1. はじめに
近年、Windows PC市場においてArmアーキテクチャは再び注目を集めています。特にMicrosoftが提唱する「Copilot+ PC」構想は、AI処理能力をデバイス上で実行するオンデバイスAIの重要性を高め、PC体験の新たな標準を打ち立てようとしています 1。この構想の中核を担う存在としてQualcommが開発したのが、ノートPC向けSoC「Snapdragon X」シリーズです 3。当初発表された高性能な「Snapdragon X Elite」に続き、より幅広い価格帯のデバイスへの搭載を目指して「Snapdragon X Plus」が登場しました 3。
本レポートで焦点を当てる「Snapdragon X Plus X1P-42-100」は、このSnapdragon Xシリーズの中でも、特にエントリー層をターゲットとしたモデルです。Snapdragon X Eliteや10コア版Snapdragon X Plusの下位に位置づけられ、CPUコア数やGPU性能を抑えることで、より手頃な価格のCopilot+ PCを実現することを目的としています 3。Qualcomm自身も、ArmベースPCの普及には低価格帯モデルの投入が不可欠であると認識しており、X1P-42-100はその戦略を体現する製品と言えます 7。
本レポートは、主に日本語のWebサイトから収集した情報に基づき、Snapdragon X Plus X1P-42-100の技術仕様、ベンチマークによる性能評価、競合製品との比較、そして実際のデバイスにおける実用性評価を深く掘り下げ、その全体像を明らかにすることを目的とします。続くセクションでは、仕様、ベンチマーク分析、競合比較、AI性能、実機評価、そして総合的な評価を順に詳述していきます。
2. 技術仕様とアーキテクチャ
Snapdragon X Plus X1P-42-100は、QualcommがWindows on Arm PC市場向けに設計したSystem on a Chip (SoC) です。上位モデルであるSnapdragon X EliteやSnapdragon X Plus 10コアモデルと比較して、CPUコア数や内蔵GPUの性能を意図的に抑えることで、コスト効率を高めています 7。
2.1. CPU: Qualcomm Oryon コア (8コア)
X1P-42-100は、Qualcommが自社開発した高性能CPUコア「Oryon」を8基搭載しています 7。これは、上位モデルが持つ12コア(Elite)や10コア(Plus 10-core)から削減された構成です 9。PC Watchの記事では、Oryonコアは通常、4つのコアを1つのクラスタとして3つのクラスタを内蔵していると推測されており、この8コア版では1つのクラスタ全体が無効化されている可能性が示唆されています 7。
クロック周波数については、マルチコア動作時の最大クロックが3.2GHz、シングルコアのブースト時最大クロックが3.4GHzに設定されています 7。これは、同じ8コア版の上位SKUであるX1P-46-100(マルチコア最大3.4GHz / シングルコアブースト最大4.0GHz)よりも低い値です 7。
キャッシュメモリの合計容量は30MBとなっており 7、12コアおよび10コアモデルが搭載する42MBよりも少なくなっています 7。
CPUコア数とキャッシュ容量の削減は、マルチスレッド性能と製造コストの間の直接的なトレードオフを意味します。また、シングルコアブースト周波数が抑えられている点は、瞬間的なピーク性能よりも、持続的なパフォーマンスや電力効率を優先する設計思想の表れと考えられます。Qualcommは、性能階層を明確にしつつ消費電力を抑える目的で、意図的にCPUリソースを削減し、低価格セグメントをターゲットにしていることがうかがえます 7。
2.2. GPU: Qualcomm Adreno X1-45
CPUに統合されているGPUは「Adreno GPU」と呼ばれ 11、X1P-42-100に搭載される具体的なモデル名は「Adreno X1-45」とされています 12。
その性能を示す浮動小数点演算性能(TFLOPS)は、最大1.7 TFLOPSです 7。この値は、Snapdragon X Eliteの最上位モデル(4.6 TFLOPS)や下位モデル(3.8 TFLOPS)、そしてSnapdragon X Plus 10コアモデル(3.8 TFLOPS)と比較して大幅に低いものとなっています 5。PC Watchの記事では、この性能目標を達成するために、GPU内部のShader Processor(SP)数を削減し、動作クロック周波数を調整している可能性が指摘されています 7。
GPU性能の大幅な削減(1.7 TFLOPS)は、このチップがターゲットとする用途を明確に示唆しています。すなわち、高度な3Dグラフィックス処理能力を要求するAAAゲームや専門的なクリエイティブワークではなく、一般的なオフィスワーク、Webブラウジング、動画視聴といった生産性タスクやメディア消費、そして後述するNPUを活用したAI機能の実行に重点が置かれていると考えられます。これは、競合するIntelのArc GraphicsやAMDのRDNAベースの内蔵GPUと比較した場合、明確な性能上の弱点となり得ます。実際に、ゲームベンチマークではSnapdragon X Elite搭載機と比較して大幅に低いフレームレートしか出せないことが報告されており 14、Adreno X1 GPUの性能が競合の内蔵GPUに劣る点は課題として認識されています 15。
ディスプレイ出力に関しては、最大3画面の外部ディスプレイ接続をサポートします。具体的には、4K解像度(60Hz)であれば3台まで、5K解像度(60Hz)であれば2台まで同時に利用可能です。ノートPC本体の内蔵ディスプレイとしては、UHD解像度/120Hzリフレッシュレート/HDR10に対応します 16。また、近年の動画コーデックとして重要度が増しているAV1形式について、ハードウェアエンコーダーとデコーダーの両方を内蔵しています 16。
2.3. NPU: Qualcomm Hexagon (45 TOPS)
X1P-42-100は、AI処理を専門に実行するためのニューラルプロセッシングユニット(NPU)として、「Qualcomm Hexagon NPU」を搭載しています 10。
特筆すべきは、そのNPU演算性能が45 TOPS(毎秒45兆回の整数演算)に達する点です 2。この性能値は、上位モデルであるSnapdragon X EliteやPlus 10コアモデルと同等であり、コスト削減の影響を受けていません 5。
この45 TOPSというNPU性能は、Microsoftが定義する「Copilot+ PC」のハードウェア要件(NPU単体で40 TOPS以上の性能)を満たすものです 1。これにより、クラウドへの接続を必要とせず、PCローカル環境で高度なAI機能を実行することが可能になります。具体的には、ビデオ会議時の背景ぼかしや自動フレーミングなどを実現する「Windows Studio Effects」、手描きのスケッチから画像を生成する「Cocreator」(ペイントアプリ内)、再生中の音声コンテンツにリアルタイムで字幕を生成・翻訳する「ライブキャプション」といった機能が利用できます 17。
CPUやGPUの性能が削減されているにも関わらず、NPU性能が最上位モデルと同等に維持されている事実は、QualcommとMicrosoftが、Copilot+ PCによるオンデバイスAI体験を、より手頃な価格帯の製品にも広く普及させることを最優先事項と考えていることを強く示唆しています。AI処理能力こそが、このチップの主要な差別化要因であり、マーケティング上の訴求点となっているのです 1。
2.4. メモリ、プロセス技術、その他
メモリについては、高速かつ低消費電力なLPDDR5X-8448規格に対応しています 7。これにより、最大で毎秒135GBという広帯域なメモリアクセスが可能となります 16。システムメモリの最大搭載容量は64GBまでサポートされます 18。 (注記: 一部の情報源 7 ではLPDDR5x-8488と記載されていますが、Qualcomm公式資料 11 や他の情報源 16 ではLPDDR5X-8448とされており、後者がより正確である可能性が高いです。表記揺れの可能性があります。)
製造プロセスには、先進的な4nmプロセスルールが採用されています 14。これにより、性能と電力効率の両立が図られています。
接続性に関しては、最新の無線LAN規格であるWi-Fi 7に対応するほか、Bluetooth 5.3または5.4をサポートします 14。一部情報では5Gモバイル通信のサポートも言及されています 14。
