Qualcomm Snapdragon 4 Gen 2 ベンチマークまとめ

CPU・SoC

2025.04.30

1. 概要と主な仕様

1.1. Snapdragon 4 Gen 2 の市場における位置づけ

Qualcomm Snapdragon 4 Gen 2（SM4450）は、2023年6月に発表されたエントリーレベルからローミドルレンジ向けの5G対応システムオンチップ（SoC）であり、Snapdragon 4 Gen 1の後継製品として位置づけられています ¹。手頃な価格帯のスマートフォンをターゲットとし、5G接続性を備えつつ、日常的なタスクにおけるバランスの取れたパフォーマンスを提供することを目指しています ⁵。

特筆すべきは、このクラスのチップとしては先進的な4nmプロセス技術を採用している点です ¹。通常、最先端の製造プロセスはフラッグシップ（Snapdragon 8シリーズ）やハイミドルレンジ（7/6シリーズ）から導入されることが多いため、エントリーレベルの「4シリーズ」への早期採用は、より低価格帯においても効率性のメリットを提供するというQualcommの戦略的意図を示唆しています。これにより、旧世代のプロセス（例えばSnapdragon 4 Gen 1の6nm ⁷ や競合のMediaTek Dimensity 6000シリーズの6nm ⁸）と比較して、より高いCPUクロック周波数（高性能コアで最大2.2GHzまたは2.3GHz）の実現と、優れた電力効率が期待できます ⁴。この動きは、価格、性能、バッテリー寿命が重要な差別化要因となる競争の激しい予算重視の市場において、競合他社にもプレッシャーを与えるものと考えられます。

一部の情報源では「ローエンド」と分類されていますが ³、そのCPU性能は旧世代のミドルレンジチップであるSnapdragon 695に匹敵するとも評価されており ¹、その分類については議論があります（「ミドルレンジであり、ローエンドではない」とのコメントも見られます ³）。この性能評価の揺れは、近年のSoCにおける性能階層の境界が曖昧になっていることを示しています。「4」という型番はエントリーレベルを示唆するものの、Cortex-A78コアの採用やGeekbenchスコアに見られるCPU性能の高さは、旧ミドルレンジの水準に達しています ¹。しかしながら、後述するようにGPU性能が比較的弱い点が、特にゲーミング用途において、このチップをエントリークラスに留める要因となっています ¹。これは、Qualcommがチップ内部で性能を意図的にセグメント化し（強力なCPUと効率性、控えめなGPU）、予算重視の市場において、グラフィックスパワーよりも日常使用のスムーズさとバッテリー寿命を優先する非ゲーマー層に最適化されたプロファイルを作り出している可能性を示唆しています。

1.2. 主要スペック詳細

Snapdragon 4 Gen 2の技術仕様を以下の表にまとめます。このチップの能力と限界を理解するための基礎情報となります。

表1: Snapdragon 4 Gen 2 技術仕様

カテゴリ	仕様	主な情報源
CPU	アーキテクチャ: 2x Cortex-A78 + 6x Cortex-A55 (Octa-core)<br>クロック周波数: 最大 2.2 GHz (A78) / 2.0 GHz (A55)<br>プロセス: 4 nm<br>製造: Samsung	¹
GPU	名称: Adreno 613<br>アーキテクチャ: Adreno 600<br>クロック周波数: 955 MHz<br>シェーダー数: 128<br>FLOPS: 244.5 GFLOPS<br>API: OpenGL ES 3.2, Vulkan 1.1, OpenCL 2.0	³
メモリ	タイプ: LPDDR4x / LPDDR5<br>周波数: 最大 3200 MHz (LPDDR5)<br>バス: 2x 16 Bit<br>最大帯域幅: 25.6 Gbit/s (LPDDR5)<br>最大容量: 8 GB	³
ストレージ	タイプ: UFS 2.2, UFS 3.1	³
ディスプレイ	最大解像度: FHD+ (2520 x 1200)<br>リフレッシュレート: 最大 120 Hz	³
ISP	最大カメラ解像度: 108 MP (シングル), 16+16 MP (デュアル)<br>ビデオキャプチャ: 1080p @ 60fps, 720p @ 120fps<br>ビデオ再生: 1080p @ 60fps<br>コーデック: H.264, H.265, VP9	³
モデム	名称: Snapdragon X61<br>5G: Sub-6 GHz, 最大 2.5 Gbps (DL) / 900 Mbps (UL)<br>4G: LTE Cat. 22	¹
接続性	Wi-Fi: Wi-Fi 5 (802.11ac)<br>Bluetooth: 5.1<br>ナビゲーション: GPS, GLONASS, Beidou, Galileo, QZSS, NavIC	¹
充電	Qualcomm Quick Charge 4+	⁴
セキュリティ	Trusted Execution Environment (TEE), Type-1 Hypervisor	⁴
型番	SM4450	⁴

注目すべき点として、比較的新しい高性能コアであるCortex-A78の採用が挙げられます。これは通常ミドルレンジ以上のチップで見られるものであり、Snapdragon 4シリーズとしては大きなアップグレードです。4nmプロセスによって可能になった2.2GHz（またはAE版の2.3GHz）のクロック速度と組み合わせることで、旧世代の4シリーズや旧式のコア設計を採用する競合製品と比較して、大幅に優れたCPUベンチマークスコア、特にシングルコア性能を実現しています ⁷。このCPUの強みが、アプリ起動、ブラウジング、UIナビゲーションといった日常的なタスクにおける応答性の向上に直接貢献しています ⁵。

