ROG Phone 9 ベンチマークまとめ

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概要:最高峰の性能をより身近にするスタンダードモデル

2025年3月28日、ASUSは日本市場向けに最新のゲーミングスマートフォン「ROG Phone 9」を投入した。本機は、クアルコムの革新的な「Snapdragon 8 Elite」を搭載したシリーズの基幹モデルであり、上位機種と共通の演算能力を維持しながら、より多くのユーザーが手に取りやすい構成へと最適化されている。

ROG Phone 9は、前世代で好評を博した「ゲーミング性能と日常の使い勝手の両立」をさらに一歩進め、日本国内向けにはFeliCa(おサイフケータイ)や防水防塵(IP65/IP68)への対応、さらにシリーズ初のeSIM対応といった利便性を強化している。本レポートでは、12GBメモリを搭載した標準モデルとしてのベンチマーク性能、熱管理、そして独自のAI機能を中心に、その実力を詳細に分析する。

第1章:ROG Phone 9の仕様と国内市場における立ち位置

ROG Phone 9は、シリーズの中で最も「スタンダード」な位置づけでありながら、その中身は他社のフラグシップを凌駕するスペックで構成されている。

基本スペックと価格

日本国内版のROG Phone 9は、メモリ12GB、ストレージ256GBの構成で展開され、公式販売価格は159,800円(税込)となっている。

  • SoC: Snapdragon 8 Elite (最大4.3GHz)
  • メモリ: 12GB LPDDR5X
  • ストレージ: 256GB UFS 4.0
  • ディスプレイ: 6.78インチ LTPO AMOLED (最大185Hz)
  • 背面パネル: AniMe Vision (85個の可動式ミニLED)
  • 重量: 227g

上位のProモデルとの主な違いは、背面のミニLED(AniMe Vision)の数、望遠カメラの有無(標準モデルはマクロレンズ)、および内蔵メモリ容量である。しかし、ゲーム体験の核となるSoCやディスプレイ、バッテリー容量については共通しており、コストパフォーマンスの高さが際立っている。

第2章:Snapdragon 8 Eliteと185Hzディスプレイのメカニズム

ROG Phone 9の最大の特徴は、新世代の演算能力と表示能力の融合にある。

Oryon CPUによる演算革命

搭載されるSnapdragon 8 Eliteは、TSMCの3nmプロセスで製造され、独自の「Qualcomm Oryon CPU」を採用している。これまでのチップ構成とは異なり、電力効率を重視した「リトルコア」を廃止し、2つのプライムコア(4.32GHz)と6つのパフォーマンスコア(3.53GHz)という、高負荷処理に特化した全8コア構成となっている 1。これにより、CPU性能は前世代比で45%向上、GPU性能も40%向上している。

業界最高速のリフレッシュレート:185Hz

ディスプレイは、1Hzから120Hzまで動的に変化するLTPO技術に加え、Game Genie設定時にはスマートフォン史上最高クラスの185Hzリフレッシュレートを実現する。

これにより、従来の165Hz機と比較してもさらに残像感の少ない描画が可能となり、特にFPSゲームにおける敵の視認性や、高速な画面スクロール時の滑らかさが劇的に向上している。

第3章:実機ベンチマークスコアの検証(12GBモデル)

ROG Phone 9(メモリ12GB版)を用いた合成ベンチマークの結果を分析する。X-Mode(パフォーマンス最大化モード)を有効にした際のスループットは、現行のAndroid端末の中で最高峰の部類に属する。

合成ベンチマーク結果

表1:ROG Phone 9 (12GB) ベンチマークスコア

項目スコア (中央値/実測値)備考
AnTuTu Benchmark v10/v112,780,000 – 2,900,000+GPUスコアは約120万点超え
Geekbench 6 (Single-Core)3,012 – 3,142シングルスレッド性能の大幅向上
Geekbench 6 (Multi-Core)9,543 – 9,779マルチスレッドは約1万点に迫る
3DMark Wild Life Extreme5,555 – 5,642安定したグラフィックス描画能力
PCMark Work 3.025,711 – 27,597日常作業の快適性も非常に高い

AnTuTuスコアにおいて、前世代のROG Phone 8(約220万点前後)から大幅な飛躍を遂げており、GPUスコアだけでも120万点を超える驚異的な数値を記録している。12GBのRAM容量であっても、Snapdragon 8 Eliteのポテンシャルを十分に引き出せていることがわかる。

ゲーミング・パフォーマンスの実感

実タイトルでの動作においても、その性能は顕著である。

  • 『原神』: 最高画質設定において、60fpsをほぼ完璧に維持可能である。
  • 『ゼンレスゾーンゼロ』: 非常に重いとされる市街地や激しいエフェクトが重なる戦闘シーンでも、目立ったフレームドロップ(カクつき)がなく、安定して動作する。
  • 185Hzの恩恵: 対応タイトル(一部の軽量なFPSや2Dアクション)では、異次元の滑らかさを体験できる。120Hzから185Hzへのアップグレードは、競技性の高いプレイヤーにとって明確なアドバンテージとなる。

第4章:熱管理システム「GameCool 9」と冷却オプション

ROG Phone 9は、Snapdragon 8 Eliteが発する熱を効率的に逃がすため、独自の「GameCool 9」システムを搭載している。

内部冷却構造と新アクセサリ

  1. 360° SoC Cooling System: SoCを端末の中央に配置し、両側からバッテリーで挟むことで、熱を効率的に分散させる設計を採用している 3
  2. グラファイトシートの拡大: 放熱用グラファイトシートの体積を前モデルから57%拡大し、冷却効率を12%向上させた。
  3. ROG Chill Case(別売): 標準モデル向けに注目すべきオプションが、新登場の「ROG Chill Case」である。これにはベイパーチャンバーが内蔵されており、装着するだけで本体温度を最大17%低下させることが可能である。

