Wi-Fi 7&Wi-Fi 6Eで一躍脚光を浴びる、新周波数帯域『6GHz』のメリット・デメリット

Wi-Fi 6GHz Wi-Fi、LAN

こんにちは、マトメレです。
今日は「Wi-Fi」(ワイファイ)のスピードUP・安定性UPにつながる話題です。
Wi-Fi向けに新たに開放された周波数「6GHz」について掘り下げます。

23年ぶりに解禁された新周波数「6GHz」

不肖このワタクシ、Wi-Fiを20年以上も使ってます。
ただ利用しているってだけではなく、Wi-Fi系の新技術が出てくるたびに積極的に通信環境のパワーアップをしてます。インターネット大好きなので、少しでも快適にしたいですからね。

そんな理由もあってWi-Fiルーターの買い替えは平均的なご家庭よりも多いと思う。通信強化の新機能が搭載されたとなればバンバン乗り換えてます。とは言えハイエンドモデルをモリモリと購入するほどの財力は無いので、新技術がミドルクラスのモデルに搭載されたあたりの「オイシイところ」で買うので、ガチのマニアというわけではない、そういう立ち位置です。

さて、ここからが本題。

Wi-Fiについて人並み以上に注目しているマトメレ的視点で見ても、23年ぶりにWi-Fi向けに追加解禁された新周波数「6GHz」はかなりのビッグニュース。なんと言っても最大の魅力は「スピードアップ」による快適な通信ですから、使わない理由はありません。

Wi-Fiの主力周波数は「5GHz」となって久しいですが、その5GHzがWi-Fi用途で解禁されたのが1999年。ここに来て6GHzという新たなフロンティアが登場したことは、歴史的なターニングポイントと言っても過言ではないです。

一方でニュースサイトやメーカーのWi-Fi 6EやWi-Fi 7の説明記事では、淡々というか淡白な説明のためイマイチ「凄いことだぞっ!」という圧が伝わってこない。

つまり、この記事のテーマは「6GHzという新周波数のメリットを深掘りする」の観点で、新世代Wi-Fiについて説明していきたいと想います。

今の6GHzは「空いてる高速道路(みたいな)」

6GHzの価値を理解するには、「混雑」と「空いてる」に着目するとわかりやすい。

Wi-Fiの「混雑」とは

皆さんよくご存知の通り、Wi-Fiは電波を使った通信技術です。
そして「電波」の特性として、同じ周波数の電波と電波はお互いに干渉します。
つまり、「自分の通信のための電波」が「他人の電波」に妨害されます。立場を逆にすると、自分の出した電波が原因で誰かの通信を妨害する可能性がある。

Wi-Fiでは、一定数までは同じ周波数が被らないように工夫(チャンネル分け)されているものの、ものには限度というものがあるのでアパートやマンションのような集合住宅や繁華街のような住宅密集地では、チャンネル分けの限界突破が常態化している。

スマホでWi-Fiの接続先を検索すると、ズラズラ~っと候補リストが出てきます。
それだけ接続先の候補が出てくるのは、Wi-Fiルーターなど親機が多数設置されているからに他なりません。
十数個もリストに出ているのであればほぼ確実に電波干渉は発生しているはず。つまり、余程の田舎でも無い限りWi-Fiは「混雑している」のが当たり前ということ。知ってました?

Wi-Fi混雑の悪影響

電波が混雑しているときの悪影響については、皆さん割りと経験していると想います。
花火大会やコミケ会場では携帯電話の電波がつながりにくくなるし、満員電車の中ではBluetoothイヤフォンが音飛びしまくる。

Wi-Fiの混雑で起きうる悪影響は
・スピードが遅くなる
・通信が不安定になる
の2つが代表的。

しかも、自宅や職場など、よく使う場所でのことなので日常生活に密接に関わります。

上司や商談相手とオンラインミーティングしているときに通信が不安定になって、自分だけ気まずい感じになったり、ネット配信の映画を鑑賞中にちょいちょい読み込みが発生してストーリーに集中できなくなったりと「不安定さ」が実害につながることも。

「スピード」に関しては単に大容量データの読み込み時間が長くなるならまだマシな方で、オンラインゲームの対戦時に「ラグ」が頻発するとかがやっかい。

10年前なら「Wi-Fiはつながれば良い」で済まされていたかもしれない。でも、今日ではインターネット通信の快適さがQoL(Quality of Life)に直結するし、Wi-Fi通信が重要な経路であることは厳然たる事実なのでけして軽視できないのです。