さらに、この価格帯では珍しくLPDDR5 RAMとUFS 3.1ストレージをサポートしている点も重要です。これらは、一般的なLPDDR4X/UFS 2.x構成と比較して、データ転送速度のボトルネックを大幅に解消します。LPDDR5はLPDDR4X（@2133MHz）よりもはるかに広いメモリ帯域幅（25.6 Gbit/s 対 17 Gbit/s）を提供し ³、UFS 3.1はUFS 2.2よりも高速な読み書き速度を実現します ³。高速なメモリとストレージは、アプリの読み込み時間、マルチタスクの流動性、そしてシステム全体の応答性に直接影響を与え、GPU性能が比較的低いにもかかわらず、レビューで言及される日常使用における「スムーズさ」に貢献しています ⁵。これは、単にCPUコアだけでなく、プラットフォーム全体を最適化して一般的なユーザーエクスペリエンスを向上させることに重点を置いていることを示唆しています。

1.3. Snapdragon 4 Gen 2 AE (Accelerated Engine) バリアント

Snapdragon 4 Gen 2には、「AE（Accelerated Engine）」と称されるバリアントが存在し、Redmi 13 5Gなどの一部のデバイスに搭載されています ¹⁰。標準モデルとの主な違いは、高性能コア（Cortex-A78）の最大クロック周波数が標準の2.2 GHzから2.3 GHzへとわずかに引き上げられている点です ⁴。Adreno 613 GPUなど、その他の仕様は変更されていないようです ¹⁰。

このクロック周波数の向上により、AEバリアントは一部のベンチマークテストでわずかに高いスコアを記録する傾向があります。例えば、AnTuTuスコアは約445,000点 ¹⁰（標準モデルは約427,000～442,000点 ³）、Geekbench 6のシングルコアスコアは約952点 ¹⁰（標準モデルは約918～964点 ³）、マルチコアスコアは約2,261点 ¹⁰（標準モデルは約2,121～2,247点 ³）となっています。

ただし、「AE」という名称は、根本的に異なるチップというよりは、わずかな選別品（binning）や特定のデバイス向けの最適化を示していると考えられます。文書化されている唯一の変更点は高性能コアにおける100MHz（5%未満）のクロック向上であり ¹⁰、ベンチマークスコアの差も、同じ標準SoCを搭載した異なるデバイス間で見られる通常のばらつきの範囲内です ³。したがって、この性能差が実際の使用感で体感できる可能性は低いでしょう。これは、広範に利用可能な製品ラインというよりは、特定のデバイス（Redmi 13 5Gなど ¹⁰）の発売に合わせたマーケティング用語や最適化である可能性があります。

2. ベンチマーク性能分析

2.1. AnTuTu Benchmark (v10)

AnTuTu Benchmark (v10) は、CPU、GPU、メモリ、UX（ユーザーエクスペリエンス）の性能を総合的に測定する一般的なベンチマークツールです。Snapdragon 4 Gen 2のスコアは以下の通りです。

表2: Snapdragon 4 Gen 2 AnTuTu v10 スコア

スコアタイプ	代表的なスコア (標準)	AEバリアントスコア	デバイス例スコア
総合	427,000 – 442,000	445,212	Honor 200 Smart: ~468k ³<br>Redmi 12 5G: ~424k-441k ³<br>POCO M6 Pro 5G: ~430k-432k ³
CPU	~158,000	158,094	–
GPU	~49,000 – 51,000	52,031	–
MEM (メモリ)	~108,000 – 110,000	113,400	–
UX	~111,000 – 123,000	121,687	–

情報源: ³

AnTuTuスコアはデバイスによってばらつきが見られますが、おおむね42万点から44万点台後半の範囲に収まります。AEバリアントはわずかに高いスコアを示す傾向がありますが、その差は限定的です。

注目すべきは、総合スコア（約43万～45万点）やCPUスコア（約15万8千点）と比較して、GPUスコア（約4万9千～5万2千点）が著しく低いことです。これは、CPU能力とGPU能力の間に不均衡があることを定量的に示しています。バランスの取れたミドルレンジチップ（例えば旧型のSnapdragon 750G ¹²）では、GPUスコアはCPUスコアにより近いか、総スコアに対してより大きな割合を占めることが一般的です。また、前世代のSnapdragon 4 Gen 1は、総合スコアが低い（約41万5千点）にもかかわらず、GPUスコアは高い（約7万2千点）結果でした ²。この低いGPUスコアは、レビューで指摘されているゲーム性能の低さと直接的に関連しています ⁵。

2.2. Geekbench (v6)

Geekbench 6は、CPUのシングルコアおよびマルチコア性能、そしてGPUのコンピュート性能を測定するベンチマークです。

表3: Snapdragon 4 Gen 2 Geekbench 6 スコア

テストタイプ	代表的なスコア範囲	AEバリアントスコア
シングルコア	~918 – 964	952
マルチコア	~2,121 – 2,261	2,261
GPU Compute	~403	データなし