その他の仕様として、合計キャッシュ容量は30MBです 7。
Snapdragon Xシリーズ SKU別 詳細仕様比較表
X1P-42-100のシリーズ内での位置づけを明確にするため、公開されているSnapdragon Xシリーズの主要スペックを以下の表にまとめます。
ブランド | パーツナンバー | CPUコア | キャッシュ | マルチコア時 最大クロック | ブースト時 最大クロック (対象コア数) | GPU性能 (TFLOPS) | NPU性能 (TOPS) | メモリ (最大構成) |
Snapdragon X Elite | X1E-00-1DE | 12 | 42MB | 3.8GHz | 4.3GHz (デュアルコア) | 4.6 | 45 | LPDDR5x-8488 |
Snapdragon X Elite | X1E-84-100 | 12 | 42MB | 3.8GHz | 4.2GHz (デュアルコア) | 4.6 | 45 | LPDDR5x-8488 |
Snapdragon X Elite | X1E-80-100 | 12 | 42MB | 3.4GHz | 4.0GHz (デュアルコア) | 3.8 | 45 | LPDDR5x-8488 |
Snapdragon X Elite | X1E-78-100 | 12 | 42MB | 3.4GHz | - | 3.8 | 45 | LPDDR5x-8488 |
Snapdragon X Plus 10-core | X1P-66-100 | 10 | 42MB | 3.4GHz | 4.0GHz (シングルコア) | 3.8 | 45 | LPDDR5x-8488 |
Snapdragon X Plus 10-core | X1P-64-100 | 10 | 42MB | 3.4GHz | - | 3.8 | 45 | LPDDR5x-8488 |
Snapdragon X Plus 8-core | X1P-46-100 | 8 | 30MB | 3.4GHz | 4.0GHz (シングルコア) | 2.1 | 45 | LPDDR5x-8488 |
Snapdragon X Plus 8-core | X1P-42-100 | 8 | 30MB | 3.2GHz | 3.4GHz (シングルコア) | 1.7 | 45 | LPDDR5x-8488 |
出典: PC Watch 7
この表から、X1P-42-100がCPUコア数、キャッシュ容量、動作クロック周波数、そして特にGPU性能において、シリーズ内の他のモデル、特にEliteモデルと比較して意図的にスペックダウンされていることが明確に分かります。一方で、AI処理の核となるNPU性能は全モデルで共通の45 TOPSが維持されており、Qualcommの製品ラインナップ戦略とX1P-42-100の意図された立ち位置(コストを抑えつつCopilot+体験を提供するエントリーモデル)を浮き彫りにしています。
3. ベンチマーク性能分析
ここでは、主要なベンチマークソフトウェアを用いて測定されたSnapdragon X Plus X1P-42-100の性能スコアを、日本語のレビュー記事やリーク情報サイトから収集し、分析します。ただし、Armアーキテクチャ上で動作するWindows環境においては、ベンチマークソフト自身やテスト対象のアプリケーションがArmネイティブに対応しているか、あるいはx86/x64エミュレーションを通じて動作しているかによって結果が大きく変動する可能性がある点に留意が必要です 17。
3.1. CPU性能 (Geekbench, Cinebench, CPU Mark)
Geekbench 6:
Geekbench 6はArmネイティブで動作するため、CPUコア自体の性能を比較的純粋に評価できるベンチマークの一つです 22。
- シングルコア性能スコアは、概ね2408点から2422点の範囲で報告されています 23。これは、AppleのM3チップ(約3100点)には及ばないものの、IntelのCore Ultra Uシリーズなど一部の競合プロセッサと同等か、それを上回る場合もあるレベルです 25。
- マルチコア性能スコアは、約11063点から11400点の範囲で観測されています 22。このスコアは、Apple M3(約12000点)やIntel Core Ultra 7 155H(約11900点)に匹敵するものであり、搭載コア数が8コアであることを考慮すると健闘していると言えます 25。ASUS VivoBook S 15を用いた測定では、高パフォーマンスモード(11400点)と標準モード(11384点)の間でスコアにほとんど差が見られなかったという報告もあります 26。
Cinebench:
Cinebenchは、CPUのレンダリング性能を測定する定番ベンチマークです。近年、Armネイティブ版 (Cinebench 2024) が登場したため、従来のx64エミュレーション版 (Cinebench R23) と比較することで、ネイティブ動作とエミュレーション動作の性能差を見る上でも参考になります。
- Cinebench 2024 (Armネイティブ版):
- シングルコアスコアは107点から109点の範囲で報告されており、安定して高い性能を示しています 21。このスコアは、Intel Core Ultra 5 125H(100点)やAMD Ryzen 7 8845HS(100点)を上回り、Apple M1(112点)に迫る良好な結果です 21。Oryonコア自体のIPC(クロックあたりの命令実行数)が高いことを示唆しています。
- マルチコアスコアは、搭載デバイスや設定されている動作モード(TDP: Thermal Design Power)によって556点から759点と、比較的大きな幅が見られます 21。例えば、ASUS ProArt PZ13の標準モードでは556点、ASUS VivoBook S 15の高パフォーマンスモードでは759点という結果が報告されています 26。レビューサイト「for-real.jp」で報告された702点というスコア 21 は、Core Ultra 5 125H(631点)を上回りますが、Core Ultra 7 155H(784点 33)やApple M1 Max(791点 21)には及びません。8コアという物理的な制約がマルチスレッド性能に影響していることがうかがえます。
- Cinebench R23 (x64エミュレーション版):
- シングルコアスコアは約1118点と報告されています 27。
- マルチコアスコアは6442点から8284点と、こちらもデバイスによる差が大きいようです 27。ASUS ProArt PZ13では6453点という結果でした 27。エミュレーションによるオーバーヘッドの影響を受けている可能性があります。
CPU Mark (PassMark):
PassMarkのCPU Markは、様々な種類のCPU演算処理を組み合わせた総合的なCPU性能指標です。
- X1P-42-100のスコアとして、19377点が報告されています 21。これは、AMD Ryzen 5 8640U(19592点)やIntel Core Ultra 5 125H(20071点)とほぼ同等のレベルであり 21、一般的なビジネス用途であればストレスなく使用できる性能水準にあると評価されています 21。
総じて、X1P-42-100のCPU性能は、シングルコア性能、特にArmネイティブ環境下での性能が比較的高く、競合のミドルレンジCPU(Core Ultra 5/Ryzen 5)と互角以上に渡り合えるポテンシャルを持っています。一方で、マルチコア性能はコア数削減の影響を受け、上位モデルやコア数の多い競合製品には劣る場面も見られます。ただし、ベンチマークの種類、Armネイティブ対応状況、そして測定されたデバイスのTDP設定によってスコアは変動するため、結果の解釈には注意が必要です。エミュレーション環境下での性能低下の可能性も考慮に入れる必要があります。
3.2. GPU性能 (3DMark, Geekbench Compute, ゲームベンチマーク)
内蔵GPUであるAdreno X1-45のグラフィックス性能は、1.7 TFLOPSというスペック値からも予想される通り、限定的です 7。各種ベンチマーク結果もこれを裏付けています。
3DMark:
3DMarkは、GPUのゲーミング性能を測定するための標準的なベンチマークスイートです。
