Snapdragon 665 ベンチマークまとめ

SoC_Qualcomm-snapdragon CPU・SoC

1. 概要:Snapdragon 665 とベンチマークツール

1.1. Snapdragon 665 の技術的概要

Snapdragon 665 は、米Qualcomm社が設計・開発したモバイルデバイス向けSoC(System on a Chip)であり、同社のSnapdragonプロセッサファミリーに属します 1。このチップセットは2019年4月9日に発表され、11ナノメートル(nm)プロセス技術を用いて製造されています 2

CPUアーキテクチャは8コア構成を採用しており、性能重視の「Kryo 260 Gold」コア(最大2.0 GHz、クアッドコア)と、電力効率重視の「Kryo 260 Silver」コア(最大1.8 GHz、クアッドコア)を組み合わせています。グラフィックス処理を担当するGPUには「Adreno 610」が搭載されています 3

11nmというプロセスルールは、発表当時のミドルレンジSoCとしては標準的なものでしたが、後継チップや競合製品で採用されているより微細なプロセス(例:7nm、6nm)と比較すると、絶対的な性能や電力効率の面では不利になる可能性があります。Kryo 260コア(ARM Cortex-A73ベースのGoldコアとCortex-A53ベースのSilverコアのカスタム実装)とAdreno 610 GPUの組み合わせは、Snapdragon 665がミドルレンジ市場をターゲットとした性能特性を持つことを示唆しています。

1.2. 主要ベンチマークツールの紹介

スマートフォンのプロセッサ性能を客観的に測定し比較するためには、標準化されたベンチマークツールが広く用いられています。本レポートで参照する主なツールは以下の通りです。

  • AnTuTu Benchmark:
    Androidスマートフォンやタブレットの総合的なパフォーマンスを測定するための一般的なベンチマークアプリです 5。CPU、GPU(グラフィックス)、メモリ(RAM)、ストレージ(I/O)の性能を個別にテストし、それらを統合した総合スコアを算出します 6。多くのレビューサイトで参照されており、デバイスの全体的な性能感を把握する指標として利用されます。比較的アクセスしやすいインターフェースを持つとされています 8。
  • Geekbench:
    主にCPUの処理能力測定に特化したベンチマークツールです。プロセッサのコア単体の性能を示す「シングルコアスコア」と、全コアを使用した際の総合的な処理能力を示す「マルチコアスコア」を提供します 6。CPU性能が重要となるタスク(アプリの起動速度、複雑な計算処理など)におけるパフォーマンスを評価する際に有用です。
  • 3DMark:
    GPUのグラフィック描画性能を測定することに主眼を置いたベンチマークツールです。特に3Dゲームのパフォーマンスを予測する指標として重視されます。「Wild Life」や「Wild Life Extreme」といった複数のテストシナリオが存在します 10。AnTuTu Benchmarkのスコア内訳に含まれる「3Dスコア」または「GPUスコア」も、同様にグラフィック性能の目安となります 9。

これらのベンチマークツールは、それぞれ測定対象や評価基準が異なるため、単一のツールのスコアだけでなく、複数の結果を総合的に参照することで、プロセッサの性能特性をより多角的に理解することが可能になります。特に日本語の技術レビューサイトやガジェット系ブログでは、AnTuTuの総合スコアとGPUスコア、そしてGeekbenchのCPUスコアが頻繁に引用される傾向が見られます。

2. AnTuTu Benchmark スコア分析

AnTuTu Benchmarkの総合スコアは、デバイスの全体的な性能を示す指標として、日本語のレビュー記事などで最も広く参照されています。ここでは、複数の日本語ウェブサイトから収集したSnapdragon 665搭載デバイスのAnTuTuスコアを分析し、その性能水準とばらつきについて考察します。

2.1. 収集された AnTuTu 総合スコア

Snapdragon 665を搭載した異なるスマートフォンモデルにおいて、報告されているAnTuTu総合スコアには幅が見られます。

  • Xiaomi Mi A3(メモリ/ストレージ容量不明)では、総合スコアとして 139,887点 が報告されています 9
  • Realme 5i(メモリ4GB、Android 9搭載)では、総合スコア 172,886点 が記録されています 11
  • Xperia 10 II(メモリ/ストレージ容量不明、AnTuTu v9.3.9で測定)では、総合スコア 203,042点 が示されています 13
  • OPPO Reno3 A(メモリ6GB、Android 10搭載)については、具体的なスコア数値の記載は確認できませんでしたが、同社の旧モデルであるOPPO Reno A(Snapdragon 710搭載)と比較して、AnTuTuスコアがわずかに低いと報告されています 12。これは後述する性能比較において重要な情報となります。

