NVIDIA RTX A1000 ベンチマークまとめ

GPU・グラフィックボード

2025.03.21

ゲーミング性能
その他のゲーミングベンチマーク
プロフェッショナルアプリケーション性能
レンダリング性能
AI/機械学習性能
1. Tensor Core パフォーマンス
2. 機械学習フレームワークベンチマーク
まとめ

ゲーミング性能

NVIDIA RTX A1000 は、プロフェッショナルなワークステーション向けに設計されたグラフィックスカードですが、そのゲーミング性能も注目されています。ノートブック版の RTX A1000 (95W) のベンチマーク結果として、3DMark Time Spy のグラフィックススコアが 4965、3DMark Wild Life Extreme のアンリミテッドスコアが 9731 であったことが報告されています ¹。ただし、3DMark Steel Nomad Light のスコアは提供されていません。別の情報源では、RTX A1000 Laptop (4GB) と RTX 1000 Laptop (Ada) (6GB) を比較しており、総合的なゲーミングスコアはそれぞれ 17 対 32 となっています ²。具体的な 3DMark のスコアとしては、Time Spy が 4423、Port Royal が 762、Fire Strike が 11952 でした ²。さらに、GFXBench 5 の結果も示されており、Aztec Ruins Normal Tier で 248.7 FPS、Car Chase で 240.4 FPS、Manhattan 3.1.1 (1440p) で 199.5 FPS、T-Rex で 1006 FPS、Tessellation で 1284.6 FPS、ALU 2 で 1099 FPS、Driver Overhead 2 で 260.3 FPS、Aztec Ruins High Tier 4K で 41.6 FPS でした ²。Passmark の DirectX 11 で 67 FPS、DirectX 12 で 47 FPS という結果も報告されています ³。

複数の情報源からのデータを統合すると、RTX A1000 は、高負荷な最新ゲームをプレイするには設定の調整が必要となる可能性を示唆しています。特に、RTX 3050 との比較では、Unigine Superposition で 9056 ポイントに対し 10255 ポイント、3DMark Port Royal で 2778 ポイントに対し 3164 ポイント、Cyberpunk 2077 で平均 42 FPS に対し 52 FPS、Starfield で平均 51 FPS に対し 58 FPS、City Skylines 2 で平均 39 FPS に対し 32 FPS (ただし、処理の不安定さも指摘されています) と、RTX 3050 の方が全体的に高い性能を発揮する傾向が見られます ⁴。これは、RTX 3050 の方がクロック速度が高いことが一因と考えられます ⁴。

3DMark Time Spy のスコアに注目すると、laptopmedia.com では 4965 ¹、nanoreview.net では 4423 ²、notebookcheck.net では平均 4697 (最小 4558、最大 4835) ⁵ と、情報源によってばらつきが見られます。これは、テストに使用されたノートパソコンの構成（CPU、RAM、電力制限など）の違いや、ドライバーのバージョン、テスト方法の違いなどが影響している可能性があります ⁵。notebookcheck.net のデータでは、Dell Precision 5470 (40W) で 4558、Lenovo ThinkPad P16v G1 AMD (45W, 6GB) で 4835 と、同じベンチマーク内でも構成によってスコアが変動することが示されています ⁵。

さらに、RTX A1000 Laptop と RTX 1000 Laptop (Ada) との比較 ² では、RTX A1000 の方が理論上の FP32 性能 (7.1 TFLOPS) は低いものの、実際のゲーミング性能では RTX 1000 Laptop (Ada) の方が高いスコアを示す傾向があります (総合ゲーミングスコア 17 対 32) ²。これは、より新しい Ada Lovelace アーキテクチャ (5nm プロセス) の効率性、より多いシェーダーユニット数、より大きなメモリ容量などが実際のゲームパフォーマンスに大きく影響していることを示唆しています ²。

ソース	スコア (Laptop GPU)	注釈
laptopmedia.com	4965	95W バージョン、最高スコア
nanoreview.net	4423
notebookcheck.net	4697 (平均)	範囲: 4558 – 4835
notebookcheck.net	4558	Dell Precision 5470 (40W)
notebookcheck.net	4835	Lenovo ThinkPad P16v G1 AMD (45W, 6GB)