外部冷却ファン「AeroActive Cooler X Pro」(別売)を装着した場合、長時間の高負荷状態でも表面温度を40度以下に保つことができ、パフォーマンスの安定性は98%以上に達する 5

第5章:AI機能とカメラ性能の最適化

標準モデルのROG Phone 9においても、最新のAI Gaming機能は余すことなく提供されている。

進化したAIアシスタント機能

  • X Sense 3.0: AI画像認識により、特定のゲーム内でアイテムを自動取得したり、キャラクターのスキルを自動的にレベルアップさせたりする。
  • AI Grabber 2.0: ゲーム内のテキストを認識し、即座に攻略情報を検索したりリアルタイムで翻訳したりできる。
  • X Capture 2.0: 勝利の瞬間やガチャの「神引き」の場面をAIが判断し、自動で録画保存する。

カメラ構成:マクロレンズへの特化

上位機種が望遠レンズを搭載しているのに対し、標準モデルのROG Phone 9は「500万画素のマクロカメラ」を搭載しているのが特徴である。

  • メインカメラ: 5,000万画素のSony Lytia 700センサーを採用。強力な「6軸ハイブリッドジンバルスタビライザー 4.0」により、歩きながらの動画撮影でも非常に揺れの少ない映像が撮れる。
  • マクロ撮影: 極小の世界を鮮明に捉えることができ、ホビーや植物の撮影などに適している。
  • AI Panning: 被写体の動きに合わせて背景を綺麗にぼかす流し撮り機能をAIがサポートする。

第6章:バッテリー性能と日常使いの利便性

ROG Phone 9は、5,800mAhという化け物級のバッテリー容量を誇る。

驚異のスタミナと急速充電

  • 持続時間: Snapdragon 8 Eliteの省電力性とLTPOディスプレイの恩恵により、通常のWebブラウジングテストでは20時間を超えるスコアを記録。これはiPhone 16 Pro Maxなどの競合機を圧倒するスタミナである 6
  • 充電: 65Wの有線急速充電に対応し、0%から100%まで約46分で完了する。また、15Wのワイヤレス充電やおサイフケータイ、eSIMへの対応により、メイン端末としての完成度が非常に高い。

AniMe Vision(85ドット版)の役割

ROG Phone 9の背面には85個のミニLEDが搭載されている。Proモデルほどの複雑なゲームプレイはできないが、時計、バッテリー残量、着信通知、アニメーションアイコンなどを表示でき、控えめながらもゲーミングデバイスらしい個性を演出している。

結論:専門家としての洞察

ROG Phone 9(標準モデル)は、単なる「下位互換」ではなく、ゲーミングスマートフォンの理想的な「基準点(スタンダード)」として完成されている。上位モデルと全く同じSnapdragon 8 Eliteチップと185Hzディスプレイを採用したことで、最も重要な「ゲーム体験」の質を一切妥協していない点が最大の魅力である。

159,800円という価格設定は、最新のフラグシップ機としては競争力があり、特に「望遠カメラよりもSoCのパワーを重視する」「過剰なメモリよりも現実的な12GBでの安定性を求める」という実利主義のユーザーにとって、最適な選択肢となるだろう。また、ROG Chill Caseの導入により、ファンを装着せずとも高い冷却性能を得られるようになった点も、モバイル性の向上に寄与している。

課題としては、依然としてOSアップデート期間が2年と短い点が挙げられるが、それを補って余りあるハードウェアの将来性とスタミナ、そしてAIによる快適な操作性は、2025年のAndroidスマートフォン市場において極めて強力なポジションを確立していると言える。

引用文献

  1. Asus ROG Phone 9 / 9 Pro Review – UL Benchmarks, 2月 9, 2026にアクセス、 https://benchmarks.ul.com/hardware/phone/Asus+ROG+Phone+9+*2F+9+Pro+review
  2. Qualcomm Snapdragon 8 Elite Mobile CPU (ROG Phone 9) – Geekbench Browser, 2月 9, 2026にアクセス、 https://browser.geekbench.com/v6/cpu/9331636
  3. ROG Phone 9 Pro | Gaming Phones|ROG – Republic of Gamers|ROG Global – ASUS, 2月 9, 2026にアクセス、 https://rog.asus.com/phones/rog-phone-9-pro/
  4. Cooling Solutions for Gaming Phones: A Deep Dive into ROG’s Thermal Mastery – ASUS, 2月 9, 2026にアクセス、 https://rog.asus.com/articles/smartphones/cooling-solutions-for-gaming-phones-a-deep-dive-into-rogs-thermal-mastery/
  5. Asus ROG Phone 9 Pro Review: Return of The King – Tech Advisor, 2月 9, 2026にアクセス、 https://www.techadvisor.com/article/2519415/asus-rog-phone-9-pro-review.html
  6. Asus ROG Phone 9 Pro review: Gaming pro and battery life legend – Tom’s Guide, 2月 9, 2026にアクセス、 https://www.tomsguide.com/phones/android-phones/asus-rog-phone-9-pro-review-gaming-pro-and-battery-life-legend
  7. Forget iPhone 16 Pro Max, the Asus ROG Phone 9 Pro has the best battery life we’ve ever seen | Tom’s Guide, 2月 9, 2026にアクセス、 https://www.tomsguide.com/phones/android-phones/forget-iphone-16-pro-max-the-asus-rog-phone-9-pro-has-the-best-battery-life-weve-ever-seen
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