Corsair MP700 PRO 2TB (CSSD-F2000GBMP700PNH) ベンチマークまとめ

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1. はじめに

本レポートは、Corsair社製 PCIe 5.0 x4 NVMe M.2 SSD、MP700 PRO 2TB ヒートシンク搭載モデル (型番: CSSD-F2000GBMP700PNH) の性能を、公開されているベンチマーク結果に基づき詳細に分析するものである。本製品は、Phison PS5026-E26 コントローラーとMicron製 232層 3D TLC NANDを採用し、現行最高クラスの転送速度を実現するハイエンドストレージとして、PCエンスージアストや高性能を要求するユーザーをターゲットとしている 1。本レポートでは、主要なベンチマークソフトウェアの結果、実世界でのパフォーマンス、および冷却性能に着目し、その性能特性を明らかにする。

2. 主な仕様

Corsair MP700 PRO 2TB (CSSD-F2000GBMP700PNH) の主要な技術仕様を以下に示す。これらの仕様は、PCIe Gen5インターフェースの帯域幅を最大限に活用するように設計されていることを示唆している。

仕様項目詳細出典
モデル番号CSSD-F2000GBMP700PNH4
容量2TB (フォーマット後実効容量 1863 GiB)1
フォームファクターM.2 22801
インターフェースPCIe Gen 5.0 x4, NVMe 2.01
コントローラーPhison PS5026-E261
NANDフラッシュMicron 232-Layer 3D TLC (B58R, 2000 MT/s)1
DRAMキャッシュ4GB LPDDR4-42661
シーケンシャルリード (最大)12,400 MB/s2
シーケンシャルライト (最大)11,800 MB/s2
ランダムリード (最大 IOPS)1,500,000 IOPS2
ランダムライト (最大 IOPS)1,600,000 IOPS2
総書き込みバイト数 (TBW)1400 TBW1
平均故障間隔 (MTBF)1,600,000 時間5
冷却機構アクティブエアクーラー (ファン搭載ヒートシンク)3
消費電力 (アクティブ平均)11.5W3
保証期間5年間1

特筆すべきは、オリジナルのMP700 (非Pro) が1600 MT/sのNANDを使用し最大10 GB/sクラスであったのに対し、MP700 Proではより高速な2000 MT/sのNANDを採用することで、シーケンシャル性能が12 GB/s超へと向上している点である 1。また、大容量のDRAMキャッシュは、マッピングテーブルなどのメタデータを保持し、ランダムアクセス性能の向上に寄与する 6

3. ベンチマーク性能 (合成テスト)

各種ベンチマークソフトウェアを用いた合成テスト結果は、ドライブの理論的な最大性能を示す指標となる。

3.1. CrystalDiskMark (CDM)

CrystalDiskMarkは、ストレージのシーケンシャルおよびランダムアクセス性能を測定する標準的なツールである。

  • シーケンシャル性能: 複数のレビューサイトにおいて、公称値である最大リード 12,400 MB/s、最大ライト 11,800 MB/s に近い、あるいはそれを達成する結果が報告されている 3。例えば、KitGuruのテストではリード 12,397 MB/s、ライト 11,821 MB/sを記録している 3。TweakTownも同様に公称値通りの性能を確認している 7
  • ランダム性能 (4K):
  • IOPS: Peak Performanceプロファイルを用いたテストでは、公称値のリード 1.5M IOPS、ライト 1.6M IOPSを達成、あるいはわずかに上回る結果 (例: リード 1.56M IOPS、ライト 1.62M IOPS) が得られている 3。これはエンタープライズ級SSDに匹敵するレベルである 2
  • 速度 (Q1T1): 低キューデプス (QD1 T1) におけるランダムリード性能は、他の12 GB/sクラスのドライブと同等の約 105 MB/s が報告されている 7。ssd-tester.comのCDM結果では、RND4K Q1T1でリード 190,809 IOPS (約 745 MB/s)、ライト 136,678 IOPS (約 534 MB/s) となっているが、テスト設定の違いによる可能性も考慮する必要がある 4。KitGuruのテストでは、4K Q1T1リードはCrucial T700 (ヒートシンクなし) よりわずかに速いが、ライトはT700の両モデルより若干遅いという結果であった 3