- Night Raid: DirectX 12ベースの比較的軽量なテストで、スコアは16031点から16232点と報告されています 21。これは、AMD Ryzen 7 7735U(内蔵GPU: Radeon 680M)の17539点よりやや低い値です 21。
- Fire Strike: DirectX 11ベースのテストで、スコアは3599点です 21。これはRyzen 7 7735U(4645点)や、特にIntel Core Ultra 5 125H(内蔵GPU: Arc Graphics、7904点)と比較して大幅に低い結果です 21。既存の多くのPCゲームがDirectX 11ベースであることを考えると、このスコアの低さは実ゲーム性能への影響が大きい可能性があります。
- Wild Life: クロスプラットフォーム対応のVulkanベースのテストで、スコアは11404点です 21。これもRyzen 7 8845HS(内蔵GPU: Radeon 780M、16368点)やCore Ultra 5 125H(23037点)より低い値です 21。
- Steel Nomad Light: 最新のDirectX 12 UltimateやVulkanに対応した高負荷テストで、スコアは1139点です 21。Ryzen 7 7735U(1437点)よりも低い結果となっています 21。
- Time Spy: DirectX 12ベースのテストですが、リーク情報によると、Snapdragon X Elite搭載機と比較して40-50%低いスコアになるとされています 14。
- Wild Life Extreme: マルチプラットフォーム対応の高負荷テストで、3920点という結果が報告されていますが、これはX1P-46-100搭載のリファレンス機での結果の可能性もあります 34。
Geekbench 6 Compute:
GPUの汎用演算性能を測定するテストです。
- OpenCLスコアは9977点 27。
- Vulkanスコアは11970点 27。
- (参考: PassMarkのGPU Computeテストでは861 Ops/sという結果も報告されています 35)
ゲームベンチマーク:
実際のゲームタイトルを用いたベンチマーク結果は、GPU性能の限界をより明確に示しています。
- Final Fantasy XIV (FF14): 標準品質(ノートPC設定、1920×1080)でスコア4794、「普通」の評価が得られています 21。しかし、最高品質設定では「設定変更を推奨」という評価になり、快適なプレイは難しいことが示唆されています 36。Core Ultra 5 125H(7547点)には及びませんが、Ryzen 7 7735U(4398点)よりは高いスコアです 21。
- ドラゴンクエストX (DQX): フルHD、標準画質設定でスコア5157、「普通」の評価です 21。これはCore i5-1335U(5150点)などと同程度ですが、Core Ultra 5 125H(17314点)と比較すると大幅に低いスコアです 21。
- Shadow of the Tomb Raider: 1080p解像度、低画質設定で平均18 FPSしか出なかったという報告があります 14。これはSnapdragon X Elite搭載機の33 FPSと比較してもかなり低い値です 14。
- Final Fantasy XV (FFXV): 軽量品質設定、x64エミュレーションでの実行で、スコアは1892、「動作困難」という厳しい評価でした 27。
これらの結果から、Adreno X1-45 GPUの性能は、最新世代の競合統合GPU(Intel Arc Graphics, AMD RDNA 3ベースのRadeon Graphics)と比較して明らかに低いレベルにあることがわかります。特にDirectX 11ベースのテストや高負荷テストでの性能差が顕著です。これは1.7 TFLOPSというスペック値とも整合性が取れています。ドラゴンクエストXやFF14(標準品質)のような比較的軽量なゲームであれば、ある程度動作する可能性はありますが、グラフィックス設定を上げる必要のあるタイトルや、最新のAAAタイトルの快適なプレイは期待できません。GPU性能の低さはX1P-42-100の最大の弱点であり、ゲーミングやグラフィック負荷の高いクリエイティブ作業には不向きであることを明確に示しています。これは、Qualcommがコスト、消費電力、そしてNPU性能を優先した結果、GPU性能を戦略的に抑制した設計を選択したことの表れです 14。
3.3. システム総合性能 (PCMark 10)
PCMark 10は、Webブラウジング、オフィスソフト利用、簡単なコンテンツ作成といった、実際のPC利用シナリオに基づいたテストを行い、システム全体の総合的なパフォーマンスを評価します。ただし、X1P-42-100搭載機でPCMark 10を実行する場合、テストアプリケーションの多くがx86/x64エミュレーションで動作するため、ネイティブアプリケーションと比較して性能が低下する可能性がある点に注意が必要です 21。
報告されているスコアは以下の通りです 21:
- Essentials (アプリ起動、Webブラウジング、ビデオ会議): 7615点。これはAMD Ryzen 5 5500U(Zen 2世代)搭載機と同等のレベルです。
- Productivity (表計算、文書作成 – 主にOfficeソフト): 4641点。これはIntel Core i5-1035G7(Ice Lake世代)搭載機と同等のレベルです。
- Digital Content Creation (写真編集、動画編集、レンダリング): 4251点。これはAMD Ryzen 3 5425U(Zen 3世代)搭載機と同等のレベルです。
エミュレーション環境下でのPCMark 10スコアは、数世代前のミドルレンジCPU搭載機と同程度のレベルにとどまっています。Essentialsスコアは比較的高く、Webブラウジングやビデオ会議といった基本的なPC操作は問題なくこなせるレベルであることを示唆しています。しかし、Productivity(オフィスソフト)やDigital Content Creation(コンテンツ作成)のスコアは、最新CPUとしては物足りない水準です。これはx86エミュレーションによるオーバーヘッドが影響している可能性が高いと考えられます 17。Microsoft Officeなどの主要なアプリケーションがArmネイティブ版を提供しているため、実際のProductivity関連タスクの体感速度は、このエミュレーションベースのスコアよりも良好である可能性があります。しかし、特にコンテンツ制作系のタスクにおいては、ネイティブアプリと比較して性能が制限される可能性が高いことを示唆しています。現状では、アプリケーションのArm対応状況によって実性能が大きく左右されるため、総合的なシステム性能の評価には注意が必要です。
X1P-42-100 主要ベンチマークスコア一覧
ベンチマーク | テスト項目 | スコア | 備考 (測定デバイス/モード/環境) | 出典例 |
Geekbench 6 | Single-Core | 2408 – 2422 | ネイティブ | 23 |
Multi-Core | 11063 – 11400 | ネイティブ (例: ProArt PZ13 27, VivoBook S15 26) | 26 | |
Cinebench 2024 | Single-Core | 107 – 109 | ネイティブ (例: ProArt PZ13 27) | 27 |
Multi-Core | 556 – 759 | ネイティブ (例: ProArt PZ13 Std 556 26, VivoBook S15 HP 759 26) | 21 | |
Cinebench R23 | Single-Core | 1118 | エミュレーション (例: ProArt PZ13 27) | 27 |
Multi-Core | 6442 – 8284 | エミュレーション (例: ProArt PZ13 6453 27) | 27 | |
CPU Mark (PassMark) | CPU Mark | 19377 | 21 | |
3DMark | Night Raid | 16031 – 16232 | (例: ProArt PZ13 27) | 21 |
Fire Strike | 3599 | 21 | ||
Wild Life | 11404 | 21 | ||
Steel Nomad Light | 1139 | 21 | ||
ゲームベンチマーク | FF14 (標準品質) | 4794 (普通) | 1920×1080 | 21 |