※「携帯電話の混雑」は、基地局側の同時接続の許容量という別の要素もあるので、必ずしも周波数帯域の枯渇だけが原因ではないので念のため付記しておきます。

他所が混んでてても、自分は「空いてる」ことの価値

Wi-Fiの混雑がイメージできたところで「6GHzは空いてる」について触れていきたい。

お察しの通り、空いてること自体にメリットしかない。

従来のWi-Fi(2.4GHz、5GHz)は、過去20年間に全国津々浦々に普及。
一方で新周波数の6GHzはと言うと、電波法で解禁され、対応するWi-Fiルーターが発売されてから日も浅い。Wi-Fi製品の販売ランキングを見てもTOP10圏内に1~2製品も入ってるかどうか。

つまり「新周波数の6GHz」を使っている人はまだまだ少数派。それこそ意識の高いガジェットマニアぐらいしか使ってないので絶対数が少ない、つまり「ガラ空き」もいいとこ。

空いてる、故に妨害によるスピード低下が発生しにくい。
少なくとも、どろっどろに混み合ってる従来の2.4GHzや5GHzの電波よりも相対的に有利なのは間違いない。

Wi-Fi混雑NG

弱点が長所になる!? 電波特性からみた6GHzの良さ

事実、周波数の高い電波は障害物に弱い。
これまでもWi-Fiの2つの周波数は「障害物を回り込んで遠くまで届きやすい2.4GHz」と「障害物で減衰しやすい5GHz」と言われていた。6GHzでは5GHzよりも周波数が一段上がることになるため、障害物による減衰効果がより強く出ても不思議ではない。

だが、これも視点を変えるとメリットとも考えられる。
将来的に6GHzのWi-Fiがある程度普及しても「他所の家から漏れ出した電波」が我が家まで到達しにくくなるから。

例えば5GHzはギリギリ電波が到達して妨害を受けるが、6GHzの電波は到達せず妨害されないという状況が一定の割合で出てくるのを期待している。仮に干渉範囲が5GHzで半径100m、6GHzが半径80mのように考えてみるとイメージしやすくなるかも。窓の外から飛び込んできたり、家の外壁を貫通してくる外部の電波が減るのは、ことWi-Fiでは望むところ。

向こう数年は混雑を気にするほど普及しないが、廃れもしない

某テーマパークには、並ばずにアトラクションを楽しめるファストパスとかエクスプレスパスとかありますが、Wi-Fi界ではまさに「6GHz」利用がそれに類するかもしれません。

快適さをお金で買うということに他なりませんが、6GHz導入のアドバンテージはそれなりに長期で享受できるのではないかと考えます。このように考える理由をいくつか挙げます。

6GHz対応Wi-Fiルーターのエントリーモデルが登場していない

「混雑」度合いは、どれだけの台数の6GHz対応Wi-Fiルーターが電波を飛ばすかにかかっています。

Wi-Fiルーターの販売ランキングでは、基本的に低価格帯のエントリーモデル、またはもう一段上のローミドルモデルに人気が集中しています。この価格帯に6GHz対応のWi-Fiルーターはまだ出てきていないため「数」がなかなか揃わず、一般的な住宅街で「6GHzが混雑する」ほどの密度に達しないのではないかと推察されます。

つながれば良い、のコスパ重視派はまず買わない

この記事を読んでいる人には該当しないと想いますが、「Wi-Fiルーターをよく調べずにフィーリングで買う層」というのはそれなりにいらっしゃいます。現状「売れてそう」「コスパが良い」の判断基準で機種選定すると「Wi-Fi 6(6GHz非対応)のミドルクラス」あたりに落ち着くので、ワンランク上の6GHz対応Wi-Fi 6Eがまだまだ選ばれにくい。

バッファローなどの主要メーカーが、6GHz対応モデルの下位に6GHz非対応モデルを置くラインナップをしているうちは、コスパ重視派の買い物が6GHzの混雑に影響しなさそう。

また、新規格のWi-Fi 7が2023年の年末に解禁されるも、こちらは2024年にやっとハイエンドモデルから投入されてくるのを考えると、数の上では主流になるのは当分先になる見込み。3年かかるか5年かかるかは全くの未知数。だって、まだまだWi-Fi 5世代で頑張っているご家庭も多いですもんね。

安心してください!マイナーでも6GHz対応モデルは消え去らない

急激には普及しないからといっても、6GHz対応のWi-Fiが滅ぶわけではないです。
Wi-Fiは「後方互換性」、つまり過去世代の規格は見捨てずに使えるようにする方針でここまできました。前例に倣うと、Wi-Fi 6EもWi-Fi 7が消え去ることはない(ハズ)。

また、対応するガジェット(子機側)も順調に増えてます。
Apple製品だけ見ても結構な数が既に対応済みで、今後出てくる主要品ももちろん対応するはず。最下位モデルなどは、上位品との差別化であえて搭載しない可能性はありますが。

iMac (24-inch, 2023)
MacBook Pro (14-inch, Nov 2023)
MacBook Pro (16-inch, Nov 2023)
MacBook Pro (14-inch, 2023) または MacBook Pro (16-inch, 2023) 
Mac mini (2023)
Mac Studio (2023)
Mac Pro (2023)
iPhone 15 Pro または iPhone 15 Pro Max
iPad Pro 11 インチ (第 4 世代) または iPad Pro 12.9 インチ (第 6 世代)