その他のゲーミングベンチマーク

3DMark Time Spy 以外にも、RTX A1000 のゲーミング性能を評価するベンチマーク結果が存在します。laptopmedia.com は、3DMark Wild Life Extreme のスコアを 9731 と報告しています ¹。nanoreview.net と notebookcheck.net は、3DMark Port Royal で 762、Fire Strike で 11952 というスコアを共有しています ²。GFXBench 5 の結果は複数の情報源で一貫しており、Aztec Ruins Normal Tier で 248.7 FPS など、特定のグラフィックス処理能力を示しています ²。

Unigine Superposition ベンチマークでは、RTX A1000 は RTX 3050 にわずかに劣る結果 (9056 ポイント対 10255 ポイント) でした ⁴。実際のゲームベンチマークでは、Cyberpunk 2077、Starfield、City Skylines 2 において、RTX A1000 は RTX 3050 に比べてフレームレートが低い傾向が見られました ⁴。特に、レイトレーシングを活用するゲームでは、RTX A1000 の性能差が顕著になる可能性があります。

デスクトップ版の RTX A1000 のベンチマーク結果も存在します。videocardbenchmark.net のデータによると、DirectX 9 で 131 FPS、DirectX 10 で 59 FPS、DirectX 11 で 73 FPS、DirectX 12 で 51 FPS という平均フレームレートが報告されています ⁶。ノートブック版と比較すると、DirectX のバージョンによって性能特性が異なることがわかります。デスクトップ版では DirectX 9 の性能が特に高く、古い API に依存するゲームやアプリケーションに適している可能性があります。

GFXBench 5 の結果は複数の情報源で一貫しており、RTX A1000 Laptop のグラフィカルな処理能力を評価する上で一定の信頼性があると考えられます ²。一方、実際のゲームベンチマーク ⁴ は、より実践的なゲーミング性能の理解に役立ちます。RTX 3050 との性能差、特にレイトレーシングを多用するゲームでの差は、高画質・高設定でのゲーミングにはより高性能な GPU が必要となる可能性を示唆しています。City Skylines 2 における平均 FPS は比較的良好であるものの、「hitchiness」が報告されている点は、フレームレートの安定性や滑らかさに課題がある可能性を示唆しています ⁴。

プロフェッショナルアプリケーション性能

CAD/BIM 性能

NVIDIA RTX A1000 は、CAD および BIM ワークフローにおいても優れた性能を発揮することが報告されています。Solidworks 2024 において、大規模なアセンブリ (2300 パーツ、4900 万ポリゴン) を 4K 解像度で RealView を有効にした状態でもスムーズに操作できたという報告があります ⁷。これは、一般的な CAD 業務においては十分な性能を持つことを示唆しています。また、動画のトランスクリプトによると、RTX A1000 は Solidworks の SPECviewperf 20 バージョン 3.1 で 100 ポイント以上のスコアを記録しており、旧世代の Quadro カードと比較しても良好な結果を示しています ⁸。特に、Quadro P4000 と比較して、より少ない電力で同等以上の性能を発揮している点は、電力効率の高さを示しています ⁸。

しかしながら、より大規模な視覚化モデルを使用する Twinmotion や Enscape などのアプリケーションでは、RTX A1000 の 8GB VRAM がボトルネックとなる可能性も指摘されています ⁷。シーンが 8GB を超える場合、PCIe バスを介してシステムメモリを使用する必要が生じ、パフォーマンスが大幅に低下したり、ソフトウェアがクラッシュしたりするケースも報告されています ⁷。そのため、非常に大規模なモデルや複雑なシーンを扱うプロフェッショナルは、より多くの VRAM を搭載した GPU を検討する必要があるかもしれません。

SPECviewperf の Solidworks のスコアを比較すると、RTX A1000 は RTX 4500 Ada には及ばないものの、Quadro P4000 を大きく上回る性能を示しています ⁸。これは、RTX A1000 がエントリーレベルのプロフェッショナル GPU でありながら、十分な CAD 性能と電力効率を両立していることを示唆しています。