以下の表は、代表的なレビューサイトにおけるCDMの測定結果をまとめたものである。

ベンチマーク項目KitGuruTweakTownssd-tester.com公称値
Seq Read (MB/s)12,397~12,4008,138 (Q1T1)Up to 12,400
Seq Write (MB/s)11,821~11,8009,437 (Q1T1)Up to 11,800
Rnd Read 4K (IOPS, Peak)1,567,072~1,500,0001,327,190 (Q32T16)Up to 1.5M
Rnd Write 4K (IOPS, Peak)1,623,311~1,600,000995,832 (Q32T16)Up to 1.6M
Rnd Read 4K Q1T1 (MB/s)(Not specified MB/s)~105~745
Rnd Write 4K Q1T1 (MB/s)(Not specified MB/s)(Not specified)~534

注意: ssd-tester.comの結果は他のレビューと測定条件が異なる可能性があるため、直接比較には注意が必要。

3.2. ATTO Disk Benchmark

ATTO Disk Benchmarkは、異なるブロックサイズにおける転送速度を測定する。

KitGuruのテストでは、ATTOでの最大速度はリード 11,006 MB/s、ライト 11,003 MB/s と、CDMの結果や公称値にはわずかに届かなかった 3。ライト性能は256KBブロックサイズでピークに達し、その後8MBまで安定していた。リード性能は256KBから512KBで一度安定した後、再び上昇し8MBで11,530 MB/sに達した 3。TweakTownの分析では、QD4においてリードは4MB以上、ライトは128KB以上の転送サイズで性能が最大化される傾向が見られた 7。

ヒートシンクなしでテストした場合、大きなブロックサイズに近づくと温度上昇によりスロットリングが発生し、性能が低下することが確認されている (ただしこれはMP700 Proではなく、ファームウェア更新後のMP700でのテスト) 8。

3.3. AS SSD Benchmark

AS SSD Benchmarkは、独自のスコアリングとコピーテストを提供する。

  • スコア: ssd-tester.comでは、トータルスコア 12231 を記録している 4。KitGuruのテストでは、リードスコア 4760 で比較対象中3位だったが、ライトスコアは上位2ドライブよりも優れていた 3
  • シーケンシャル/4K性能: ssd-tester.comでは、Seqリード 7889.67 MB/s、Seqライト 9495.19 MB/s、4Kリード 77.57 MB/s、4Kライト 284.32 MB/s と報告されている 4
  • コピーベンチマーク: ssd-tester.comの結果では、ISO (大容量ファイル2つ) のコピーで 4084.89 MB/s (所要時間 0.56秒)、Program (多数の小容量ファイル) で 1488.40 MB/s (4.73秒)、Game (大小混合ファイル) で 2921.91 MB/s (2.36秒) であった 4

3.4. PCMark 10 Storage Benchmark

PCMark 10のFull System Drive Benchmarkは、OS起動、アプリケーション起動、ファイルコピーなど、日常的なタスクをシミュレートし、総合的なストレージ性能を評価する。MP700 Proはこのテストで高いスコアを示し、システム全体の応答性に貢献することが期待される 7。TweakTownのテストでは、このベンチマークで204GBのデータ書き込みが行われることが言及されている 7。Tom’s HardwareのMP700 (非Pro) のレビューでは、PCMark 10においてヒートシンク有無での差は見られなかったが、よりI/O速度の高いCrucial T700が若干良い結果を示した 8

