物体除去: 1389 (106.8 Mpixels/sec)
  • HDR: 2920 (85.7 Mpixels/sec)
  • 写真フィルター: 2281 (22.6 images/sec)
  • レイトレーサー: 4156 (4.02 Mpixels/sec)
  • Structure from Motion: 3801 (120.3 Kpixels/sec)

これらの詳細なデータから、NOTHING Phone (1)は、PDFレンダリングやアセット圧縮といった特定の処理において高い性能を発揮する一方、テキスト処理や物体除去などのタスクでは比較的スコアが低いことがわかります。このように、ベンチマークテストの詳細な結果を分析することで、デバイスの得意とする処理や、特定の用途における潜在的なパフォーマンスを推測することができます。例えば、写真編集を頻繁に行うユーザーであれば、フォトライブラリや写真フィルターのスコアが参考になるでしょうし、グラフィック処理を重視するユーザーであれば、レイトレーサーのスコアが注目ポイントとなります。

総合的な考察

NOTHING Phone (1) (8GB RAMモデル)のベンチマーク結果を総合的に見ると、AnTuTu Benchmarkでは約54万点から64万点、Geekbenchではシングルコアが約815~1010、マルチコアが約2654~3021というスコアが得られています。これらの数値は、ミッドレンジのスマートフォンとしては十分に高いパフォーマンスを示していると言えるでしょう。

hypergadget.jp3では、NOTHING Phone (1)のスコアが他のミッドレンジスマートフォンと比較されています。例えば、Xiaomi Mi 11 Lite 5GやMotorola edge 20といった同クラスの機種と比較して、AnTuTuのCPUスコアやGeekbenchのマルチコアスコアが高い傾向にあることが示されています3。特にGeekbench 5のマルチコアスコアは、一般的なミッドレンジモデルよりもハイエンドモデルに近い性能を示唆しているという評価もあります3

これらのベンチマーク結果は、NOTHING Phone (1)が日常的な使用はもちろんのこと、比較的負荷の高いゲームやマルチタスク処理においても快適な動作を提供できる可能性を示唆しています。hypergadget.jp3では、AnTuTuのGPUスコアがMi 11 Lite 5Gを上回っていること、また3DMarkのスコアもミッドレンジとしては高めであることが触れられており、ゲーム性能への期待も高まります。

ただし、複数の情報源や異なるベンチマークバージョン間でスコアにばらつきが見られる点は考慮する必要があります。これは、ソフトウェアのバージョン、テスト環境、デバイスの状態など、様々な要因によって影響を受けるためです。

hypergadget.jp3では、NOTHING Phone (1)がAnTuTuで約60万点、Geekbenchマルチコアで3千点を超えるスコアを記録し、ミッドレンジの最高峰と評価されています。この評価は、これまでに見てきたベンチマーク結果とも概ね一致しており、NOTHING Phone (1)がミッドレンジ市場において高い競争力を持つことを示唆しています。

今後の調査においては、最新バージョンのベンチマークソフトを用いて、より統一された条件下でのテスト結果を収集し、分析することで、NOTHING Phone (1)の性能をより正確に評価できると考えられます。

引用文献

  1. Nothing Phone (1)/メモリ8GB(Snapdragon 788G+)の実機 …, 3月 29, 2025にアクセス、 https://garumax.com/nothing-phone-1-ram8gb-antutu-benchmark
  2. Nothing Phone (1)のレビュー。不満だった点・良かった点まとめ …, 3月 29, 2025にアクセス、 https://garumax.com/nothing-phone-1-review
  3. Nothing Phone (1)はAnTuTu60万付近!Geekbenchもマルチコア3千 …, 3月 29, 2025にアクセス、 https://hypergadget.jp/nothingphone1_antutu_geekbench_3dmark/
  4. Nothing Phone (2a)のAnTuTuベンチマークを競合5端末と同時に …, 3月 29, 2025にアクセス、 https://hypergadget.jp/nothingphone2a_antutubenchmark/
  5. Nothing Phone (1) Benchmarks – Geekbench, 3月 29, 2025にアクセス、 https://browser.geekbench.com/android_devices/nothing-phone-1
  6. Nothing Phone (1) – Geekbench, 3月 29, 2025にアクセス、 https://browser.geekbench.com/v6/cpu/11140998
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