参考として、英語圏の比較サイト「nanoreview.net」では、複数のデバイスから集計されたSnapdragon 665のAnTuTu v10における平均スコアとして約 235,500点 が示されています 6。これはXperia 10 IIで測定されたv9のスコア 13 に近い値ですが、AnTuTuのバージョン間のスコアリングアルゴリズムの違いや、集計対象デバイスの構成差などを考慮する必要があります。

また、ソニーのウォークマン「NW-ZX707」において、CPU情報表示アプリ「CPU-Z」が当初SoCをSnapdragon 665と誤認識した事例が報告されています。実際の搭載チップはQualcomm QCS4290であり、AnTuTuスコアも同時発表の「NW-A300シリーズ」(QCS2290搭載)より高いことが確認されています 14。これはSnapdragon 665の直接的なスコアではありませんが、デバイスやソフトウェアによるチップの誤認識が発生しうる可能性、およびベンチマークスコアが実際の搭載ハードウェアを反映していることを確認する重要性を示唆する事例と言えます。

2.2. CPU/GPU/メモリ/UX スコアの内訳

AnTuTu総合スコアの内訳を分析することで、プロセッサのどの部分(CPU、GPUなど)が性能に寄与しているか、あるいはボトルネックとなっているかをより詳細に把握できます。特にGPUスコアは、ゲーム性能との関連性が高いとされています。

  • Xiaomi Mi A3では、3D(GPU)スコアとして 31,405点 が報告されています 9
  • Realme 5i(メモリ4GB)では、3D(GPU)スコアとして 33,381点 が記録されています 11
  • OPPO Reno3 A(Snapdragon 665)と旧モデルのReno A(Snapdragon 710)の比較において、特にGPUスコアの差が大きいと指摘されています 12。これは、Snapdragon 665に搭載されているAdreno 610 GPUの性能が、Snapdragon 710に搭載されているAdreno 616 GPUよりも低いことを示唆しています。

参考として提示されたnanoreview.netのAnTuTu v10平均スコアの内訳では、Snapdragon 665のGPUスコアは約42,930点となっています 7。これは、日本語ソースで見られた実測GPUスコア(約3.1万~3.3万点)9 よりも高い値です。この差は、主にAnTuTuのバージョン(v10対v9以前)の違いによるスコアリング基準の変化に起因すると考えられます。

2.3. スコアのばらつきに関する考察

収集されたデータが示すように、同じSnapdragon 665を搭載するデバイス間でも、報告されるAnTuTu総合スコアには約14万点 9 から約20万点 13 まで、日本語ソース内で6万点以上の大きな幅が存在します。このスコアのばらつきは、単にSoC自体の性能だけでなく、他の要因が複合的に影響していることを示唆しています。

考えられる要因としては、まずデバイスメーカーによる実装の違いが挙げられます。搭載されるメモリ(RAM)の容量や速度、ストレージ(ROM)の種類(eMMCかUFSか)と速度、そして放熱設計の違いは、ベンチマークスコアに影響を与えます。例えば、OPPO Reno3 A(6GB RAM, Android 10)は、同じSnapdragon 665を搭載するOPPO A5 2020(4GB RAM, Android 9)よりも動作がスムーズであると評価されており、これはメモリ容量やOSバージョンの違いが寄与している可能性が示唆されています 12

次に、測定時の条件や環境もスコアに影響します。バックグラウンドで動作しているアプリの状況、デバイスの温度(連続使用によるサーマルスロットリングの有無)、そして使用されたAnTuTu Benchmarkのバージョンが異なれば、スコアも変動します。特にAnTuTuはバージョンアップごとにスコアリングのアルゴリズムが変更されることがあり、一般的に新しいバージョンほどスコアが高くなる傾向があります。日本語レビューサイトで見られるスコア(例:Xperia 10 IIのv9.3.9で約20万点 13)と、国際的な集計サイトのv10スコア(約23.5万点 6)の差は、このバージョン違いが主な要因である可能性が高いです。