あと、低価格なガジェットとしては、Amazon Fire TV Stick 4K Maxが注目株。4K動画のストリーミングに通信スピードをしっかり確保する意味で理にかなっているように思われます。

もちろん、Windows PCやAndroidスマホなどでも続々対応していて、数が多すぎて個別に書ききれないほどです。

6GHzのWi-Fiを使うには

6GHz対応Wi-Fiルーター(親機)の選び方

Wi-Fiルーターの主要メーカーから6GHz対応Wi-Fiルーターは既に登場済みです。
この記事を執筆している2024年1月時点の状況としては
・Wi-Fi 6E:ハイミドルクラス(2万円前後)のWi-Fiルーターに対応機種あり。
・Wi-Fi 7:各社フルスペック版は近日または2024年中に発売を予定。

Wi-Fi 6E世代イチオシ

ミドルクラスの手が届きやすい価格帯のWi-Fi 6Eとして人気あり。

金に糸目をつけないぜ、という方に人気なハイエンド・フラッグシップモデルはこちら。

6GHz対応Wi-Fi子機

パソコン用のアダプター製品も散見されます。
PCへの接続端子などの確認の上、適合品を選べますね。

6GHzは「Wi-Fi 6E」と「Wi-Fi 7」のどっちを選ぶか

2022年の6GHz解禁時に国内利用ができるようになった新規格が「Wi-Fi 6E」。
先行していた第6世代「Wi-Fi 6(周波数は2.4GHz・5GHz)」の技術を6GHz向けに拡張(Extended)したものがWi-Fi 6Eと呼ばれることに。

ちなみに「Wi-Fi 6E」とか「Wi-Fi 5」はWi-Fiの世代をわかりやすく表現した愛称的なものです。米国電気電子学会(IEEE)で定められた規格の正式名称としては、「Wi-Fi6」も「Wi-Fi 6E」も同じIEEE802.11axが用いられてます。このことからもWi-Fi 6Eの立ち位置がわかります。

また、「Wi-Fi 7」(IEEE802.11be)は2023年年末の電波法改正で国内でも解禁されました。正確には、電波法がWi-Fi 7の性能を引き出せる仕様に変わったわけですが。
早速、各メーカーから2024年中の製品発売が予告され、早いメーカーでは春を待たずに新商品が出るのではないかと噂されています。

Wi-Fiの第6世代と第7世代の差

同じ6GHzの電波で通信するWi-Fi規格である「Wi-Fi 6E」と「Wi-Fi 7」の違いが気になるところ。

端的に言うと「スピードが上がる」です。
そのための要素技術が新世代のWi-Fi 7ではより新しい技術が盛り込まれています。

過去のWi-Fi規格で速度が上がる際にポイントになっていた、「通信の帯域幅」も改良されています。
もともと、従来のWi-Fiでは1チャンネルあたりの帯域幅は「20MHz」が基準で、これに照らすと
■Wi-Fi 6(E):160MHz幅(8チャンネル分)
■Wi-Fi 7:320MHz幅(16チャンネル分)
をそれぞれ使用することになります。
速度の根幹が2倍になっている、これだけ見てもWi-Fi 7の優位性は一目瞭然です。

出典 https://www.buffalo.jp/press/detail/20231222-01.html

マトメレ的視点「2024年にWi-Fi買うならこうする」

マトメレ的視点では、大手メーカーから3万円近辺(ラインナップの序列「上の下」)ぐらいでWi-Fi 7対応ルーターが発売されたら買い時と見ています。

もちろん、切迫した環境改善が必要な場合、Wi-Fi 6E対応ルーターを買ってよし。
一方で余程の急ぎ出ない限り、春~夏ぐらいに登場するであろうWi-Fi 7対応ルーターのラインナップを見極める心の余裕があってもよい。

もし今、Wi-Fi 6Eのミドルクラスを1.5万円で購入し、3年後ぐらいにWi-Fi 7のミドルクラスをまた1.5万円で買う場合、合計の支出は3万円になります。
それよりは、Wi-Fi 7を今年買って長く使った方が満足度は高いんじゃないかな。

まとめ

Wi-Fiのパワーアップを図るなら断然「6GHz」の利用がオススメ。

従来のWi-Fi周波数(2.4GHz・5GHz)は混雑している。

6GHzは空いている、混雑していない。

2024年にWi-Fiルーターを買うならWi-Fi 7のラインナップが揃うのを待ちたい。