情報源: ¹

シングルコアスコア（900点以上）は、エントリーレベルのチップとしては特に強力であり、旧世代のミドルレンジSoCや、Dimensity 6100+（約730点）⁹、Dimensity 6080（約770点）⁸といった直接的な競合製品を上回っています。これは主に、2.2GHzまたは2.3GHzで動作するCortex-A78コアの採用によるものです ³。高いシングルコア性能は、ウェブブラウジング、アプリ起動、UI操作といった一般的なタスクにおける体感的なスムーズさに不可欠であり、日常使用に関する肯定的なレビューフィードバックと一致します ⁵。これは、Qualcommが純粋なマルチコア性能やグラフィックスパワーよりも、一般的な応答性を優先した設計を行ったことを裏付けています。

マルチコアスコアも2100点を超え、良好な性能を示しています。AEバリアントは、この範囲の上限に近いスコアを記録しています。

一方、GPU Computeスコア（約403点）は、Dimensity 6100+（約1254点）⁹などの競合製品と比較して極めて低い値です。Geekbench Computeスコアは必ずしもゲーム性能と完全に一致するわけではありませんが、この大きな差は、MediaTekチップに搭載されているMali-G57 MP2と比較して、Snapdragon 4 Gen 2のAdreno 613が並列処理タスクにおいて弱いことをさらに強調しています。これは、ゲームだけでなく、特定のAI機能や画像処理など、他のGPUアクセラレーションを利用するタスクにおいても潜在的な弱点がある可能性を示唆していますが、具体的なデータは限られています。

2.3. 3DMark

3DMarkは、主にグラフィックス性能を測定するためのベンチマークスイートです。Snapdragon 4 Gen 2に関する3DMarkのスコアデータは、情報源によって一貫性がなく、不足している部分も見られます。

Wild Life: 一般的な最新のモバイルグラフィックステストであるWild Lifeのスコアは、提供された情報源ではSnapdragon 4 Gen 2については利用できないか、一貫して報告されていません ⁷。比較対象として、Snapdragon 4 Gen 1は約1039点 ²、Dimensity 6080は約1331点 ⁸ を記録しています。
Sling Shot Extreme (Physics – CPU): 約3612点というスコアが報告されています ¹。これは主にCPU性能を反映するテストです。
その他の3DMarkスコア: いくつかの情報源で断片的なスコアが報告されていますが、テスト内容やスコアのスケールに大きな食い違いが見られます。

ある情報源 ¹² では、Snapdragon 750Gとの比較で「Score: 4,800, Graphics test: 1,200, Stability: 95%」とされています。
別の情報源 ¹¹ では、Snapdragon 4 Gen 1との比較で「Score: 4,200, Graphics test: 5,000, Stability: 95%」とされています。これら2つの情報源の間で、特にGraphics testのスコアに大きな隔たりがあり、異なるテストが実施されたか、あるいは誤記の可能性があります。
さらに別の情報源 ¹⁴ では、Snapdragon 630との比較で「Score: 3,500, Graphics test: 18,000, Stability: 95%」と報告されていますが、Graphics testのスコアが異常に高く、これもテスト内容の違いや誤記の可能性が考えられます。

このように、Snapdragon 4 Gen 2に関する標準化された3DMarkスコア（特にWild Life）が一貫して報告されていない、あるいは不足していること自体が、このチップの評価における一つの側面を示しています。これは、このクラスのデバイスがゲーミング性能を最優先するレビュー対象として扱われにくいこと、あるいはレビュー担当者がAnTuTu/Geekbenchや実ゲームテスト（例：原神のFPS測定 ⁵）をより重視している可能性を示唆しています。また、報告されているスコア間の矛盾 ¹¹ は、単一のベンチマーク数値を解釈する際の注意と、どの特定の3DMarkテストが実行されたかを確認する重要性を強調しています。

2.4. その他のベンチマーク (GFXBench, PCMark)

AnTuTu、Geekbench、3DMark以外にも、GFXBenchやPCMarkといったベンチマークテストの結果が報告されています。

GFXBench (AEバリアント): 旧世代のグラフィックステストですが、Manhattan (30分実行) で24 FPS、T-Rexで48 FPSを記録しています ¹⁰。
PCMark Work 3.0 Performance: 日常的なタスク（ウェブブラウジング、文書作成、写真編集など）のパフォーマンスをシミュレートするテストです。AEバリアント搭載機で約10,757点 ¹⁰、標準モデル搭載機で約8,160点 ¹ というスコアが報告されており、このクラスとしては良好な結果です。これはレビューで見られる良好な日常性能と一致します。
PCMark Storage 2.0: ストレージ性能を測定するテストで、約21,000～22,000点という比較的高スコアを記録しています ¹。これは、UFS 2.2/3.1といった高速なストレージ規格のサポート ³ が実際の性能向上に寄与していることを示しており、PCMark Workスコアや体感的な応答性の向上にも貢献しています。
PCMark Battery Performance (AEバリアント): Redmi 13 5G（5000mAhバッテリー搭載）で14時間1分という結果が報告されています ¹⁰。これはデバイスのバッテリー容量や最適化にも依存しますが、チップの電力効率の一つの指標となります。

これらの追加ベンチマークは、Snapdragon 4 Gen 2が日常的なアプリケーションやタスクにおいて、そのクラスに見合った、あるいはそれを超える快適なパフォーマンスを提供することを示唆しています。

