シン・ウルトラマンの感想|1975年生まれ男性

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会社の上司がシン・ウルトラマンが面白いって言っていたので、遅ればせながら観てまいりました。
せっかくなので感想などつらつら書いていきます。

最初に結論を述べておきますと、凄く面白かったです。

積極的にネタバレするつもりはないのですが、敏感な方にはバレと受け取られかねないことも書いてしまうかもしれないので、その辺を気にする方はここらで離脱ください。正直、加減がわからん。

とりま、気分を盛り上げるために予告編を貼っておきます。

シン・ウルトラマンを振り返って思うのは、A級のVFXエンタメ邦画がフツーに見られるようになったほどに制作体制が質的向上を果たした幸せを嚙みしめたい、ということ。

ブイブイ言わせてたハリウッド映画で目が肥えてしまった我々にとって、特にスターウォーズ以降に邦画の質の絶対的格差は明らかで、興行成績上は死屍累々。その頃に多感な小学生~大学生を過ごした昭和50年代生まれの我々世代は、地雷なVFX系邦画を幾度となく踏み抜き、ひねくれて星をにらんでた。

「トップガン」を観た後に「ベストガイ」を観て技術力の差(大人になってからはマネーパワーも)に絶望していたはずなのに、いつの間にかしっかり調教された我々は「ターミネーター2」を観た後に「ミカドロイド」「ガンヘッド」を観ても、これはこれでアリかと思ってしまうぐらいになっていた。それが昭和50年代生まれオタクなのだ。

ちょっと上の世代はスターウォーズ上陸以前に、卑屈になることなく日本の怪獣&特撮の黄金期に青春を謳歌していたのに比べると、我々世代は殊の外「邦画のVFX大作」はトラウマゾーンだった。

そんな実写系でなんとか踏ん張りを見せてくれたのが、今回のシン・ウルトラマンの監督である樋口真嗣氏。平成ガメラシリーズを映画館で楽しめたのは、誠に得難い経験でしたわ。特に「ガメラ2 レギオン襲来」は乾坤一擲の快作だといまだに思う。続く実験的意欲作の「巨神兵東京に現わる」でも衝撃を喰らい、ホップ→ステップのあとの特大ジャンプ「シン・ゴジラ」ではエンタメ映画として大成功を収めるに至り、青春時代のトラウマが浄化してくれた大恩人。

そんな流れを受けての「シン・ウルトラマン」鑑賞。
子供も大人も楽しめる、正しく、真のエンタメ、真の怪獣映画、真のヒーロー映画、だった。

劇中、自分の四十数年分のウルトラ(怪獣)知識を動員して楽しめたし、旧ウルトラマンに限らず昭和・平成の諸々の怪獣コンテンツに思いを馳せながら、新たな設定上の意味づけや演出に感心したりもできて気持ちが盛り上がりまくり。

ケイブンシャのウルトラ怪獣大百科的なやつをボロボロになるまで読み込んでいた諸兄にとっては、脳内深層に刻まれて情報が急速浮上してくる謎の感覚すら引き起こしながら鑑賞していたと思うんだが、この現象に名前つけたいぐらいだ。

あと、私の中では平成ウルトラマン系よりも結びつきが強く感じたのは「MM9」。
山本弘の原作小説も好きで、アレンジされたドラマ版も好み。お役所が主人公ってのに燃えるから。

シン・ウルトラマンの内容そのものにも、いろいろ語りたいことがあるんだけど、結論「楽しい、面白かった」にしかならんので、死ぬまでに何回も観たい。特に、冒頭15分ぐらいはトぶゾ。

米津玄師の「M八七」もウルトラマン史上最良と言っても過言ではないと思われる名曲。
オリコンチャート初登場週間1位は伊達じゃとれんよ。
しっかりウルトラマンを詠った曲でありながら、且つ、いつまでも聴いていたいサウンド。
そう、サウンドが己の心を打つという経験はウルトラマン楽曲では初めてなんじゃないだろうか。
シン・ゴジラは伊福部昭の楽曲を伝え継ぐべき古典として遇したのに対し、シン・ウルトラマンはM八七でもって素晴らしきリブートの余韻で締めた。ウルトラマンは永遠にその時代を映し貪欲に吸収しながら発展し続けることを示したようにも思われてならない。