GPU	SPECviewperf 20 (Solidworks)
NVIDIA RTX A1000	~100+
NVIDIA RTX 4500 Ada	~400+
NVIDIA Quadro P4000	~50+

動画編集性能

RTX A1000 は、動画編集においてもその能力を発揮します。カット、トランジションの追加、カラーコレクションなどの一般的な編集作業をスムーズに行うことができると報告されています ⁷。Puget Systems による Adobe Premiere Pro の詳細なベンチマーク結果 (RTX A1000 Laptop GPU 搭載システム) によると、様々なメディア形式でのインポート、再生、エクスポートにおいて一定の性能を示しています ⁹。ただし、これらの結果は特定のシステム構成に基づいているため、他の環境では異なる結果となる可能性があります。

DaVinci Resolve においても、RTX A1000 は 4K 動画の編集とレンダリングに対応できると示唆されています ⁸。DaVinci Resolve は GPU の機能を最大限に活用することで知られており、RTX A1000 の CUDA エンジンは特定のベンチマークで 459 ポイントを記録しています ¹⁰。さらに、DaVinci Resolve は将来的に NVIDIA RTX Video をサポートする予定であり、AI を活用した高画質化や HDR 変換などの機能が利用可能になることで、動画編集ワークフローがさらに効率化されることが期待されます ¹¹。

動画編集における RTX A1000 の性能を具体的に示すために、Puget Systems の Premiere Pro ベンチマーク結果からいくつかの主要なテスト結果を以下に示します ⁹。

テスト	結果 (RTX A1000 Laptop)	単位
Import 500x Images	6.65 – 10.09	秒
Library Module Loupe Scroll	1.02 – 1.18	秒
Export 50x JPEG	42.25 – 80.31	秒
Convert to DNG 50x Images	27.17 – 39.47	秒

これらの結果は、RTX A1000 Laptop が一般的な動画編集タスクをこなす能力を持つことを示唆しています。

その他のプロフェッショナルアプリケーション

RTX A1000 は、CAD や動画編集以外のプロフェッショナルアプリケーションでも利用されています。Leica Cyclone 3DR のようなリアリティモデリングソフトウェアでは、ハイエンドな RTX 4500 Ada と比較しても遜色ない性能を発揮することが報告されています ⁷。これは、RTX A1000 が GPU アクセラレーションを活用する幅広いプロフェッショナルワークフローに対応できる可能性を示唆しています。また、Adobe Photoshop や Illustrator などの 2D デザインソフトウェアにおいても、デジタルアートやウェブグラフィックの制作をスムーズに行うことができるとされています ¹²。

レンダリング性能

Blender ベンチマーク

RTX A1000 のレンダリング性能は、特に Blender において注目されています。Stable Diffusion 1.5 を用いた画像生成テストでは、RTX A1000 は RTX 2000 Ada よりも約 2 倍遅い結果となりました ⁷。しかし、旧世代の T1000 と比較すると、Blender で約 2.5 倍高速であると報告されています ⁸。PNY の製品ページでは、RTX A1000 が Blender における小規模な 3D モデリングおよびレンダリングタスク向けに設計されていることが言及されています ¹²。Leadtek の製品ページでは、Arnold レンダラーにおいて、前世代と比較して最大 3 倍高速なレンダリング性能を発揮すると主張されています ¹⁴。これらの情報は、RTX A1000 が前世代から大幅なレンダリング性能の向上を遂げていることを示唆しています。

V-Ray ベンチマーク

V-Ray においても、RTX A1000 は RTX 2000 Ada と比較してレンダリング速度が遅いことが報告されています ⁷。しかし、Blender と同様に、旧世代の T1000 よりも約 2.5 倍高速であるという報告もあります ¹³。V-Ray 5 ベンチマークのスコア (ノートブック版) は 575 vrays であり、他のノートブック GPU と比較すると、RTX 3050 4GB より高く、RTX 3050 Ti や RTX A2000 より低い、中程度の性能を示しています ¹⁵。