DQX (標準画質) | 5157 (普通) | 1920×1080 | 21 |
注: スコアは測定環境やデバイスによって変動する可能性があります。
この表は、X1P-42-100の性能プロファイルを多角的に示しています。CPU性能はシングルコアが健闘しているもののマルチコアは中程度、GPU性能は明確に低い、という特性が読み取れます。これらの客観的なデータは、後の競合比較や総合評価の重要な根拠となります。
4. 競合製品との性能比較
収集したベンチマークスコアに基づき、Snapdragon X Plus X1P-42-100を、市場における主要な競合プロセッサと比較分析します。比較対象として、Intel Core Ultraシリーズ、AMD Ryzenモバイルシリーズ、Apple Mシリーズ、そして同じSnapdragon Xシリーズの上位モデルを取り上げます。
4.1. vs. Intel Core Ultra シリーズ (例: Core Ultra 5 125H/U, Core Ultra 7 155H)
IntelのCore Ultraシリーズは、AI処理用のNPUを統合した最初のメインストリームCPUであり、X1P-42-100の直接的な競合相手となります。
- CPU性能:
- CPU Markのスコアでは、X1P-42-100(19377点)はCore Ultra 5 125H(20071点)とほぼ同等の性能を示します 21。しかし、上位のCore Ultra 7 155H(約24000-25000点)と比較すると、明確な差があります 21。
- Cinebench 2024(Armネイティブ版)のマルチコアスコアでは、X1P-42-100(702点)はCore Ultra 5 125H(631点)を上回る結果が出ていますが、Core Ultra 7 155H(784点)には及びません 21。
- 一方で、Cinebench 2024のシングルコアスコアでは、X1P-42-100(107点)がCore Ultra 5 125H(100点)を上回っており、シングルスレッド性能の高さがうかがえます 21。
- Geekbench 6のマルチコアスコアでは、X1P-42-100(約11400点)はCore Ultra 7 155H(約11900点)に近いスコアを記録しています 26。
- GPU性能:
- 内蔵GPUの性能差は顕著です。3DMarkのスコア比較では、X1P-42-100(Adreno X1-45)はCore Ultra 5 125H(Intel Arc Graphics)に対して、Fire Strikeで半分以下(3599点 vs 7904点)、Wild Lifeでも約半分のスコア(11404点 vs 23037点)しか出せていません 21。
- 実際のゲームベンチマーク(FF14、DQX)でも、Core Ultra 5 125Hの方が大幅に高いスコアを記録しています 21。
- NPU性能:
- AI処理性能では、X1P-42-100が搭載するQualcomm Hexagon NPU(45 TOPS)は、Intel Core Ultra(Meteor Lake世代)が搭載するNPU(約10 TOPS)を性能面で大きく上回ります。これはCopilot+ PCの要件を満たす上で大きなアドバンテージとなります 1。
- 電力効率:
- Cinebench 2024のマルチコアスコアを消費電力で割ったワットパフォーマンス(Points per Watt)を見ると、X1P-42-100搭載のASUS VivoBook S 15は標準モードで19.1 PPW、高性能モードで16.3 PPWを記録しています 26。直接比較できるCore Ultra 7 155Hのデータは限定的ですが、同程度のTDP設定であればX1P-42-100が同等かやや優れる可能性があります。ただし、これはデバイスの冷却設計やTDP設定に大きく依存します。
総括すると、CPU性能においては、X1P-42-100は特にシングルコア性能やArmネイティブアプリケーションの実行において、Intel Core Ultra 5 H/Uシリーズと互角以上に戦える可能性があります。しかし、マルチコア性能全体や、特にGPU性能においては明確に劣ります。Core Ultra 7 155Hクラスに対しては、CPUマルチコア性能、GPU性能ともに及びません。一方で、NPU性能では圧倒的な優位性を持ち、電力効率に関しても潜在的なアドバンテージを持つ可能性がありますが、実際の利用シーンではデバイス側のチューニングやワークロードに左右されるでしょう。
4.2. vs. AMD Ryzen モバイルシリーズ (例: Ryzen 5 8640U/HS, Ryzen 7 8845HS)
AMDのRyzenモバイルシリーズも、高性能なCPUと比較的強力な内蔵GPU(Radeon Graphics)、そしてAIエンジン(Ryzen AI)を搭載しており、有力な競合となります。
- CPU性能:
- CPU Markスコアでは、X1P-42-100(19377点)はRyzen 5 8640U(19592点)とほぼ同等ですが、Ryzen 5 8640HS(21222点)よりは低いスコアです 21。高性能なRyzen 7 8845HS(PassMarkスコア 約25000-28000点レベル)と比較すると、差はさらに大きくなります 38。
- Cinebench 2024(Armネイティブ版)のマルチコアスコアでは、X1P-42-100(702点)はRyzen 5 8640HS(557点)を上回りますが、Ryzen 7 8845HS(867-893点)には及びません 21。
- シングルコア性能では、Cinebench 2024でX1P-42-100(107点)がRyzen 5 8640HS(95点)やRyzen 7 8845HS(100点)を上回る結果を示しています 21。
- GPU性能:
- 内蔵GPU性能では、X1P-42-100(Adreno X1-45)はAMDのRadeon Graphics(RDNA 3アーキテクチャ)に対して不利な状況です。3DMark Night RaidではRyzen 7 7735U(Radeon 680M)にやや劣り(16232点 vs 17539点)、Fire Strikeではさらに差が開きます(3599点 vs 4645点)21。より新しいRyzen 7 8845HS(Radeon 780M)との比較では、3DMark Wild Lifeで明確な差が見られます(11404点 vs 16368点)21。
- ゲームベンチマークでは、FF14(標準品質)でRyzen 7 7735U(4398点)を上回るスコア(4794点)を出したものの、DQXではRyzen 7 7735U(7291点)に大きく劣る(5157点)など、タイトルによって傾向が異なる可能性があります 21。しかし、全体的に見れば、Ryzen 8040シリーズが搭載するRadeon 780M/760Mに対しては性能面で劣ると考えられます。
- NPU性能:
- AI処理性能では、X1P-42-100(45 TOPS)が、Ryzen 8040シリーズに搭載されるRyzen AI(XDNAアーキテクチャ、最大16 TOPS)を性能面で大きくリードしています。これもCopilot+ PCとしての適格性において重要な差となります。
- 電力効率:
- Cinebench 2024のワットパフォーマンス比較では、X1P-42-100(VivoBook S15 高性能モード: 16.3 PPW)はRyzen 7 8845HS(16.6 PPW)と同程度の効率を示しています 26。標準モード(19.1 PPW)ではRyzen 7 8845HSを上回る可能性もあります 26。
Intel Core Ultraシリーズとの比較と同様に、AMD Ryzenモバイルシリーズに対しても、X1P-42-100はCPUシングルコア性能で優位に立つ場面がある一方、マルチコア性能ではRyzen 7クラスには及びません。GPU性能はRadeon 680M/780Mと比較しても劣る傾向にあります。電力効率は同等レベルか、特定の条件下で優位性を示す可能性があります。最大の差別化要因はNPU性能であり、Ryzen AIを搭載する競合製品に対して明確なアドバンテージを持っています。
4.3. vs. Apple M シリーズ (例: M3)
Apple Silicon(Mシリーズ)は、Armアーキテクチャを採用した高性能かつ高効率なプロセッサとして市場で高い評価を得ており、Windows on Armの目標となる存在です。
- CPU性能:
- Geekbench 6のスコア比較では、シングルコア性能でX1P-42-100(約2420点)はApple M3(約3100点)に劣ります 25。
- マルチコア性能では、X1P-42-100(約11345点)はM3(約12052点)に比較的近いスコアを示しています 25。
- Cinebench 2024のシングルコアスコアでは、X1P-42-100(107点)はM1(112点)やM1 Max(113点)よりもやや低い結果です 21。M3はこれらよりもさらに高いスコアを出すと予想されます。
- Cinebench 2024のマルチコアスコアでは、X1P-42-100(702点)はM1(509点)を上回りますが、M1 Max(791点)には及びません 21。M3(8コア)との直接比較データは少ないですが、Qualcommの測定によるとSnapdragon X Plusの10コア版がM3より10%高速であると主張されており 40、8コア版のX1P-42-100はM3と同等か、やや下回る性能である可能性が考えられます。
- GPU性能:
- GPUの理論性能(TFLOPS)では、X1P-42-100(1.7 TFLOPS)はM3(推定 約2.3 TFLOPS)や、最新のM4(4.6 TFLOPS 18)よりも低い値です。
- NPU性能:
- AI処理性能では、X1P-42-100のHexagon NPU(45 TOPS)は、Apple M3に搭載されるNeural Engine(公称 約18 TOPS)を演算能力で大きく上回ります。ただし、この性能差が実際のアプリケーションでどれほどの体験差につながるかは、それぞれのプラットフォームにおけるソフトウェア最適化と対応状況に依存します。
- 電力効率/バッテリー:
- Apple Mシリーズは一般的に卓越した電力効率で知られています。X1P-42-100搭載デバイスも非常に優れたバッテリー持続時間を示すレビュー結果が出ており 41、Appleの牙城に迫る可能性を秘めていますが、直接的な比較にはさらなる検証が必要です。
- エコシステム:
- 最大の違いは、OS(Windows on Arm vs macOS)と、それぞれのソフトウェアエコシステムです。Armネイティブアプリケーションの数や成熟度においては、macOSがWindows on Armよりも先行している状況です 42。
Apple M3と比較した場合、X1P-42-100はCPUマルチコア性能で比較的近いレベルにある可能性がありますが、シングルコア性能とGPU性能では劣ります。ソフトウェアエコシステムの成熟度にも差があります。X1P-42-100の明確な強みであるNPU性能はApple Neural Engineを大きく上回りますが、これが実利用上のアドバンテージとなるかは、対応ソフトウェアの普及次第です。Windows環境で優れたバッテリー寿命とオンデバイスAI機能を求めるユーザーにとっては選択肢となり得ますが、総合的なパフォーマンス、特にアプリケーションの互換性や最適化の面では、依然としてApple Mシリーズに対して課題が残ります。日本語環境特有のATOKが使用できないといった問題も指摘されています 40。
4.4. vs. 他のSnapdragon X シリーズ (Elite X1E-78-100, Plus X1P-64-100など)
最後に、同じSnapdragon Xファミリーの上位モデルと比較します。
- CPU性能:
- X1P-42-100は8コア構成であり、12コアのEliteモデルや10コアのPlusモデルと比較して、コア数、動作クロック、キャッシュ容量が削減されているため、マルチコア性能で劣ります 7。
- CPU Markスコアで比較すると、X1P-42-100(19377点)は、Eliteの下位モデルであるX1E-78-100(22886点)よりも約15%低く 21、Plus 10コアモデルのX1P-64-100(21656点 37)よりも約10%低いスコアです。
- Cinebench 2024(Armネイティブ版)のマルチコアスコアでも、X1P-42-100(702点)はX1E-78-100(924点)よりも約24%低い結果となっています 21。
- GPU性能:
- GPU性能の差はさらに顕著です。X1P-42-100のAdreno X1-45(1.7 TFLOPS)は、X1E-78-100やX1P-64-100が搭載するGPU(3.8 TFLOPS)の半分以下の理論性能しかありません 7。
- 3DMark Time Spyのスコアでは、X Elite搭載機と比較して40-50%低いという報告があります 14。
- ゲームベンチマーク(FF14 標準品質)でも、X1P-42-100(4794点)はX1E-78-100(6556点)よりも約27%低いスコアです 21。
- NPU性能:
- AI処理性能に関しては、全てのSnapdragon Xシリーズモデルで共通の45 TOPS NPUを搭載しています 7。
これらの比較から、X1P-42-100はSnapdragon Xシリーズの中で明確なエントリーティアを形成していることがわかります。CPUマルチコア性能、そして特にGPU性能において、上位モデルとの間に顕著な性能差が存在します。NPU性能は同等であるため、Copilot+ PCとしての基本的なAI機能は享受できますが、より高いCPUパフォーマンスやグラフィックス性能を求めるユーザーは、EliteモデルやPlus 10コアモデルを選択する必要があります。この性能差は、搭載されるノートPCの価格帯にも反映されると考えられます。Qualcommは性能別に明確な製品階層を設けることで、異なる価格帯の市場セグメントに戦略的に対応しようとしているのです。
X1P-42-100 vs 主要競合CPU/GPU ベンチマーク比較表
プロセッサ/項目 | X1P-42-100 | Core Ultra 5 125H | Core Ultra 7 155H | Ryzen 5 8640HS | Ryzen 7 8845HS | Apple M3 (参考) | X1E-78-100 |
CPU Mark | 19377 21 | 20071 21 | 24271 21 | 21222 21 | ~26000 (推定) | N/A | 22886 21 |
Geekbench 6 Single | ~2420 25 | ~2300 (推定) | ~2450 (推定) | ~2300 (推定) | ~2400 (推定) | ~3100 25 | ~2700 (推定) |
Geekbench 6 Multi | ~11345 25 | ~10000 (推定) | ~11900 26 | ~10500 (推定) | ~12500 (推定) | ~12052 25 | ~13500 (推定) |
Cinebench 2024 Single | 107 21 | 100 21 | ~105 (推定) | 95 21 | 100 39 | ~140 (推定) | ~115 (推定) |
Cinebench 2024 Multi | 702 21 | 631 21 | 784 33 | 557 21 | 867 21 | ~750 (推定) | 924 43 |
3DMark Fire Strike | 3599 21 | 7904 21 | ~8500 (推定) | ~6000 (推定) | ~7000 (推定) | N/A | ~7000 (推定) |
3DMark Wild Life | 11404 21 | 23037 21 | ~25000 (推定) | ~15000 (推定) | 16368 21 | N/A | ~20000 (推定) |
NPU性能 (TOPS) | 45 7 | ~10 | ~10 | 16 | 16 | ~18 | 45 7 |
注: 推定値は直接的な比較データがない場合に他の情報源から類推した参考値です。スコアは環境により変動します。
この表は、X1P-42-100の性能特性を競合製品や上位モデルとの比較で明確に示しています。CPUシングルコア性能とNPU性能では健闘していますが、CPUマルチコア性能はミドルレンジ相当、GPU性能は明確に劣るという位置づけが確認できます。
5. AI性能とCopilot+ PC体験
Snapdragon X Plus X1P-42-100の最も際立った特徴の一つは、そのAI処理能力です。搭載されているQualcomm Hexagon NPUは、45 TOPS(毎秒45兆回の整数演算)という、現行のノートPC向けSoCとしては最高クラスの演算性能を誇ります 2。この性能は、Microsoftが提唱する「Copilot+ PC」のハードウェア要件(NPU単体で40 TOPS以上)を満たすための鍵となる要素です 1。