4. 実世界でのパフォーマンス

合成ベンチマークの数値だけでなく、実際の使用シナリオにおけるパフォーマンスも重要である。

4.1. ファイル転送テスト

大容量ファイルや多数のファイルのコピー速度は、実用性能の指標となる。

  • DiskBench (50GBデータセット): Tom’s HardwareがMP700 (非Pro) で行ったテストでは、50GBのカスタムデータセット (31,227ファイル) のコピーにおいて、ヒートシンクの有無による差は見られなかった 8
  • 100GB データ転送テスト: TweakTownがMP700 Proで行ったテスト (62,000以上のファイルを含む100GB) では、書き込み性能において多くの8チャネルPCIe Gen5 SSDを上回る結果を示した。読み込み性能は8チャネルGen5 SSDよりは遅いものの、現行のどのPCIe Gen4 SSDよりも大幅に高速であった 7

これらの結果は、MP700 Proが大容量データのシーケンシャルな読み書きにおいて非常に高速であることを示しているが、多数の小容量ファイルが混在するような複雑な転送においては、コントローラーやファームウェアの最適化度が性能に影響を与える可能性を示唆している。

4.2. ゲームのロード時間

ゲームのロード時間は、特にゲーマーにとって重要な指標である。

  • 3DMark Storage Benchmark: ULのこのテストは、ゲームのインストール、保存、ロード、録画など、包括的なゲーミングシナリオをシミュレートする 7。MP700 Proはこのテストで非常に高いスコア (例: 6,100ポイント) を記録し、現行のフラッシュベースSSDとしては最高レベルのゲーミング性能を持つことが示されている 7
  • Microsoft DirectStorage: MP700 ProはDirectStorageに対応しており、対応ゲームにおいてGPUと直接通信することでロード時間を短縮し、CPU負荷を軽減する効果が期待される 5。Phison独自のI/O+技術も搭載されており、ゲーミング性能をさらに高めている 7
  • 個別ゲームロード時間: Final Fantasy XIV Endwalker Official Benchmarkや、Battlefield V, Call of Duty Black Ops 4, Overwatchなどの起動時間も測定されている 7。これらのテストでも高速なロード時間が期待できるが、最高級PCIe 4.0 SSDとの体感差は、ゲームやシステム構成によって限定的かもしれない 11

4.3. アプリケーションの起動とシステム応答性

OSの起動時間や、Adobe製品、Microsoft Officeなどのアプリケーション起動速度も評価されている。

  • Windows 11 起動時間: TechPowerUpのテスト項目に含まれている 12。高速なランダムリード性能により、起動時間の短縮が期待される。
  • 仮想化 (VMWare): 仮想マシンの起動、スナップショット作成、復元などの時間も測定されており、高性能が要求されるタスクでの応答性を示す 12
  • その他: ファイル圧縮 (WinRAR) 12、Officeインストール、テキスト検索、アンチウイルススキャン 12 など、様々な実用的なタスクでの性能が評価されている。

これらの実世界テストにおいてもMP700 Proは高速な性能を示すが、合成ベンチマークほどの劇的な差が体感できるかは、タスクの内容や既存のストレージ性能に依存する 11

4.4. 持続書き込み性能とSLCキャッシュ

NVMe SSDは、書き込み速度を向上させるためにSLCキャッシュを使用する。キャッシュが枯渇すると、ネイティブTLCへの書き込み速度に低下する。

  • SLCキャッシュサイズ: ssd-tester.comのHD Tune Pro Enduranceテスト (240GB書き込み) によると、MP700 Pro 2TBモデルのpSLCキャッシュサイズは約 212 GB と推定される 4
  • キャッシュ枯渇後の速度: キャッシュが満杯になった後、書き込み速度は低下する。Tom’s HardwareがMP700 (非Pro、新ファームウェア、ヒートシンクなし) で行った持続書き込みテストでは、スロットリングが発生し始めると、ドライブは書き込みと温度のバランスを取ろうとし、定常状態での書き込み速度は 800 MB/s 以下になった。これは低価格帯やQLCベースのSSDと比較すれば悪くない数値だが、ピーク性能からは大幅に低下する 8。適切な冷却があれば、より高い持続書き込み性能を維持できる可能性がある 8。TechPowerUpのレビューでは、MP700 Proの持続書き込み性能は「印象的」と評価されている 11