これらの要因から、Snapdragon 665の性能を評価する際には、単一のベンチマークスコアだけを見るのではなく、どのデバイスモデルで、どのような構成(特にRAM容量)で、どのバージョンのベンチマークソフトを使用して測定されたスコアなのかを考慮することが極めて重要です。約20万点というスコア 13 は、比較的新しいバージョンのAnTuTuを用いた、最適化が進んだ実装の結果である可能性があり、一方で約14万点というスコア 9 は、初期のデバイスや古いバージョンのAnTuTuでの測定結果を反映している可能性があります。

2.4. AnTuTu スコア一覧

以下の表は、本調査で収集された日本語ウェブサイトからのSnapdragon 665搭載デバイスのAnTuTuベンチマークスコアをまとめたものです。スコアのばらつきと出典元を明確に示します。

デバイス名RAM/OS (判明分)AnTuTu Ver. (判明分)AnTuTu総合スコアAnTuTu GPUスコア出典サイト名
Xiaomi Mi A3不明不明139,88731,405garumax.com 9
Realme 5i4GB / Android 9不明172,88633,381garumax.com 11
Xperia 10 II不明v9.3.9203,042(記載なし)hello-mobile-world.jp 13
OPPO Reno3 A6GB / Android 10不明(Reno Aより低い)(Reno Aより低い)itmedia.co.jp 12

3. Geekbench スコア分析

Geekbenchは、特にCPUのシングルコア性能とマルチコア性能を測定するためのベンチマークであり、プロセッサの基本的な計算能力を評価する上で重要な指標となります。

本調査において、日本語のウェブサイトから得られたSnapdragon 665に関する具体的なGeekbenchスコアは限定的でした。唯一確認できたのは、Xiaomi Mi A3に関するデータで、シングルコアスコア 1,526点、マルチコアスコア 5,549点 と報告されています 9

しかし、このスコアにはGeekbenchのバージョンが明記されていません。Geekbenchはバージョン(例:Geekbench 4, Geekbench 5, Geekbench 6)によってスコアリングの尺度が大幅に異なるため、バージョン情報がないスコアは、他のデバイスやSoCとの比較においてその価値が著しく制限されます。報告されているスコア 9 は、Geekbench 5やGeekbench 6の一般的なスコア範囲と比較すると非常に高く見えるため、古いバージョン(例えばGeekbench 4)で測定された可能性が考えられます。参考として、英語圏の比較サイトでは、Snapdragon 665のGeekbench 6スコアはシングルコアで300点台、マルチコアで1300~1500点程度の範囲が示唆されていますが 6、バージョンが異なるため 9 のスコアと直接比較することはできません。

この状況は、調査対象とした日本語のウェブソースにおいては、Snapdragon 665のようなミドルレンジSoCの評価において、AnTuTuスコアほどGeekbenchスコア(特にバージョン情報を伴う詳細なもの)が重視されていない、あるいは報告頻度が低い可能性を示唆しています。したがって、利用可能な唯一のデータ 9 に基づいてSnapdragon 665のCPU性能について強い結論を導き出すことは困難であり、注意が必要です。

4. 3DMark / GPU性能分析

GPU(Graphics Processing Unit)の性能は、特に3Dゲームのプレイ体験や、動画編集、AR(拡張現実)など、グラフィックス処理が多用されるアプリケーションの快適性に直接影響します。

本調査の範囲では、Snapdragon 665搭載デバイスについて、3DMark(例:Wild Lifeテスト)のような独立したGPUベンチマークスコアを具体的に報告している日本語のウェブサイトは特定できませんでした。3DMarkというツール自体への言及は存在します 10

しかし、AnTuTu Benchmarkのスコア内訳に含まれるGPUスコアが、グラフィック性能の代理指標として日本語レビューで参照されています。

  • Xiaomi Mi A3のAnTuTu 3D(GPU)スコアは 31,405点 9
  • Realme 5i(メモリ4GB)のAnTuTu 3D(GPU)スコアは 33,381点 11

これらのスコア(AnTuTuの旧バージョン基準で約3万点台前半)は、Snapdragon 665に搭載されているAdreno 610 GPU 3 の性能レベルを示唆しています。

さらに、OPPO Reno3 A(Snapdragon 665)が、旧モデルのReno A(Snapdragon 710、Adreno 616 GPU搭載)と比較して、特にGPUスコアにおいて劣るという指摘 12 は重要です。これは、Snapdragon 665のGPU性能が、旧世代であってもやや上位のSnapdragon 700シリーズのGPUよりも低いことを明確に示しています。