この強力なNPUにより、従来はクラウド側で行われていたAI処理の一部を、PCデバイス上で直接、高速かつ効率的に実行する「オンデバイスAI」が可能になります。オンデバイスAIには、ユーザーデータが外部に送信されないことによるセキュリティとプライバシーの向上、クラウドとの通信遅延がないことによる応答性の向上、そしてインターネット接続がないオフライン環境でもAI機能を利用できるといった利点があります 2。
X1P-42-100を搭載したCopilot+ PCでは、このNPUを活用した様々な新しいWindows AI機能を利用できます 17。
- Cocreator (ペイントアプリ内): ユーザーが描いた簡単なスケッチやテキスト入力をもとに、AIが画像を生成する機能です。特に、ASUS ProArt PZ13のようなペン入力に対応したタブレット型デバイスとの相性が良いとされています 17。
- Windows Studio Effects: ビデオ会議などで活用できる、AIによるカメラ映像の補正機能です。背景を自然にぼかしたり、ユーザーがカメラから視線を外しても目が合っているように見せるアイコンタクト補正、ユーザーの動きに合わせて自動的に構図を調整する自動フレーミングなどが含まれます 17。
- ライブキャプション: PC上で再生されているあらゆる音声コンテンツ(動画、音楽、ビデオ通話など)に対して、リアルタイムで字幕を生成する機能です。さらに、生成された字幕を他の言語に翻訳することも可能ですが、現時点での翻訳先は英語のみとなっています 17。
- Image Creator (フォトアプリ内): 標準のフォトアプリ内で、テキスト入力から画像を生成する機能が統合されています 17。
- (提供延期中) リコール (Recall): 当初Copilot+ PCの目玉機能として発表されましたが、プライバシーに関する懸念から提供が延期・見直しされています。PC上で行われた操作や表示内容を記録し、後から自然言語で検索できる機能として構想されていました。
45 TOPSという高いNPU性能は、X1P-42-100の最大のセールスポイントであり、これまで比較的高価なデバイスに限られていた先進的なオンデバイスAI体験を、より手頃な価格帯のPCにもたらすという点で画期的です。GPU性能が大幅に削減されている一方でNPU性能が維持されていることからも 7、QualcommとMicrosoftがこのAI体験の普及を最優先事項と考えていることがうかがえます。
しかしながら、この強力なNPUの真価が発揮されるかどうかは、対応するソフトウェアエコシステムの成熟度に大きく依存します。現状では、上記のようなOS標準機能や、Adobe Creative Cloudの一部(Photoshop、Premiere Proのベータ版など 27)、DaVinci Resolve 19 27 など、Armネイティブ対応やNPU最適化を進めているアプリケーションはまだ限定的です 42。多くのユーザーが日常的にNPUの恩恵を感じられるようになるには、ソフトウェアベンダー側による対応アプリの開発と普及が不可欠です。レビューでも、ArmネイティブでNPUを活用できるDaVinci Resolveは比較的良好に動作する一方で、エミュレーション動作のPremiere Proは低速、不安定なアプリ(CapCut)や動作しないアプリ(Illustrator)が存在することが報告されています 27。
ハードウェアとしてのNPUのポテンシャルは非常に高いものの、それを活かすソフトウェア環境がまだ追いついていないのが現状と言えます。このギャップが今後どのように埋まっていくかが、X1P-42-100搭載PCの長期的な価値を左右する重要な要素となるでしょう。GPU性能の低さを補って余りある価値を提供できるかは、今後のエコシステムの発展にかかっています。
6. 実機レビューに基づく実用性能評価
ここでは、Snapdragon X Plus X1P-42-100を実際に搭載したノートPCや2in1デバイスのレビュー記事に基づき、ベンチマークスコアだけでは分からない実用面での性能、バッテリー持続時間、使用感などを評価します。日本語の情報源(ITmedia PC USER, PC Watch, sunmattu.jp, for-real.jp, ASCII.jpなど)を中心に参照します。
6.1. 主な搭載デバイス紹介
X1P-42-100は、主に薄型軽量ノートPCや2in1デバイスに採用されています。以下に代表的なモデルを挙げます。
- ASUS ProArt PZ13 (HT5306): クリエイター向けの13.3型有機ELディスプレイ搭載2in1タブレットPC。着脱式キーボードとスタイラスペンが付属します 12。多くの詳細なレビューが存在します 12。
- ASUS Vivobook S 15 (S5507QA, X1P-42-100搭載構成): 15.6型の大画面を持つスタンダードノートPC。有機ELディスプレイ搭載モデルも用意されています 26。
- Lenovo IdeaPad 5x 2-in-1 Gen 9: 14型のコンバーチブル2in1 PC。有機ELディスプレイを搭載し、多目的な利用が想定されています 10。
- Lenovo ThinkBook 16 Gen 7: 中小規模ビジネス向けの16型ノートPC。X1P-42-100を搭載する構成が用意されています(日本での展開は未定)10。
- Dell New Inspiron 14: 個人向け14型ノートPC。今後、X1P-42-100搭載モデルが選択可能になる予定です 49。
- Acer Swift Go 14 AI: 薄型軽量の14型ノートPC。X1P-42-100搭載モデルが存在します 30。
- Lenovo IdeaPad Slim 5x Gen 9: スリムなデザインの14型ノートPC。X1P-42-100搭載モデルが存在します 10。
6.2. 実アプリケーションにおけるパフォーマンス
実際のアプリケーションをどの程度快適に利用できるかは、購入を検討する上で重要なポイントです。
- Webブラウジング、Officeソフト: Webサイトの閲覧、文書作成、表計算といった日常的なタスクは、多くのレビューで快適に動作すると評価されています 21。PCMark 10のエミュレーション下でのEssentials(基本操作)やProductivity(オフィスソフト)のスコアも、実用上十分なレベルであることを示唆しています 21。
- クリエイティブ作業:
- 動画編集 (DaVinci Resolve 19, Armネイティブ): Armネイティブ版が存在し、比較的スムーズな編集作業が可能で、NPUを活用したMagic Maskなどの機能も利用できます 27。ただし、4K解像度の動画書き出しにかかる時間は、Snapdragon X Elite搭載機と比較して約2倍(ASUS ProArt PZ13で約46分 vs Elite機で約23分)と、性能差が見られます 27。
- 動画編集 (Adobe Premiere Pro, x86エミュレーション): アプリケーション自体は動作するものの、x86エミュレーションのためパフォーマンスは低く、特に動画書き出しには時間がかかります(ProArt PZ13で19分強の4K動画書き出しに69分)27。Armネイティブ版の正式リリースが待たれます。
- 動画編集 (CapCut): レビュー時点では動作が不安定で、操作中にアプリが頻繁にクラッシュするという報告があります 27。最適化が必要な状況です。
- 写真編集 (Adobe Photoshop, Armネイティブ): Armネイティブ版が提供されており、利用可能です 27。
- 写真編集 (Adobe Illustrator): レビュー時点ではArmネイティブ版がなく、x86エミュレーションでの動作も確認できなかったとの報告があります 27。
- ゲーム: 前述のベンチマーク結果が示す通り、内蔵GPU(Adreno X1-45)の性能が低いため、多くのPCゲーム、特にグラフィックス負荷の高い最新タイトルを快適にプレイすることは困難です 14。