5. 温度特性とサーマルスロットリング (ヒートシンク搭載モデル – NH)

PCIe 5.0 SSD、特にPhison E26コントローラーを搭載したモデルは発熱が大きいことが知られており、適切な冷却が不可欠である 6。CSSD-F2000GBMP700PNHモデルにはアクティブエアクーラーが標準搭載されている。

5.1. 負荷時の温度

付属のヒートシンクは、高負荷時でもドライブを効果的に冷却することが確認されている。

  • TechPowerUpのサーマルテスト (ケース内でCPUとVGAの間に設置し、連続書き込み負荷) では、ヒートシンク表面温度は 57°C に留まり、サーマルスロットリングは発生しなかった 14。これは非常に優れた結果である。
  • TweakTownのテスト (CDM x9シーケンシャルを2回連続実行) でも、最高温度は 58°C と報告されており、冷却性能の高さを裏付けている 7
  • AnandTechのレビューコメントでは、ファン使用時の温度が 72°C に達したという言及もあるが、テスト条件や環境による差異と考えられる 2。一般的に、75°C以下に抑えることがスロットリング回避の目安とされる 8
  • ユーザーフォーラムの報告では、ピーク時でも60℃台に収まっているとの声がある 15

5.2. サーマルスロットリング

付属のアクティブクーラーを使用した場合、通常の高負荷テストではサーマルスロットリングは観察されていない 11。これは、ヒートシンクとファンの組み合わせが、ドライブの発生する熱 (最大約11.5W 5) を十分に放散できることを示している。

対照的に、適切な冷却がない場合、性能は著しく低下する。オリジナルのMP700発売当初は、過熱時にスロットリングではなくクラッシュする問題が報告されたが、ファームウェアの更新 (EQFM22.1など) により、より適切にスロットリングするよう改善された 6。それでも、ヒートシンクなしでの運用は推奨されず、性能低下や不安定化のリスクがある 8

5.3. ヒートシンクの設計とノイズ

MP700 Proに付属するアクティブクーラーは、アルミニウム製の大型ヒートシンクと小型ファンで構成されている 3

  • 冷却効果: レビューでは一貫してその冷却効果が高く評価されている 7
  • サイズ: ヒートシンクはドライブに約28mmの高さを加え、幅も若干広がるため、物理的な干渉に注意が必要 3
  • ファン制御: TechPowerUpによると、ファンは温度に関わらず常に一定速度で回転し、自動速度制御機能はない 11。ただし、マザーボードのファンヘッダーに接続するため、BIOS等からチップセット温度などを参照して手動で制御することは可能かもしれない 11
  • ノイズ: ファンは「非常に静か」ではないが、「うるさくもない」レベルと評価されている 11。TweakTownはノイズ汚染に気づかなかったと報告している 7。ユーザーによっては、ファンの存在をほとんど感じないとの意見もある 15。冷却性能には余裕があるため、ファン速度を少し落としても十分な冷却が可能かもしれないとの指摘もある 11

6. 競合製品との比較

MP700 Proの性能を相対的に評価するため、他のSSDと比較する。

6.1. 他の PCIe 5.0 SSD との比較

MP700 Proは、Crucial T700、Team Group Cardea Z540、Gigabyte AORUS Gen5 12000 など、同じく Phison E26 コントローラーと高速NAND を搭載した 12 GB/s クラスの PCIe 5.0 SSD と直接競合する 7

  • 性能: これらのドライブ間の性能差は、テスト項目によってわずかな優劣が見られるものの、全体としては同等レベルである 3。例えば、KitGuruのCDMテストでは、MP700 ProはランダムリードIOPSでCrucial T700を上回ったが、ランダムライトIOPSでは下回った 3
  • 価格: 発売当初の価格は、他の同クラスGen5 SSDと同程度であったが、競合製品の中にはより安価なものも存在した (例: Team Group Z540 $260、Gigabyte AORUS Gen5 $265、いずれもヒートシンクなし/パッシブ) 11。MP700 Proのヒートシンク付きモデルの価格設定 ($325/2TB) は、ヒートシンク代 ($25相当) を考慮すると妥当と評価されている 11