これらの情報を総合すると、Snapdragon 665のAdreno 610 GPUは、相対的な性能のボトルネックとなりやすい部分であると考えられます。一般的な性能階層を示す情報 15 によれば、「重いゲームもなんとか」プレイできるとされる総合スコア帯(約50万点〜100万点)やGPUスコア帯(約35万点〜60万点)には、Snapdragon 665のスコア(総合約14万〜20万点、GPU約3万点台)は遠く及びません。

結論として、Snapdragon 665のGPU性能は、日常的なUI操作や動画再生、軽量なカジュアルゲームには十分対応可能ですが、グラフィック負荷の高い最新の3Dゲームを高画質設定で快適にプレイするには力不足であると評価できます。ゲーム性能を重視するユーザーにとっては、このGPU性能が選択の際の制約要因となる可能性が高いでしょう。

5. 競合プロセッサとの性能比較

Snapdragon 665の市場における位置づけを正確に把握するためには、同世代や類似クラスの他のプロセッサとの性能比較が不可欠です。ここでは、主にSnapdragonファミリー内の他のチップや、日本語ソースで言及されている比較情報を基に考察します。

5.1. Snapdragon 600/700 シリーズとの比較

  • Snapdragon 710: OPPO Reno3 A(Snapdragon 665)と前世代機OPPO Reno A(Snapdragon 710)の比較事例 12 は、Snapdragon 665が700シリーズ(この場合はSnapdragon 710)よりも性能が低いことを示しています。特にGPU性能の差が大きいとされており、これはゲームなどのグラフィック性能を重視する場合に影響します。この事例は、必ずしも新しいモデルが旧モデルより高性能とは限らないこと、そしてメーカーが価格や他の機能とのバランスでSoCを選択することを示唆しています。
  • Snapdragon 675: 英語圏の比較サイトの情報(参考)によれば、同じ11nmプロセスで製造されたSnapdragon 675は、Snapdragon 665と比較してAnTuTu v10スコアで約34%高く、CPU性能も優れています 7。GPU性能は比較的近いものの、全体的なパフォーマンスではSnapdragon 675が上位に位置します。
  • Snapdragon 680: より新しい世代のSnapdragon 680(6nmプロセス)は、プロセス微細化による電力効率の向上に加え、CPUクロック速度やメモリ帯域幅でもSnapdragon 665(11nm)を上回ります。AnTuTu v10スコアでは約31%高い結果が示されています 6(参考)。
  • Snapdragon 600番台内での位置づけ: 日本語の解説記事では、Snapdragon 665やそれ以前の630などは、複数のアプリを同時に利用する際に動作が遅くなる可能性があると指摘されており、可能であればより新しいSnapdragon 690などの600番台チップを搭載した機種を選ぶことが推奨されています 16

5.2. 他社プロセッサとの比較

提供された日本語ソースの情報内では、MediaTek社のHelioシリーズなど、Qualcomm以外の競合メーカー製プロセッサとSnapdragon 665を直接比較したベンチマークデータや詳細な分析は見当たりませんでした。比較の多くはSnapdragonファミリー内で行われている傾向があります。

5.3. 性能上の位置づけ

以上の比較から、Snapdragon 665の性能上の位置づけは以下のようにまとめられます。

  • 発表当時はミドルレンジスマートフォン向けとして広く採用された一般的なSoCでした 12
  • 性能レベルとしては、Webブラウジング、SNS、動画視聴などの日常的なタスクには概ね対応可能です。
  • しかし、より上位のSnapdragon 700シリーズや、後継のSnapdragon 600シリーズ(例: 680, 690)と比較すると、CPUおよび特にGPU性能で見劣りします 12
  • 負荷の高い処理、特に最新の3Dゲームなどではパフォーマンス不足を感じる場面が多くなります 12

OPPO Reno3 Aの事例 12 は、Snapdragon 665の位置づけを理解する上で示唆に富んでいます。メーカーは、Reno A(Snapdragon 710)からReno3 A(Snapdragon 665)へのモデルチェンジにあたり、SoCの性能を若干下げる代わりに、クアッドカメラやおサイフケータイ(FeliCa)、防水・防塵といった、日本の消費者が重視する機能を強化しつつ、価格帯を維持しました。これは、Snapdragon 665が、最先端の性能を追求する層ではなく、日常的な利便性や機能、そして価格のバランスを重視する層に向けたデバイスを実現するための、戦略的な選択肢であったことを示しています。つまり、Snapdragon 665は「コストを抑えつつ、必要十分な基本性能と付加価値機能を実現するためのミドルレンジSoC」という役割を担っていたと考えられます。