Arnold ベンチマーク

Arnold レンダリングにおいても、RTX A1000 は RTX 2000 Ada よりも大幅に遅いという結果が出ています ⁷。一方で、NVIDIA のデータシートや Leadtek の製品ページによると、RTX A1000 は T1000 と比較して Arnold で約 3 倍高速なレンダリング性能を発揮するとされています ¹⁴。これは、Ampere アーキテクチャによるレイトレーシング性能の向上が、Arnold においても顕著であることを示しています。

その他のレンダリングソフトウェア

動画のトランスクリプトによると、RTX A1000 は Blender だけでなく、Rhino などの他の 3D モデリングおよびレンダリングソフトウェアでも非常に良好な性能を発揮すると報告されています ⁸。これは、RTX A1000 が幅広いレンダリングソフトウェアに対応できることを示唆しています。

AI/機械学習性能

Tensor Core パフォーマンス

NVIDIA RTX A1000 は、AI および機械学習タスクにおいても重要な役割を果たします。第 3 世代 Tensor コアを搭載していることにより、前世代の GPU と比較して、生成 AI タスクにおいて最大 3.6 倍高速な性能を発揮するとされています ¹⁶。動画のトランスクリプトでは、RTX A1000 が int8 精度で 106 兆回の演算/秒を実行できることが言及されており、その Tensor コアの能力が強調されています ¹³。

Stable Diffusion 1.5 を用いたテストでは、RTX A1000 は Tensor コアを搭載していない T1000 よりも大幅に高速でしたが、RTX 2000 Ada よりも約 2 倍遅い結果となりました ⁷。これは、RTX A1000 がエントリーレベルのプロフェッショナル GPU でありながら、AI タスクにおいても一定の性能を発揮するものの、より高性能な GPU には及ばないことを示しています。特に、より負荷の高い Stable Diffusion XL のようなタスクでは、8GB の VRAM がボトルネックとなり、十分な性能を発揮できない可能性も指摘されています ⁷。

機械学習フレームワークベンチマーク

GeekBench 6 Compute ベンチマークにおいて、RTX A1000 Laptop は約 48591 のスコアを記録しています ²。これは、RTX 1000 Laptop (Ada) のスコアと比較すると約 52% 低い結果です ²。一方で、Apple M3 Pro GPU (18 コア) と比較すると、約 13% 高いスコアとなっています ¹⁸。これらの結果は、RTX A1000 Laptop が機械学習に関連する計算タスクにおいて、一定の性能を持つことを示しています。ただし、より新しい Ada Lovelace アーキテクチャを採用した RTX 1000 Laptop (Ada) の方が、この種のワークロードにおいてはより高い効率性を持つことが示唆されています。Apple M3 Pro GPU との比較は、異なるアーキテクチャ間の性能差を示す興味深いデータですが、GeekBench がすべての AI/ML ワークロードの特性を完全に捉えているわけではない点に留意する必要があります。

まとめ

NVIDIA RTX A1000 は、エントリーレベルのプロフェッショナルグラフィックスカードとして、CAD/BIM、動画編集、レンダリング、AI/機械学習といった幅広い分野で一定の性能を発揮します。ゲーミング性能は、最新のゲームをプレイするには設定の調整が必要となる場合がありますが、プロフェッショナルなタスクにおいては、特に旧世代の GPU からのアップグレードとして、大きな性能向上が期待できます。Blender、V-Ray、Arnold などのレンダリングソフトウェアでは、前世代の T1000 と比較して大幅な速度向上が見られます。AI/機械学習の分野では、Tensor コアの搭載により、生成 AI タスクなどで高い性能を発揮しますが、より負荷の高いワークロードや大量の VRAM を必要とするタスクでは、より高性能な GPU の検討が必要となるでしょう。全体として、RTX A1000 は、コンパクトなフォームファクターと低い消費電力でありながら、多様なプロフェッショナルなニーズに対応できるバランスの取れた選択肢と言えます。