6.2. ハイエンド PCIe 4.0 SSD との比較

Samsung 990 Pro や WD Black SN850X などの高性能 PCIe 4.0 SSD と比較すると、MP700 Pro はシーケンシャルリード/ライト性能で最大 75% 高速である 5。しかし、ゲームのロード時間やアプリケーション起動時間といった実世界でのパフォーマンス向上は、それほど大きくない場合が多い 11。特に一般的なコンシューマー用途では、PCIe 4.0 SSD の性能で十分な場面が多く、Gen5 SSD の高価格に見合うメリットを感じにくい可能性がある 11。ただし、DirectStorageのような将来の技術を活用する場面では、Gen5の帯域幅がより活きてくる可能性がある 5

6.3. Corsair MP700 (非Pro) との比較

MP700 Pro は、先行モデルである MP700 (非Pro) からいくつかの重要な点で改良されている。

  • 速度向上: NANDフラッシュの動作速度が 1600 MT/s から 2000 MT/s に向上したことで、最大シーケンシャル性能が約 10 GB/s から 12.4 GB/s へと引き上げられた 1。ランダムIOPSも向上している 2
  • 冷却オプション: MP700 (非Pro) は当初ヒートシンクなしでの提供だったが、MP700 Pro では効果的なアクティブクーラー搭載モデルが標準で用意された 1。これにより、ユーザーは別途冷却ソリューションを用意する手間なく、安定した性能を得やすくなった。
  • ファームウェア: MP700 発売初期の過熱問題を教訓に、MP700 Pro (およびファームウェア更新後のMP700) では、過熱時のスロットリング挙動が改善されている 6

7. 消費電力

PCIe 5.0 SSD は、その高性能と引き換えに消費電力が高い傾向にある。

  • 負荷時: MP700 Pro 2TBモデルの平均アクティブ消費電力は 11.5W とされている 3。TechPowerUpの実測では最大 10W に達し、これはPhison E18 (Gen4) コントローラー搭載SSDの約1.5倍に相当する 11。典型的な負荷時でも 5-6W 程度を消費し、これは依然として高い数値である 11
  • アイドル時: アイドル時の消費電力も比較的高めであると指摘されている 11
  • 効率: 全体的に、電力効率は Gen4 SSD と比較して低い 8。高消費電力はシステム全体の温度上昇や電源ユニットへの負荷増につながるため、システム設計において考慮が必要である。

8. まとめと結論

Corsair MP700 PRO 2TB (CSSD-F2000GBMP700PNH) は、Phison E26 コントローラーと高速な Micron 232層 TLC NAND を組み合わせることで、公称値通りの最大 12.4 GB/s のシーケンシャルリード、11.8 GB/s のシーケンシャルライトという、現行最高クラスの性能を実現する PCIe 5.0 NVMe SSD である。ランダムアクセス性能 (最大 1.5M/1.6M IOPS) も非常に高く、特に大容量ファイルの転送や DirectStorage 対応ゲームなど、高い帯域幅を要求するタスクにおいてその能力を発揮する。

本製品の重要な特徴は、効果的なアクティブエアクーラーが標準で搭載されている点である。PCIe 5.0 SSD の大きな課題である発熱に対し、この冷却ソリューションは高負荷時でもサーマルスロットリングを抑制し、安定した性能維持に貢献する。先行モデル MP700 で指摘された熱問題への対応と性能向上が図られている点は評価できる。

一方で、いくつかのトレードオフも存在する。まず、実世界の一般的なアプリケーションやゲームのロード時間においては、高性能な PCIe 4.0 SSD からの体感的な性能向上は限定的である可能性がある。また、消費電力は Gen4 SSD と比較して大幅に高く、システムの冷却や電源容量に配慮が必要となる。さらに、最先端性能を追求するための価格プレミアムも考慮すべき点である。