2.5. AI性能に関する考察

Snapdragon 4 Gen 2は、Qualcomm AI EngineとHexagonプロセッサを搭載しており ³、AI機能に対応しています。しかしながら、提供された情報の中には、具体的なAIベンチマークスコア（例えばAI BenchmarkやETH AI Benchmarkなど）は含まれていませんでした。

AI機能は、主にカメラ機能の強化（競合チップであるDimensity 6080ではノイズリダクションや顔認識への言及あり ¹⁶）、音声アシスタントの応答性向上、そして一部の電力効率最適化などに活用されていると考えられます。しかし、その性能レベルは、より上位のSoCと比較するとエントリーレベルに留まると予想されます。

現状では、具体的なAI性能に関するデータが著しく不足しています。これは、エントリーレベルのSoCにおいては、フラッグシップモデルほどAI性能が重視されず、ベンチマーク結果も一般的に報告されにくいためと考えられます。AIエンジンは搭載されていますが ³、基本的なカメラ機能強化などを超える実用的な影響を評価するには、Qualcommやデバイスメーカーからのより詳細な情報、あるいは独立したAIベンチマークテストの結果が必要です。

3. 競合プロセッサとの性能比較

3.1. vs. Snapdragon 4 Gen 1 (前世代)

Snapdragon 4 Gen 2は、前世代のSnapdragon 4 Gen 1からいくつかの重要な進化を遂げていますが、一方でダウングレードされた側面も存在します。

表6: 仕様比較 (Snapdragon 4 Gen 2 vs. Snapdragon 4 Gen 1)

特性	Snapdragon 4 Gen 2	Snapdragon 4 Gen 1	主な違い
プロセス	4 nm (Samsung)	6 nm (TSMC)	より微細化
CPUコア/クロック	2x A78 @ 2.2GHz + 6x A55 @ 2.0GHz	2x A78 @ 2.0GHz + 6x A55 @ 1.8GHz	高性能コアのクロック向上
GPU	Adreno 613 @ 955 MHz	Adreno 619 @ 700 MHz	GPUモデル変更、クロック向上
GPU シェーダー数	128	256	半減
GPU FLOPS	244.5 GFLOPS	358.4 GFLOPS	低下 (~32%)
メモリタイプ	LPDDR5 / LPDDR4x	LPDDR4x	LPDDR5サポート追加
メモリ帯域幅	最大 25.6 Gbit/s	最大 17 Gbit/s	向上 (~51%)
モデム	Snapdragon X61	Snapdragon X51	–
Wi-Fi	Wi-Fi 5	Wi-Fi 5	変更なし
Bluetooth	5.1	5.2	旧バージョン

情報源: ¹

表7: ベンチマークスコア比較 (Snapdragon 4 Gen 2 vs. Snapdragon 4 Gen 1)

ベンチマーク	Snapdragon 4 Gen 2	Snapdragon 4 Gen 1	差分 (%)
AnTuTu v10 総合	~426,967	~414,885	+3%
AnTuTu v10 CPU	~158,876	~142,027	+12%
AnTuTu v10 GPU	~49,122	~72,639	-32%
Geekbench 6 Single	~918	~837	+10%
Geekbench 6 Multi	~2,121	~1,875	+13%
3DMark Score*	4,200	3,500	+20%
3DMark Graphics*	5,000	4,500	+11%

情報源: 2

*3DMarkのスコアは情報源 11 に基づく。ただし、他の情報源 2 ではGen 1の方が高いスコア (Wild Life 1039) を示しており、テスト内容や一貫性に注意が必要。

主な差異の要約:

Snapdragon 4 Gen 2は、より先進的な4nmプロセス、高いCPUクロック周波数、そして高速なLPDDR5メモリのサポートにより、CPU性能とメモリ帯域幅でSnapdragon 4 Gen 1を上回ります。GeekbenchのCPUスコアでは10%以上の向上、AnTuTuのCPUスコアでも約12%の向上が見られます。

しかし、最も顕著な違いはGPU性能です。

# 3.1.1. GPU性能の差異分析 (Adreno 613 vs. Adreno 619)

Snapdragon 4 Gen 2に搭載されているAdreno 613 GPUは、Snapdragon 4 Gen 1のAdreno 619と比較して、クロック周波数は高い（955MHz 対 700MHz）ものの、シェーダー数は半分（128 対 256）であり、理論演算性能（FLOPS）も約32%低くなっています ²。このスペック上の違いは、AnTuTuのGPUベンチマークスコアにも明確に表れており、Gen 2は約49,000点であるのに対し、Gen 1は約72,000点と、Gen 1の方が大幅に高いスコアを記録しています ⁷。ユーザーコメントやレビューでも、Gen 2のGPUが弱いという評価が多く、ゲーム性能への影響が指摘されています ¹。一部の情報源 ¹² では両者がAdreno 619を搭載しているとの記述がありますが、より詳細な情報源 ¹ に基づくとこれは誤りと考えられます。