これらの結果から、X1P-42-100搭載デバイスは、WebブラウジングやOfficeソフト利用といった一般的な軽作業は問題なくこなせるものの、クリエイティブ作業やゲーミング性能には限界があることがわかります。パフォーマンスは、使用するアプリケーションがArmネイティブに対応しているか、x86エミュレーションで動作するかに大きく依存します。Armネイティブ対応が進んでいるアプリ(DaVinci Resolve, Photoshopなど)は比較的良好な動作を示しますが、エミュレーションに頼るアプリや未対応のアプリでは、性能低下や動作不安定といった問題に直面する可能性があります。これは、X1P-42-100自体の性能特性(CPUはそこそこ、GPUは弱い、NPUは強い)と、Arm on Windowsエコシステムの現状(アプリケーション対応状況のばらつき)の両方を反映した結果と言えます。
6.3. x86/x64エミュレーションの互換性と影響
Arm版Windows 11には、従来のIntel/AMD PC向けに作られたx86およびx64アプリケーションを実行するためのエミュレーション技術(コードネーム「Prism」)が搭載されています。これにより、多くの既存ソフトウェア資産を利用できることが期待されますが、いくつかの注意点があります。
- 互換性: エミュレーションは多くのアプリケーションを動作させることができますが、完璧ではありません。一部のアプリケーション、特にハードウェアに近いレベルで動作するソフトウェア(例: 一部のアンチウイルスソフト、仮想化ソフト)や、特定の周辺機器ドライバ(特にペンタブレットのドライバなど 17)は、互換性の問題から正常に動作しない可能性があります。ユーザーは、自身が利用したい必須のソフトウェアや周辺機器が、Arm版Windows上で問題なく動作するかを事前に確認することが推奨されます 17。
- パフォーマンス: エミュレーションを通じてアプリケーションを実行する場合、ネイティブコードで実行する場合と比較して、一般的にパフォーマンスが低下します 17。CPU命令をリアルタイムで変換する処理が必要になるため、オーバーヘッドが発生するためです。PCMark 10やCinebench R23といったベンチマークソフトをエミュレーションで実行した際の結果が、ネイティブ動作時よりも低いスコアになる傾向があるのはこのためです 21。
- 相互運用性の制限: エミュレーションで動作するx64アプリケーションと、Armネイティブで動作するアプリケーション(Arm64ECと呼ばれる特殊な形式を除く)の間では、プロセス間通信などに制約があり、相互に連携できない場合があると指摘されています 17。
- 日本語環境特有の問題: 日本のユーザーにとって見過ごせない問題として、一部の日本語入力システム(IME)の互換性が挙げられます。特に、根強い人気を持つジャストシステムの「ATOK」は、現行バージョンが32bitのx86版のみを提供しているため、64bitベースのArm版Windowsおよびそのx64エミュレーション環境では利用できないという問題が指摘されています 40。OS標準のMicrosoft IMEを使用する場合は問題ありませんが、ATOKを必須とするユーザーにとっては大きな障壁となります。
x64エミュレーションは、Arm版Windowsへの移行期において互換性を確保するための重要な技術ですが、パフォーマンスの低下、一部のアプリやドライバの非互換、特定のソフトウェア(ATOKなど)が利用できないといった制限が存在します。これは、Arm版Windowsがまだ完全な互換性を実現するには至っていないことを示しており、依然として残る課題です。AppleがRosetta 2によって比較的スムーズな移行を実現したのに対し 42、Windowsエコシステムの広範さと複雑さが、Armへの移行をより困難にしている側面があります。ユーザーにとっては、購入前に自身のワークフローに必要なアプリケーションや周辺機器が、目的のデバイス上で問題なく動作するかを十分に確認することが極めて重要になります。ソフトウェアベンダーによるArmネイティブ対応の進展が、この問題の根本的な解決には不可欠です。
6.4. バッテリー持続時間の実測評価
X1P-42-100搭載デバイスのレビューにおいて、最も高く評価されている点の一つが、その卓越したバッテリー持続時間です。
- PCMark 10 Application Battery Lifeテスト: Microsoft Word, Excel, PowerPoint, Edgeといった実際のアプリケーションを断続的に動作させ、バッテリーが切れるまでの時間を測定するこのテストにおいて、ASUS ProArt PZ13(X1P-42-100搭載)は約17時間51分という驚異的な駆動時間を記録しました 41。これは、様々な処理を行う現実的な利用シナリオにおいて、非常に優れたバッテリー性能を持つことを示しています。
- 実使用に近いテスト: レビューサイト「sunmattu.jp」によるテストでは、ASUS ProArt PZ13はWebブラウジングや動画再生といった画面点灯時のバッテリー消費量が少なく(1時間あたり約8%)、Snapdragon X Elite搭載機と比較してもバッテリー持ちが良い傾向が見られました 27。ASUSによる公称値でも、ProArt PZ13(タブレット単体)はアイドル時で約26時間、動画再生時で約16.9時間という長時間が謳われています 20。
- 高負荷時テスト: 同じく「sunmattu.jp」のテストで、3DMark Night Raidのストレステスト(GPUに継続的な負荷をかけるテスト)を実行したところ、ASUS ProArt PZ13は約5時間持続しました。これは、比較対象のSnapdragon X Elite搭載Surface Pro 11(約2.7時間)よりも大幅に長い結果です(ただし、テスト中のパフォーマンス(スコア)は両者で異なっていた点に注意が必要です)27。
- 動画書き出し時: DaVinci Resolveでの動画書き出し作業では、ProArt PZ13はElite搭載機よりも処理に時間がかかる分、1時間あたりのバッテリー消費量は少なくなっていました 27。
- メーカー公称値: Dellは、Snapdragon X Plusを搭載したInspiron 14で最大28時間というバッテリー持続時間を謳っています 50。
これらの実測結果や公称値は、Snapdragon X Plus X1P-42-100搭載デバイスが、非常に優れたバッテリー持続時間を実現するポテンシャルを持っていることを示しています。特に、実際のアプリケーションを使用するテストや、ある程度の負荷がかかる状況でも、従来のx86 CPU搭載機や上位のSnapdragon X Elite搭載機と比較して、より長時間の駆動が期待できます。これは、電力効率に優れたArmアーキテクチャの特性と、性能(特にGPU性能)を抑えたX1P-42-100の設計思想が組み合わさった結果と考えられ、頻繁に充電できない環境での利用や、一日中持ち歩くモバイル用途において、大きなアドバンテージとなります。
6.5. 発熱、消費電力、動作音
バッテリー持続時間と密接に関連するのが、発熱、消費電力、そして冷却ファンの動作音です。X1P-42-100搭載デバイスは、これらの点でも良好な評価を得ています。
- 発熱:
- 複数のレビューで、高負荷な処理を実行した場合でも、キーボード表面やパームレストなど、ユーザーが直接触れる部分の温度上昇は比較的小さく抑えられていると報告されています 46。ASUS ProArt PZ13のレビューでは、「高負荷な処理をしてもパームレストなどが不快な熱を持つこともなく、快適に利用できる」と評価されています 51。ASUS Vivobook S 15のレビューでも、CPU負荷が高い状態でもキーボードはわずかに暖かく感じる程度で快適であるとされています 46。
- 消費電力:
- チップ単体の詳細な消費電力データは限られていますが、ベンチマークにおけるワットパフォーマンスの高さ 26 や、前述の優れたバッテリー持続時間 27 から、電力効率が非常に高いことが強く示唆されています 2。ASUS ProArt PZ13がCinebenchマルチコアテストを標準モードで実行している際の消費電力は、約25W程度であったと報告されています 26。
- 動作音:
- 静音性の高さも特筆すべき点です。多くのレビューで、冷却ファンの動作音は静かであると評価されています。ASUS ProArt PZ13は、「ウィスパーモード」を選択すると高負荷時を含めて常に静かであるとされています 51。ASUS Vivobook S 15も、最もパフォーマンスを優先する「フルスピードモード」でもファンの音は聞こえるものの、うるさくはなく、さらに静かな「Whisperモード」も用意されています 46。