5.4. Snapdragon 665 vs 競合プロセッサ ベンチマーク比較

以下の表は、Snapdragon 665と関連するプロセッサの性能比較を、AnTuTu v10スコア(参考値)と日本語ソースからの比較情報を基にまとめたものです。

SoCProcess NodeAnTuTu v10 Score (参考)Key Comparison Point (Source)
Snapdragon 66511nm~235,500ベースライン
Snapdragon 71010nm(データなし)Reno A (SD710) は Reno3 A (SD665) より高性能、特にGPU 12
Snapdragon 67511nm~314,867 (+34% vs 665)CPUおよび総合性能でSD665を上回る 7 (参考)
Snapdragon 6806nm~308,000 (+31% vs 665)総合性能、CPUクロック、電力効率でSD665より優位 6 (参考)

6. Snapdragon 665 総合性能評価

収集したベンチマークデータと日本語のレビュー記事における評価を統合し、Snapdragon 665の全体的な性能についてまとめます。

6.1. 日常使用におけるパフォーマンス

Snapdragon 665を搭載したスマートフォンの日常的な使用感は、組み合わせるメモリ容量やソフトウェアの最適化状態に影響されます。

  • 十分なメモリ容量(例:6GB)と比較的新しいOS(例:Android 10)を搭載したデバイス(例:OPPO Reno3 A)では、アプリの切り替えやWebページのスクロールといった操作は比較的スムーズに行えると評価されています 12
  • 一方で、メモリ容量が少ない(例:4GB)場合や、複数のアプリケーションを頻繁に切り替えながら使用するようなマルチタスク環境では、動作が遅くなったり、一時的に操作を受け付けなくなるような引っかかりを感じる可能性があることも指摘されています 12

総じて、Snapdragon 665自体は基本的なタスク(Web閲覧、SNS、メッセージング、動画視聴など)をこなすための基本的な処理能力は備えていますが、快適なマルチタスク性能を維持できるかは、デバイス全体のスペック、特にRAM容量に依存する傾向があると言えます。

6.2. ゲーム性能に関する評価

ゲーム性能に関しては、Snapdragon 665の限界がより明確になります。

  • Adreno 610 GPUの性能は、より上位のSoC(例:Snapdragon 710)と比較して低く 12、AnTuTuのGPUスコアも最新の高性能SoCには遠く及びません 9
  • その結果、グラフィック負荷の高い最新の3Dゲームを最高設定で快適にプレイすることは困難です。一般的な性能指標 15 から見ても、Snapdragon 665は「重いゲームを快適にプレイできる」レベルには達していません。
  • プレイ可能なゲームは、比較的軽量なカジュアルゲームや、数世代前のゲーム、あるいはグラフィック設定を大幅に下げる必要があるタイトルに限られると考えられます。

ゲーム性能をスマートフォン選びの重要な要素と考えるユーザーにとっては、Snapdragon 665搭載機は不向きであり、より高性能なGPUを備えたSnapdragon 700/800シリーズや、MediaTek Dimensityシリーズなどの上位SoCを搭載したモデルを検討することが推奨されます。

6.3. 総括的な性能レベル

Snapdragon 665は、2019年の発表当時に、ミドルレンジクラスのスマートフォンに広く採用された実績のあるSoCです 12

日本語のレビューや解説記事を総合すると、その性能は以下のように評価できます。

  • 一般的な用途(Web、SNS、動画、音楽、軽いゲームなど)には十分対応可能な性能を持つ。
  • マルチタスク性能は搭載メモリ容量に依存する。
  • 高度な3Dゲームのプレイには性能不足
  • 発表から時間が経過しており、より新しいミドルレンジSoC(例:Snapdragon 690, 695, 7シリーズなど)と比較すると性能は見劣りする 16

2024年現在の視点で見ると、Snapdragon 665の性能はエントリークラスに近い位置づけとなります。しかし、このSoCが果たした役割は重要でした。それは、メーカーがスマートフォンのコストを抑えながら、カメラ機能の強化、バッテリー持続時間の確保、あるいは日本市場特有の機能(おサイフケータイ、防水)などを搭載し、価格と機能のバランスが取れた製品を提供することを可能にした点です。

したがって、Snapdragon 665は、最先端のパフォーマンスを求めるユーザーではなく、手頃な価格で日常的なニーズを満たすスマートフォンを求める層に向けた、当時の合理的な選択肢であったと言えるでしょう。