より先進的な4nmプロセスを採用しながら、GPU性能で劣るAdreno 613を選択した背景には、Qualcommによる意図的なコスト削減、あるいは4シリーズの消費電力・発熱枠内でのバランス調整があった可能性があります。GPU性能を強化することは、ダイサイズの増加や消費電力・発熱の増大につながるため、4nmプロセスであってもコストや設計上の制約となり得ます。Qualcommは、ターゲット市場（スムーズな日常利用を重視する層）にとって、ゲーミング性能の最大化よりも、CPU性能の向上（Cortex-A78コア）と4nmプロセスによる効率改善を優先したのかもしれません。これにより、通常より優れたGPU能力を持つSnapdragon 6シリーズとの差別化も明確になります ³。

このGPU性能の「ダウングレード」（Gen 1のAdreno 619比）は、特にゲーム性能を重視する消費者にとって、「Gen 2」という世代名が誤解を招く可能性があることを示唆しています。これは、性能評価、特にグラフィックス性能を評価する際には、単なるシリーズ番号（「4 Gen 2」対「4 Gen 1」）だけでなく、GPUモデルなどの具体的なコンポーネント仕様を確認することの重要性を強調しています。単に「Gen 2」というラベルに基づいて期待した場合、ゲームシナリオでその期待が満たされず、ユーザーの不満につながる可能性があります。

3.2. vs. MediaTek Dimensity シリーズ

Snapdragon 4 Gen 2は、市場でMediaTekのDimensity 6000シリーズと直接競合します。

# 3.2.1. Dimensity 6100+

Snapdragon 4 Gen 2（4nm, Cortex-A78）は、Dimensity 6100+（6nm, Cortex-A76）と比較されます ⁹。両者とも高性能コアのクロックは2.2GHzです ⁹。ベンチマーク比較では、Snapdragon 4 Gen 2がAnTuTu総合スコアで+9%、Geekbench CPUスコア（シングルコア+26%、マルチコア+9%）で優位に立っています ⁹。しかし、Geekbench GPU ComputeスコアではDimensity 6100+が+211%と大幅に高く、AnTuTu GPUスコアもわずかに高い結果です ⁹。Snapdragon 4 Gen 2は高速なLPDDR5メモリをサポートする利点もあります ⁹。一部レビューでは、4nmプロセスによりSnapdragon 4 Gen 2の方が全体的な性能と電力効率で優れていると述べられていますが ⁴、電力効率に関して逆の主張（Dimensityが優位）をする情報源もあります（ただし、プロセスノードの記述に誤りがある可能性）¹⁸。

表8: ベンチマーク比較 (Snapdragon 4 Gen 2 vs. Dimensity 6100+)

ベンチマーク	Snapdragon 4 Gen 2	Dimensity 6100+	差分 (%)
AnTuTu v10 総合	~426,967	~392,912	+9%
AnTuTu v10 CPU	~158,876	~132,053	+20%
AnTuTu v10 GPU	~49,122	~62,257	-21%
Geekbench 6 Single	~918	~728	+26%
Geekbench 6 Multi	~2,121	~1,938	+9%
Geekbench 6 Compute	~403	~1,254	-68%

情報源: ⁴

この比較は、両社の設計思想の違いを明確に示しています。QualcommはCPU（新しいコア、優れたシングルスレッド性能）とメモリ速度を優先しているのに対し、MediaTek（このチップの場合）は、旧世代のCPUコアとやや劣るプロセスノードにもかかわらず、より強力なGPUコンピュート性能を提供しています。Snapdragon 4 Gen 2のCPUベンチマークでのリード ⁹ はCortex-A78対A76の差に起因し、Dimensity 6100+のGPU Computeでのリード ⁹ は、そのMali-G57 MP2がAdreno 613よりも並列タスクに最適化されていることを示唆しています（AnTuTuのGPUスコアもDimensity 6100+がやや高い）。どちらを選択するかは、ユーザーが日常タスクのスムーズさ（Snapdragon 4 Gen 2）と、潜在的により優れたGPUアクセラレーション性能（Dimensity 6100+）のどちらを重視するかによります。

# 3.2.2. Dimensity 6080

Dimensity 6080（6nm, 2.4GHz Cortex-A76）もSnapdragon 4 Gen 2（4nm, 2.2GHz Cortex-A78）の競合となります ⁸。Dimensity 6080は、AnTuTu総合スコアでSnapdragon 4 Gen 2をわずかに上回り（+2%）、これは特にGPUスコア（約85,000点対約49,000点）の大差によるものです ⁸。一方、Geekbench CPUスコアではSnapdragon 4 Gen 2がリードしています（シングルコア+20%、マルチコア+3%）⁸。Snapdragon 4 Gen 2はLPDDR5メモリをサポートする利点があります ⁸。3DMarkのデータはDimensity 6080（Wild Life 約1331点）のみ利用可能です ⁸。一部のユーザーコメントでは、ベンチマークスコアとは別に、特定のデバイスにおいてはDimensity 6080の方が全体的なパフォーマンス感が良いとの意見もあります ⁸。

表9: ベンチマーク比較 (Snapdragon 4 Gen 2 vs. Dimensity 6080)

ベンチマーク	Snapdragon 4 Gen 2	Dimensity 6080	差分 (%)
AnTuTu v10 総合	~426,967	~436,846	-2%
AnTuTu v10 CPU	~158,876	~130,726	+22%
AnTuTu v10 GPU	~49,122	~84,970	-42%
Geekbench 6 Single	~918	~767	+20%
Geekbench 6 Multi	~2,121	~2,057	+3%
3DMark Wild Life	データなし	~1,331	–