結論として、Corsair MP700 PRO 2TB は、妥協のないストレージ性能を求めるエンスージアストや、大容量データの高速処理、将来のゲーミング技術 (DirectStorage) を最大限に活用したいユーザーにとって、魅力的な選択肢となる。ただし、その性能をフルに引き出すためには適切な冷却が不可欠であり、コストと消費電力の高さを許容できるかどうかが導入の判断基準となるだろう。一般的な用途においては、依然として高性能 PCIe 4.0 SSD がコストパフォーマンスに優れた選択肢であり続ける。

引用文献

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  2. Corsair Releases MP700 Pro SSDs: Up 12.4 GB/s With Three Cooling Options – AnandTech, 4月 25, 2025にアクセス、 https://www.anandtech.com/show/21142/corsairs-mp700-pro-ssds-hit-124-gbs-three-cooling-options
  3. Corsair MP700 PRO 2TB Review – KitGuru, 4月 25, 2025にアクセス、 https://www.kitguru.net/components/ssd-drives/simon-crisp/corsair-mp700-pro-2tb-review/all/1/
  4. TEST: Corsair MP700 2TB – SSD-Tester, 4月 25, 2025にアクセス、 https://ssd-tester.com/corsair_mp700_2tb.html
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  6. Corsair MP700 Pro SE SSD review: New and improved | Tom’s Hardware, 4月 25, 2025にアクセス、 https://www.tomshardware.com/pc-components/ssds/corsair-mp700-pro-se-ssd-review
  7. Corsair MP700 Pro 2TB SSD Review – Cool at 12,400 MB/s – TweakTown, 4月 25, 2025にアクセス、 https://www.tweaktown.com/reviews/10589/corsair-mp700-pro-2tb-ssd-cool-at-12-400-mb/index.html
  8. Corsair MP700 SSD Review: Brand Name PCIe 5.0 SSDs Are Finally Here – Page 2, 4月 25, 2025にアクセス、 https://www.tomshardware.com/reviews/corsair-mp700-ssd-review/2
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  10. Corsair MP700 Elite 2TB with Heatsink Gen 5 SSD Review – KitGuru, 4月 25, 2025にアクセス、 https://www.kitguru.net/components/ssd-drives/simon-crisp/corsair-mp700-elite-2tb-with-heatsink-gen-5-ssd-review/
  11. Corsair MP700 Pro 2 TB Review – Great Cooling Included – Value & Conclusion, 4月 25, 2025にアクセス、 https://www.techpowerup.com/review/corsair-mp700-pro-2-tb/19.html
  12. Corsair MP700 Pro 2 TB Review – Great Cooling Included – Windows 11 Startup, Virtualization & File Compression | TechPowerUp, 4月 25, 2025にアクセス、 https://www.techpowerup.com/review/corsair-mp700-pro-2-tb/9.html
  13. CORSAIR MP700 PRO For Fans Of PCIe 5.0 – PC Perspective, 4月 25, 2025にアクセス、 https://pcper.com/2023/11/corsair-mp700-pro-for-fans-of-pcie-5-0/
  14. Corsair MP700 Pro 2 TB Review – Great Cooling Included – Thermal Analysis & Throttling, 4月 25, 2025にアクセス、 https://www.techpowerup.com/review/corsair-mp700-pro-2-tb/8.html
  15. Corsair MP700 Pro 2 TB | TechPowerUp Forums, 4月 25, 2025にアクセス、 https://www.techpowerup.com/forums/threads/corsair-mp700-pro-2-tb.315686/
  16. Corsair MP700 PRO 2TB PCIe Gen5 NVMe SSD Review : r/hardware – Reddit, 4月 25, 2025にアクセス、 https://www.reddit.com/r/hardware/comments/185zo5w/corsair_mp700_pro_2tb_pcie_gen5_nvme_ssd_review/
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