これらの評価から、X1P-42-100搭載デバイスは、優れた電力効率を背景に、発熱が比較的低く抑えられ、静かな動作音を実現している傾向があると言えます。これにより、図書館のような静かな場所での利用や、長時間の作業においても、ユーザーは快適性を維持しやすくなります。特に薄型軽量デザインのノートPCやタブレットにおいて、この発熱・騒音特性は大きなメリットとなります。バッテリー寿命の長さと合わせて、これらの特性はX1P-42-100がモバイルコンピューティングに適したプロセッサであることを強く裏付けています。
7. 総合評価と考察
これまでの分析に基づき、Snapdragon X Plus X1P-42-100の総合的な評価と市場における位置づけ、そして最適な用途について考察します。
7.1. 性能上の強み
X1P-42-100は、いくつかの明確な強みを持っています。
- 卓越したバッテリー持続時間: これが最大のセールスポイントです。実測レビューにおいても、従来のノートPCの常識を覆すような長時間のバッテリー駆動が確認されており、電源のない場所での作業が多いモバイルワーカーや学生にとって、他に代えがたい価値を提供します 27。
- 強力なNPU性能: 45 TOPSというクラス最高レベルのNPUを搭載し、MicrosoftのCopilot+ PC要件を満たしています。これにより、クラウドに頼らないオンデバイスAI機能を、比較的安価なPCでも利用可能にします 1。これは、現行世代のIntel/AMDのNPUやApple M3のNeural Engineを性能面で上回るアドバンテージです。
- 優れた電力効率: チップ全体の消費電力が低く抑えられており、これが長時間のバッテリー駆動、低発熱、静音動作につながっています。ユーザーは静かで快適なコンピューティング環境を享受できます 2。
- 良好なCPUシングルコア性能: Armネイティブアプリケーションを実行する際のシングルコアCPU性能は、競合するミドルレンジのx86 CPUと比較しても遜色なく、応答性の高い操作感に貢献します 21。
7.2. 性能上の弱み
一方で、X1P-42-100には明確な弱点も存在します。
- 低いGPU性能: これが最大の弱点と言えます。内蔵GPU(Adreno X1-45)の性能は、競合するIntel Arc GraphicsやAMD Radeon Graphics、Apple MシリーズのGPU、そして上位のSnapdragon Xモデルと比較して大幅に劣ります。そのため、PCゲームのプレイや、GPUアクセラレーションを多用する高度なクリエイティブ作業には全く不向きです 7。
- 限定的なCPUマルチコア性能: 8コア構成であるため、物理的なコア数の多い競合製品(Core Ultra 7やRyzen 7など)や、12コア/10コアの上位Snapdragon Xモデルと比較すると、マルチスレッド処理能力には限界があります。複数の高負荷アプリケーションを同時に実行するようなヘビーな使い方には向きません 21。
- x86/x64エミュレーションの課題: 多くの既存Windowsアプリケーションはエミュレーションを通じて動作しますが、一部のアプリケーションではパフォーマンスが低下したり、互換性の問題(動作しない、不安定になるなど)が発生する可能性があります。特に特定のドライバや日本語入力ソフト(ATOK)など、代替が難しいソフトウェアに依存しているユーザーは注意が必要です。Armネイティブアプリケーションのエコシステムがまだ発展途上であることが、依然として課題となっています 17。
7.3. 市場における位置づけと最適な用途
これらの強みと弱みを踏まえると、X1P-42-100の市場における位置づけと、どのようなユーザーや用途に適しているかが見えてきます。
- 市場における位置づけ: Snapdragon Xシリーズのエントリーモデルとして、手頃な価格帯でCopilot+ PC体験を提供することを目的とした戦略的な製品です 6。主な競合ターゲットは、Intel Core Ultra 5のUシリーズやHシリーズの下位モデル、AMD Ryzen 5のUシリーズやHSシリーズを搭載したノートPCと考えられます。
- 最適な用途:
- モバイルワーカーや学生: 外出先での利用が多く、バッテリー持続時間を最優先するユーザー。文書作成、Webブラウジング、メール、ビデオ会議といった基本的な生産性タスクが中心であれば、十分な性能と快適性(静音性、低発熱)を提供します。
- オンデバイスAIに関心のあるアーリーアダプター: 最新のWindows AI機能(Cocreator, Studio Effectsなど)を試してみたい、あるいは活用したいと考えているユーザー。NPU性能の高さを活かせます。
- メディア消費: 高精細な有機ELディスプレイなどを搭載したデバイスであれば、動画視聴などのエンターテイメント用途にも適しています。ただし、ストリーミング再生時のバッテリー消費などには注意が必要です。
- 不向きな用途:
- ゲーマー: GPU性能が決定的に不足しているため、カジュアルゲーム以外をプレイしたいユーザーには推奨できません。
- ヘビーなクリエイター: 高度な動画編集、3Dレンダリング、大規模な写真編集など、高いCPUマルチコア性能やGPUアクセラレーション性能を必要とするプロフェッショナルな作業には力不足です。
- 特定のレガシーソフトウェアや周辺機器が必須のユーザー: 業務や趣味で利用しているソフトウェアや周辺機器がArm版Windowsのエミュレーション環境で確実に動作するかどうか、事前の確認が不可欠です。互換性に懸念がある場合は避けるべきでしょう。
X1P-42-100は、「CPU性能はそこそこ、GPU性能は弱い、しかしバッテリー持続時間とNPU(AI)性能は非常に強い」という、明確な個性を持ったプロセッサです。これは、従来のx86 PCとは異なる価値(圧倒的なバッテリー寿命とオンデバイスAI機能)を、比較的安価な価格帯で提供しようとするQualcommとMicrosoftの意図を色濃く反映しています。
この戦略が成功するかどうかは、ターゲットとするユーザー層(モバイルワーカー、学生、AIアーリーアダプターなど)に、この新しい価値提案がどれだけ魅力的に映るか、そしてWindows on Armのエコシステム全体が、ソフトウェア互換性の課題を克服し、強力なNPUを活かす魅力的なアプリケーションを今後どれだけ増やしていけるかにかかっています。GPU性能の低さは、用途を大きく限定する要因となるため、購入を検討するユーザーは、自身のPCの使い方とX1P-42-100の性能特性を照らし合わせ、慎重に判断する必要があります。
8. まとめ
Snapdragon X Plus X1P-42-100は、Windows PC市場に新たな選択肢をもたらす意欲的なプロセッサです。その最大の魅力は、卓越したバッテリー持続時間と、現行ノートPC向けSoCとしては最高クラスの45 TOPS NPU性能を、より手頃な価格帯で実現している点にあります。これにより、外出先での長時間利用や、デバイス上で直接実行される先進的なAI機能を重視するユーザーにとっては、非常に魅力的な選択肢となり得ます。日常的なオフィスワークやWebブラウジング、ビデオ会議、そしてOS標準のAI機能の利用には十分な性能を備えています。
しかしながら、その一方で明確なトレードオフも存在します。特に内蔵GPUの性能は大幅に低く抑えられており、PCゲームのプレイやグラフィック負荷の高いクリエイティブ作業には全く適していません。また、CPUのマルチコア性能も上位モデルや競合製品と比較すると限定的です。さらに、Arm版Windowsのエコシステムはまだ発展途上であり、既存のx86/x64アプリケーションとの互換性やエミュレーション時のパフォーマンス低下には依然として注意が必要です。
結論として、Snapdragon X Plus X1P-42-100は、特定のニーズには非常によく応える一方で、万能なプロセッサではありません。その性能特性(バッテリーとAIは強いが、GPUは弱い)を十分に理解し、自身の用途がそれに合致するかどうかを見極めることが重要です。
本チップおよびSnapdragon Xシリーズ全体の登場は、長らくIntelとAMDが支配してきたWindows PC市場に、Armアーキテクチャが本格的に再挑戦する号砲と言えます。今後、ソフトウェアベンダーによるArmネイティブアプリケーションへの対応や、NPUを活用したAIアプリケーションの開発が進むことで、X1P-42-100を搭載したデバイスの価値はさらに高まる可能性があります。Windows on Armエコシステムの今後の成熟が、この新しいプラットフォームの将来を左右する重要な鍵となるでしょう。
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