情報源: ⁸

AnTuTuのGPUスコアに基づくと、Dimensity 6080はSnapdragon 4 Gen 2と比較してグラフィックス性能において明確な強みを持っているようです ⁸。Dimensity 6080はDimensity 6100+と同じMali-G57 MP2 GPUを搭載していますが、クロック周波数がより高く（1068MHz 対 962MHz）⁸、Adreno 613に対するグラフィックス性能の優位性をさらに高めています。Snapdragon 4 Gen 2はCPUベンチマークでリードしていますが、現代のモバイルゲームではGPUがボトルネックになることが多いため、予算重視のゲーマーにとってはDimensity 6080の方が魅力的な選択肢となる可能性があります。

# 3.2.3. Dimensity 6300

Dimensity 6300（6nm, 2.4GHz Cortex-A76）は、Dimensity 6100+/6080のクロック向上版と見なすことができます ²²。Snapdragon 4 Gen 2（4nm, 2.2GHz Cortex-A78）と比較すると、AnTuTu総合スコアは非常に近く、Snapdragon 4 Gen 2がわずかにリード（+1%）していますが、GPUスコアではDimensity 6300が上回っています（約70,000点対約49,000点）²²。Geekbench CPUスコアでは、Snapdragon 4 Gen 2がシングルコアで+17%、マルチコアで+5%と、明確なリードを保っています ²²。Snapdragon 4 Gen 2はLPDDR5メモリをサポートする点も有利です ²²。

Dimensity 6100+、6080、6300との比較を通じて、一貫した傾向が見て取れます。すなわち、Snapdragon 4 Gen 2は一般的にCPU性能（特にシングルコア）とメモリ技術で優位に立つ一方、MediaTekのDimensity 6000シリーズ（旧世代のA76コアとMali-G57 MP2 GPUをベースとする）は、同等かそれ以上のGPU性能を提供する傾向があるということです。これは、複数のベンチマーク（Geekbench CPU 対 AnTuTu GPU/Geekbench Compute）で確認できます。このパターンは、このセグメントにおけるQualcommとMediaTekの異なる設計優先順位やコスト構造を反映している可能性があります。これらのチップ間で選択を行うユーザーは、一般的な応答性や将来性（Snapdragon 4 Gen 2のCPU/メモリ/プロセス）を重視するか、グラフィックス/ゲーム性能（Dimensity 6000シリーズ）を重視するかに基づいて、明確なトレードオフに直面することになります。

3.3. vs. Snapdragon 695 5G

Snapdragon 4 Gen 2は、しばしば旧世代のミドルレンジチップであるSnapdragon 695 5Gと比較されます。Snapdragon 695は6nmプロセスで製造され、CPUコア構成はSnapdragon 4 Gen 2と同様に2つのCortex-A78（最大2.2GHz）と6つのCortex-A55（最大1.7GHz）を搭載しています ¹。GPUはSnapdragon 4 Gen 1と同じAdreno 619を採用しています。

複数の情報源が、両者の性能は「ほぼ同等」または類似していると述べています ¹。Snapdragon 4 Gen 2は4nmプロセスを採用しているため、電力効率の面で有利である可能性があります ¹⁰。ベンチマークスコアの比較では、テストによって結果が若干異なり、Snapdragon 695がわずかに優位な場合 ¹ や、同等、あるいはSnapdragon 4 Gen 2がCPU性能でわずかに優位な場合 ³ があります。ある情報源 ⁴ は、Snapdragon 695が「より高度なアーキテクチャと高いクロック速度」により通常Snapdragon 4 Gen 2を上回ると主張していますが、高性能コアのタイプ（A78）とクロック速度は同等であるため、この主張は部分的に不正確と考えられます（効率コアのクロックとプロセスノードは異なります）。

表11: ベンチマーク比較 (Snapdragon 4 Gen 2 vs. Snapdragon 695 – 代表値)

ベンチマーク	Snapdragon 4 Gen 2 (代表値)	Snapdragon 695 (代表値/近似値)	分析
AnTuTu v10 総合	~430,000 – 445,000	~400,000 – 430,000	ほぼ同等、あるいはSnapdragon 4 Gen 2がわずかに優位な傾向。
Geekbench 6 Single	~920 – 960	~880 – 920	Snapdragon 4 Gen 2がわずかに優位な傾向。
Geekbench 6 Multi	~2,100 – 2,250	~2,000 – 2,100	ほぼ同等、あるいはSnapdragon 4 Gen 2がわずかに優位な傾向。

情報源: ¹ および外部データに基づく代表値

Snapdragon 4 Gen 2が旧ミドルレンジのSnapdragon 695とほぼ同等の性能を発揮するという事実は、Snapdragon 4シリーズにとって大きな進歩であり、以前のミドルレンジ性能をエントリーレベルのセグメントに引き下げたことを意味します。これにより、Snapdragon 4 Gen 2を搭載した予算重視のスマートフォンを購入するユーザーは、1～2年前にミドルレンジのスマートフォンが提供していたのと同等の日常使用体験を期待できます。主な差別化要因は、Snapdragon 4 Gen 2の4nmプロセスによる潜在的により優れた電力効率となります ¹⁰。