引用文献

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  3. Realme 5 Review – UL Benchmarks, 4月 19, 2025にアクセス、 https://benchmarks.ul.com/hardware/phone/Realme+5+review
  4. Xiaomi Redmi Note 8 Review – UL Benchmarks, 4月 19, 2025にアクセス、 https://benchmarks.ul.com/hardware/phone/Xiaomi+Redmi+Note+8+review
  5. Android端末でAnTuTuベンチマークテストを行う超簡単な方法(2025年時点) – TikGadget, 4月 19, 2025にアクセス、 https://www.tikgadget.jp/android-antutu-benchmark-test/
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  7. Snapdragon 675 vs Snapdragon 665: tests and benchmarks – NanoReview, 4月 19, 2025にアクセス、 https://nanoreview.net/en/soc-compare/qualcomm-snapdragon-675-vs-qualcomm-snapdragon-665
  8. AnTuTu BenchmarkのAndroid – UptodownからAPKをダウンロードしよう, 4月 19, 2025にアクセス、 https://antutu-benchmark.jp.uptodown.com/android
  9. Xiaomi Mi A3(Snapdragon 665)の実機AnTuTuベンチマークスコア – ガルマックス, 4月 19, 2025にアクセス、 https://garumax.com/xiaomi-mi-a3-antutu-benchmark
  10. Best Smartphones and Tablets – March 2025, 4月 19, 2025にアクセス、 http://54.237.233.138/en-de/compare/best-tablets?amount=0&sortBy=SCREEN&reverseOrder=false&osFilter=ANDROID,IOS,WINDOWS&test=WILD_LIFE_EXTREME&deviceFilter=PHONE,TABLET&displaySize=3.0,15.0
  11. Realme 5i/メモリ4GB(Snapdragon 665)の実機AnTuTuベンチマークスコア – ガルマックス, 4月 19, 2025にアクセス、 https://garumax.com/realme-5i-ram4gb-antutu-benchmark
  12. 「OPPO Reno3 A」レビュー パフォーマンスは先代よりダウンしたが、コスパの高さは健在:石野純也のMobile Eye(2/2 ページ) – ITmedia, 4月 19, 2025にアクセス、 https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/2006/20/news019_2.html
  13. Snapdragon 665搭載 Xperia 10 II AnTuTu Benchmark と Geekbench5 のベンチマークスコアを計測 | ハローモバイルワールド, 4月 19, 2025にアクセス、 https://hello-mobile-world.jp/snapdragon665/
  14. ストリーミング対応ウォークマンハイエンドモデル「NW-ZX707」実機レビュー(その1)。待望のSoC刷新で、快適動作な Android ウォークマンに!?スペックを調査、そのパフォーマンスを「NW-WM1M2シリーズ」などと比較。 – ソニーが基本的に好き。| ソニーショップくんこく, 4月 19, 2025にアクセス、 https://kunkoku.jp/nwzx707.html
  15. スマホの実機AnTuTuベンチマークスコアまとめ – ガルマックス, 4月 19, 2025にアクセス、 https://garumax.com/antutu-benchmark-score
  16. Snapdragonの性能を比較!各番号のおすすめ機種も紹介 – INEST株式会社, 4月 19, 2025にアクセス、 https://inest-inc.co.jp/sumaho-sensei/snapdragon-performance-comparison/
  17. Snapdragon 〇 Gen のAntutuスコアをざっくりまとめてみる【備忘録】 – note, 4月 19, 2025にアクセス、 https://note.com/azumakazuki/n/nc82c94188e30
  18. 【2025年最新】スマホ&タブレットのAnTuTuベンチマークスコアまとめ(実測値) – TikGadget, 4月 19, 2025にアクセス、 https://www.tikgadget.jp/antutu-benchmark-scores/
  19. 【2025最新】スマホベンチマークランキング【AnTuTu/PCMark/原神】 – ちびめがねアンテナ, 4月 19, 2025にアクセス、 https://chibimegane.jp/category/gadget/smartphone/
  20. TCL Tab 8 Review – UL Benchmarks, 4月 19, 2025にアクセス、 https://benchmarks.ul.com/hardware/tablet/TCL+Tab+8+review
  21. 【即納・最強スペック!】android12 8G+128G Carlinkit PLUS 日本, 4月 19, 2025にアクセス、 http://www.palestraostia.it/shopdetail/270839440
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