ただし、総合的な性能が類似している一方で、その性能を実現しているコンポーネントには違いがあります。Snapdragon 4 Gen 2は、強力なCPUと高速なメモリ/ストレージアクセスに依存しているのに対し、Snapdragon 695はより強力なAdreno 619 GPU（Snapdragon 4 Gen 1と同じ）の恩恵を受けていると考えられます。Snapdragon 4 Gen 2はAdreno 619より弱いAdreno 613を使用しているため ¹、AnTuTuやGeekbenchの総合スコアが近い場合でも、性能の「プロファイル」は異なります。すなわち、Snapdragon 4 Gen 2はCPU依存のタスクで優れ、Snapdragon 695はおそらくGPU依存のタスク（ゲーム）で優位性を持つと考えられます。このニュアンスは、これらのチップを搭載したデバイスを比較検討するユーザーにとって重要であり、「同等の性能」という主張は、意図する使用ケースに基づいて評価する必要があります。

4. Snapdragon 4 Gen 2 の強みと弱み

ベンチマーク結果と仕様分析に基づき、Snapdragon 4 Gen 2の主な強みと弱みを以下にまとめます。

4.1. 強み

先進的な4nmプロセス: このクラスでは先進的な4nm製造プロセスを採用しており、旧世代のプロセス（6nmなど）と比較して優れた電力効率と発熱抑制が期待できます ⁴。これにより、より高いCPUクロックの実現も可能になっています。
強力なCPU性能: 高性能コアにCortex-A78を採用することで、クラス最高レベルのCPU性能（特にシングルコア）を発揮します。これにより、旧ミドルレンジのSnapdragon 695に匹敵する性能を実現し ¹、日常的な操作（アプリ起動、ブラウジング、UI操作など）におけるスムーズな動作に貢献します ⁵。
モダンなメモリ/ストレージサポート: LPDDR5 RAMとUFS 3.1ストレージに対応しており、データアクセス速度を向上させ、システム全体の応答性を高めます ³。これはエントリークラスでは珍しい組み合わせです。
コストパフォーマンス: 以前のミドルレンジに近い日常性能を、より手頃な価格帯のエントリーレベルスマートフォンで実現します ⁵。

これらの強みを総合すると、Snapdragon 4 Gen 2は、最新のプロセスノード（4nm）、高性能なCPUコア（A78）、そして高速なメモリ/ストレージサポートを組み合わせることで、予算重視のセグメントにおいて、ゲーム以外のユーザーエクスペリエンスを応答性が高く効率的なものに最適化されたプラットフォームであると言えます。この特定の組み合わせは、旧式のCPUコアや低速なメモリ/ストレージ、効率の低いプロセスノードといった妥協点が多いエントリー市場において、比較的にユニークです。このターゲットを絞った最適化が、ゲーム性能に対する批判がある一方で、日常性能がレビューで高く評価される理由を説明しています ⁵。

4.2. 弱み

弱いGPU性能: 搭載されているAdreno 613 GPUは、前世代のSnapdragon 4 Gen 1や競合のSnapdragon 695に搭載されているAdreno 619と比較して性能が大幅に劣ります。多くのGPUベンチマークでMediaTekの競合製品にも遅れをとっており ¹、要求の高い3Dゲームのパフォーマンスを著しく制限します ⁵。
限定的な接続機能: Wi-Fi 6/6EではなくWi-Fi 5、Bluetooth 5.2/5.3/5.4ではなくBluetooth 5.1のサポートに留まります ¹。これらは予算クラスとしては十分ですが、競合製品がより新しい規格を提供している場合があります（例：Dimensity 6100+はBT 5.2 ⁹、Dimensity 6300はBT 5.4 ²²）。モデム（X61）は十分な性能ですが、一部競合と比較してダウンロード/アップロード速度が低い可能性があります ⁸。
4Kビデオ録画非対応: ビデオ撮影は最大1080p@60fpsまたは720p@120fpsに制限されており、4K録画には対応していません ³。一部の競合製品や旧世代チップでは2Kや基本的な4K録画が可能な場合があり（例：Dimensity 6100+/6080/6300は2K@30fps対応 ⁹）、この制限を指摘するコメントも見られます ⁷。

これらの弱点は、Snapdragon 4 Gen 2のターゲットユーザー像を明確に定義します。すなわち、モバイルゲームをあまりプレイせず、最先端のWi-Fi速度や高解像度のビデオ録画機能を必要としないユーザーです。GPUの制限はゲーマーにとって最大のボトルネックであり ⁵、Wi-Fi 5やBluetooth 5.1は一般的な用途には十分ですが、最新のホームネットワーク環境を持つユーザーやパワーユーザーには物足りないかもしれません。1080pビデオ録画は標準的ですが、4K対応の欠如は一部競合デバイスに対する機能的な劣位点となります。これらの特定の制限事項は、特定された強み（CPU性能、効率性、日常タスク）と完全に一致しており、ターゲットを絞った設計思想を裏付けています。

5. 実使用感への影響評価

ベンチマークスコアや仕様が実際のユーザーエクスペリエンスにどのように影響するかを評価します。

5.1. ゲーム性能

ベンチマーク結果（低いAnTuTu GPUスコア、GFXBench FPS）およびGPU仕様（Adreno 613、少ないシェーダー数）は、要求の厳しいゲームにおける低いパフォーマンスに直結します。実機レビューはこの点を裏付けています。

原神 (Genshin Impact): デフォルト設定は「低」であり ⁵、フレームレートを60FPSに設定しても30FPSを維持することが困難で、頻繁にこれを下回ります。観測された下限フレームレートは12FPSであり ⁵、快適なプレイは望めず、このゲームには全く適していません ⁵。
PUBG Mobile: フレーム設定「ウルトラ」（上限40FPS）まで対応可能ですが ⁵、通常の移動時には40FPS近くで動作するものの、スモーク展開時や激しい戦闘など負荷の高い場面ではフレームレートが大幅に低下し（下限18FPSが観測された）、40FPSを維持できず30FPSを下回ることもあります ⁵。本格的なプレイには性能的に不向きです ⁵。
全般的なゲーム: 軽量なカジュアルゲームには適していますが、要求の高い3Dタイトルをプレイするユーザーには推奨できません ⁵。競合のDimensity 6080などは、より良いゲーム体験を提供する可能性があります（Dimensity 6080搭載機がBGMI/CoDをより良く処理できるとの報告あり、ただし発熱や時折のカクつきは伴う）²¹。

要求の厳しいタイトルにおけるゲーム体験の低さは、主にAdreno 613 GPUの性能不足に起因します。現代の3DゲームはGPUへの依存度が高く、強力なCPU（Cortex-A78コア）や高速なメモリがデータを迅速に供給できたとしても、GPU自体の処理能力（シェーダー数、FLOPS）が不足しているため、複雑なシーンを高フレームレートで描画できません ⁷。これは、CPU中心のベンチマークでは良好なスコアを出すにもかかわらず ³、実際のゲームテストで低いFPSしか達成できない理由を説明しています ⁵。

5.2. マルチタスクと日常操作

ゲーム性能とは対照的に、日常的な使用における評価は一貫して肯定的です。

ブラウジング、SNS、アプリ操作: 「快適」「スムーズ」「サクサク」といった評価が多く、目立った遅延やカクつきは少ないと報告されています ⁵。Twitterのスクロールは滑らかで、ウェブページの読み込みも速いとされています ⁵。アプリの切り替えも概ね良好です。
動画再生: 標準的な解像度（例：YouTube）での動画再生は、コマ落ちなくスムーズに行えると報告されています ⁵。仕様上、1080p@60fpsの再生に対応しています ³。
全体的な使用感: しばしばSnapdragon 695搭載機の使用感と比較され、好意的に評価されています ⁵。コミュニケーション、ブラウジング、メディア消費が主な用途であるユーザーにとっては、応答性が高く十分な性能を持っていると言えます ⁵。

この良好な日常使用体験は、強力なCortex-A78 CPUコア、テストされたデバイスにおける十分なRAM容量、高速なLPDDR5/UFS 3.1サポート、そしておそらく4nmプロセスの効率性が軽負荷時の過度なスロットリングを抑制し持続的なパフォーマンスに貢献していることなど、複数の要素が組み合わさった結果です。高いシングルコアCPU性能 ³ がUIの応答性を保証し、十分なマルチコア性能がバックグラウンドタスクを処理します。高速なメモリとストレージ ¹ はアプリやコンテンツの読み込み時間を短縮します。効率的なプロセス ¹⁰ は、日常使用における典型的な断続的なワークロード中に、旧世代のプロセスほど早く熱的限界に達することなくパフォーマンスを維持するのに役立ちます。この相乗効果が、ゲーム性能の弱さにもかかわらず、このチップが日常的にスムーズに感じられる理由を説明しています。

6. 総括評価

Snapdragon 4 Gen 2は、Cortex-A78コアと4nmプロセスの採用により、Qualcommのエントリーレベルである4シリーズにおいて、CPU性能と電力効率の面で大きな進歩を示しました。ブラウジング、ソーシャルメディア、動画ストリーミングといった日常的なタスクにおいて、スムーズで応答性の高い体験を提供し、その使用感はしばしば旧世代のミドルレンジデバイス（Snapdragon 695搭載機など）に匹敵します。LPDDR5およびUFS 3.1のサポートも、この応答性の向上に寄与しています。

しかし、この性能向上はGPU性能を犠牲にすることで達成されています。搭載されているAdreno 613は、前世代のSnapdragon 4 Gen 1や競合のSnapdragon 695で使用されていたAdreno 619よりも大幅に性能が低く、要求の厳しい3Dゲームでは著しく苦戦します。接続機能（Wi-Fi 5、Bluetooth 5.1）は十分ですが、最先端ではありません。

ターゲットユーザー: Snapdragon 4 Gen 2は、スムーズな日常体験、良好なバッテリー寿命、基本的な5G接続性を優先する、予算を重視するユーザーに最適です。ただし、本格的なモバイルゲームをプレイするユーザーには推奨できません。

市場における位置づけ: MediaTekのDimensity 6000シリーズと緊密に競合しており、一般的にCPU性能では優位ですが、GPU性能では劣る傾向があります。どちらを選択するかは、ユーザーの主な使用目的に大きく依存します。Snapdragon 4 Gen 2は、ミドルレンジに近い日常使用体験をより低い価格帯にもたらすことに成功しましたが、そのゲーム性能の限界については慎重な検討が必要です。